2017年2月のツイートより(抜粋)
2017年2月のツイートのうち、反響の大きかったものを抜粋してまとめました。
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2月3日(金)
珍しく2冊の本を同時に書いている。もちろん、まもなくどちらかに集中することになるが。それにしても、私はコンスタントに仕事していても、それぞれの版元の事情で、短期間にまとめて複数の本が刊行されると読者の方を混乱させるかな。せめて「運」の本、早くならないかな。
トランプ政権が誕生してから、自分の心がかなり「助けを求めている」状態にあるのは自覚しているが、そんなときだからこそ自分にできるのは、本の原稿はもちろん、診療、講演、ツイッターなど、人と接する機会にできるだけ温かいエネルギーを込めることだな。
あとは、伝達したい情報も、できるだけ「怖れ」で修飾されていないものを選ぶようにしている(かなり数が減ってしまうが)。
19歳のときに3週間ホームステイしたカナダの家族が今日の夕方から来日したので接待中。うちには泊まってもらうスペースがないので、自宅裏の宿泊施設に泊まってもらっている。接待要員の子どもたちが二人とも受験中なので一人で頑張り中。
一家の柱だったホストマザーが秋に急死したこともあり、いつも以上に心を込めたい。ほぼ30年続いている交流。ホームステイした当時まだ5歳で私が毎日パジャマのボタンを留めてあげていつも手をつないでいた男の子が今では30代の立派な男性。数年に一度会うだけだが、家族。
ホストファーザーは本当に優しい男性で、カナダのスーパーで荷物を持ってくれたときに私がお礼を言ったら「ヒロコ、これくらいは男性に頼む権利が当然あるんだよ」と温かく言ってくれた。いつもいつも私の味方で、妻を急に失ったときもいち早く連絡してくれて寂しい胸の内を打ち明けてくれた。
たった3週間のホームステイだったが、私は今でもカナダの国歌が歌えるくらい、カナダが好きだ。国際対人関係療法学会の理事長は米国人、副理事長はカナダ人。副理事長は、「カナダ人は米国人よりも謙虚だから日本人の気持ちもわかる」と言ってくれる。
ホストファミリーは、私の帰国後あまりにも寂しかったので、日本人のホームステイの受け入れを習慣化した。日本のあちこちに「子ども」がいる。娘はホームステイしていた日本人男性と結婚した。「偏見」という言葉がほど遠い、本当に温かい人たちだ。私の人生の中にいてくれてありがとう。
3月にNHKの「あさイチ」に出演することになりそう。テレビはいろいろと面倒なのだが、元気にやっていますという姿を見せるチャンスではある。詳細が決まったらお知らせします。私は頑固なのでつぶれるかもしれませんが。(今までも結構つぶしてきました)
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2月4日(土)
私が人への関わり方を考える上で、精神科医としての知識を活用していることは事実だ。それは自分の第二の天性みたいなものだからだ。そのことと、治療を求めてもいない人を「診断」することは違う。政治上生じた問題は政治で解決すべきだ。そして私にとっての「政治」はAHだ。
AH創始者ジェリーにスカイプした。トランプに対する私の姿勢を全面的に肯定してくれた。怖れに基づいて行動しないということを約束した。ジェリーは2月11日に92歳になる。彼の死を怖れてはいない。でも直接会話できることはとても貴重。人類に可能な120歳まで生きてほしいと頼んだ。
な、なんと、ホストファーザーがインシュリンを忘れたというので早朝から大騒ぎ。何とかなりますように。
インシュリンゲットしました。一安心。関係者のものわかりがよくてすごく助かりました。
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2月5日(日)
私は、自らの体験からも、政治の多くを「被害者意識」が動かしていると思っています。政治という場でやりとりしてもそこには届きません。敵・味方を作って攻撃し合うだけです。むしろ、「被害者意識」を含む「怖れ」に取り組む方が、よほど政治の質をよくするように思っています。
カナダ人を京都に送り出し、接待終了。カナダの政治の話もたくさんできて楽しかった。それにしても5歳で私がパジャマのボタンをとめてあげていた子(今は35歳くらい?)と政治の話ができるようになったとは。年はとってみるものですね。
選び直し。これこそ、AHの神髄ですよね。ちなみにカナダのAHコミュニティの名前は「Choose Again」。
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2月6日(月)
私にはスタッフが3人いますが、今日はそのうちの1人とじっくり話し合い、とても有意義でした。雇用関係も一つの人間関係。その質がよくなれば、自分の人生の質もよくなると思います。大きな企業でも、それが応用できればと思います。
患者さんは「もう、いい大人なんだから」という言葉から受けるプレッシャーに相当苦しんでいます(苦しんでいる自覚もないくらい)。でも私から見ると、本当に純粋で、よく頑張ってきたな、と思います。裸の魂。まさにその通りですね。AH的には、私たちの裸の魂は、温かいこころなんです。
