「怖れを手放す アティテューディナル・ヒーリング入門ワークショップ」刊行のお知らせ

このたび、新刊「怖れを手放す アティテューディナル・ヒーリング入門ワークショップ」(星和書店 税込み1785円)を刊行いたしました。

これは私の精神科医としての仕事ではなく、政治活動を通して、政治を機能させるための基盤作りとして必要なものだと痛感したために行っている活動をまとめたものです。

私の著書という形をとっていますが、実際のワークショップを収録して本の形にしたものです。巻末には、ホームページでも紹介しております、パトリシア・ロビンソンの「アティテューディナル・ヒーリングの原則の一つの定義」も収録してあります。

社会不安が高まるときには、ヒトラーの登場など、歴史的にもいろいろな悲劇が起こっております。もちろん我が国も例外ではありません。そのようなときに、一人一人が自分の心の姿勢に責任を持っていくということがとても重要だと感じて始めた活動です。修復的司法にも通じる考え方だと思っております。

以下、本書あとがきより抜粋します。

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本書は、アティテュディナル・ヒーリング・ジャパン(AHJ)の入門ワークショップを実際に収録し本の形にしたものです。私がアメリカのセンターで七ヶ月間の研修兼ボランティアをした後に日本で始めたワークショップですが、思いのほか多くの方から参加のご希望をいただき、完全なボランティア活動としてはとても対応しきれなくなってしまいました。また、地方でのワークショップの開催にも限界がありますので、「とても東京までワークショップを受けに行かれない」という方たちのお声にも十分に応えられずにまいりました。

そんな中で救いの手を差し伸べてくださったのが星和書店さんでした。「それほど好評で役に立つワークショップでしたら、収録して、どなたでも手軽に触れられるようにしたらいかがですか」というお声を、社長さん自らがかけてくださったのです。本当に嬉しくて、創始者ジェリー・ジャンポルスキーに報告しましたら、「ね、だから怖れを手放せばすべてがうまく進んでいく、と言っただろう?」と喜んでくれました。実は、すでにワークショップを経験された方たちからも、「もう一度ガイドラインや原則を復習できる本を作ってほしい」という声をたくさんいただいていたので、まさに、願いがかなったことになります。

さて、そうは言っても、ワークショップの醍醐味は、それぞれが自らのデリケートな部分をさらけ出すことによってつながりを感じる部分にあります。そんなワークショップの収録など可能なのだろうか、と疑問に思ったのですが、これも杞憂に終わりました。収録参加希望者を募ったところ、結果的にお断りしなければならないほどに多くの方からご希望をいただくことができたのです。そして、収録のカメラが回っている中でも、本当に真剣に自らをさらけ出してくださった皆さまの勇気に、「与えるこころ」の美しさを感じました。もちろん、プライバシーを守るために、一部の個人情報は変更していただくよう、お願いはしてありますが、そんな細工が何の影響ももたらさないほどに、皆さま真摯に参加してくださいました。その結果として本書ができました。

ワークショップの雰囲気をよりよくわかっていただくために、DVDも同時に制作しております。DVDは2009年2月に発売予定ですので、そちらもぜひご参考にしていただければと思います。

ちなみに、私の本職(?)は精神科医です。社会基盤を整えれば人の心がもっと健康になるのではないかと考えて国会議員になったこともあります。もちろん、病気を治療するためには医療が必要ですし、社会生活を維持していくためにはいろいろな制度も必要です。でも、それらを支える一番の根底に、アティテューディナル・ヒーリングの考え方が根づけば、何をするにもつきものの「怖れ」を違った角度から眺めることができますし、病気を持とうと、社会的に困窮しようと、人生をとらえるまったく別の選択肢があるのだということに気づくことができると信じています。

本書の応用範囲は広いと思います。お一人でかみしめて読んでいただいても良いし、お仲間と勉強会を開いていただいても良いと思います。読者の皆さまが実際にワークショップに参加しているような気持ちになっていただければ何よりです。

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改めて、収録用ワークショップに参加してくださった皆さま、ここまでの活動にご協力くださった皆さまに感謝申し上げます。

