本日、民主党の「児童虐待防止法改正作業チーム」の会議に呼ばれて、議員会館に行ってきました。2004年の改正のときの民主党の責任者として、経緯の説明などを行うためです。
今回の改正では、前回「附則」に書き込み積み残しとなっていること、つまり親権の柔軟で多様な制限のあり方をはじめ、どうやって司法を全体的な仕組みにかませるか、ということが課題となります。前回改正時には法務省側も全く準備ができていなかったので、附則に書き込む形で3年間の準備期間を与えたということになっています。まだまだ親権の調整係のような役割しか果たしていない家庭裁判所に、子どもの権利を守る番人としての本質的な機能を果たしてもらいたいというのが私のかねてからの希望です。
児童虐待防止法は、もともと超党派の枠組みで、青少年問題特別委員会を舞台に作られ改正されてきたものです。この枠組みのおかげで、前回改正時も、司法の部分を除いては私たちの主張をほとんど組み入れることができました。司法の部分が実現しなかったのは、与党の反対によるものではなく、法務省の反対によるものでした。今回も、青少年問題特別委員会の委員長が民主党の小宮山洋子さんですから、ぜひ与野党が一丸となって司法の関与を勝ち取っていただきたいと思います。
ただ、私が気になってならないのは、現場が全然改善されていないということです。2004年改正のときに、国や地方公共団体の責務を規定する形で、現場の人員配置を増やしたり、大規模施設を解消したりするために必要な条文はほとんど書いたはずです。それなのに、現実には法律で規定されたことが守られていないのです。
今回の審議では、法改正そのものよりも、現行法すら守られていない行政の怠慢をしっかりと明るみに出してほしいと思っています。そうしなければ、法律を作ることの意味がなくなってしまいます。国会の役割は、立法と同時に、行政を監視することも含まれます。特に今回は後者が重要だと思っています。
もう一つ、今日の会議で話したのは、警察権のことです。2004年の法改正のときから、これが一つの大きな焦点になっています。虐待されている可能性のある子どもを救うために、どれだけのフリーハンドを警察に与えるか、ということです。マスコミの論調などで、「警察がすぐに立ち入れないようではだめだ」というふうに(国会議員も含めて)多くの人が思い込まされています。
もちろん、子どもの安全を一刻も早く確保することは重要です。そのための知恵を、私たちも2004年時にずいぶん考えて法務省に提案してきました。そのことの重要性を軽視するつもりは全くありません。
ただ、だから警察にフリーハンドを与える、ということになると、それは全く別の問題だと思います。警察権を独立させないということは、民主主義国家の立法府に課せられた最も根本的な使命の一つだと私は思っています。戦前・戦中から学ぶべきことは、戦争の悲惨さとともに、警察権が独立した場合に何が起こるか、ということです。
現行法でも、明らかな暴力が起こっている、あるいは、差し迫っている、という場合には、警察官職務執行法により警察は立ち入ることができます。そうでないケースで、子どもの安全確認が必要だというときには、司法の許可を得て立ち入るという民主主義的な仕組みを作ることが何よりも重要です。