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2月7日(火)
私は20代の頃かなり先鋭的で、医局内のジェンダー問題に相当取り組んでいた(それまでは女性研修医の仕事だったコーヒー作りを研修医全員の仕事にしたり)。言葉についてもうるさかった。そういう私を大野裕先生は「言葉にうるさい」と言わずに「言葉に詳しい」と言ってくれた。
私はもちろんトランプが嫌いだが、彼を「狂人」呼ばわりする精神科医とは同業とはとはとても思えない。トランプはただの「怖れのかたまり」。それを「怖れ」と見ずに、他者を攻撃しているだけ。「怒っている人は困っている人」。そし自己防衛が安全だと信じているおめでたい人。
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2月8日(水)
著書「対人関係療法でなおす 気分変調性障害」重版のお知らせをいただき嬉しい。この本は、アメリカ精神医学会をはじめとする専門性の高い文献を引用して書いたのだが、「今まで聞いていたのはわがまま病」というような反響をいただくのは悲しい。医者の不勉強に惑わされないでほしい。
気分変調性障害の人が、多くは思春期に発症し、どれほどのものを失うのか。症状としては大うつ病より軽いとしても、世界観、人間観を作る思春期に慢性のうつになることがどれほどのことか。そんなデータも知らずに「わがまま病」扱いするような専門家は絶対に信じないでくださいね。
気分変調性障害の人の半分は、薬に反応します。もちろん「考え方のクセ」がありますから、サポートは必要です。薬に反応しない人たちは、トラウマが背景にあるようだと、自分の臨床経験から思っています。
私などの言うことは信じられない、と思う方は、英語ですが、
Interpersonal Psychotherapy for Dysthymic Disorderを読んでください。私の兄貴分です。 http://amzn.to/2kSs5eH
そもそも患者さんを「わがまま」呼ばわりする治療者は何なのか。そう言えば治るとでも思っているのか。「わがまま」に見えることの背景を見極めることこそ専門家の仕事であって、それをしない人は能力がないとしか言いようがない。 能力のなさを、自己防衛しているだけだと思う。
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2月9日(木)
横入りですみません。怒っている人に優しくする必要は特にありません。全ては自分自身の心の平和のため。「やられた!」と思うよりも、「ああ、困っているんだ」と思う方が、自分がずっと平和でいられます。さらに余裕があれば、優しくしてあげるのももちろんOKですが。
自分に貼り付ける「わがまま」レッテルは、症状なのだと思いますよ。それを何とかするのが治療者の仕事であって。自分でできるのなら治療者なんていらないですよね。
学会の役などもやっている私の立場で言うのはどうかと思うけれど、裁判の証人として出廷した経験からは、「『専門家』は現実を知らない!」と思った。いじめ→トラウマ→違法行為の人にとって、裁判はいじめそのものだ。ちゃんと仕組みを作らなければ。
さらにしつこく横入り。「義憤」っていうのは、自分自身が困っているんだと私は思っています。「え?え?世の中でこんなことが許されていいの?」的な。
例えば双極性障害の躁状態で自己破産してしまう人。せめて初発くらいは(治療を受ける前くらいは)、何とかしてあげられる仕組みが作れないかな、と思う。一度治療に入れば、それを続けるのは本人の自覚と責任だとしても。
私が尊敬する北大教授遠藤乾さんの「欧州複合危機」が、今頃重版だなんて。ものすごく良書なのに。みんなそれほど欧州に興味がないのかな。でも今年の欧州は、日本にはねかえるくらいの問題が起こるような予感も。
私の「怒り」の本を読んでも満ち足りない人は、ぜひ、私が書いたトラウマの本を読んでください。トラウマの怒りは、通常の怒りとは桁違いなんです。図書館でいいです。販促の意図は全くありません。ただ、ああ、これはトラウマ症状なんだなと知っていただければ。全てが始まります。
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2月10日(金)
今日は診療の後、スタッフミーティングで、その後新年会。もちろん仕事度が高いほど緊張感は増すが、どの状況でも裏表なく信頼していられる関係は貴重だ。少人数であることと、AHを基盤とした関わりであることが大きいと思うが。
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2月11日(土)
なんと! 国際対人関係療法学会(ISIPT)で検索したら、本体の次に、ISIPT Japanが出てきた。感激。https://goo.gl/rpNkEW
ちなみにISIPTの次の理事長選が終わり、私が応援していたOguz Omayが当選した。彼はトルコのバックグラウンドを持ち、現在フランス在住。英語は堪能だが第一言語ではない。学会活動に熱心。人を包み込む好人物。国際学会の理事長にふさわしいと思う。もちろん仲良し。
日本でのIPTの学会化は、おそらく次世代の人の仕事になると思う。もちろん私の人脈を生かして手伝う。今の段階で学会化しても、私が望む学会にならないと思う(私が学会に求める水準はかなり高い)。研究会で専門家トレーニングを続け、保険適応もめざし、そのあたりで私の寿命かな。
