2月のツイッターより(反響の大きかったものの抜粋)

2011年2月のツイッターより、反響が大きかったものの抜粋です。


2011年02月01日(火)

小沢氏の件でよく出てくる「けじめ」という言葉に違和感をもって見ている。いったいどういう「けじめ」なのか、発言者一人ひとりが特定しながら話した方がよいと思う(特定できるのであれば)。こうして考えると特定されていない「けじめ」という言葉も「空気」の言葉なのだと実感。

この件についてメディアを見ていて一番混乱するのは、「国会議員の身分」の話と、「政党内の処分」の話が混同しているところだ。「離党勧告」と「議員辞職」の話が同レベルで出てくることにびっくりする(その発言をしている人が国会議員だったりもする)。

執行部の指示に従わなかった人を処分する権利が、(そういう規約を持った)政党にはあるだろう。また、裁判を有利に進めるために十分に国会答弁ができないということがあるのなら、それも政党は考慮の対象にしてよいと思う。しかし、国会議員の身分に関わることは全く別の次元の話だ。


2011年02月04日(金)

昨日、プライムニュースに出演して思ったのは、政権交代の位置づけについて。政権交代を「有権者による平和的な革命」と考えれば、まさに「政権が変わる」わけで、その政治理念の変化や「国のかたち」の変化が見えるべきだ。

政権交代以降現在までの民主党は「自公政権時代と比べてマイナスがないように」というところに集中しているように見え(少なくとも子ども手当関係の話からはそう思った)、選挙を抱える人たちの集団としては理解できるが、それが理念を見えにくくし、借金にもつながるのだと思う。

例えば私たちが子ども手当を創設した時、子ども手当を課税対象とする代わりに所得制限を設けなかったのは、家庭間に分断を作らず子どもを大切に育てるというメッセージだった。本来は子どもの食費・被服費をカバーするものなので年長の子どもの方が減額という発想もなかった。

もちろん激変緩和措置は重要だし、何らかの変化を起こす際には、その政策効果を見るための期間、変化が無効だった場合の回復の算段などを含めて提案していく必要があると思う。このように様子を見ながら軌道修正するのは、行政ではなく政治に問われた役割だと思う。

「子ども家庭省」で子どもの施策を作っていく際には、近年たくさん得られている子どもの発達についての学術研究結果も反映させてほしい。大人たちのファンタジーで子どもを語るのではなく。

(2005年マニフェストまではあった)理念が受け入れられたわけではなく「子ども手当」と「無駄をなくす」が売り物になって誕生した民主党政権は、今、「子ども手当をばらまいているのに」「無駄もなくなっていないのに」消費税増税なんて、という怒りを買っている。


2011年02月10日(木)

参議院の区割り問題。参議院の独自性を、というのは、「衆議院とは違う意見を述べる」ことそのものにあるのではなく、「良識の府」と言われることからも、例えばより学識に基づいて考えるようなことが期待されているのだと思う。それは選挙制度にも反映されるべきものだ。

本当に「良識の府」としての参議院を含む二院制を残したいのであれば、政党政治とは全く違う次元での立案・チェック機能を持つ人たちを参議院議員として選べる仕組みを作る必要がある。政治的利害と学識の「ねじれ」国会であれば、本当に見る価値があると私は思っている。


2011年02月12日(土)

今朝の朝日新聞1面から始まる地方議会の記事。首長が提出した議案をこの4年間で一本も修正・否決していない、議員提案の政策条例が一つもない、議員個人の議案への賛否を明らかにしない、という3つをいずれも満たす「3ない議会」が全体の3分の1を占めるという結果。

私が6年間近くで見ていた宇都宮市議会も「3ない議会」の一つ。さらに、4年前に明文化された「申し合わせ」によって本会議での一般質問を年2回までに制限しているそうだ。

それにしても、議員の最低限の責任だと思っていた議案への賛否の公開が、84%の議会で行われていないのは驚いた。理由としてあげられた「慣例だから」「起立採決で確認できない」「会議録をつぶさに読めばわかるはずだ」は、いずれも地方議会の現状を象徴しているような気がする。

