小野清子国務大臣に対する一般質疑○水島委員 民主党の水島広子でございます。 本日も、小野大臣に青少年施策の基本的な点について御質問させていた だきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 質問に先立ちまして、もう既に本日もこの委員会で委員の皆さんが取り 上げてこられましたけれども、私も、長崎県でこのたび起こりました事件 につきまして、大変大きな衝撃を受けております。 あんな形で突然絶たれてしまった御手洗怜美さんの貴重な命を思います と、また残された御家族、親しい方たちのお気持ちを思いますと、本当に 胸がつぶされそうな思いでございます。 私自身も、小学生の子供がおりま す母親といたしましても、また子供たちの心の問題に取り組んできた立場 といたしましても、大変大きな衝撃を受けているわけでございます。 もちろん、この事件そのものにつきましては、既にいろいろなことをお っしゃっている方もいるようでございますけれども、私は、こういった事 件については、詳細がわからないうちから先入観に基づいて物を言うべき ではないと思っておりますし、大臣にもぜひそのようなお立場をとってい ただきたいと思っております。 それでも、やはりこの事件、特に学校現場、子育ての現場に非常に大き な衝撃を投げかけていて、今多くの子供たち、親たちが、どうしたらよい のだろうかというような、そんな状況にあると思います。 そういった子供 たち、親たちに対して、青少年担当大臣として何か一言いただければと思 います。 ○小野国務大臣 小学校内で同級生によります女の子のとうとい命が失われたという事件 はまことに痛ましい事件でございまして、深い衝撃を受けておりますし、 また、遺族の方々の無念は想像を絶するものがある、そのように私も深く 心を痛めているものでございます。 政府といたしましては、まず、事件の経緯や事実関係というものを、状 況の把握に努めているところでございまして、子供たち一人一人が命の大 切さというものや他人への思いやり、人を傷つけることは絶対に許されな いことであることなどの基本的な倫理観や規範意識などを身につけながら 健やかに成長していくために、家庭、学校、地域初めとする社会全体が総 力を挙げて取り組み、青少年の育成に取り組んでいかなければならないと いうことを改めて認識させていただいていることでございまして、ここで 御冥福をお祈りしながら力を尽くしてまいりたい、そのような気持ちいっ ぱいでおります。 ○水島委員 そして、今大臣からコメントをいただいたわけでございますけれども、 私が見ました新聞によりますと、早速、自民党の安倍幹事長は、教育基本 法の改正が必要というようなことをおっしゃっているそうでございますけ れども、私は、もうそのような底の浅い議論はいいかげんにしてもらいた い、本当にそんな思いでございます。 子供たちというのは、教育基本法だ けで生きているわけではございません。 私も昨年の夏、この委員会の派遣でヨーロッパ諸国を視察させていただ きまして、こちらにございますけれども、報告書もつくっていただいてい るわけでございますけれども、どこでも地域を基盤にした地道な取り組み が効果を上げているわけでございます。 私は、日本の政治に欠けているの はこの地道な努力なのではないかと思います。 何か事が起こると、やれ少 年法の改正だ、教育基本法の改正だというような、そういう単発的なテー マに飛びつきまして、それをやってしまうと、後はまたもうしらっと忘れ たような顔をしている、そのような一貫性のなさが現状をつくってきてい るのではないかと思っております。 オリンピックの選手を務められた大臣のことでございますので、地道な 努力の重要性ということはだれよりもよく御存じではないかと思いますか ら、そのようなお立場に立ってここからの御答弁をいただければと思って おります。 まず、大臣は、一九九〇年に決議されました少年非行の防止に関する国 際連合指針、いわゆるリヤド・ガイドラインを御存じでいらっしゃいます でしょうか。 ○小野国務大臣 先生今おっしゃいましたリヤド・ガイドラインというのは、少年が犯罪 を生み出さないような態度をはぐくむように、幼児期から人格を尊重し、 向上させ、調和のとれた思春期の成長を確保するために社会全体が努力す ることを基本原則といたしまして、そのもとに一般的な防止策、家庭の教 育あるいはコミュニティーなどのさまざまな社会化の過程の中で、青少年 を対象といたしました社会政策及び立法、少年司法運営といったさまざま な分野に指針を定めているものでございまして、このガイドラインは、少 年非行の効果的な防止を図る観点から、専門的見地からも含めて幅広く検 討されて策定されたものと受けとめているところでございます。 ○水島委員 では、大臣といたしましては、今かなりこのリヤド・ガイドラインを御 評価いただいているというような御答弁でございましたけれども、これが 少年非行の防止のための指針といたしまして、一〇〇%というのは難しい かもしれませんが、とりあえず必要十分なものだというような御認識をお 持ちでしょうか。 ○小野国務大臣 認識といたしましては、十分にそれを心しているものでございます。 ○水島委員 先ほど大臣が御紹介くださいましたように、非行の防止と簡単に言いま しても、これだけ多くの取り組みが必要とされるわけでございまして、と いうことは、それだけ子供たちが複雑な要因の影響を受けて育っていると いうことであると思います。 