「お母さんの心がラクになる! 怒らない子育て」刊行しました

本書の原稿を初めて見た担当編集者の若い女性が、「子どもを持ちたいと初めて思った」と、感動の一言をくださった一冊です。
現在子育てに悩んでいる方向けに書いた実践的な本ですが、結果として子どもの魅力を描くこともできたように思います。
もちろんお母さんだけでなくお父さん、それ以外の方もどうぞ。

内容(「はじめに」より抜粋)

子育ては「つい怒ってしまう」ようなシーンの連続です。私自身も二人の子どもを育てていますので、それは痛いほどよくわかります。
でも、ちょっと別の視点を持ってみるだけで、「つい怒ってしまう」はずのシーンを、子どもの力に気づいたり、子どもの力を伸ばしたりするシーンに変えることができる、と聞いたら嬉しくありませんか? 
そして、私たち親を困らせている子ども自身が、一番頼もしい存在となって、「つい怒ってしまう」ような状況から助け出してくれることすらあるのです。
そんな視点の転換のコツを、本書で一緒に見ていきましょう。

子育ては、子どもの力を借りなければとても大変な作業になってしまいますが、子どもの力を発揮してもらうために必要な努力は、実はそれほど多くありません。そんな「ちょっとした努力のポイント」を本書でお伝えしたいと思います。
「子育ては親育て」などと言われますが、私は、「子育ては親の癒し」だと思っています。多くの親にとって、子どもとの関わりは、無条件の愛情を与えてもらう、人生で初めての機会となるからです。
実は、子どもを持つということは、自分を無条件に愛してくれる人を持つということ。子どもは育っていく存在であると同時に、不完全な親を見守ってくれる愛の存在でもあるのです。
ですから、そんな愛情の中、もっとのびのびと子育てをしてみましょう。それが、子どもを無条件に愛することにつながります。
親子関係は、最も悩ましいものになってしまうこともあるのですが、すばらしい可能性を秘めたものでもあります。子育てを通して自分を癒すことが、子どもに豊かな「生きる力」を与えるのですから、こんなによい話はないと思いませんか?

青春出版社 1365円(税込)

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「『見た目』が気になる! 症候群 ―他人にどう思われるか、とても気になる心から自由になれる本―」刊行

「『見た目』が気になる! 症候群 ――他人にどう思われるか、とても気になる心から自由になれる本――」を刊行しましたのでお知らせします。

【内容(出版社による紹介)】
10代、20代の若者を中心に、「自分が他人にどう思われるかが気になってしかたがない」人たちが激増しており、「見た目」が時代のキーワードになっています。“つま
らない人”“おもしろくない人”“空気の読めない人”……と呼ばれたくない、嫌われたくない――その思いが強すぎで、人前で本来の自分とは違うキャラを演じたり、
必死にメールの返信をしたり、ダイエットに励んだり。そんな不安にさいなまれる人たちを『「見た目」が気になる!症候群』として、その心理の深層に潜む“プチ・ト
ラウマ”の存在を暴き、自分らしく、のびのびと生きるためのアドバイスをする本です。

《本書の項目タイトルより》

・体型やスタイルの願望は「もっと、もっと」ときりがない
・会話上手になろうという思いが強すぎるほど、会話が下手になる
・携帯メールの、「即、返信」呪縛にとらわれていないか?
・「キャラ」を気にし始めると自分を見失う
・「友だちが少ないと思われたくない」心理が、真の友人との出会いを遠ざける
・饒舌に会話できることは、コミュニケーション能力の高さを意味しない
・恋人は、「もてる私」を証明するためにいるのではない
・「見た目」を気にしていないふりをする人も実は「見た目」 にとらわれている
・「見た目がよくなれば自信がつく」は嘘
・「自信さえつけば」と思うと、ますます自信がなくなる
・「自分の好きなところを見つけよう!」のワナ
――etc.

