国会報告 その5(2000.8.17発行)(前半)

国会報告(7/30~8/12)

■7月30日(日) フジテレビが朝食シーンを撮影に来る。
その後、代表質問の原稿を直して、庭を掘り返してコンポストを埋め、昼から街頭演説へ。
4カ所で演説。
遠くまで行ったので午後いっぱいかかる。

■7月31日(月) 自宅を出るときからテレビカメラが来ている。
8時から恒例のマンデーレポート。
終了後、10時8分の新幹線で上京。
東京駅で下車すると数社のテレビカメラが待ちかまえている。
外国人観光客がその光景を指さして「オー」と喜んでいた。

議員会館到着後、代表質問の原稿に最終の手直しをして、サンドイッチの昼食後、12時40分からの代議士会へ。
代表質問をする鳩山代表と私が挨拶をする。

13時から本会議。
まずは、25年間勤続の村岡兼造氏の表彰。
その後、代表質問に入る。
トップバッターは鳩山代表。
とてもしっかりした質問内容で、民主党議員全員拍手で応援。
自民党からは「政見放送するな」「選挙で勝ってから言え」などと下品なヤジが飛ぶ。
次に、自民党の小里代議士による質問。
与党による質問は何とも面白味がない。

14時半頃より私の質問。
随所でヤジが飛ぶが、そのたびに睨み付けると黙るということに気づいた。
しかし、国会のヤジというのは何とも異様だ。
国会程度の規模の会場で話すことは、学会などで慣れている。
しかも、原稿あり、日本語、ということだから、決して難しくないプレゼンテーションなのだが、今まで、学会だろうと会議だろうとヤジはなかったので、おもしろい初体験だった。
森首相の答弁は全くの期待はずれ。
「総理のお考えは」と尋ねているのに、「国民の議論が分かれている」「適切に対応していきたい」など、おきまりの文句ばかり。
考えてみれば、これほど不誠実な受け答えをされたのは、生まれて初めてかもしれない。

他の代表質問は、だいたい同じような質問ばかりで、森首相も全く同じ答弁の棒読みを繰り返していた。
代表質問は、事前に質問原稿を提出しなければならないので、前の人が同じことを質問していても変えられないのだ。
そんなシステムもおかしいと思うし、そんな事情をわかっていながら全く同じ答弁を壊れたレコードのように繰り返す首相も首相だと思った。
質問の余韻に浸る間もなく、どうしたらこの国会を健全な議論の場にできるのだろうかと考える。

本会議が終わると、取材がたくさん来ていた。
18時半から、1年生議員の同期会。
安い居酒屋。
私としては珍しく奮発してタクシーに乗っていったのだが、タクシーの運転手さんが「先生はハイヤーじゃないんですか」とか「あんまり高そうじゃない店ですね」などとさかんに驚いていた。
今回の選挙では、民主党の1年生議員が43人も当選。
活発に意見を言って党を活性化しようということになる。
なかなか純粋で真面目で良い仲間たちが多い。
二次会は失礼して新幹線で宇都宮へ。

■8月1日(火) 9時27分の新幹線で上京。
11時より、民主党の女性候補者への取り組みについて、大学教授によるヒアリング。
選挙戦全般の経過について、また、女性候補としての特別な支援が党からあったかなどについて説明する。
13時から取材。
14時からジャーナリスト専門学校の学生さんによる取材。
16時から慶応の「三田評論」という雑誌の対談。
戦後家族の変容について。

■8月2日(水) 6時36分の新幹線で上京。
睡眠不足なので眠っていこうと思っていたのに、簗瀬進さんと駅で遭遇し、政治論議を戦わせている間に東京に着いてしまった。
後悔しながら眠い一日をスタート。

8時から厚生部会。
厚生白書と国民医療費についてのヒアリング。
高齢化社会の話が中心。

9時から、介護保険をより良くするプロジェクトチーム。
介護事業に携わっている人たちを招いてのヒアリング。
同じ時間帯に行われた厚生部会のクローン法案の取り扱いについての会議には、政策秘書の鳥居さんに代理出席してもらう。
生殖医療の問題も絡んで、今後紛糾しそうだとのこと。

10時半から予算委員会の傍聴。
本日の傍聴は1年生議員に義務づけられている。
菅さんの質問に対してきちんと答弁できない金融再生委員長に代わり、官僚の人が答えている。
「大臣が答えろ」「時計を止めろ」などのヤジが飛ぶ。
傍聴に値する緊迫したムード。