以前の自分の経験から言えば、本来は市政レベルで実現できる話なのに「国が面倒を見てくれないから」と国政レベルの話にすり替えて放置する、というケースもあった。議会が活性化していれば「これは自分たちでできるはず」と指摘して事態を前に進めることも可能だったのではないかと思う。


2011年02月13日(日)

今日は対人関係療法の専門家向けワークショップ。治療者を増やすことは急務。AHとは異なり、病気の治療法であるこちらはきちんとした形で普及させる必要がある。「対人関係療法っぽいこと」と「対人関係療法」は似て非なるものである。

最近、「エセ対人関係療法家」がいるという話をちらほら聞く。そのような「有名税」を払わなければならないほど普及してきたのかという感慨もあるが、患者さんを混乱させるのは間違いないし、本来対人関係療法でないものが提供されて「効かない」という結論になるのも困る。

日本の臨床現場の実情に合わせて、精神療法をできるだけ質を落とさずに普及させるというのは本当に難しい課題であり、私自身にできることなどごく限られているが、せめてその「ごく限られている」ことを丁寧にやっていきたいと思う。


2011年02月16日(水)

昨日、取材の方が来たので改めて昨今の政治について考える時間を持った。誰がやっても難しいこの時代の政治において「安心」を提供するとはどういうことだろうか、と考えてみると、小手先のどんな政策も本当の意味では安心をもたらさないと思う。

今までの選挙におなじみの「安心を提供します」というのは、むしろ、右肩上がり経済を前提とした物的な側面(ひどい場合はバラマキ)に偏ってきたように思う。しかし、今ではバラマキそのものが人の不安をあおっている。かといって、緊縮財政を前面に出されると、これはこれで不安だ。

どういうときに私たちが安心を感じるかと言うと、もちろん先の安全な見通しが立つときだが、今の政治状況でそれを物理的に示すことは限りなく難しい(できる限り努力すべきだが)。それ以上に重要なのは、「分断」のない考え方をすることによって信頼を獲得することだと思う。

社会の一定の側面を否認するのも「分断」だし(この期に及んで右肩上がりを前提とするのも、一定の側面の否認)、自分の良心から目を背けるのも「分断」。努力せずに放り出すのも「分断」。将来を絶望視するのも「分断」。批判されて自己正当化にしがみつくのも「分断」だ。

「分断」のない政治は、キーワードだと思う。もちろん民主主義にとって重要なことは、政治と有権者の間に「分断」がないこと。それはワイドショーで親しみを感じてもらうという意味でなく、自分自身が「分断」のない姿勢で仕事をするところを見せるということだと思う。


2011年02月19日(土)

国会議員が「現首相のままではだめだ」ということを単に言っているのを見ると私はとても悲しくなる。首相交代に言及するのであれば、せめて、「自分が首相になったら消費税はこうする。TPPはこう。子ども手当の財源問題は。米軍基地は」と実現可能なことを述べてほしい。

ここのところの政治が、怒りをエネルギーにした不安定な「振り子」になってしまっている一因にも、国会議員たちの当事者感のなさがあるように思う。小選挙区制に基づく二大政党制になると、どうしても「選挙に勝つこと」が優先されるので、当然の結果と言えば結果だが。


2011年02月21日(月)

「仮に今投票するとしたら」の投票先で自民党が民主党を上回っているのを見ると、政権交代前に有権者が自民党政治について問題だと感じていたことのどれだけが改善したのだろうかと素朴な疑問を抱く。今の仕組みは、単に相手の失点が自分の得点になるという性質のものだ。

もともと二大政党制に望まれたものは「健全な競争」だったのだろうが、お互いを高め合う「健全な競争」は、怒りをエネルギーにしたところには生まれない。そろそろこのことを真剣に考えないと、幻想を夢見ているうちに政治の質が限りなく劣化するような気がする。

もう一つ気になるのは、有権者にとって意思表示の選択肢があまりに少ないことだ。民主党という政党は応援したい。しかし、自分の選挙区の民主党候補者は自らの代弁者として送り出したくない。こういう意思表示は、政党そのものの体質改善のためにも重要なのではないだろうか。

