FM放送で、「ストレス社会にまけない心のあり方」というテーマで、うつ病について話します。お聞きになれる方はどうぞ。
■番組名: TOKYO FM Heart Sharing (http://www.tfm.co.jp/hs)
■放送日時: 6月22日(日)6:00~7:00
(私が出るコーナーは6:10頃~です)
2008年5月7日朝、急性心不全のため父・水島裕(ゆたか)が永逝いたしました。
前日まで全く普通に生活しておりましたが、着替えの途中の突然の出来事だったようです。74歳で、相変わらず忙しく様々な活躍をしているところでしたので、全く予期せぬことでした。
私はいわゆる「父親っ子」だったこともあり、心の準備ができていなかった父の死がかなりこたえておりますが、いずれは癒えていくものだろうと思います。しばらくは最低限の仕事をしながら喪に服していこうと思っています。
私が衆議院議員に当選したときに父は自民党の参議院議員でしたので、「いったいどういう親子だろう」と思われた方も多かったかもしれませんが、父はとてもリベラルな人間で、親子としての愛情と価値観は別、という成熟した態度を貫いてくれました。薬事行政という具体的なテーマを持っていた父にとっては、与党に身を置くことに価値があったのだと思います。「政治家」として政治に参加した私と、「実務家」として政治に参加した父との違いです。
父が生前お世話になりました皆様には心から感謝いたします。
以下に、父の人生のポイントを振り返らせていただきます。身内の自慢のようになってしまって恐縮ですが、特別な機会ですのでご容赦ください。
1 画期的な医薬品開発
内科医であった父は、「医師一人が診療治療できる患者の数は限られるが、優れた薬は多くの患者を救いうる」と、診療とともに、新薬の開発に一生を捧げてきました。特に疾患部位にミサイルのように薬を届かせる画期的な方法を開発しました。このミサイル療法は、現在では一般の方にも知られるようになってきたドラッグデリバリーシステム(DDS)の代表的なものです。特にすばらしい効果が出たのがプロスタグランジンE1と言う薬をナノ粒子に封じ込めたミサイル療法で、動脈硬化、糖尿病、膠原病に絶大な効果があることを発見しました。この製剤は、パルクス・リプルという名前で1988年に発売され、ピーク時には500億円の売り上げを記録しました。近年中国でも発売され、全ての医薬品の中で常にベストスリーに入る売り上げをあげています。
2 大学発ベンチャーの草分け
ここから得られる特許料の大部分を使い、聖マリアンナ医科大学に1990年に難病治療研究センターを創設し、初代センター長に就任しました。また、1988年には大学発ベンチャーの草分け的存在である、株式会社LTT研究所を立ち上げました。この会社は、株式会社LTTバイオファーマとして、2004年東証マザーズに上場を果たしました。
3 「今日の治療薬」著者
医書のベストセラーとして有名な「今日の治療薬」(薬の解説と便覧の本、年間14万部)をはじめ多くの著書を出版しています。一方、学会活動も精力的に行い、日本DDS学会、日本炎症・再生医学会を立ち上げ、その理事長、名誉理事長を歴任してきました。
4 医薬行政
さらに近年では、薬事行政の抜本的改革案として「日本版FDA」の創設を目指して、政治にも参加しておりました。1995年参議院議員、2001年に文部科学省初代政務官に就任し、薬の適応外使用の拡大などを実現してきました。2001年に議員を退いてからも、前議員という立場をフルに活用して政治と行政への働きかけを続けておりました。
その他、80曲以上の曲を作曲し、囲碁・将棋ともに7段の腕前、ゴルフ、テニス、手品など、多彩な趣味を持ち、我が親ながらユニークな人間であったと思います。また、いろいろな仕事をした父ですが、父親としての愛情は豊富でしたので、私にとっては「仕事と家庭の両立」の一つのロールモデルになっています。
なお、密葬をすでに終えましたが、お別れの会を5月31日の13時より青山葬儀所で執り行います。(詳細などお問い合わせは 03-5733-7390 水島事務所 まで)
新刊のご案内です。
自分で書き込みながら体験できる対人関係療法の本です。
うつ病の方、対人関係にストレスを感じておられる方にお勧めです。
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「うつ」が楽になるノート―みんなの対人関係療法
定価 1365円(税込)
出版社 PHP研究所
著者 水島広子
解説(PHP研究所ホームページより)
うつは国民病といわれています。やる気が出ない、気持ちが落ち込んでいる……どうにもならない自分の気持ちを素直に見つめる訓練をしてみませんか?
