社会正義とアティテューディナル・ヒーリング(その1)


 日本はゴールデンウィークだと思いますが、こちらは通常の週末で、それも、センターのトレーニングと、娘の学校の資金集めのボランティア(地元のサウサリート祭りにホットドッグ屋さんを出しています)で、忙しい週末になっています。
 
 この頃私はサウサリートのセンターだけでなく、オークランドにあるアティテューディナル・ヒーリング・センターも訪問しています。日本からはなかなかイメージできないのですが、このベイエリアは、サンフランシスコだけでなく、オークランド、バークレー、スタンフォード、という有名な場所が近くにあって、車で楽に行き来できます。治安が極めて良いマリン郡(私が住んでいるところ)に比べて、オークランドは犯罪の発生率が高いことで有名ですが、なかなか魅力的なところです。

 さて、私がオークランドのセンターに出入りしている理由ですが、それは、オークランドのセンターが、「社会正義」に力を入れているユニークなセンターだからです。オークランドのセンターの代表は、ココモンとアイーシャという黒人のカップルです。アイーシャはアメリカ南部に生まれ、バークレー大学時代に人種差別の激しさからブラック・ムスリム運動に目覚めた女性ですが、後にアティテューディナル・ヒーリングと出会います。白人を敵とみなすブラック・ムスリム運動から、愛と許しのアティテューディナル・ヒーリングへと軸足を移したアイーシャの半生は、「Beyond Fear」という著書で大変うまく描かれています。

 一方、夫のココモンは、アフリカ・ガーナ生まれで、アメリカに移民してきた人です。オークランドのセンターには、「アフリカ太鼓の瞑想」というグループがありますが、これはココモンなくしてはできない活動です。

 今までアメリカの良い面を主に書いてきましたが、悪い面もたくさんあります。その一つが、明らかに、人種差別です。アメリカの中でも最も多様性に富んだカリフォルニアにあっても、特に黒人に対する人種差別は根強く感じます。(ちなみに、私がいろいろなアメリカ人にヒラリー・クリントンが初の女性大統領になると思うかと尋ねると、ほとんどの人が否定的ですが、「女性が大統領になる日」と「黒人が大統領になる日」とどちらが先かという議論を持ちかけると、かなり議論が沸騰します。つまり、どちらも未だにかなり差別されているということなのです)

アイーシャとココモンは、人種差別を「致命的な病」と呼んでいます。確かに、暴動で命を落とす人もいるし、黒人だという理由だけで(それもしばしば冤罪で)警官の銃弾に倒れる人もいるし、人種問題で命を落とす人は少なくありません。また、黒人に生まれたゆえに、自尊心の問題を深く抱えて自殺する人もいます。確かに「致命的な病」です。

そして、この「致命的な病」に対して、アティテューディナル・ヒーリングのアプローチこそが有効なのだ、ということを訴えています。
この話は次回に続けたいと思いますが、ちょうどアティテューディナル・ヒーリングの原則12が関係のある話題ですので、以下にパッツィ・ロビンソンの翻訳を紹介します。社会正義とアティテューディナル・ヒーリングについては、次回に続けます。