父親・息子関係の癒しの本を翻訳しました

このたび、私がボランティアで活動しているアティテューディナル・ヒーリング創始者のジェリー・ジャンポルスキー親子の著書を翻訳して出版しました。

この本は、父親・息子関係のスピリチュアルな癒しの本なのですが、そのテーマが時代の先を行っているせいか(?)、版元が見つからず、変則的な刊行となりました。

一般書店では購入できず、アマゾンと版元直販のみです。(アマゾンは送料が無料になりますのでお勧めです。)
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父親と息子の関係を癒す─すべての男性と女性のために
ジェラルド・G・ジャンポルスキー、リー・L・ジャンポルスキー著
水島広子訳

1575円(税込)

以下に、私が書きました「訳者まえがき」の一部をご紹介します。
父親・息子関係にとどまらず、その他の親子関係、男女関係など、いろいろな観点からも興味深い本です。
ご関心のある方はぜひご一読ください。

===(訳者まえがきより)

この本は、精神科医であり元アルコール依存患者であるジェリー(ジェラルド = G)= ジャンポルスキーと、その息子、臨床心理士であり元薬物依存患者であるリーによって書かれています。
本書が刊行される2010年2月11日に85歳になるジェリーは私の親友ですが、アルコールに依存していた50歳のときに、スピリチュアルな道に目覚め、アティテューディナル・ヒーリング(AH)の活動を始めました。
今では、心の平和を唯一の目的とする人生に専心しています。
でも、二人の息子たちは、ジェリーがアルコールと仕事に依存し、夫婦仲を悪化させ、離婚へと至る中で成長しました。
そこで傷ついた親子関係がどのように癒されたのかを示す貴重な記録が本書です。
本書は、ジェリーが71歳のときに刊行されています。

この本の日本語訳を出版することは容易ではありませんでした。
おそらく、時代を先取りしすぎている本なのだと思います。
「父親・息子関係を癒す」というテーマも、親子関係の癒しをスピリチュアルな観点から見てみようとすることも、今の日本ではまだまだ「必要なこと」だとは思われないのでしょう。
実際に、出版の可能性を探る中で、そのような意見に直面してきました。

でも、父親と息子の関係というテーマにおいて、当事者である男性がこれほどまでに本音を述べた本を私は見たことがありません。
そして、ジェリーもリーも私が直接知っている人たちで、この本に書かれていることが決して「きれいごと」でないということを私自身が知っています。

この本が貴重だと思う理由は、大きく二つあります。

一つは、親子関係の癒しという観点からです。
不適切な育児によって傷つけられた人たちに対しては、様々な対処法が提案されてきました。
その両極端にあるのが、「よく話し合えばきっと理解し合えて仲よくなれる」というものと、「不適切な親とは断絶しない限り幸せになれない」というものだと思います。
私はいずれにも違和感を覚えます。
もちろん、どちらかの方法がそれなりにうまくいく人もいると思います。
でも、話し合おうにも親がすでにいないこともあれば、薬物依存などを抱えていてとても話にならないような親もいるでしょう。
また、親との間に物理的な断絶は可能でも、精神的な断絶などあり得ないと思います。
親を切り離そうとした多くの人が、結局は罪悪感と寂しさを抱え続けるのを私は多く見てきました。
そして、往々にして、親の代わりとなる依存対象を求め続けるのです。

ジェリーが創始したアティテューディナル・ヒーリング(AH)では、相手を変えようとはしません。
その中にこそ本当の癒しがあるということの一つの実例が、本書の内容だと思います。
相手との関係性の中で傷ついた心を、相手を変えようとせずにどう癒すのか。
本書が本質的に示そうとしているのはそのことだと思います。

もう一つ、本書が持っている価値は、「男性」というテーマです。
男性が自分自身についてより多くに気づくのもすばらしいことでしょうし、男性についてよりよく知ることが、男女間の断絶を解消することに貢献するのではないかと思います。
女性にとっては一見とても理解できない男性の言動に対して、人間としてのつながりを感じることができれば、相手への見方がガラリと変わるでしょう。