現代社会のストレスの多くは人間関係が原因だと言われています。この本で紹介する『対人関係療法』は、人間関係のストレスに対処する方法を学ぶことで、『うつ病』を治していく療法です。うつ病でなくても対人関係のストレスを感じているかたに活用できるヒントがたくさんあります。人との関係はストレスだけをもたらすものではなく、こころを癒す強い効果があることにも気づかせくれます。このノートを書きすすめていくうちに、人と向き合う前に自分のなかで整理しておいたほうがよいことをたくさん発見し、整理のコツをつかむ事ができ、いつのまにかこころが軽くなるでしょう。
人が今よりもずっと好きになる自己練習帳。
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3月21日(ちょうど私の誕生日ですが)くらいから書店で入手可能とのことです。
アマゾンでも予約販売を開始しています。
皆さまの心の健康のお役に立てば幸いです。
日銀総裁と道路特定財源という二つのテーマで国会が「空転」しているが、流れを見ていて、政治文化の問題を改めて痛感している。
日銀総裁はさておき、道路特定財源については、多くの国民が問題を感じている。特に、衆院審議を通して明らかになってきた「常軌を逸した無駄遣い」を目にして、このまま道路特定財源を守っていくべきだと考える人はまずいないだろう。
ところが、与党を中心に「それでも道路は必要だ」「地方切捨てだ」というような声が出てくる。これは政策論の明らかなすり替えであり、一般財源化した上で、地方分権の中、何に優先的にお金を遣うかは地方が決めていけばよいことだ。その地方が「それでも道路は必要だ」と思えば、一般財源から道路を作ればよいだけのことだ。地方切捨てでもなんでもない。
こうした政策論議は、どんどん進めていくべきだし、進めれば進めるほど国民の政治意識は高まる。自分たちが政治に関心を持つことがなぜ必要なのか、ということも本当に理解できるようになってくる。
政策論議を活性化するのは、まさに野党の役割であり、与党による「政策論のすり替え」を鋭く指摘して、論議を正しい軌道に乗せていく必要がある。
衆院審議は、その役割をよく果たしたものだと言えるだろう。
ところが、強行採決という「手続き」から流れが変わる。
気づくと「政治を混乱させて国民の利益を損なっているのは野党」というような空気ができてくる。私もかつて選挙区でそのような批判をたびたび受けた。
今回も、すでにそのような空気が作られ始めている。
「本来は与党が仕掛けたことなのに」という悔しさは、野党議員が常に抱くものである。民主的な手続きを先に放棄したのは与党の方なのに、応援してくれるはずの有権者が案外冷たい、ということはよく経験されることだ。
これは、強行採決という「手続き」を境に、主役が政策論議から「メンツ」に移るために起こることだと言える。
私ですら、先日新聞で「民主党の幹部が『衆院で強行採決をした与党が謝罪してこなければ先に進めない』と言った」という記事を読んで、かなり呆れた。
進めるべきなのは政策論議であり、与党と野党の「メンツ」問題は国民の利益とは何の関係もないからだ。
国会が紛糾していくうちに国民が飽きてくるのは、政策論議から「メンツ」へ、という主役の変化と直接関係している。「メンツ」の応酬を見ていると、「政治は関係ない」「自分が関心を持ってもどうせ変わらない」という気持ちになってくる。政策論議を聞いていたときには「自分の問題」だったのに、「メンツ」問題になってくると「勝手な政治家たちの問題」に変わってしまう、という構造である。
ところが実際に、政治を動かすエネルギーは「メンツ」だということは、私も政治の場にいて痛感したことだ。いかにして相手の「メンツ」をつぶさないかが、国会で成果をあげるためのポイントとなる。