「あとがき」より

講演で話し慣れている私でも、「話している自分はどう見られるか」というところに意識を向けると、にわかに緊張するものです。しかし、「聴いている人」に意識を集
中させると、「見た目」が気になる心を完全に手放すことができ、講演そのものに集中して、その質をよくすることができるのです。ほとんどストレスも感じませんし、
聴いている人とのつながりを感じますので、あとで「自分はどう思われただろうか」などと気に病むこともありません。完璧な出来ではなかったとしても、一生懸命やっ
たことはわかってもらえただろう、と思えるのです。

これは、患者さんを含め、多くの人との関わりの中で経験してきたことと完全に一致します。「見た目」を気にすることで、どれほど自分にストレスを加え、どれほど
自分が嫌いになり、どれほど相手との間のつながりが断たれ、どれほど今に集中できなくなるか・・・。それはときに、心を病むレベルにまで達するのです。

本書を書きながら、「見た目」が気になる心について一般にいわれる、「自信をつけよう」「見た目なんて気にしないようにしよう」といったアプローチが、いかにピ
ント外れであるかを改めて認識しました。本書をお読みいただいた方にはおわかりだと思いますが、そういったアプローチは有効であるどころか、むしろ有害なのです。
今この瞬間にも「自信さえつけば」「見た目を気にしないようにしなければ」「見た目を気にする自分は弱い」などと思っている方が多数おられると思うと、そのもとに
本書が届くことを祈るのみです。

主婦と生活社  1365円(税込)

アマゾンで購入する方は http://amzn.to/LSO8rZ

「身近な人の『攻撃』がスーッとなくなる本」刊行のお知らせ

「身近な人の『攻撃』がスーッとなくなる本」を刊行しましたのでお知らせします。
とても多くの方に読んでいただいた「『怒り』がスーッと消える本」と同じ体裁の、わかりやすい本です。

この本によって、皆さまの心の中にも、そして社会にも、平和がもたらされますよう、祈っております。

「はじめに……これ以上、傷つけられたくないあなたへ」より抜粋
  本書のタイトルを見て、「攻撃がスーッとなくなる?」と疑問に思われた方も多いと思います。「いったいそれはどんな魔法なのか。そんなものあるわけがない」と。
もちろんこれは魔法の本ではありません。
でも、攻撃がスーッとなくなる、というのは本当のことなのです。
攻撃の「なくなり方」にはいろいろあります。
実際に相手から「攻撃」されなくなることもあります。
つまり、相手の行動が変わる、ということです。
あるいは、相手の行動は変わらなくても、前だったら攻撃だと思っていたようなことを攻撃だと思わなくなることもあります。つまり、傷つかなくなるのです。
どちらも、自分にとって「攻撃がスーッとなくなる」のは同じですが、前だったら「攻撃された!」と思ったような状況で、「攻撃はなかった」という見方ができるようになることには計り知れないメリットがあります。
これは、「攻撃されたけれども我慢する」というレベルの話とは全く違います。
「攻撃そのものがなかった」のであれば、我慢する必要がないからです。

攻撃を受け続ける哀れなサンドバッグとして生きていくのか、自分の内面からわき出してくる温かい力を感じながら豊かな人生を歩んでいくのか。
それは自分自身で決められるのです。

また、本書では単に「相手から『攻撃』されたらどうするか」という話にとどまらず、「他人から大切にされる人になる」ための工夫もご紹介していきます。
相手からの「攻撃」を攻撃として受け止めない心構えを徹底していくと、結果として他人から「攻撃」されにくくなってくるのです。
このあたりのメカニズムは、本文をお楽しみに。
本書によって、もう「攻撃」など怖くない、と思っていただければ幸いです。

もくじ
はじめに・・・これ以上、傷つけられたくないあなたへ
ステップ1 なぜ、その人はあなたを傷つけるのか?
ステップ2 相手の「攻撃」をスルッとかわすコツ
ステップ3 その「攻撃」をかわすか、それとも対処するか?
ステップ4 「攻撃」されないコミュニケーション
ステップ5 ネット社会での「攻撃」への対処法
ステップ6 「なぜか大切にされてしまう人」の7つのルール
おわりに・・・視点を変えるだけでスーッと楽になる

大和出版 1365円(税込)

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「思春期の意味に向き合う ― 成長を支える治療や支援のために ―」刊行しました

このたび、「思春期の意味に向き合う ― 成長を支える治療や支援のために ―」を刊行しましたのでお知らせします。
治療者向けの専門書という位置づけですが、より幅広い方に読んでいただけるように書いたものです(下記、「はじめに」よりの抜粋をご覧ください)。

