現代の世相とアティテューディナル・ヒーリング

アティテューディナル・ヒーリングのワークショップを日本で始めて7か月が経過しました。

この間、実に様々な立場の方がワークショップにご参加くださいました。

医師、看護師、臨床心理士、ソーシャルワーカーの方。
学校の先生、スクールカウンセラーの方。
保育士、児童養護施設で働く方。
様々なメディアで働く方。
お子さんの問題で悩んでおられる親御さん。
子どもの頃に受けた虐待の被害や、大人になってから受けたセクハラの被害などに今も苦しむ方。
普通に働きながら、より癒された人生を求める方。
その他、本当にいろいろな方がご参加くださり、実に豊かな空間を広げてきてくださいました。

毎月1回の入門者用ワークショップはとても多くのお申し込みをいただくので6月から月2回に増やしますが、ますます多くの方が申し込んでくださっています。

子ども向けのプログラムも近々始める計画でおります。

ファシリテーター・トレーニングもすでに2回終え、そこで学ばれた方がこの4月から北海道に拠点を作ってくださいました。7月には私も北海道にうかがってワークショップを行う予定ですので、北海道の方はぜひご参加ください。どなたでもご参加いただけます。末尾にご案内を掲載いたします。

北海道を皮切りに、全国各地にアティテューディナル・ヒーリングの拠点を作っていきたいと思っています。

私がせっせとアティテューディナル・ヒーリングの普及に努めているのは、今の世相とも深い関係があります。

ここのところ最低投票率の定めもない国民投票法が成立したり、大変きな臭い世の中になってきたと思っています。好景気などと惑わされている足元では、過労自殺が激増しています。いろいろな意味で世の中が快方に向かっていないのは明らかであるどころか、かなり深刻な懸念があります。

こういうときに、絶望するのは簡単です。
現に、「日本はもうだめだ」「日本人は思考停止に陥っている」などと絶望している人たちがたくさんいます。
その人たちの気持ちもよくわかります。

でも、「もうだめだ」と絶望すると、私たちは絶望という集合意識作りに加担することになります。
絶望は社会にマイナスのエネルギーを供給します。
また、絶望した人は周りの人との温かい関係を見失うことになり、結局のところ社会をますます「絶望的な」場所にしていきます。

歴史を振り返ったときに、最も危険なのは、ヒトラーのようにエキセントリックな人間ではなく、無意識に流されてしまう一般の人たちだと言われています。
無意識に流されるというと、ついつい「何の考えもなく小泉政権や安倍政権に流される有権者たち」という方に目が向きがちですが、世相が暗くなったときに「日本はもうだめだ」と絶望に流されるという側にも目を向ける必要があります。

私がアティテューディナル・ヒーリングを通してやろうとしているのは、無意識に流されない人を作ることです。
絶望するかどうかも自分で決められる人を作ろうとしているのです。

よく、絶望することの辛さから、問題そのものを見ないことを選ぶ人もいます。
ある時点まではせっせと政治活動や市民活動に取り組んでいるのですが、「もう無駄だ」と投げ出してしまうのです。
ここで言っている「絶望しない選択」というのはそういうことではありません。

現状の問題点を正確に認識し、解決が難しいことを知りながらも絶望しないという選択肢はあります。
社会の問題点から目を背けずに、少なくとも自分の周囲には平和を作り出す努力をしていくことはできるのです。
それができる人の数が増えれば、悪政の影響を最小限に抑えることができますし、政治そのものを変えることもできるでしょう。

私は「政治が変われば社会が変わる」というのは危険なスローガンだなと思うようになりました。
これが民主党を選挙で勝つことしか考えられない政党にしてしまったようにも思います。(そしてその皮肉な結果として、民主党は選挙で勝てない政党になっています)
私たちが変わらなければ政治は変わらないわけですから、政治だけが変わることはあり得ないのです。

政府が何かの仕組みを作ったときに、被害者意識にとらわれてそれに振り回されることが一番危険です。
戦争前後の日本の最悪の日々を研究してみても、「ふつうの人」同士が助け合わなくなったり疑心暗鬼に陥って攻撃しあったりしたことが、最も辛い体験の一つだったわけです。
そこまでの極限に達する前に、社会がどうなろうとも、少なくとも自分の周囲には平和を作り出す努力のできる人を増やしていきたいと思っています。

そして、これまでの7ヶ月間のワークショップの経験からは、私たちにその力があることを実感しています。アティテューディナル・ヒーリングのワークショップでは、何かの価値観を押しつけるようなことは一切しませんが、様々な立場の方が、同じ人間としてつながり合い、怖れを手放すことを選ぼうとしていく様子には、深く感動しますし、人間の持つ無限の可能性を感じさせます。

今まで、オクラホマの爆破事件やボスニアにもアティテューディナル・ヒーリングのチームが派遣されてきましたが、人が最も被害者意識に陥りやすい状況に「別の視点」を提供することの重要性が示されてきていると思います。

もちろん、いじめや差別など、社会正義のテーマにはアティテューディナル・ヒーリングは特効薬です。
ただ「毅然と」相手を怒鳴りつけて事態を悪化させることなら誰にでもできますが、本当の解決を目指すのであれば、やるべきことは違います。

これは実は、日本をおかしな方向へと導いている人たちを相手にする場合も同じことです。「人でなし」などと攻撃していたら、その人たちはますます悪い方向へと突っ走るだけでしょう。

「政治には戻らないんですか」と聞いてくださる方には「これが私の今の政治活動です」とお答えしていますが、できるだけ早く、一人でも多くの方にアティテューディナル・ヒーリングの考え方を知っていただきたいと思っています。

目下の悩みは、アティテューディナル・ヒーリングの良い日本語訳が見つからないことです。

★アティテューディナルヒーリング レベル1ワークショップ in 北海道★

日時: 2007年7月29日(日) 11:00~17:00

参加費用: 3000円(資料代等)

ファシリテーター: 水島広子

定員: 20名

場所: 恵庭市民会館 視聴覚室

   恵庭市新町10番地 JR千歳線 恵庭駅下車(快速停車) 徒歩15分程度

お申し込み・お問い合わせは

アティテューディナルヒーリング・北海道
代表 瀬川真弓
Eメール s-mayumi@snow.email.ne.jp
電話・FAX 0123-34-7472
携帯 08018897436

その他のワークショップについては

http://www.ah-japan.com/workshop.htm

をご覧ください。