今の私にできることは、国際学会ISIPTで得た情報を日本の皆さまに提供すること、理事として、英語が苦手な国(日本とか)にも情報がアップデートされる仕組みを作ること。これはだいたいできたので、今年は理事選に出ないことを考えています。
もう一度AHについて復習。「ぽかぽかとした温かさ」以外のものは全て「怖れ」。自己防衛、べき思考、被害者意識、等々。もちろん怖れている人が必要としているのは癒しだが、別に癒す必要もない。ただ、私たちが「怖れ」と見ることで自分の心の平和を守れれば大きな力になる。
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2月12日(日)
3月26日(日)に、1年に1回程度しか開催しないロールプレイ編対人関係療法研究会特別編を開催します。かなり人気ですが、まだ空席がありますので、1年待ちたくない方は是非。 https://goo.gl/Voh94O
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2月13日(月)
AHのファシリテーターのポストミーティング(ワークショップやグループの後のミーティング)でも、それが評価の場とならないように、「自分自身がその立場(ファシリテーター、スタッフ)において自分の心の平和の選択を実践できたか」だけに焦点を置くようにしている。
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2月14日(火)
映画The Reluctant Fundamentalistを観た。アメリカンドリームを体現していたパキスタン青年が9.11後の米国で非人道的な扱いを受け失望し帰国するが、米国と同列の「原理主義者」になることは拒む。ヴェネツィアやトロントの国際映画祭では上映されたらしいが。
うちの子どもは18歳(反抗期を終えた娘)と15歳(頑張って反抗している息子)ですが、反抗期であろうとなかろうと、本当に親を愛してくれているな、と感じます。娘は「攻撃型」反抗期だったので当時はきつかったですが、私にしか見せていなかった姿みたいなのも何となく嬉しくて。
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2月15日(水)
2/14を「女性が好きな男性にチョコレートをあげる日」と思っている人にとっては昨日は寂しい日だったかも。でも本来バレンタインデーの性質はそういうものではないし、私のように、小学生の頃から「チョコレート産業の陰謀に乗ってたまるか」と思っていた人間がいることも知っておいてほしい。
ツイッターは私にとっては信頼できる情報を得たり普段会えない人たちを近くに感じたりする至福の場だが、突然ものすごい攻撃(それも事実に基づかない)が来たりする。過去の経験からわかるが、人格攻撃して平和な気持ちに至ることはない。自分の発するエネルギーが自分の人生の質を決める。
昨日、敬愛する藤原帰一先生に何と言われるだろうかを気にしつつもThe Reluctant Fundamentalistを紹介したのは、それが小説に基づくものであれ一つ一つの「事情」を知ってほしかったから。著書にもよく書くが、それぞれの「事情」ほど大切なものはないと思っている。
多分、自分はこれでいいんだという無条件の温かい感覚を知っている人と、「他人よりも秀でないと自分には価値がないのだ」と思い込んで生きてきた人の違いがあるのでしょうね。前者の方が幸せであるのは間違いないですが、後者の方たちとも関わり続けたいと思います。まずは原稿を。
価値観のレベルならまだしも、私が今でも現職衆院議員だと思って攻撃してくる人は「???」と思いますよね。私も一応、誰かにコメントするときはその人のプロフィールを見ますし、誰かに会うときは、著作の一冊も読む。「保守」って、そういう人間尊重だと思っていましたけど。
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2月16日(木)
藤原先生、コメントありがとうございます! 先生の知的な言葉をいただくことで、漠然と感じられていた「よさ」が落ち着き自発的気づきも促されます。映画評論の神髄を感じさせていただいた気がします。勇気を出してみたら、贅沢な体験を得ることができて、よかったです!https://goo.gl/y0A8lF
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2月17日(金)
「普通」という言葉は人を救うことも追い詰めることも。対人関係療法はノーマライゼーションの治療なので「病気なのだから当然」「人間として普通」が基本姿勢。これは普通という名のもとに人を「べき」に追い込むのと違い、人間なのだから限界はあるよね、という優しい考え方だ。
私が研修中救急外来をローテートしていたとき、当時の助教授がECTについて「あんなの、壊れたテレビを蹴飛ばすのと同じだろ」と信じられなく非科学的・非人道的発言をしていて呆れました。そういう人はこれをどうせ読まないでしょうが、読んでいただきたいものです。 https://goo.gl/BUcErZ