岩崎学術出版社

2100円(税込)

「はじめに」より抜粋

本書は、臨床家向けの体裁をとってはいるものの、実はより広い領域の方にも読んでいただきたいという思いで書いた本である。本来は治療対象となるような思春期患者が実際に臨床現場に現れることは決して多くない。教育現場だけで対処されていることも一般的だし、思春期の症状は「問題行動」として現れることが多いため、警察や司法などの場で対応されていることも少なくない。それが治療対象となるものであることを知らなければ、治療への引き継ぎが考慮されることもないだろう。このことは患者が適切な治療を受ける機会を奪ってしまう。
また、どのような領域で患者と接する場合であっても、その基本姿勢は「思春期という『役割の変化』」の意味をふまえたものであってほしい。より広く考えれば、「患者」と呼べないレベルの思春期の子に対しても、患者になることを予防するという観点から、やはり同様の配慮を求めたい。つまり、思春期に現れる特徴・症状やその対処法については、臨床家だけが知っているのでは全く不十分であり、臨床家はもちろんのこと、それ以外の領域の方にもできるだけ知っていただきたい、という思いが、本書を執筆した一つの主要な動機である。
その際の原点となるのが、本書のタイトルにある「思春期の意味」である。思春期の意味をよく理解すれば、どのような介入が適切で、どのような介入が不適切であるかを判断することができるだろう。「思春期の意味」を踏まえた介入は、目覚ましい効果をもたらすのである。

目次等詳細は出版社ウェブサイト

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摂食障害を持つ方の「親」向けワークショップ開催のお知らせ

摂食障害を持つ患者さんご本人ではなく、親御さんを対象としたワークショップです。

午前:摂食障害についての知識の整理

午後:アティテューディナル・ヒーリング(AH)の体験を通して、本人とより楽で効果的な関わりができるようになるための練習

ファシリテーターは水島広子がつとめます。

参加要件
以下の3点を全て満たしていただく必要があります。

(1)お子さんが摂食障害をお持ちの患者さんであること

(2)「拒食症・過食症を対人関係療法で治す」(紀伊國屋書店)をそれなりに真剣にお読みいただいていること

(3)「怖れを手放す」(星和書店)をじっくりとお読みいただき、アティテューディナル・ヒーリング(AH)の概念に触れておられること

もちろん、(2)(3)とも完璧な理解を求めるものではなく、当日いくらでもご質問いただけます。
両方の書籍をご持参ください。
入手が困難な方は、info@hirokom.org までご連絡ください。

日時:2012年7月2日(月) 9:30~16:30 (昼休み1時間、午前午後に短い休憩あり)

場所:水島広子こころの健康クリニック(港区元麻布 最寄り駅 麻布十番、六本木) 
* ご参加の方には詳細な地図をお送りします。

定員:14名

参加費: 15,750円 (簡単な飲み物とお菓子が出ます)

* お申し込みの時点で、参加費の振込先やキャンセル規定などについてお知らせします。

参加ご希望の方は、info@hirokom.org までご連絡ください。お問い合わせも同アドレスまでお願いいたします。

* 受付担当のスタッフと、当日対応のスタッフは別の者になります。

* あくまでも治療行為ではなく、教育目的のプログラムですので、ご了解ください。
クリニックそのものは未だに待機患者さんが多く、新規の受付ができていない状況ですのでご理解いただけますようお願いいたします。

「対人関係療法で改善する 夫婦・パートナー関係」刊行しました

創元社から出していただいている対人関係療法シリーズの第六弾として、夫婦・パートナー関係の本を刊行いたしましたのでお知らせします。

病気の有無を問わず、一般の方向けです。

対人関係療法で改善する 夫婦・パートナー関係

創元社

1575円(税込)