これを機に、より多くの皆さまがアティテューディナル・ヒーリングに触れてくださることを祈っております。

なお、10冊以上ご購入の方は info@mizu.cx までご連絡ください。

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オレンジページ「女性の心とストレスケア」監修、有料メルマガ廃刊のお知らせ

★ オレンジページムック「女性の心とストレスケア」(2008年11月17日発売)、以前からのご縁でまた前半部分を監修させていただきました。結婚や育児などライフスタイルの変化やホルモンの影響で、女性の心は不安定になりやすく、ときには病気につながることも。気になる心の病気について症状別に詳しく解説するほか、そうなる前に自分でできるストレス解消法、考え方のコツも満載の一冊です。オレンジページの方はとても元気が良く、以前から一緒に仕事をさせていただいて元気をいただいています。
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http://www.amazon.co.jp/gp/product/4873036011?ie=UTF8&tag=mizucx-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4873036011

★ 有料メールマガジン「こころの健康便」は、2年あまりご愛読いただいてまいりましたが、間もなく星和書店からアティテューディナル・ヒーリングのワークショップを実録した本とDVDも出していただけることになりましたので、12月末でメールマガジンとしての役割をいったん終えたいと思います。バックナンバー等ご希望の方は、12月末までしか入手できませんので、よろしくお願いいたします。(この無料メールマガジンは続きます。引き続きよろしくお願いいたします)

「探すのをやめたとき愛は見つかる – 人生を美しく変える四つの質問」が神田昌典氏の推薦を受けました

私が米国の刑務所で行っていた活動を訳した「探すのをやめたとき愛はみつかる―人生を美しく変える四つの質問」ですが、神田昌典さんが(ダイヤモンド社)で、「この本だけは絶対読もう! 究極の10冊」の1冊として挙げてくださっています。

私も神田さんと同じ意見で、ビジネス書としても役に立つ本だと思います。

アティテューディナル・ヒーリングの本

私の親友である米国精神科医ジェラルド・ジャンポルスキーが1979年に書いた国際的ベストセラー「愛とは、怖れを手ばなすこと」が、本田健さんの翻訳によって文庫化されて再出版されました(今まで単行本で出版されていたものは「愛と怖れ」というタイトルでしたが、今回の方が原題の直訳になります)。私も解説を書かせていただいています。アティテューディナル・ヒーリングの考え方がわかりやすい良書だと思いますので、ぜひご一読ください。私の方でも、アティテューディナル・ヒーリングのワークショップをご紹介する書籍の準備中です。

愛とは、怖れを手ばなすこと―今をよりよく生きるために(サンマーク文庫)
ジェラルド・G・ジャンポルスキー 著
本田健 訳

570円(税込)

TOKYO FM(ラジオ)に出演します

FM放送で、「ストレス社会にまけない心のあり方」というテーマで、うつ病について話します。お聞きになれる方はどうぞ。

■番組名:  TOKYO FM Heart Sharing (http://www.tfm.co.jp/hs)

■放送日時: 6月22日(日)6:00~7:00
       (私が出るコーナーは6:10頃~です)

新刊のお知らせ  「うつ」が楽になるノート

新刊のご案内です。
自分で書き込みながら体験できる対人関係療法の本です。
うつ病の方、対人関係にストレスを感じておられる方にお勧めです。

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「うつ」が楽になるノート―みんなの対人関係療法 

定価 1365円(税込)

出版社 PHP研究所

著者 水島広子

解説(PHP研究所ホームページより)

うつは国民病といわれています。やる気が出ない、気持ちが落ち込んでいる……どうにもならない自分の気持ちを素直に見つめる訓練をしてみませんか?

