「怒り」に焦点を当て、対人関係療法とAHを組み合わせたような内容です。
病気の本ではなく、ごくごく一般的な、日常生活に役立てていただきたい本です。
大和出版 1365円(税込)
「はじめに」より
「怒りがスーッと消える」というタイトルを見て、「そんなわけがない、何やら怪しげな魔法の本なのだろうか」と思われているでしょうか。
もちろん精神科医である私にはそんな魔法の本を書くことなどできません。
本書は、精神科医としての私の経験に基づく、ごく合理的な本です。ポイントは、怒りを「消す」のではなく、怒りが「消える」というところにあります。
怒りは「結果」です。「ひどい」と思う何か(原因)があったとき、結果として出てくるのが「怒り」という感情です。「結果」に過ぎない「怒り」を抑え込もうとすると、かえってひどくなったり、爆発したりすることもあります。
しかし、原因を取り除けば、もちろん結果である怒りもスーッと「消える」のです。本書では、その、「原因の取り除き方」をご紹介していきます。
怒りについて悩んでいる方はとても多いと思います。
つまらないことにイライラしてしまう小さい自分がいや。カチンと来ると、つい感情的な物言いをしてしまい、未熟な人だと思われてしまったり、仕事や人間関係がダメになってしまったり。一度ムカッとすると、そのことばかりを考えてしまって気持ちを切り替えるのが難しくなるときもありますね。
とりあえず怒りを他人に見せないようにすることはできても、怒りが消えてなくなるわけではありません。抑え込まれた怒りは、うつ病などの病気にすらつながっていくものです。
本文で詳しく述べますが、私は「対人関係療法」という治療法を専門とする精神科医です。とても多くの患者さんの治療をしてきた結論の一つとして言えることが、「怒り」という感情をどう扱うかが、心の健康や、人間関係の質、ひいては人生の質を決めるということです。
怒りにふりまわされない人生には、のびのびとした自由が広がっているもの。
怒りがスーッと消える瞬間は、怒りがなくなるだけでなく、人生の豊かさを感じるときでもあります。
そんな人生を手に入れるために、本書がお役に立つことを祈っております。