確かに日本の社会はまだまだ「メンツ」が重要な構造になっているので、その代弁者である政治家たちが「メンツ」を中心に動くというのは仕方のないことなのだろうが、ここで野党が「怖れの綱引き」から手を放して、「メンツではなく政策を」という姿勢に徹することができれば、どれほど日本の政治文化が変わるだろう、と思っている。道路特定財源は、まさにそのための理想的なテーマだと思うのだが。
なお、「石原銀行」(新銀行東京)も、どれだけ「メンツ」から脱して政策論議ができるか、という重要なテーマだ。ポイントは都議会の対応になるわけだが、「どちらが正しかったか」という「怖れの綱引き」をするのではなく、現状に合わせた柔軟な政策論議が行われることを強く希望している。
対人関係療法の専門書が品切れになってお問い合わせを多数いただいてまいりましたが、ようやくこのたび「臨床家のための対人関係療法クイックガイド」を翻訳出版することができました。原書も2007年に出版された最新版です。実用性を重視して言い回しの例も多数載っています。専門家の方にはお勧めの一冊です。
さらに、完全版マニュアル「対人関係療法総合ガイド」の訳書を今年後半に岩崎学術出版社より出版予定です。
臨床家のための対人関係療法クイックガイド
マーナ・M・ワイスマン他 著
水島広子 訳
創元社 3150円(税込)
異例ではありますが、ぜひ読んでいただきたい本がありますのでお知らせします。
すでに注目されている方も多いと思いますが、現在東京外国語大学教授の伊勢崎賢治さんが書いた本です。
武装解除 紛争屋が見た世界 (講談社現代新書)
伊勢崎賢治著
740円(税別)
伊勢崎さんは、国際NGOに身を置き、シエラレオネ、東チモール、アフガニスタンで紛争処理を指揮してきた現場の人間です。アフガニスタンの北部同盟に武装解除させるという、不可能に思われたことを実現した奇跡の人です。
新テロ特措法をめぐり、ますます「何も知らない人たちの空論」が激化している中、ぜひ現場の本当の事情に触れていただきたいと思います。
私はかねてから「平和主義というのは、理想主義ではなく老練な現実主義だ」という持論がありますが、この本は精緻にそれを示してくれる良書だと思います。
伊勢崎さんとは先日CS放送でご一緒させていただきましたが、醸し出される雰囲気が平和ですてきな方でした。
なお、アフガンでの伊勢崎さんの活躍を可能にしたのは、日本が長年にわたり培ってきた信頼によるものだということです。私自身も中東や北アフリカを旅行して、その厚い信頼を一般の人たちから常に感じてきました。「日露戦争、ヒロシマ、ナガサキ」というキーワードが、日本を特別な立場に置いてきたのです。伊勢崎さんは「アフガンでの日本は、国連以上に中立性を感じてもらえる存在だった」とおっしゃっていましたが、米国の戦争への追従姿勢を国際社会に示すことによってその信頼を数年間で壊しているのが現状です。独特な信頼感を生かしてこそ、独特で有意義な国際貢献ができたはずなのですが、本当に貴重な財産を失ったと思いますし、それを取り返すためのかなりの意識的な努力が必要だと思います。
対談 水島広子(精神科医)&斎藤学(精神科医)
日時: 12月9日(日)10:00-16:00
会場: 東京都中小企業振興公社(秋葉原駅より徒歩3分)
主催: JUST(特定非営利活動法人 日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン)
参加費: 1,500円(郵便振替口座 00170-0-89587 加入者名 JUST)
定員: 200名
連絡先: JUST事務局
Tel&Fax 03-5574-7311
E-mail Info@just.or.jp
http://www.just.or.jp
* JUSTオープンスピーカーズミーティング 『体験すること。語ること。』のプログラムの午後の部です。
(午前の部は、体験発表・ディスカッションで、10:00からです)