 現代社会のストレスの多くは人間関係が原因だと言われています。この本で紹介する『対人関係療法』は、人間関係のストレスに対処する方法を学ぶことで、『うつ病』を治していく療法です。うつ病でなくても対人関係のストレスを感じているかたに活用できるヒントがたくさんあります。人との関係はストレスだけをもたらすものではなく、こころを癒す強い効果があることにも気づかせくれます。このノートを書きすすめていくうちに、人と向き合う前に自分のなかで整理しておいたほうがよいことをたくさん発見し、整理のコツをつかむ事ができ、いつのまにかこころが軽くなるでしょう。

 人が今よりもずっと好きになる自己練習帳。

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3月21日(ちょうど私の誕生日ですが)くらいから書店で入手可能とのことです。

アマゾンでも予約販売を開始しています。

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皆さまの心の健康のお役に立てば幸いです。

専門家向け訳書出版のお知らせ

対人関係療法の専門書が品切れになってお問い合わせを多数いただいてまいりましたが、ようやくこのたび「臨床家のための対人関係療法クイックガイド」を翻訳出版することができました。原書も2007年に出版された最新版です。実用性を重視して言い回しの例も多数載っています。専門家の方にはお勧めの一冊です。

さらに、完全版マニュアル「対人関係療法総合ガイド」の訳書を今年後半に岩崎学術出版社より出版予定です。

臨床家のための対人関係療法クイックガイド

マーナ・M・ワイスマン他 著
水島広子 訳

創元社 3150円(税込)

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新刊のご案内

10月22日に、紀伊國屋書店から新刊が刊行されます。

「拒食症・過食症を対人関係療法で治す」 定価1,680円

2001年にPHP新書から出版した「『やせ願望』の精神病理 ~ 摂食障害からのメッセージ」を改訂したものです。
摂食障害という病気は、心の病を考える上での教科書のようにわかりやすい病気だと思っておりますので、摂食障害の関係者はもちろんのこと、心の健康にご関心のある方にお勧めいたします。

(以下、紀伊國屋書店ホームページより)

専門医が教える摂食障害の「新しい常識」
過食嘔吐はがまんしなくていい。「すぐに」「完璧に」治そうとするから治らない。日本では数少ない摂食障害の専門医が教える「新しい常識」。多くの誤解と偏見を正し、患者とその家族に治療のための正しい知識を提供する。「最も身近な他者」との関係を改善することでうつ病や摂食障害の治療に効果をあげ、欧米で標準的な治療法である「対人関係療法」を紹介。

参院選・新刊ご案内

今回の参院選は、まるで2005年の郵政総選挙をそのまま裏返したような、似通った選挙だったと思います。

この結果を単なる「不満のはけ口」「自民党へのお灸」として終わらせるか、新たな時代の始まりにするかは、今後の民主党の賢さにかかってくるでしょう。破壊ではなく創造としての新しい政治文化を示してもらいたいと思います。

ただし、政治文化は国民の文化を反映するものです。不満の振り子に揺られるだけでない、地に足の着いた人が増えていかなければならないと思っています。

そんな考えから、ちょっと異色ですが、訳書を出版しました。米国在住中にご報告したことがありますが、私がカリフォルニアの男子刑務所でボランティアとして行っていたワークを紹介したものです。自分が不愉快に思うのは「人のせい」ではない、ということを知ることの心地よさ・豊かさを教えてくれるワークです。「自民党のせいでこうなった」「民主党のせいでこうなった」という不満が原動力である限り、政治はどんどん破壊的になっていくと思います。自分の感じ方に責任を持つと、他人との豊かな連携が可能になります。そんなことをご紹介したくて訳した本ですので、ぜひご一読ください。

もちろん、本の趣旨どおり、愛や承認を求めて苦しんでいる人にも、とても役に立つ本です。

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探すのをやめたとき愛は見つかる ―― 人生を美しく変える四つの質問

バイロン・ケイティ著  水島広子訳

創元社   2310円(税込)
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選択的夫婦別姓の討論をして

5月24日に、ビデオニュース・ドットコム(ビデオニュース・ドットコムについては、末尾の*をご参照ください)のお招きで、久しぶりに選択的夫婦別姓についての討論をしました。

討論の相手は、埼玉大学教養学部教授の長谷川三千子さんでした。
ビデオニュースの方たちは、選択的別姓に反対している現職国会議員に出演依頼をしていたそうですが、皆さん辞退されたそうです。
政治家が自らの主張を訴える機会を辞退するとは不思議な話です。選択的別姓に反対などしていると、選挙に悪影響を及ぼす時代になってきたのでしょうか。
その結果として、私は哲学者の方と討論することになったのでした。

