摂食障害の本を出版しました

「不安」をキーワードに、摂食障害の治療の本を刊行しましたのでお知らせします。

治療者向けの本ですが、一般の方にも読んでいただけるように書いたつもりです。

摂食障害のことはよくわからなくても不安に関心がある方、あるいは「病気を持つということ」に関心がある方にはおもしろいかもしれません。

お役に立てば幸いです。

摂食障害の不安に向き合う ― 対人関係療法によるアプローチ
岩崎学術出版社
2100円(税込)

アマゾンでも予約販売が始まっています。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4753310019?ie=UTF8&tag=mizucx-22&linkCode=xm2&camp=247&creativeASIN=4753310019

「はじめに」より抜粋

 患者の不安によく注目するようになってみると、そもそも拒食症の発症プロセスそのものがPTSDと同様の構造を持っていることが多く、実際の治療ではPTSDの治療と同じようなプロセスを踏んでいくことに気づくようになった。

 ジュディス・ハーマンは、心的外傷の中核を「無力化 と他者からの離断」だと言っている。「無力化」も、それまでの自分の有力感からの離断であると考えれば、PTSDの中核的特徴は「離断」にあると言える。それまでの自分からの離断、周囲からの離断、人生からの離断が患者を苦しめる。そして、有効な治療においては、つながりの回復が必ず起こるものである。私が拒食症の治療で行うことは、成長という土台の上でのつながりの回復であり、実質的にはPTSDの治療における作業とまさに同じである。

 ところが、すでにPTSDと同じような状態にある拒食症患者に対して、さらなるトラウマを与えるような治療が当然のように行われていることについて、私は強い懸念を抱いている。PTSDを少しでも勉強している治療者であれば、PTSDの患者に対してA子が受けたような治療的介入をすることは考えられないだろう。それがどれほど危険で有害なことか、理解できるからだ。拒食症は強迫性障害やPTSDのように不安障害として分類した方がよほど現実の治療に即していると私は思うが、学術的な分類はさておいても、拒食症を摂食障害としてではなくPTSD様の障害として見ることによって、より多くの治療者が適切な治療を行えるようになることを願っている。

 本書では、摂食障害の治療の実際を、特に「不安」に注目して描いていきたいと思う。摂食障害の治療をするときには、特に拒食症については、治療者の仕事は「安心の提供」であって、体重を増やすことや症状をなくすことではない、という認識を持つくらいがちょうどよい(患者がよく治る)と私は思っている。病気についての心理教育をきちんとしていくことも、対人関係療法という特定の治療法を用いていくことも、すべては安心の提供を目的としたものであるという位置づけをはっきりさせると、治療が大変すっきりと整理されて効率的になる。治療者にとっても確かな指針になるので、治療も安定する。この前提には、安心することによって摂食障害は治っていくという仮説があるわけだが、私の今までの経験からは、それが正しいと考えている。制限型の拒食症患者の中には、安心しただけで治っていく人も実際に存在する。安心しただけでは不十分で、体重を増やすための行動療法的な取り組みが必要になる人もいるが、それも、安心の上に初めて成立することである。安心の中に「治りたい」という願望は生まれ、安心から生まれた余裕の中に「少しずつ行動を変えてみよう」という勇気が生まれる。したがって、拒食症患者にとって、安心することは、必要十分条件である場合もあるし、少なくとも必要条件であると言って過言ではないと思う。

父親・息子関係の癒しの本を翻訳しました

このたび、私がボランティアで活動しているアティテューディナル・ヒーリング創始者のジェリー・ジャンポルスキー親子の著書を翻訳して出版しました。

この本は、父親・息子関係のスピリチュアルな癒しの本なのですが、そのテーマが時代の先を行っているせいか(?)、版元が見つからず、変則的な刊行となりました。

一般書店では購入できず、アマゾンと版元直販のみです。(アマゾンは送料が無料になりますのでお勧めです。)
5冊以上お申し込みの方は割引手配いたしますので info@mizu.cx までご連絡ください。

アマゾンで購入する

父親と息子の関係を癒す─すべての男性と女性のために
ジェラルド・G・ジャンポルスキー、リー・L・ジャンポルスキー著
水島広子訳

1575円(税込)

以下に、私が書きました「訳者まえがき」の一部をご紹介します。
父親・息子関係にとどまらず、その他の親子関係、男女関係など、いろいろな観点からも興味深い本です。
ご関心のある方はぜひご一読ください。

===(訳者まえがきより)