そんなケースにも対応できる仕組みの有力候補である小選挙区比例代表併用制(比例でまず政党議席数を決め、小選挙区での当選者、そして惜敗率が高い方から議席を埋めていく)という仕組みについてもそろそろ真剣に検討すべきではないかと思う。

拙著「臨床家のための対人関係療法入門ガイド」が重版になるとのお知らせをいただく。専門家向けの本が着実に読まれていることは、一般書の場合とはまた別の意味で嬉しいことだ。 http://amzn.to/hKR270 


2011年02月24日(木)

今朝の朝日新聞を読んで「政治は弱者のために」という言葉がやはり引っかかる。今の社会システムでは暮らしにくい人がいるからシステムを改善することが必要なだけであって、そこに「弱者救済」という評価を上乗せすると結局は分断を深めるだけだと思う。


2011年02月25日(金)

今では民主党議員がテレビなどで子ども手当を擁護すると批判が多く来るそうだ。発案時に比べ大きく形を変えてしまった内容については私もいろいろと言いたいことがあるが、ようやく光が当たってきた子ども政策が愚策の代名詞みたいに認識されている現状は、とにかく悲しい。


2011年02月26日(土)

昨日、朝日新聞の方が取材に見え、民主党の社会保障政策の変遷を話し合っていたとき、「2005年の断絶」を改めて感じた。現職の方たちで2005年以前の経緯を語れる人は少なく、2005年以前の経緯の核心を知る人はすでに亡くなっていたり国会を去っていたりだという。

2000年に私が初当選したとき、民主党の厚生部会(今の厚生労働部門会議)が、ほとんど学会レベルの議論をしていることに感動したのを覚えている。また、「反対のための野党」的な色彩はあまりなく、生活に直結する厚生部門の政策を責任感をもって作ろうという気概があった。

2005年の郵政選挙では、社会保障に地道に取り組むような議員が多く失われたと同時に、そこから、たががはずれたように、「政策よりも政局」の政治傾向が顕著になったように思う。「ぶっ壊す」の言葉で始まった時代は、本当に創造文化を破壊文化に変えたような気がする。

持続可能な社会保障制度を作るには、単なる財源論ではなく、労働法制まで含めた大きな視野が必要で、腰を据えて取り組む必要がある。短期的なスパンの「政局」には全く馴染まない。今の政治文化が変わらないのであれば、やはり社会保障は政治から離れたところで熟議しないと無理だと思う。

パックインジャーナルに出演し、今日もジャーナリストの田岡俊次さんからいろいろと教えていただいた。ソ連がアフガンから撤退した後に東欧社会主義・ソ連の崩壊が起こったのと同様に、米国のイラク撤退に続いて今回の中東異変が起こっている、という見方は、なるほどと思った。


2011年02月27日(日)

現在の日本の政治状況から、議会制民主主義の否定に進むことが心配。「強いリーダーシップ」を求めることは、独裁への流れだと思う。ことは議会制民主主義の問題ではなく、「小選挙区制による二大政党制」というシステムの問題。その現実が見えてきたに過ぎないのだと思う。

拙著を「神保町の匠」(三省堂書店公式ブログ)で取り上げていただきました

毎週洪水のように出る本から、お勧め本を目利きが紹介する「神保町の匠」で、
拙著「トラウマの現実に向き合う ─ ジャッジメントを手放すということ」を
紹介していただきました。的確な書評をいただいております。
数ある著書の中でも思い入れの深い本なので、とても嬉しいです。

三省堂書店公式ブログ http://www.books-sanseido.co.jp/blog/takumi/2011/02/post-273.html

CS放送出演のお知らせ

2月26日(土)11:00~13:00、朝日ニュースター(CS放送)の「愛川欽也パックイン・ジャーナル」にコメンテーターとして出演する予定です。

テーマは以下の予定です。

(1)中東リビア危機、アメリカ、日本、世界への影響
(2)政権交代後も天下り続々
(3)取り調べ可視化 一部ですか
(4)ああ、民主党は…

CS放送をご覧になれる環境の方は、ぜひご覧くださいませ。

「対人関係療法でなおす トラウマ・PTSD」を刊行しました

創元社から出していただいている対人関係療法シリーズの第五弾として、トラウマの本を刊行いたしましたのでお知らせします。

タイトルが「トラウマ・PTSD」と変則的な形になっているのは、PTSDについても説明しつつ、トラウマによる病全般(うつ病、摂食障害、社交不安障害など)を視野に入れているものだからです。