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店頭では、クリスマスイブには発売されるそうです。

以下、あとがきより抜粋です。

本書は「対人関係療法でなおす」シリーズの第六弾ですが、前作までは病気の治療について集中的に扱ってきたのに対し、本書は病気の方に限らずより一般にお役に立ちたい、という思いで「対人関係療法で改善する」というタイトルになっています。
 正確に言えば対人関係療法は「病気の治療法」であり、治療の対象となるのはもちろん病気を持つ方です。そして実際に、対人関係療法を用いて夫婦関係に取り組んだ患者さんの多くが、症状が軽快する、病気が治る、という体験をされているのも事実です。
 しかし、対人関係療法の考え方、そこで得られてきた経験が役に立つのは現在病気を患っておられる方だけではありません。夫婦・パートナー関係におけるストレスが積み重なって病気にすら至る、あるいは、夫婦・パートナー関係のずれが、他のストレスに対処する力を減じる、ということからは、病気を治すのみならず、予防的な観点からも、そして人生の質を向上させるためにも、対人関係療法のエッセンスを活用することの意義がわかります。
 私は対人関係療法を用いて夫婦面接をするのが大好きですが、それは、人間が相互に及ぼしうるプラスの影響を目の当たりにする機会だからです。最初は夫婦関係そのものがストレスを生み出しているような人たちでも、治療の中で関係を改善させていくにつれて、夫婦関係がむしろ病気を治していく力になる、と感じさせられることが多いのです。人間同士の相互作用の力は本当に想像をはるかに超えるものだ、といつも感動しています。そんな感動を少しでも多くの方と分かち合えれば、というのが本書に込められた思いです。

Eテレに出演します

新年早々ですが、下記の番組に、収録ゲストとして出演することになりましたのでお知らせします。
是非、ご覧ください。
拙著「ダイエット依存症」などに基づいた話になります。

番組名:「オトナへのトビラTV」第3弾
     ~今年こそかっこいいカラダを手に入れる(仮)~

番組HP:http://www.nhk.or.jp/heart-net/tobira/

放送日時:2012年1月1日(日)
  午後2時半~3時15分 Eテレ

(再放送)1月4日(水)午前0時~午前0時45分(3日の深夜)

番組内容:オトナへのトビラTVは、10代のあなたに向けた番組。
     親や教師が教えてくれないリアルなオトナの現実って?
     それに直面した時どうしたらいい?
     かっこいいオトナが教えてくれる知らないと損する“オトナ流”生き方って?
     幸せな未来を手に入れるために絶対に役立つ情報満載でお届けします!
     今回のテーマは「かっこいいカラダ」。おいしく食べ、楽しく料理を作り、
     それでいてかっこいい体を維持するスキルを一挙大公開。
     また「ダイエット」の光と影も紹介。
     今年こそ、素敵な身体を手に入れたいという高校生たちへ届ける新春スペシャル。

「『愛する人と幸せになる』55のルール」を刊行しました

このたび、恋愛の本である「『愛する人と幸せになる』55のルール」を刊行しましたのでお知らせします。
基本的には女性向けの内容になっていますが、男性のお役に立つ部分も多いと思います。

恋愛には「愛の恋愛」と「怖れの恋愛」があるのをご存じですか?
残念ながら私たちが通常「恋愛」とよぶものはほとんどが「怖れの恋愛」。
なかなかよい出会いがない、というのも実は「怖れの恋愛」の中の現象なのです。

恋愛すればするほど嫉妬などで自分に自信がなくなったり、他の人と距離ができたり生活がつまらなくなってしまう「怖れの恋愛」ではなく、自分に自信がつき、生活のあらゆる領域が楽しくなり、他の人たちともつながる「愛の恋愛」で幸せになりませんか?

精神科医が教える 「愛する人と幸せになる」55のルール 

大和出版 

1365円(税込)

アマゾンで購入する方は http://amzn.to/sRQjX8

もくじ

はじめに うまく恋愛できないあなたへ

第一章
まずは「恋愛感情」をマスターしよう
なぜ、その恋はうまくいかないの?