11時半に中座し、韓国国会事務総長の秘書の方の表敬訪問を受ける。
私の当選を韓国のテレビで見たとのこと。
韓国の国会で行事があるときに私を招聘したいと事務総長の意向が伝えられる。
日韓それぞれの女性政策などについて話し合う。
勧告では、金大統領になってから、クオータ制や女性公務員の昇進など、意欲的に行っているとのこと。

テレビモニターで予算委員会の続きを見ながら、さらに、代表質問を見て多くの方が送ってくださったメールを読みながら、サンドイッチの昼食を取る。
予算委員会で菅さんが「水島さんが代表質問で聞いていたが、有害情報から子どもたちを守る法案を作ったらどう対応するか」と森首相に尋ねてくれた。

13時から公共事業コントロール法についての新人議員勉強会。
国民がきちんと公共事業をコントロールできるよう、つまり、必要な公共事業を迅速に進め不要な公共事業をストップできるよう、用意している法案。
民主党は公共事業を何でも反対していると誤解されているが、目指しているのはこのような当たり前の目標である。

14時から、年金改革検討プロジェクトチーム。
講師を招いて、年金制度について広く学ぶ。
大切な問題であるため、衆参双方から多数が出席。
今まで、国会には年金を専門的に扱うセクションがなかった。
このため、年金について厚生省としっかり議論できる議員がいなかったという。
「靴の底から足をかく」みたいな状況を打破して本当に理想的な年金システムを構築するためにも、きちんと勉強しようというプロジェクトチーム。

16時から、保育問題についての勉強会。
夜間保育所がなかなか増えない現状、認可外の保育所などについて、厚生省の保育課長を招いて話し合う。
「夜間保育所を充実させると親が子供を家に連れて帰らなくなるということを心配している地方自治体が多いのではないか」という発言があった。
私は、そのようなことを考えるよりも、まずはまじめに子育てしている人たちのために、夜間保育を充実させるべきだと思う。
私もそうだが、何も用事がないときはできるだけ子どもと一緒にいたいわけで、夜間保育をやっているからと言って子どもを預けっぱなしにすることなどまずあり得ない。
どうしても夜の会議がある、どうしても残業しなければならない、というような時に預ける場所が必要なのだ。
保育園が24時間保育だからと言って、全ての子どもが24時間預けられるわけではないはずだ。
むしろ心配なのは、「保育園があると親が手を抜く」という理由で無理やり子どもを家庭に返すこと。
無理のある環境での子育ては虐待の温床ともなる。
精神科で患者さんを見ていて、「こんな育て方をするくらいなら、保育園に預けっぱなしにしてくれた方が良かったのではないか」と思うケースにもしばしば出会った。
夜間保育を充実させること、そして、預けっぱなしになる親がいるようなら、個別にカウンセリングすること、それが子どもを最も保護できるやり方だと思う。
こういったことに対するデータを充実させるよう、厚生省に要請。
さらに、先日調査に行った殺人保育所「スマイルマム」について厚生委員会で集中審議をすることを厚生委員会のメンバーに提案。

17時半に、TBS来訪。
代表質問についての取材。

その後、宇都宮に戻り、ビアパーティ後の労働組合1軒訪問。

■8月3日(木) 6時22分の新幹線で東京へ。
8時から、構造改革に関する勉強会。

9時から、環境部会・循環社会プロジェクトチーム。

10時から、公共事業プロジェクトチーム。
計画が中止・休止されたダムについて。

11時から、東京新聞取材。

12時半から、来週厚生委員会で質問することになった雪印問題について、調査室からレクチャーを受ける。

13時半から、パートの均等待遇女性議員の会。
「女性差別」から「パート差別」に姿を変えた間接差別について。

14時半から、フジテレビ取材。

15時から、部落解放推進委員会総会。
途中で抜け出し、同時進行中の、外交・安全保障部門会議に出席。

16時から、教育基本問題調査会。

「文責・曾野綾子」という、内閣官房の諮問機関の報告文に非難が集中する。
「日本人へ」というタイトルのその文章は、自分を神か何かと勘違いしているのか、とにかく高圧的・断定的で、傲慢な表現に満ちている。
高所から見下ろして「私たちは全てを知っている。
お前たちはバカだ」というような、とんでもない雰囲気だ。
「父親は職場の姿を、母親は家庭の姿を子どもに見せるべき」というようなくだりもあって、今時、こんな画一的な公文書があることにギョッとする。
その表現を直すつもりはないのか、と尋ねると、内閣官房の担当者は「文章には勢いというものがありまして・・・」などと言い訳をして、問題を認めようとしない。
「勢い」があれば、何を言っても許されるのか。
片親の子どももいるわけだし、父親がもっと家に帰らなければならないというこのご時世に、こんな文章を書かせるために税金が投入されたとは。
他にも、この改革案は現場から見ると何十年も遅れているという意見などが出される。

