国会議員の仕事と子育ての両立問題

 今回の選挙もまた、私にとってはデマとの戦いでした。今回も、膨大な量のデマが流され、今頃になってもまだ、「そんなデマも流れていたのか」と驚かされる毎日です。

 圧倒的なデマにまだまだ負けてしまうのは、それを信じてしまう人たちの問題でもありますが、それ以上に、長年築き上げられてきた自民党ネットワークが地域のネットワークと一体化しているということだと思います。
 
 今回もまた、デマの多くは荒唐無稽で笑ってしまうしかないような内容でしたが、一つだけ、論評に値するものがありましたので、少々書かせていただきたいと思います。

 それは、デマの主役であった、「水島は宇都宮に住んでいない」というものでした。「あの人はもともと東京の人で、家族も東京に帰ってしまって、本人も宇都宮には住んでいない」というデマは、選挙区の隅々まで見事に浸透していました。

 もちろんこれは基本的には嘘であり、私の自宅は宇都宮にありましたし、国会で議員宿舎にいるとき以外はもちろん自宅で生活しておりました。
 ただ、このデマにはそれなりの根拠があって、それは、子どもの学校問題なのです。

 このデマを加速させた背景には、私の長女が宇都宮の学校に行っていない、ということがありました。「もともと東京の人だから宇都宮の教育レベルに満足していないのではないか」などと言っていた人が多かったようですが、もちろんそんなことではありません。ことの本質は、「国会議員の仕事と子育ての両立問題」にありました。

 国会で、フルに立法活動をしようとすると、どうしても開会日は議員宿舎に泊まる必要が出てきます。国会での仕事をきちんとしている多くの議員が、平日は議員宿舎暮らしをしています。

 議員が子育て中の場合、子どもはどこにいるのかと言うと、これは人それぞれですが、親の滞在時間の長い議員宿舎近くの学校に行っているというケース、子どもは地元の学校に行っているというケースに分かれ、印象としては前者の方が多いのではないかと思います。

 どちらも一長一短がありますが、親子の時間を多く持とうとすると、やはり子どもの学校は議員宿舎の近くにした方が良いということになります。

 私の場合は、子どもとの時間を最大限に確保することと、「落下傘候補」として地元での時間をできる限り確保すること、という二つの大きな課題がありましたし、また、落下傘候補ですから地元に実家があるわけでもなく、夫と二人で子育てを全て担っていましたので、他の議員よりもさらに工夫が必要でした。

これは私しかやっていなかったパターンではないかと思いますが、金曜の夜に家族そろって宇都宮の自宅に戻り、また、週末を終えると家族そろって東京に出てくる、ということを続けていたわけです。子どもが保育園のときには、無認可保育所を活用して、水・木・金は東京の保育所、月・火・土は宇都宮の保育園、という二重保育をしていましたが、さすがに学校は2か所というわけにはいきませんから、議員宿舎近くの公立小学校に子どもを入学させ、土・日は親子そろって宇都宮で生活する、ということを続けてきたのです。

 今回、「宇都宮に住んでいない」というデマがこれほど浸透したことは、家族に負担をかけながらも二重生活を続けてきた身としては残念の一言に尽きますが、国会での仕事に重きを置く議員が増えてきたこと、子育て世代の議員が増えてきたこと、を考えると、実はこれからの大きなテーマがそこにあるのではないかと思っています。

 国会は男女共同参画が最も遅れている領域の一つですから、今頃になってようやく「仕事と子育ての両立」がテーマになってきたということだと思いますが、国会議員こそ、自分の子育てには責任を果たす必要があると私は思っていますので、両立の文化がきちんと作られていくことを期待しています。