第二章
「感情」を認めてくれる人となら、うまくいく!
恋人選びで一番大切なこと

第三章
彼から「愛を引き出す」コツ
「愛されたい」気持ちが、彼を遠ざける

第四章
ぴったりの相手とめぐり合うコツ
お互いの「ありのまま」を受け入れよう

第五章
愛する人と「いい関係」になるコツ
気持ちの伝え方、受け止め方

第六章
今すぐ愛を感じるコツ
恋愛で幸せになるたった一つの方法

おわりに
「愛の恋愛」をするために「愛の恋愛」を手放す

「続々・怖れを手放す」刊行しました

現在の私の「政治活動」であり、大切に続けているボランティア活動であるアティテューディナル・ヒーリング(AH)のファシリテーター・トレーニングの主要な部分を収録した「続々・怖れを手放す」を刊行しましたのでお知らせします。
書籍版、DVD版、どちらもございます。同じ場面を収録したものですので、内容はほぼ同一です。

続々・怖れを手放す アティテューディナル・ヒーリング・ファシリテーター・トレーニング

星和書店

書籍版 1995円(税込)
DVD版  9975円(税込)

アマゾンで購入される方は、
書籍版 http://amzn.to/w4KBaj
DVD   http://amzn.to/sRaeAJ

以下、ご参考までに、「あとがき」より抜粋です。

===
アティテューディナル・ヒーリングとは、心の平和を唯一の目標とし、心の姿勢(アティテュード)を自ら選ぶことによる癒しのことを言います(本シリーズ既刊「怖れを手放す アティテューディナル・ヒーリング入門ワークショップ」参照)。

 アティテューディナル・ヒーリングは、専ら自分の心の平和のために実践するものであって、人助けのためのものではありません。ではそのファシリテーターとは何か、ということになりますが、やはり、「他の人が心の平和を体験できるようにするため」にお手伝いするという役割ではなく、「自らの心の平和のため」にアティテューディナル・ヒーリングをより深く身につけるための有効な手段だということになります。自分ひとりのことであれば怖れを手放すのは容易であるように思われても、ファシリテーターという立場に身を置いてみると、実に様々な怖れが出てくることがわかるものです。それらに取り組むことは、間違いなくアティテューディナル・ヒーリングの理解を深めるでしょう。

また、それは治療やカウンセリングの場に役立つものだと思います。アティテューディナル・ヒーリングは自分の心の平和のために取り組むものであり、一義的に相手のために行う治療やカウンセリングとは本質的に違います。それでも、治療者やカウンセラーがアティテューディナル・ヒーリングを身につけておくことは、治療者やカウンセラー自身にとっても、また、患者さんやクライアントさんにとっても、計り知れないプラスになると私は考えていますし、治療やカウンセリングの場で問題となる様々なテーマへの答えがここにあると思っています。

そもそも、治療とは、「変えること」ではなく「変化を起こすこと」です。人を変えることはできませんが、人が変わりやすい環境を作ることはできます。人が変わりやすい環境とは、安心して自分のプロセスを歩むことができる環境です。人間は安心すれば前向きに進む生き物だからです。治療者の役割は、極言すれば、患者さんが安心できる環境を作ることだと言えます。もちろん専門知識は役に立ちますが、大きく見れば、専門知識の提供も、安心できる環境を作ることに貢献する性質のものです。

患者さんに内在する回復力を信じ人間のプロセスを信じることが最も生産的な治療につながるということは、「エンパワーメント」という概念として知られてきたこと、また、近年では「レジリエンス」として精神医学の領域でも注目されてきている概念にも通じるものだと思います。治療者が過保護的な姿勢でいなくても患者さんは回復していくものであり、治療の成功は、治療者自身がどれだけ怖れを手放せるかに関わってくると言っても過言ではない、と私は思っています。

アティテューディナル・ヒーリングが役立つのは治療の場だけではありません。より専門性の低い、傾聴ボランティアの方などにおいても、特に燃え尽き防止という観点から、これまでも高い評価をいただいてきています。

アティテューディナル・ヒーリングは「自らの心の平和」を唯一の目標としていますが、結果としては相手のためにも役立つものです。「相手のために」とのめりこんでしまうと、自分の一方的な評価を押しつけるという暴力性を生みかねない、という意味でも問題があるのですが、それだけでなく、「相手のためにうまく機能できていない自分」について罪悪感や無力感が生じるという問題も起こってきます。罪悪感や無力感に襲われている間、私たちは完全に自分にしか意識が向いていないものであり、相手のことを考えているようでいて、実際には相手から自分の意識が分断されています。それこそ、相手のためになっていないのです。
===

お役に立てば幸いです。
なお、書籍10冊以上ご希望の方はinfo@hirokom.org までご連絡ください。