一般の方(患者さん、ご家族、その他ご関心のある方)向けです。

対人関係療法でなおす トラウマ・PTSD

創元社

1575円(税込)

アマゾンで購入する方は

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4422114654?ie=UTF8&tag=mizucx-22&linkCode=xm2&camp=247&creativeASIN=4422114654

本の帯より

□ 衝撃的な体験をしてから、どう生きたらよいかわからなくなった
□ 些細なことでひどく怒るなど、感情のコントロールが難しい
□ 人を信じられず、怖く感じることが多い
□ 自分の感じ方を全く肯定できない
□ なかなか治らないうつ病や摂食障害などがある

ふつうの「傷つき」とは異なるトラウマがあなたにもたらす苦しみ —- 今度こそ自由になるための向き合い方・受け止め方

以下、「あとがき」からの抜粋です。

 私は様々なトラウマ患者さんを診てきましたが、いつもつくづく思うのは、トラウマ症状がよく知られていないために、どれほど対人関係が歪んでしまうかということです。周囲はもちろんのこと、本人も、自らの言動がトラウマ症状を反映したものだということに全く気づいていないことの方が多く、「なぜこんなにうまくいかないのだろう」というところで行き詰まってしまうのです。本人がトラウマ体験をしているということが明らかになってもなお、目の前で起こっていることがトラウマを反映したものだと気づかれないことが多いですし、トラウマ症状だというところまではわかっても、対処法がわからずに火に油を注ぐようなことになってしまっている人たちもいます。トラウマの苦しみは、トラウマ体験そのものからくるだけでなく、現在の「生きづらさ」による部分もとても多いのです。

 トラウマは対人関係に大きな影響を与えるものですが、同時に、トラウマからの回復に大きな力を発揮するのも対人関係です。トラウマによって悪循環に陥ってしまった対人関係を癒しの力に変えていくことが対人関係療法の本質だと言えますが、その効果に感動することも少なくありません。意外なところに効果が現れてくる、というのがその実感で、トラウマによって見えなくなっていた自分の力とつながるというのはこういうことなのだな、としみじみ思います。そんな体験を少しでもお伝えしたいと思い、本書を書きました。トラウマについて私が普段患者さんにお話しするようなことはだいたいカバーできたと思います。

1月のツイッターより(反響の大きかったものの抜粋)

2011年1月のツイッターより、反響が大きかったものの抜粋です。


2011年01月01日(土)

あけましておめでとうございます。現在アメリカなので、実はまだ2010年で、年越しはこれからです。アメリカはいろいろな問題を抱えた国ですが、知らない人同士目が合うと微笑み合う文化は個人的に大好きです。お金も苦労もかからずにとても気持ちがよくなるのですから。


2011年01月07日(金)

帰国。「対人関係療法でなおす うつ病」が重版になるとの連絡をいただく。一人でも多くの方に読んでいただきたいと思って書くので、重版のお知らせはいつも大変嬉しい。http://amzn.to/fQIBY4


2011年01月08日(土)

朝日1面「貧困救う学びの場」をじっくり読んだ。高校進学をしたいが塾に行くお金がない子どもたち向けにNPOが提供している無料塾に、中学校の先生からも自分の生徒をみてほしいという依頼が来るそうだ。親の経済格差を子どもの世代にそのまま引き継がせないための貴重な努力。

これは公教育の現場における歪みと余裕のなさという問題として見ることもできるし、それはそれで重要な観点だ。公教育は、社会で最も大切なものの一つとして、皆が本気で考えるべきテーマだと信じている。一方、公的サービスを誰が担うのかという視点からも見ることができる。

