日本で増え続ける、「やせなければ」という強迫観念にとらわれた「ダイエット依存症」。ダイエットに依存する心理を読み解き、自分を取り戻す方法を考える本です。
ダイエットという題材を用いて、「形」への健康なこだわりと苦しいとらわれの違いを描いてみた本ですので、多くの方のご参考になると思います。
ご関心のある方はぜひご一読ください。一般向けの本です。
講談社 1470円(税込)
以下、あとがきからの抜粋です。
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「やせたがり」は、なかなか難しいテーマです。最近、やせすぎの人が増えている、健康な小学生ですらダイエットについて口にする、そしてそれが摂食障害という病気の増加にもつながっている、などということに問題意識を感じてはいても、では自分の体型は気にならないのか、と言われれば、そうでもないという人が多いからです。社会全体のやせすぎは問題だと思っても、「自分は」やせたい、というのが多くの人の気持ちなのではないかと思います。
また、多くの人が、建前では「外見よりも内面」と言いながら、本音のところでは外見をかなり気にしている、というのも事実だと思います。そして、建前どおりに生きられない自分について若干の後ろめたさを感じ、「それは自信がないからだ」と思っている人も少なくないと思います。自信さえあれば「外見よりも内面」と胸を張って言えるはずだと思うからです。
この、建前と本音の乖離は、「やせたがり」をめぐる一つの大きな特徴です。本文でも書きましたが、そこに「やせれば自信がつくはず」という考えが加わって、より複雑な構造を作り出しています。
(中略)
これらのギャップを埋めてみようと思ったのが、本書を執筆した主要な動機です。そのために、「ダイエット依存症」という概念をあえて用い、その構造を読み解くという形をとりました。本書によって、「建前」と「本音」がより前向きに統合され、一人ひとりが本当に自分の身体を大切にしつつ人生を楽しめるようになれば、そして、「やせたがり」をめぐる不毛な議論に終止符が打たれて相互理解が深まれば、と願っています。
本文をお読みいただければおわかりだと思いますが、本書は、「やせたがり」という一つのテーマに焦点を当てつつ、「形」とのつき合い方を述べたものです。体型もその一つですが、人生にはさまざまな「形」があります。
「形」にこだわって人生を楽しむのか、「形」にとらわれて人生を縛られるのかで、人生の質は大きく違ってきます。楽しみの人生になるのか、苦しみの人生になるのかは、決定的な違いです。もちろん、多くの方が前者を望んでおられるでしょう。どうすれば「形」にとらわれることなく、むしろ楽しめるのか、というヒントを、本書を通して少しでも感じていただければと思います。そういう意味では、本書は、「やせたがり」問題を抱えていない方にも参考になる部分が多いと信じています。
(後略)