もっと言いたいことはあったが、日本の教育の今後に危機感を感じながら、中座して宇都宮へ。

駅から盆踊りに駆けつけ、全速力で走ってようやく挨拶時間に間に合った。
会場で、「国会が忙しいと庶民の声が聞こえなくなるから国会はほどほどに」などと言われて力が抜けてしまった。
確かに、国会という場は、手を抜けばほとんど仕事をしないで済む場所だと思う。
反対に、やりたい仕事・やるべき仕事がたくさんあると、いくら時間があっても足りない場所だ。
国会の活動をろくにしないで政策抜きの地元回りばかりしている議員の方が評価されるという矛盾した現実に改めて直面して複雑な気持ちになる。

■8月4日(金) 7時57分の新幹線で東京へ。
9時半に連合の副事務局長が来訪。

10時から16時半まで厚生委員会。
今日は私の質問はない。
大臣の所信に対する質問が各党の委員から出される。
最も印象的だったのは民主党の山井(やまのい)代議士の質問。
彼は私と同じ30代の一年生議員で、私が子どもたちのために政治家になったのだとすれば彼は寝たきり老人のために政治家になった人。
グループホームの充実を訴えて、著書も何冊か出している。
身体を拘束されたお年寄りのスライドを見せながら、「私はここに山井個人として来ているのではなく、全国の寝たきりのお年寄りと家族の代わりに来ているのです」「私たちは2~3年と簡単に言いますが、お年寄りはその間に死んでしまうから間に合わないのです」などと発言。
自分自身の代表質問の時もそうだったが、今日の山井さんの質問では、党派を超えてうなずいてくれた人が多かった。
国会は変わりつつある、と楽観的な印象を持った一瞬だった。
もう一つ印象的だったのは、常任委員会だと言うのに、部屋がガラガラだったこと。
自分の質問時間以外ほとんどいなかった他党議員もいた。
確かに、座っていても発言の機会があるわけでもないのだが。
やはり最低限の義務ではないだろうか。

終了後、小児の医療についての取材を受けて、17時から雪印問題について厚生省のレクチャーを受ける。

■8月5日(土) 11時半から、宇都宮女子高校の新聞部の学生さんの取材を受ける。
12時半から、宇都宮市現業組合主催の「食まつり」にパネラーとして出席。
15時から、県立美術館でのジョージグロス展友の会主催記念レセプションに出席。
挨拶後、ジョージグロス展を駆け足で回る。
その後、民主党栃木県連の事務所でボランティアの皆さんが後援会報の発送に向けて封筒詰めをしてくださっているため、顔を出す。
1万通を超える発送のため、昨日から追ったり詰めたり、ものすごい量の仕事をこなしてくださっている。
ボランティアの皆さんの協力なしには何もできない事務所であるため、本当に有り難い。

事務所で浴衣に着替えて宮まつりへ。
来賓として、他の議員や市長とともにパレードをする。
なぜ政治家がパレードをするのかよくわからないが、皆さん喜んでくださった。

パレード終了後、老人ホームの盆踊りに出席して、どんぶりに長パッチ姿に着替えて、再び宮まつりへ。
土砂降りの雨の中、市場の皆さんと共に御輿を担いだ。

その後、事務所でスタッフと事務所体制の検討。
いろいろな話が出てすっかり遅くなってしまった。

★今日の一言メモ
国会報告の読者の方から、「週刊文春の記事について訴えないのか」という記者会見での質問にどう答えたのか、という問い合わせをいただきました。

A.別姓を維持するために夫と書類上3回「離婚」していることは事実であり、見出しが扇情的で一人歩きしただけで、記事の内容に対しては訴えることは考えておりません、と答えました。
(文春の見出しは、「水島代議士『三度離婚』でも政界失楽園の船田元に勝った理由」というもの)

余談ですが、8月3日発売の週刊文春はあまりにもひどいものでした。
小宮山洋子参議院議員のことを「上に弱く下に強い」「ジコチュー」などと書いて徹底的にバッシングしています。
ご本人の温かく誠実な人柄を知っている私には耐えられない記事です。
何のためにこんな記事が書かれなければならないのでしょうか。