本来公教育が担うべき役割をNPOが補完している。これは、他の公的な領域にも広がっている現象だ。この流れが進むと国の形が変わる。税金を払って政府に使い道を任せる社会から、自分が望ましいと思う公的サービスに投資する(そして減税される)社会に日本は転じるのだろうか。

なお、NPOがそれだけの役割を担うには税制の改正が不可欠。そういう意味では日本におけるNPOの位置づけはまだまだ中途半端。参考までに、私がかつて米国のNPOについて書いたもの。http://bit.ly/eH7dMk


2011年01月09日(日)

数日前に取材協力したアエラの見本誌(1月17日号)が届く。「菅は『葬式躁』になっている」という扇情的な見出し。ちなみに「葬式躁」は香山リカ氏の「みたて」で、私が述べた「恥ずかしがり屋の旧世代の男性で、言葉足らず」という見解とは全く異なる。

それにしてもこの記事は、香山リカ氏、和田秀樹氏、そして私、と「3人の精神科医に『診断』してもらうと・・・」というものだった(取材されたときは知らず)。私は菅さんを直接知っているのでその立場で答えたが、病気でもない人について精神科医のコメントがなぜ必要なのだろう。


2011年01月13日(木)

菅首相「国会対応、まじめすぎた」発言。要は「野党ペースに乗せられてしまい、自らのペースを作れなかった」という意味だと思うが、もちろんこれでは「ふまじめでいいのか」という批判が出るだろう。伝えたいことに適切な言葉を与える側近が本当に必要だと思う。


2011年01月14日(金)

朝日3面「凶弾が映す米国の分裂」。米国内の分断について「米国の自由主義を脅かすのはイスラム過激派でもテロ支援国家でもなく、米自身が自壊に向かっているのではないか」これは米国に限った問題ではなく、他者を攻撃するときには自らを攻撃しているということの象徴だと思う。

他者を自分から分断する姿勢は、自分の中にも分断を作り出す。良心との分断もその一例だ。「人の悪口を言うのはよくないけれども、今だけは例外だ」などというように。米国も、「正義」の名の下に多くの人の命を奪ってきたが、「今だけは例外」が続いてきたのだろう。

今回の銃乱射事件で命を絶たれた911テロの日生まれの9歳の少女(うちの息子と同じ日生まれ)についてオバマ大統領が「私たち大人が慣れきった虚無や悪態などの汚れを知らないまま胸を躍らせて政治集会を訪れていた彼女の期待に、私たちはこたえるべきだ」(朝日3面)

虚無や悪態は「汚れ」と言うよりも、自動反射的な習慣の積み重ねだと思う。何よりも大きな可能性を持つのは、自動反射的に何かに反応する前に、一人ひとりが自らの内面に向き合い、心の姿勢に責任を取っていくことだと改めて感じる。社会の平和はやはり一人ひとりの心の平和からだ。


2011年01月17日(月)

やや専門家向け(?)のエッセイを、ホームページから読めるようにしました。岩崎学術出版社から本を刊行する都度「学術通信」に気ままに書いたものです。「トラウマの現実に向き合う」を刊行したので、次のエッセイを執筆中。http://bit.ly/endLf6


2011年01月18日(火)

保護者からのクレームで不眠症になった、と小学校の教員が当該保護者を提訴したというニュース。詳細はわからないが、訴訟を起こす以外に解決の場がなかった(と当事者が思った)ことは事実。誰が悪いかではなく、今の教育現場に欠けているものを真剣に考える機会にしてほしい。

校長から市教委にあてられた提訴を支持する文書の中で「モンスターペアレンツに学校や教師が負けないように」という表現が使われているが、子どもが主役の学校という現場で、大人の勝ち負けという概念には違和感。くれぐれも子どもたち(当の子どもも含めて)を中心に考えてほしい。

もちろんこういう状況に必要なのは修復的司法の考え方だろう。イギリスに習って、日本の学校も積極的に修復的司法を取り入れたらよいと思う。対立の解決にもなるし、何らかの危機(教員が保護者を提訴というのも危機だと思う)に直面したときの心のケアにもなる。


2011年01月20日(木)