この本は、精神科医であり元アルコール依存患者であるジェリー(ジェラルド = G)= ジャンポルスキーと、その息子、臨床心理士であり元薬物依存患者であるリーによって書かれています。
本書が刊行される2010年2月11日に85歳になるジェリーは私の親友ですが、アルコールに依存していた50歳のときに、スピリチュアルな道に目覚め、アティテューディナル・ヒーリング(AH)の活動を始めました。
今では、心の平和を唯一の目的とする人生に専心しています。
でも、二人の息子たちは、ジェリーがアルコールと仕事に依存し、夫婦仲を悪化させ、離婚へと至る中で成長しました。
そこで傷ついた親子関係がどのように癒されたのかを示す貴重な記録が本書です。
本書は、ジェリーが71歳のときに刊行されています。

この本の日本語訳を出版することは容易ではありませんでした。
おそらく、時代を先取りしすぎている本なのだと思います。
「父親・息子関係を癒す」というテーマも、親子関係の癒しをスピリチュアルな観点から見てみようとすることも、今の日本ではまだまだ「必要なこと」だとは思われないのでしょう。
実際に、出版の可能性を探る中で、そのような意見に直面してきました。

でも、父親と息子の関係というテーマにおいて、当事者である男性がこれほどまでに本音を述べた本を私は見たことがありません。
そして、ジェリーもリーも私が直接知っている人たちで、この本に書かれていることが決して「きれいごと」でないということを私自身が知っています。

この本が貴重だと思う理由は、大きく二つあります。

一つは、親子関係の癒しという観点からです。
不適切な育児によって傷つけられた人たちに対しては、様々な対処法が提案されてきました。
その両極端にあるのが、「よく話し合えばきっと理解し合えて仲よくなれる」というものと、「不適切な親とは断絶しない限り幸せになれない」というものだと思います。
私はいずれにも違和感を覚えます。
もちろん、どちらかの方法がそれなりにうまくいく人もいると思います。
でも、話し合おうにも親がすでにいないこともあれば、薬物依存などを抱えていてとても話にならないような親もいるでしょう。
また、親との間に物理的な断絶は可能でも、精神的な断絶などあり得ないと思います。
親を切り離そうとした多くの人が、結局は罪悪感と寂しさを抱え続けるのを私は多く見てきました。
そして、往々にして、親の代わりとなる依存対象を求め続けるのです。

ジェリーが創始したアティテューディナル・ヒーリング(AH)では、相手を変えようとはしません。
その中にこそ本当の癒しがあるということの一つの実例が、本書の内容だと思います。
相手との関係性の中で傷ついた心を、相手を変えようとせずにどう癒すのか。
本書が本質的に示そうとしているのはそのことだと思います。

もう一つ、本書が持っている価値は、「男性」というテーマです。
男性が自分自身についてより多くに気づくのもすばらしいことでしょうし、男性についてよりよく知ることが、男女間の断絶を解消することに貢献するのではないかと思います。
女性にとっては一見とても理解できない男性の言動に対して、人間としてのつながりを感じることができれば、相手への見方がガラリと変わるでしょう。

CS放送出演のお知らせ

2月6日(土)11:00~13:00、朝日ニュースター(CS放送)の「愛川欽也パックイン・ジャーナル」にコメンテーターとして出演する予定です。

テーマは

(1)検察小沢氏不起訴に
(2)取り調べ可視化法案、民主なぜ弱腰
(3)高速道路無料化はガラガラ高速道路
(4)日中歴史共同研究発表の意味
(5)トヨタ車回収、その影響は・・・

CS放送をご覧になれる環境の方は、ぜひご覧くださいませ。

花巻でAHのワークショップを行います(2010年3月6日)

2010年3月6日に花巻でアティテューディナル・ヒーリング入門ワークショップを行います。
今年は「地方でもできるAH」を目標に活動しておりますが、東北地方の第一弾です。

マクロビオティック カフェのSobe’s Cafeというすてきな場所で行われます。
オーナーの畠山さゆりさんがAHファシリテーターになってくださいましたので、今後は現地でAHグループも開いていただける予定です。

入門ワークショップの詳細は

http://sobe.jp/cafe/pdf/AH.pdf

へどうぞ。

新刊のご案内

このたび、新刊「『拒食症』と『過食症』の正しい治し方と知識」が刊行されましたのでお知らせします。

摂食障害について、新しく役に立つ知識をざっと得て、治り方のイメージをつかみたい方にお勧めです。

焦らなくてもいい! 拒食症・過食症の正しい治し方と知識

日東書院本社

1365円(税込)