電気けいれん療法(ECT)は、恐ろしく危険な治療法と思っておられる方も少なくないでしょうが、この治療がなければ人生の質が決して改善しなかった患者さんたちを多数知っています。決して「廃人化」のためのものではありません。「カッコーの巣の上で」の影響が強すぎるのかな。
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2月18日(土)
「心がボロボロがスーッとラクになる本」の増刷と韓国語翻訳の連絡をいただいた。タイトルで出版社と相当争った本だが、私の提案「心がボロボロになったときに読む本」の方がもっと売れたんじゃないかな、という気持ちは今でも。http://amzn.to/2m3791Z
選挙に当選するのも、本が売れるのも、実は簡単なのです。人の怖れを煽り、ありえないほど簡単な解決策を与えれば。ただ、そう言う手法に飛びつくかどうかが、人の生き方であり、社会に何をもたらしたいのかなのだと思います。節約体質なので助かります。
私にとってのヒーローは、厳寒の時期にスーツだけで街頭演説していた私に「そんな格好では寒いでしょう」と言ってくれた男性。「栃木では、政治家はコート着用を許されないようです」と答えた私に、「新しい政治を作りたいのならそういうところも変えていかなくちゃ」と。
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2月19日(日)
赤絨毯を踏むためには、どれほどの犠牲も払ってもらうよ、ということを味方陣営(労組、市議)から言われたこともある。なんか、目的意識が完全に違っていた。
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2月21日(火)
私は、性教育の充実により「早すぎる妊娠」や性感染症を防いでいくのがよいという立場。禁欲教育が罪悪感を前提としたものである以上、実際のデータも悲惨なのは当然。「望まれない妊娠」という言葉を使うべきではないのと同様、実際生まれる命と生育環境は何としても守りたい。
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2月24日(金)
大学病院、精神科病院、クリニック、保健所、企業等で働いてきたが、患者さんは常に私にとってVIPで、その中で私はadvocate(代弁者、権利擁護者)という言葉の意味を本当に理解できた。それは単なる権利の主張ではなく、自分が代弁する人が幸せに生きていける環境を作ること。
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2月25日(土)
もしやこれは「例の本」のことでしょうか??
実はこのたび、貂々さんとの共著を出版できることになったのです。6月頃の刊行予定です。詳細はまだお知らせできないのですが、とても素敵な企画です。読んでいただくのが楽しみ。共著が出版される事実は公開OKと言われたので早速。
今日の研究会でも話題になったが、「PTSDに対して対人関係療法は安全で有効な治療法である」ということがもっと日本でも知られればよいのだけれど。エビデンスはこちら。Markowitz JC, et al. Am J Psychiatry. 2015
今までジョディ・フォスターは政治と関わらずにきたけれども、さすがに「ここで何か言っておかないと人間として悔いが残る」という瞬間が来たのだろうな。私の政治参加も、後で我が子たちから「どうしてあのとき何もしなかったの?」と言われたくなかったから、というのが最大の動機だった。
トランスジェンダーの子が追い詰められて自殺すらするということはすでに知られた事実。ようやく「自分のトイレ」に行けるようになったのに、大統領が変わったらそれも取り消されるなんて。私から見ると、それはまるでB型の人にA型の血液の輸血を強要するみたいなものだ。
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2月27日(月)
私は「身体の性」と「アイデンティティとしての性」が一致しているし、同性愛傾向も全くない。この落ち着きを、LGBTの人たちにも同じように味わってほしい、と思うのは決して望みすぎではないと思う。人間として当たり前の権利だと思うから。
トランプ氏の「気に入らないメディア締め出し作戦」について。取材許可されたけれど辞退したタイム誌は立派だし、「締め出しを知っていたら参加しなかった」という声明を出したWSJも立派だと思う。便宜を与えられてもメディアの権利擁護のために発言できる会社は日本にあるのかな。
慢性PTSDに対する対人関係療法の有効性を示したNIMH研究のフォローアップは行っているのかと兄貴分Markowitzに質問したら、ちょうど論文投稿中とのことで「君は直観が優れているのか人の心を読めるのか、どちらかに違いない」と言われた。論文原稿をこっそり見せてくれた。
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2月28日(火)
ようやく「運」の本のゲラが上がってきました。これから校正作業に入ります。今日は、後日出演するテレビ番組のためのロケだったのですが、例によってすっぴんの顔にカメラがアップで寄ってきてかなり恐怖でした。