衆議院憲法調査会
(2003年7月24日)



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自由討論に関して



○水島委員
 民主党の水島広子でございます。
 もう時間も残り少ないので簡潔に発言させていただきたいと思いますが、私、今国会から初めてこの憲法調査会のメンバーに加えていただきまして、ほかの委員会とは違ったやりとりを大変興味深く、新鮮な目で見てきたわけでございます。
 中でも、この議員同士の自由討議というものがあるというのはほかの委員会には見られないことでございまして、どうしても言いっ放しになりがちな議員の議論をちゃんとお互いに追求できるというやり方は大変よいのではないかと思ってきた一方で、せっかく参考人をお招きして参考人審議をやって、そこで一定の結論が得られたかなと思うようなことが、次の自由討議になるとまたゼロからスタートして、お互いが従来どおりのことを言っているというような構造も何度も繰り返されてまいりまして、一体何だったんだろうかと、時間のむだではなかったのだろうかと感じるようなことも、大変僣越な発言をしていることは十分承知しておりますけれども、そのようなこともこの新鮮な目で観察いたしまして感じたところでございます。
 例えば、先ほど、国を守る義務とか家族を大切にとか、そういうのを憲法で規定すべきではないかという御発言もございました。
これに関しては、基本的人権の保障に関する小委員会におきまして参考人をお招きいたしましたときに、やはり道徳を法律で規定するとかえって逆効果になるというようなことも指摘され、過去の例も挙げられました。
道徳というのは法律で規定するのではなくて、むしろそういう日常の意識の中からつくられていくべきだというようなことも指摘をされ、そのときには全くそれに対して反論という形で何も出てこなかったにもかかわらず、やはり本日になるとまた同じようなことが御意見として開陳される。
もちろん御意見は御意見で、政治的信条としてお持ちになるのは結構なんですけれども。
 では、そうやって法律で規定してしまった場合、かえって逆効果になったら、国会議員としてどうやって責任をとるんだろうか。
今、本当に社会が非常に大変な時期ですので、私は、ちょっとでも方向の選択を間違えるともうどうしようもないことになると深刻に感じておりますので、そんな中だからこそ、参考人の発言、参考人もいろいろなお立場の方がもちろんいらっしゃいますけれども、そういったこと一つ一つを丁寧に確認しながら進んでいかなければ大変なことになるのではないかと思っております。
 子供の問題、ここのところ国会の中でもあの大臣の発言も含めて、議論が大変混乱をしているわけでございますが、私は、今の子供たちは何が問題かといえば、先ほど何か脳生理学のお話も多少あったようでございますけれども、やはり、子供の脳を健全に育てていくには、小さいうちから、大人とまずコミュニケーションを十分にしていくこと、そしてさらに子供同士で試行錯誤をしながらいろいろなことをやっていくこと、その二つが子供の脳の健全な発育には必要であるということは、そろそろ常識ではないかと思っております。
 そういう中で、大人はもう、会社人間であったり、あるいは母子密室育児で、ほとんど実際にはコミュニケーションがなかったり、子供がほかの子供と試行錯誤し合う場がなかったりと、そんな中で子供を育ててしまっている今の日本の社会のあり方ということを、私たちは本当に真摯に反省して、すぐに変えていかなければいけないと思っております。
 そんな中、幾ら憲法の前文に家族を大切にとかなんとか書いたからといって、今、子供たちが置かれている状況を、なぜそういう状況に置かれてしまっているのかということを、現実を、また参考人の御意見を伺いながら検討していくことが大変急がれているのではないかと思っております。
 また、実際に今、憲法では二十五条で、生存権を定めたりとか、基本的人権を定めているわけではございますけれども、ここのところ、例えば、子供を産まない女性が税金で面倒を見てもらうのは何なのかという、憲法二十五条に真っ向から反対するような御発言がございましたり、あるいは集団レイプという、もう本当に、女性にとって、被害者にとって、その後の人生を完全にめちゃくちゃにされるようなことを正当化するような発言があったりと、幾ら法律で何を決めていてもそういう発言をぽろぽろしてしまうというところにモラルの問題があるのではないかなと思っておりますので、ちょっとそれは原則に返ってやっていただきたいと思いますし、また、幾らこう議論が進んでいってもまた振り出しに戻るということ、これは、ある程度、人間のさがとして仕方がないとは思うんですけれども、ぜひ会長にも、これからの憲法調査会の運営上、もしもお知恵がございましたら、いただければ幸いでございます。
 以上、大変僣越なことを申し上げまして、失礼いたしました。







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