衆議院憲法調査会
「基本的人権の保障に関する調査小委員会」
(2003年3月13日)



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男女共同参画について



○大出小委員長
 次に、水島広子君。

○水島小委員
 民主党の水島広子でございます。
 きょうは、菅野参考人また藤井参考人、お忙しい中ありがとうございます。
せっかく貴重なお時間をいただきながら、こちら側の出席率が非常に悪くて恥ずかしく思っているところでございますけれども、本日は、私は、主に男女共同参画の方について質問をさせていただきたいと思います。
菅野参考人もこの方面において非常に御造詣が深いということはかねてから伺っておりますけれども、十分という限られた時間でございますので、主に藤井参考人にお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ここのところ、故意なのか過失なのかわかりませんけれども、男女共同参画の概念がかなりゆがんで議論をされているなというふうに思っておりますし、先ほども多少混乱した議論があったかなというふうに伺いました。
また、国会審議も一時期混乱いたしましたし、現在も、地域における条例制定の現場でもいろいろな混乱があるというふうにも聞いております。
 先日、これらの点につきましては、私は、予算委員会の分科会におきまして官房長官に質問をさせていただきまして、私が考えているジェンダーフリーというものと男女共同参画社会基本法の定めるものが同じであるということを確認いたしまして、大変安心したところでございます。
長く労働行政に携わってこられた藤井参考人に、本日は、この憲法調査会という場で、基本的なことをまず確認させていただきたいと思っております。
 憲法が定めております男女平等そして勤労の権利、これらをともに満たすためには、出産ですとか妊娠ですとかあるいは月経ですとか、そのような生物学的な男女の違いによって男女の働く機会の均等ができるだけ妨げられないようにするのが政府の役割である、そのためにできるだけ努力をしていくべきであるというふうに理解してよろしいでしょうか。

○藤井参考人
 生物学的にいろいろ違いがあるということ、それから、女性の場合は出産というのがあるということですね。
でございますから、先ほど御説明いたしましたように、労働基準法の中にある母性保護、そういう出産機能に着目した保護規定というか、その部分については、一般の女子保護規定が緩和され、あるいは解消される中でも拡充されてきたわけでございますので、今水島委員おっしゃいますように、そういう差については、むしろ保護を拡充して平等を実現していくという考え方でございます。

○水島小委員
 安心いたしました。
この問題になりますと、突然、生物学的な男女の違いと、社会的につくられた男らしさ、女らしさというものがどうしても時々混乱して語られてしまいまして、やはり、労働行政の目指すものというのは、生物的な違いというのをもちろん尊重した上で、社会的なジェンダーというものを、できるだけそれに縛られずに、一人一人が自分らしく暮らしていく社会をつくっていくところに原点があると思っておりますので、今確認させていただけたと思います。
 きょうのこの男女共同参画の問題を議論していきますと、きょうの議論にも既に出てきているわけでございますけれども、必ず、家庭の問題ということが出てまいります。
確かに、仕事と私生活というのは表裏一体の関係にございまして、日本は、いわゆるワーク・ライフ・バランス、仕事と私生活のバランスと訳すのだと思いますけれども、このワーク・ライフ・バランスが極端に悪い国だということをよく聞いております。
女性の労働力率がM字型であることとか、男女の賃金格差が大きいこととか、また男女の家事労働時間が極端に違うことなどは、それを示す一つのデータなのかなと思っておりますけれども、もしもそのワーク・ライフ・バランスについて、それを端的に示すものを何か御存じでしたら教えていただきたいと思います。
 また、このワーク・ライフ・バランスというものは、女性の社会進出ですとか、また少子化という観点からは今まで日本の政治の場でも語られてまいりましたし、また、親のワーク・ライフ・バランスがよいということは子供が健やかに育つ上でも重要だと私は思っておりますけれども、アメリカではビジネス戦略として既に活用されているというふうにも聞いております。
つまり、私生活が充実している人の方が仕事の効率がよいということだそうでございます。
 日本国憲法の精神を生かすには、その人が人間としての尊厳を持って生き生きと働ける環境を提供することが大切だと思いますし、そういう観点からも、ワーク・ライフ・バランスのことを重視しなければならないと私は考えておりますけれども、この点についての藤井参考人の御意見をお聞かせいただければと思います。

○藤井参考人
 今、水島委員おっしゃいましたことは、本当にそのとおりだと思います。
仕事と家庭の両立という言葉で行政上は言ってまいりましたけれども、さらにそれを進めた概念として、ワーク・アンド・ライフ・バランスですか、そういう概念が最近持ち出されているのは大変結構なことだと思うんです。
 私が行政の責任者でありましたときに勉強して研究会報告でまとめたものに、ファミリー・フレンドリー企業という概念がございます。
これは、企業が従業員のまさにワーク・ライフ・バランスをとるためにいろいろな措置を講じている、そういうのがアメリカあるいはイギリス等で推奨されているということがあったものですから、そういう施策を打ち出して表彰制度等々を設けたものでございますが、そういうようなことでお答えになっていますでしょうか。

○水島小委員
 まさにそういう、企業がやらなければいけないものであるとともに、今のこの日本の閉塞的な経済状況を打開していくためにも、活力を取り戻していくためにもむしろプラスになる施策なんだというような観点をぜひこれからもっと皆さんに持っていただければと思っております。
 私たち民主党は二〇〇一年には、その人らしい仕事と家庭のバランスを可能にする、仕事と家庭の両立支援法案を国会に提出させていただきましたし、また、ことしはパート労働者の均等待遇原則を定めた法案の骨子をまとめたところでございます。
これから法案提出に向けてさらに取り組んでいくところでございますけれども、こうした施策の方向性は正しいと御確認いただけますでしょうか。

○藤井参考人
 個別にはいろいろ申し上げたいこともないわけではございませんが、方向としては大変結構な方向ではないかと思います。

○水島小委員
 あと、きょうは主に働くということで御意見を伺っているわけでございますけれども、やはり、労働現場における男女共同参画の問題を考える上には、一つは仕事と家庭の両立の問題、またセクハラの問題、またもう一つは、やはり私は選択的夫婦別姓の問題だと思っております。
姓が急に変わることによって、どうしても働く権利がある程度損なわれるということがございますので、これらの点について恐らく御同意いただけると思いますけれども、何か笑っていらっしゃるので、最後に、時間が終わる前に、せっかく菅野参考人にいらしていただいておりますので、今まで私と藤井参考人がいろいろ議論してまいりましたこと全般に関しまして、労働法の大家という立場からで結構でございますけれども、何かコメントをいただければ幸いでございます。

○菅野参考人
 私も、実は今、学部長という職をやっていて、それで、男女共同参画を推し進めるにはどうしたらいいかというのを具体的に考えております。
これはもう、その意識を持ってやるということが重要だと思いますが、なかなか他方では時間がかかるということも確かかなという気がしておりまして、前向きに、しかし根気よくやっていくべきことだと思っております。

○水島小委員
 どうもありがとうございました。




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