創元社から出していただいている対人関係療法シリーズの第四弾として、気分変調性障害(慢性のうつ病)の本を刊行いたしましたのでお知らせします。
一般の方(患者さん、ご家族、その他ご関心のある方)向けです。
対人関係療法でなおす 気分変調性障害 ― 自分の「うつ」は性格の問題だと思っている人へ
創元社
1575円(税込)
アマゾンで購入する方は
「本書を読んでいただきたい方」について、「はじめに」より抜粋します。
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はじめに 本書を読んでいただきたいのはこんな方です
自分は人間としてどこか欠けていると思う。
他の人は苦しいことにもしっかり耐えているのに、自分は弱い人間だと思う。
自分は何をやってもうまくいかない。
自分は何か、なすべき努力を怠っているような気がする。
人が「本当の自分」を知ったら、きっと嫌いになるだろう。
「○○したい」と言うのは、わがままなことだと思う。
自分が何かを言って波風を立てるくらいなら、我慢したほうがずっとましだ。
自分の人生がうまくいかないのは、自分が今までちゃんと生きてこなかったからだ。
人生は苦しい試練の連続であり、それを楽しめるとはとても思えない。
これから先の人生に希望があるとは思えない。
もしもあなたが、ほとんど毎日、上に挙げたように感じているのであれば、本書をぜひ読んでみてください。本書のテーマである「気分変調性障害」である可能性が高いからです。
そんなふうに感じる方の多くが、「気分変調性障害」などという病名を聞いたことがないかもしれませんし、今まで一度も治療を受けたことがないかもしれません。おそらく、「これは病気ではなく性格の問題」「これは治療で解決すべきことではなく、人間力をつけることで解決しなければならない問題」などと思っておられるのではないでしょうか。そしてその先には、「性格の問題だからどうしようもない」「自分には解決する力などない」という絶望もついてくると思います。絶望を感じながらも、自己啓発の本を読んでみたり、セミナーなどに参加してみたりしたことがあるかもしれません。そしてそれらの結論も、「やっぱり自分はだめだ」というものだったのではないでしょうか。
実は、冒頭に挙げた感じ方はいずれも「気分変調性障害」という「病気」の症状として現れてくるものであって、治療可能であるということを聞いたことがあるでしょうか? もしもなければ、ぜひ本書を読み進めてください。また、聞いたことはあっても、よくわからない、ぴんとこない、という方も、本書でその具体的な内容を知っていただきたいと思います。「病気」と言われることに何らかの抵抗を感じる方にも、本書がお勧めです。第一章で述べますが、本当に気分変調性障害を持つ人であれば、「自分の場合は病気ではなくて、本当に人間としての欠陥があるのだ」と感じるてしまうのがふつうですから、「あなたは病気で、治療可能です」と言われることに懐疑的な人こそが、本書にふさわしい読者なのです。
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