アマゾンで購入される方は

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4528016885?ie=UTF8&tag=mizucx-22&linkCode=xm2&camp=247&creativeASIN=4528016885

思春期保健講演会のお知らせ(東京都八王子市関係の方限定)(2010年3月8日)

八王子市保健所の企画で講演をします。
対象が市民および八王子で子どもに関わる仕事をしている人に限定されていますので、ご注意ください。

以下、主催者からのお知らせです。

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平成21年度 思春期保健講演会

~親子のコミュニケーションを見直そう~

子どもたちがキレるのはなぜでしょう?性格?環境?親子のコミュニケーション不全が子どもをキレやすくしているといわれています。自尊心を育てるコミュニケーションとはどんなものでしょう?最近子どもの態度が気になる方、思春期真っ只中で手を焼いている方、将来の反抗期に向けて準備段階の方、ぜひいっしょに親子の会話のポイントを学びませんか。

日時 平成22年3月8日(月曜日)午後2時から4時まで
会場 八王子市クリエイトホール 5階 ホール
講師 水島 広子氏
水島広子こころの健康クリニック院長
慶応義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)
著書「親子不全<キレない>子どもの育て方」(講談社現代新書)
       「拒食症・過食症を対人関係療法で治す」(紀伊国屋書店)など

対象 市内の小学生・中学生の保護者、子どもに関わるお仕事をされている方等
定員 170名

<申し込み・問い合わせ先>
八王子市保健所 保健対策課
地域保健担当      
八王子市旭町13-18
TEL 042-645-5111

講演・対人援助職者セミナーのお知らせ(北九州)(2010年2月21日)

北九州にて、対人援助職の方向けの講演を行いますので、お知らせします。

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2009 年度 対人援助職者セミナー ~うつ、摂食障害、PTSD・・・ 思春期以降の心の問題と対人関係療法を用いた取り組みについて~

日時 : 2010年 2月21日(日) 13:30~15:40

場所 : 北九州市立男女共同参画センタ“ムーブ” 5 階 小セミナールーム

対象 : 対象:対人援助職者

定員 : 50名  (申し込み先着順)

託児 : あり(6 ヵ月以上就学前まで 要予約)

【お問い合せ】

北九州市男女共同参画センター“ムーブ”
〒803-0814  北九州市小倉北区大手町11-4  
TEL 093-583-5197

【申し込み】

電話、FAXもしくはHPのメールで
①住所
②氏名
③職種
④年齢
⑤電話番号
⑥HPからの申し込みの場合はメールアドレス
⑧託児希望の場合はお子さんの名前と年齢 

電話・FAX:093-583-5197

H P: http://www.kitakyu-move.jp/

新刊のご案内

アティテューディナル・ヒーリング(AH)を紹介する本の第二弾が刊行されましたのでお知らせします。

前作「怖れを手放す」はAH入門でしたが、新刊「続・怖れを手放す」は、仕事とAH、対人援助とAHなどがテーマです。
燃え尽き防止などにもお役立ていただける内容だと思います。

AHの創始者ジェリー・ジャンポルスキーのコメントも満載されています。

本そのものは、以前収録した生のトレーニングをベースに作られていますので、参加者の皆さまとの共同作品です。

先日北海道大学で「政治とAH」というようなお話をしましたが、好評でした。
社会をAHで考えていく活動をさらに続けたいと思っています。

続・怖れを手放す アティテューディナル・ヒーリング入門ワークショップ〈ボランティア・トレーニング編〉

星和書店

1890円(税込)

アマゾンで購入される方は

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4791107284?ie=UTF8&tag=mizucx-22&linkCode=xm2&camp=247&creativeASIN=4791107284

10冊以上購入される方は割引できますので info@mizu.cx までご連絡ください。

CS放送出演のお知らせ

11月14日(土)11:00~13:00、朝日ニュースター(CS放送)の「愛川欽也パックイン・ジャーナル」にコメンテーターとして出演する予定です。

テーマは
「今までの税金の使い方検査が事業仕分け」
「オバマ初来日と鳩山政権」
「天皇即位20年『心配なのは歴史が忘れられること』」
「米元長官 自公政権が『核の傘』縮小心配と・・・それをどう見る」
「守秘義務と警察捜査」
の予定です。

CS放送をご覧になれる環境の方は、ぜひご覧くださいませ。