今朝の朝日新聞「耕論」のテーマはここのところ朝日が特集している「孤族の国」。藤森克彦さんと上野千鶴子さんの意見に共通するのが「単身を前提とした社会の仕組みづくり」の必要性。これは全く同感で、社会の現実に対して、社会保障などはまだまだ前時代的な前提に基づいている。

現実と社会制度がずれると歪みが生まれるのは当然のこと。今はどうだか知らないが、私が現職国会議員だった頃、行政はまだ「標準世帯」という概念を用いていた。専業主婦がいて、子どもが二人、という世帯のことだ。高度経済成長時代には多かったが今では少数派と言える世帯。

社会保障が「単身」を前提にするようになると、本当にバラバラの社会になってしまうのではないかと懸念する人もいるが、実際には逆で、ライフスタイル選択に伴うリスクが減れば、それだけ純粋に関係性の構築にエネルギーを注げるようになるのではないかとも思う。


2011年01月21日(金)

児童施設内の虐待。職員の専門性の向上と、人員配置の改善は急務。日本の児童養護施設では子ども6人につき職員1名だが、私が視察したノルウェーの青少年ホームでは子ども1人につき職員2名(2交代)だった。http://bit.ly/hN2RxU 5項目目「ピーターホフ青少年ホーム」

児童施設の職員もそうだが、以前お会いした里親の方は、虐待を受けた子どもが呈するトラウマ症状とその対処法を知らなかったため、本当に孤立無援で振り回されていた。症状を持つ子に対しては、専門知識による支えがあって初めて、子ども本人を愛し受け入れる余裕ができると思う。


2011年01月23日(日)

今朝の朝日の社説は新型インフルエンザについて「適度に怖がるというのは、いかに難しいか」で始まる。これは「適度」という程度問題ではなく、現実のリスク評価と心の姿勢を区別するという話だと思う。想定されるリスクに対処することと、「怖れ」という心の姿勢を採用することは別。

その両者の違いは、今までの拙著の中でも、「アセスメント」と「ジャッジメント」の違いとして http://amzn.to/geEbV0  また、「不安」(という感情の本来の意味)と「怖れ」の違いとして http://amzn.to/fQCajx  書いてきた。

ある立場における「正論」は他の立場の人を傷つけうるものであり、つながりを重視した「人間の安全保障」のためには、それぞれが一人の人間として「自分の」事情と気持ちを誠実に語っていくことが最も効果的だと思う。他者に評価を下す「正論」ではなく。


2011年01月25日(火)

昨日の朝日新聞関西版夕刊「心をあたためよう」という記事で、阪神淡路大震災で救援活動の陣頭指揮をとられた精神科医の巨頭・中井久夫先生が拙著「トラウマの現実に向き合う」を紹介してくださったとのお知らせをいただく。大変光栄なことだ。http://amzn.to/geEbV0

拙著の副題は「ジャッジメントを手放すということ」だが、中井先生は認知症についてのジャッジメントに問題意識を持っておられ、拙著が参考になると言ってくださっている。中井先生は統合失調症が不治と言われていた頃にも疑問を持たれていたが、今度は認知症にも同じ問題意識を持たれている。敬意。

「不治と決めつけている現状から一歩でも出ることです。統合失調症でも不治を前提とすると何でもその証拠に見えましたし、良くなれば、もともと統合失調症でないとされた。この『目のウロコ』を取らなくては」(1月24日朝日夕刊関西版・中井久夫先生)

「知情意(知性・感情・意志)の、情と意の部分を周囲が大切にすると、ずいぶん違ってくると思います。患者は『自分の人生の主人公である』と、どういう時でも思わせることが工夫のしどころでしょう。」(1月24日朝日夕刊関西版・中井久夫先生)


2011年01月27日(木)

社会保障が政局に翻弄されてしまわないためには、メディアがよほどしっかりして政局から社会保障を守るか、国会以外に熟議の場を作り、形になってから国会に戻すか、のどちらかが必要だという気がする。「与野党のお手並み拝見」だけで乗り切ろうとするのはあまりにリスクが高そうだ。


2011年01月28日(金)

