創元社から出していただいている対人関係療法シリーズの第五弾として、トラウマの本を刊行いたしましたのでお知らせします。
タイトルが「トラウマ・PTSD」と変則的な形になっているのは、PTSDについても説明しつつ、トラウマによる病全般(うつ病、摂食障害、社交不安障害など)を視野に入れているものだからです。
一般の方(患者さん、ご家族、その他ご関心のある方)向けです。
対人関係療法でなおす トラウマ・PTSD
創元社
1575円(税込)
アマゾンで購入する方は
本の帯より
□ 衝撃的な体験をしてから、どう生きたらよいかわからなくなった
□ 些細なことでひどく怒るなど、感情のコントロールが難しい
□ 人を信じられず、怖く感じることが多い
□ 自分の感じ方を全く肯定できない
□ なかなか治らないうつ病や摂食障害などがある
ふつうの「傷つき」とは異なるトラウマがあなたにもたらす苦しみ —- 今度こそ自由になるための向き合い方・受け止め方
以下、「あとがき」からの抜粋です。
私は様々なトラウマ患者さんを診てきましたが、いつもつくづく思うのは、トラウマ症状がよく知られていないために、どれほど対人関係が歪んでしまうかということです。周囲はもちろんのこと、本人も、自らの言動がトラウマ症状を反映したものだということに全く気づいていないことの方が多く、「なぜこんなにうまくいかないのだろう」というところで行き詰まってしまうのです。本人がトラウマ体験をしているということが明らかになってもなお、目の前で起こっていることがトラウマを反映したものだと気づかれないことが多いですし、トラウマ症状だというところまではわかっても、対処法がわからずに火に油を注ぐようなことになってしまっている人たちもいます。トラウマの苦しみは、トラウマ体験そのものからくるだけでなく、現在の「生きづらさ」による部分もとても多いのです。
トラウマは対人関係に大きな影響を与えるものですが、同時に、トラウマからの回復に大きな力を発揮するのも対人関係です。トラウマによって悪循環に陥ってしまった対人関係を癒しの力に変えていくことが対人関係療法の本質だと言えますが、その効果に感動することも少なくありません。意外なところに効果が現れてくる、というのがその実感で、トラウマによって見えなくなっていた自分の力とつながるというのはこういうことなのだな、としみじみ思います。そんな体験を少しでもお伝えしたいと思い、本書を書きました。トラウマについて私が普段患者さんにお話しするようなことはだいたいカバーできたと思います。