アティテューディナル・ヒーリングの原則12

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12 どんな人も、愛を差し伸べているか助けを求めているかのどちらかととらえることができる。

この原則は、人間関係の中で利用できる並外れた道具です。人とやりとりするときにこの原則を頭に入れておくことができれば、人間関係をより望ましい形にすることができるでしょう。人間関係の中で、相手が私たちに愛を差し伸べているのだということが明らかである場合、ふつう、何の問題も起こらないものです。愛とサポートの気持ちを受け取り、愛とサポートで応えることができます。何の葛藤も感じませんし、問題は難なく解決するように見えます。

 反対に、何らかの理由で自分が攻撃されていると感じる場合には、防衛の姿勢をとり、逃げるか攻撃し返すかをしがちです。逃げる姿勢で反応しても、戦う姿勢で反応しても、行動につながります。これは、自分を傷つけずに守るように学んできた、条件反射なのです。私たちを攻撃しているように見える人を、怖れから行動している人だと見ることができるようになると、その状況の力動について全く新しい次元で見ることができるようになります。
この原則を、他の原則と共に、さらに発展的に利用できるようになるために、まず自分の心の焦点を変えるところから始めましょう。どういうことかと言うと、ここでもまた、自分の気持ちについて責任をとり、ストレスが起こる瞬間に私たちに起こる反応について他人のせいにしない、ということです。

 私たちが責任を持っているのは自分自身の心の平和であって、他の人のことではありません。人の話を聞くときにこの原則に焦点を当てていれば、攻撃に見えるものが、実は、怖れの表現であり助けを求める声だということがわかるでしょう。そうなると、他の力動が起こり始めます。その瞬間に私たちが自己防衛をしなくなると、エネルギーに変化が起こり、「攻撃者」はそれを感じます。私たちの受け止め方の変化によって新たな力動が起こる余裕ができたため、はじめと同じような切迫感は続かなくなります。この新しい力動は私たちの人間関係のパターンと質を変えていきます。

 これらの原則がきちんと働くようにするには、まず、自分の考えのパターンについて完全な責任をとることを選びます。常に、しっかりとした意識を持っていられるようにします。怖れが現れてくるのは過去や未来なのですから、「今」に生きることは、アティテューディナル・ヒーリングにとって肝心なことです。

 怖れというのは愛と正反対のものであり、両方の枠組みの中で同時に生きることは不可能です。愛の中で生きたいのであれば、過去のものも未来のものも怖れを手放すことによってそれが可能になります。実は、この瞬間にこそ、私たちにはそれができるのです。どういう状況に置かれているとしても。この瞬間に生きることによって、私たちは何が起こっても対処することができます。それが感情的な、身体的な、スピリチュアルな痛みであっても。

 私たちの心を再訓練し始めるには、アティテューディナル・ヒーリングの12の原則のリストを、いつでも目にできるよう持ち歩くと良いでしょう。難しい状況になったら、私たちは直ちに問題の焦点を変えることができるのだということを認識することが大切です。私たちは、望むときにはいつでも役に立つ原則をどれでも選ぶことができます。原則を全て読んでも良いですし、起こっていることと関係のあるものを一つ選んでも良いのです。どのように原則を使おうとも、私たちは自分の態度をすぐに変えることができ、その結果として外で起こっていることの力動を変えることができるのだということがわかるでしょう。外側の状況は実際には変わることも変わらないこともあるでしょうが、私たちの受け止め方を変えることによって、世界を違うふうに見たり感じたりすることができるようになります。

 アティテューディナル・ヒーリングは、やる気と、自覚と、率直さと練習を必要とします。必要なのはそれだけです。失敗のように見えるものによってやる気をなくさないことが重要です。それは、私たちが道を歩んでいく上での学びのための経験にすぎないのです。私たちに起こることは全て、私たちの学びのために起こるのです。そして、そこから、私たちは、学びが決して止まることがないように改めて選ぶことができるのです。
 
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(☆☆☆ではさまれた部分は、パトリシア・ロビンソン著「アティテューディナル・ヒーリングの原則の一つの定義」の邦訳)