今朝の朝日「耕論」は中国について「脅威論の落とし穴」。松田康博氏は「感情的な『中国脅威論』は戦略の名に値しない」「(素朴な脅威論も素朴な敗北主義も)どちらも中国の穏健派を弱め、強硬派を強めてしまいかねない」。「脅威論」は「怖れ」の姿勢を反映したものだと感じる。

西崎文子氏「外交不在の問題を、防衛軍事戦略の問題にすり替えるような発想は、日本を含めたアジア諸国の排他的ナショナリズムを刺激するばかりでなく、軍事の論理が政治に優越するような社会へと私たちを導きかねない」(朝日新聞「耕論」)これも共感する視点。

AHではあらゆる「脅威」を手放すことができると考え、「無防備の中に安全がある」と言う。これを物理的なレベルでとるとすぐに反証があがってくるが、心の姿勢のレベルでとらえれば、現実的にとても効果的だと感じている。冷静なリスク計算もその上に成り立つものだからだ。


「プライムニュース」出演のお知らせ(2月3日)

BSフジ「プライムニュース」にゲストとして出演することになりましたのでお知らせします。

日時:2011年2月3日(木) 20:00~22:00

シリーズ「提言・安心社会 日本への道」の第5回「子ども・子育て支援」です。

ゲストは私の他、民主党衆院議員の泉健太氏の予定です。

ご覧いただけると嬉しいです。

バイロン・ケイティのワークショップのお知らせ

私が訳した「探すのをやめたとき愛は見つかる」(創元社)の著者で、「ワーク」の創始者であるバイロン・ケイティが、今年来日してワークショップを行うことになりました。
私はカリフォルニアの男子刑務所で「ワーク」のボランティアをしておりましたが、受刑者にとてもプラスの影響を与えていました。
初めて刑務所に行ったときの体験は http://blog.goo.ne.jp/mizucx/e/7a8374554563acb97579a4dbb8ea3416 です。

ご関心のある方はぜひご参加ください。

詳細は

http://www.transpersonal.co.jp/byronkatiework2011/

CS放送出演のお知らせ

1月22日(土)11:00~13:00、朝日ニュースター(CS放送)の「愛川欽也パックイン・ジャーナル」にコメンテーターとして出演する予定です。

テーマは以下の予定です。

(1)菅内閣の目玉 消費税をどう見る
(2)胡錦涛国家主席 米を公式訪問で
(3)春闘スタート 年収1%増額で攻防…って淋しい
(4)タイガーマスクが国を動かした?
(5)大阪地検 知的障害者に誘導調書 ますます全面可視化必要

CS放送をご覧になれる環境の方は、ぜひご覧くださいませ。

「対人関係カウンセリング(IPC)の進め方」刊行しました

精神科の治療が必要でない程度の軽いうつの方へのカウンセリングとして効果が示されている対人関係カウンセリング(IPC)の進め方をご紹介した本です。
私が専門としている対人関係療法の簡易版です。
日本語では初めてのご紹介になります。
できるだけ読みやすい形にしたつもりですので、お役に立てば幸いです。

対人関係カウンセリング(IPC)の進め方 ― 軽度のうつやストレスを抱える人への援助
創元社
定価 2100円(税込)

アマゾンで購入される方は 
http://amzn.to/ezzPbs

【本の帯より】
「軽いうつ症状」や「ストレス」に悩む人たちに非常に効果的な、対人関係療法の考え方を用いた短期カウンセリングの方法を紹介。
●カウンセラー
●会社のメンタルサポートに関わる人たち
●プライマリケアの医師
●そのほか、こころの援助に関わるすべての人たち・・・・・・にお薦めします。

NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る」で講演します(名古屋・3月11日)

NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る」(名古屋)で講演します。

出演は私の他に
尾崎 紀夫氏(名古屋大学大学院 医学系研究科 教授)
藤臣 柊子氏(漫画家・エッセイスト)

です。
同様の催しが4月に東京でも行われる予定です。(出演者は異なる予定です)

日時 2011年3月11日(金曜日) (13:30~16:00予定)

会場 ウインクあいち大ホール
愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4-38

定員 700人

申し込み方法等詳細は

http://www.npwo.or.jp/info/2011/utsu_nagoya.html