そうは言っても、賛成派・反対派が一対一でじっくりと討論したことは今までほとんど例がないそうで、それはそれで貴重な討論だったようです。

長谷川さんの主張は、「夫婦別姓制度」(儒教国にあった制度。生まれたときの父の姓を一生名乗る制度)と、「夫婦同氏制度」(現在の日本の制度。婚姻中の夫婦が同じ氏を名乗る制度)を選択できるようにするという考え方が混乱している、というもので、現実に生きる人間としてはそれのどこが問題なのか、ついによくわかりませんでした。
また、「結婚生活というのは、いろいろな我慢の連続なのに、どうしてたかだか苗字のことが我慢できないのか」という疑問も呈されていました。(これについては、「たかだか苗字」と思うのは長谷川さんの価値観であり、万人の価値観ではないということをお伝えしておきました)
討論の中では、哲学者と精神科医の違いでしょうか、ということになりました。つまり、「ものごとはかくあるべき」ということを論じる哲学者である長谷川さんと、一人ひとりがどのように悩んでいるかということに注目する精神科医との視点の違いなのかもしれません。そして、私は政治は後者の視点からなされるものであってほしいと思っており、長谷川さんは反対なのでしょう。

選択的夫婦別姓の議論は、ずっと、この2つの立場の対立だったと思います。

そして、私が人の「怖れ」に強い関心を抱くようになったのも、そこに原点があります。他人の自由を奪うことを正当化するほどの強い「怖れ」は、どうすれば解消することができるのだろうか、ということを考えるようになったのです。

「ものごとはかくあるべき」という考え方も、「怖れ」のひとつの形です。「~すべき」「~あるべき」という考え方が、どれほど心の平和を奪うか、ということは驚くほどです。その結果として、奪われるのは心の平和だけではなく、実際に社会の平和まで奪われてしまいます。
現実を現実として受け入れた上で、理解し、共感し、解決できることはしていく、という姿勢を妨げるのが、まさにその「怖れ」なのです。

今回の討論で意味があったと思ったのは、長谷川さんが私の家族観などをよく聞いてくださり、「水島さんのような考えでやっていらっしゃるのなら、それは立派な夫婦よ」と言ってくださったことです。歪曲された宣伝の影響もあるのでしょうが、別姓夫婦というのは「単なるわがままな人たち」だと思っておられたようです。「怖れ」を手放す第一歩は、相手への理解であり共感であるわけですから、こういうプロセスを積み重ねることも必要なのだろうと改めて思いました。

長谷川さんも、「皆さん、長谷川三千子と討論と聞くと辞退する方が多いけれど、今日は水島さんとちゃんとお話ができて良かったわ」と喜んでおられました。

それにしても、別姓どころか新しい姓を作ることも珍しくないカリフォルニアに住んでいた期間を経て、日本はまだこんなところでウロウロしているのだなあ、と改めて実感しました。
討論の中でも言いましたが、「結婚すること」と「どちらかが姓を変えること」が不可分なものになってしまっている日本の現状は、結婚のあり方を歪めていると思います。

先日も党首討論についての感想を北海道新聞に取材されましたが、そのときに、「家族の価値というのは、法律で決めたから実感されるものではない。それよりも、家族で夕食がとれるような労働状況になっているか、というような観点から考えるのが政治の仕事。実際に価値のある家庭であれば、子どもは家族の価値を尊重するようになる」という話をしましたが、別姓の議論についても全く同じことを感じています。

収録したものは現在インターネット上で見られます。

http://www.videonews.com/

政策討論クロストーク 第3回(2007年05月24日)
選択的夫婦別姓の是非を問う
賛成派:水島広子氏(精神科医・前衆議院議員)
反対派:長谷川三千子氏(埼玉大学教養学部教授)

* ビデオニュース・ドットコムは、日本人ビデオジャーナリストの草分けとしてテレビ朝日ニュースステーションやTBSニュース23などで精力的なジャーナリスト活動を行ってきた神保哲生氏が、「日本にも広告に依存しない独立系の民間放送局が必要」との考えのもとで1999年11月に立ち上げた日本初のニュース専門のインターネット放送局です。このため、有料会員制をとっているそうです。月会費500円ですべての番組が見られるというの魅力的ですが、会員登録をしなくても冒頭部分は見られるようです。