このガイドラインを見ましても、いろいろな方面にわたって書かれては おりますけれども、私は、そこに感じられるのは一貫性ということだと思 います。 大人社会から一貫性のない気まぐれなメッセージを受け取るとい うことは子供たちを混乱させることになりますし、それこそ、大臣がおっ しゃった子供たちの倫理観や規範意識というものをまた混乱させていくこ とになるのではないかと思っております。 ですから、私は、このリヤド・ガイドラインに従ってきちんと国内のい ろいろな制度を整えていくということが政治に問われている責任ではない かと思っておりますけれども、この国連の子どもの権利委員会でことしの 一月三十日に開かれました第九百四十六回の会合で、日本の第二回定期報 告書への総括所見を採択しているわけでございますけれども、この総括所 見の中でも、リヤド・ガイドラインの全面的実施を確保することが勧告を されているわけでございます。 つまり、日本はまだこれをきちんと全面的に実施していないということ が言われているわけでございますけれども、この必要性を十分認識してく ださっている小野大臣といたしまして、どうやってこれを進めていかれる おつもりか、お聞かせください。 ○小野国務大臣 水島議員御指摘のとおり、児童の権利委員会の最終見解におきまして、 少年司法の分野におきまして、リヤド・ガイドラインの完全な実施を確保 することが求められているわけでございます。 このガイドラインの理念というのは、少年の保護、健全育成という我が 国の少年司法と相通ずるものであると考えられておりますので、今後、最 終見解やこのガイドラインの内容を、よく趣旨を精査いたしまして対応を 検討してまいりたい、そのように考えているところでございます。 ○水島委員 ということは、小野大臣がその作業をしてくださるということの確認で よろしいんでしょうか。 ○小野国務大臣 つかさつかさの者と検討しながら、もちろん、私も全力を尽くしてまい りたいと思っております。 ○水島委員 ちょっとここで確認としての質問になりますけれども、そもそも、日本 において子どもの権利条約の遂行状況を監視している、その一番の責任主 体はどこになっているんでしょうか。 ○小野国務大臣 児童の権利条約の実施状況、このフォローアップにつきましては、条約 の解釈、実施等、条約全般を担当するのは外務省でございまして、それと、 青少年育成施策につきましては、企画立案、総合調整、こういうものを内 閣府が連携をして行っているわけでございまして、今後ともこの連携を密 にいたしまして、他の関係省庁との協力を得ながら対応してまいる所存で ございます。 ○水島委員 何か今のお答えだと、その担当は外務省というように聞こえますし、実 際に、私もいつも、この子どもの権利条約に関していろいろなことを省庁 に伺おうとしますと、それは外務省ですということで外務省の方がいらっ しゃるわけでございます。 外務省が日本においては子供の権利を守ってい く主体なんだろうか、外務というのは本来違う仕事なんじゃないだろうか と、非常に疑問に思うわけですけれども、ことしのその総括所見の中でも、 やはり「委員会は、条約の実施を監視する独立したシステムが全国規模で 存在しないことを懸念する。 」と書かれております。 つまり、外務省がその条約の実施を監視する独立したシステムと言って しまうのは余りにもおかしいのではないかと思うんですけれども、そうい う趣旨での質問でございますので、もう一度お答えいただけますか。 ○小野国務大臣 これは国際条約でございますから外務省という言葉が前面に出てまいり ますけれども、青少年育成施策についての企画立案とか総合調整を行うの は内閣府の私どもでございますから、それは外務省が一、私たちが二とい うことではなく、世界の連携の中で外務省が窓口にはなりますけれども、 実動いたしますのは私どもでございます。 ○水島委員 ということは、日本で子どもの権利条約の遂行状況を監視していく一番 の主体は小野大臣ということでよろしいんでしょうか。 ○小野国務大臣 結構でございます。 ○水島委員 大変心強い御答弁をいただきましたので進ませていただきますけれども、 それでは、例えば今回の総括所見の中でも、非嫡出子の差別の問題ですと か、また男女で最低婚姻年齢が異なることも含めまして、私たちがかねて から法案を繰り返し提出して指摘した内容も含まれているわけでございま す。 子どもの権利条約の遂行状況を監視する責任者としての小野大臣といた しましては、例えば、この非嫡出子の差別という問題についてどのように お考えで、どうやっていこうとされておりますでしょうか。 ○小野国務大臣 民法上、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一で あるとの規定になっているわけでございます。 この規定は、法律上の婚姻関係から生ずる家族を保護する目的で設けら れたものでありまして、児童の権利条約第二条が禁ずる児童に対する不合 理な差別には当たらないと考えているわけでございます。 また、最高裁は、この規定について、憲法第十四条第一項に反しないと 判断していると承知をいたしております。 立法政策の問題といたしましては、一九九六年の二月に法制審議会から、 法務大臣に対しまして、民法改正事項の一つとして、嫡出でない子の相続 分の同等化が提言されているものと承知をいたしております。 この民法改正の問題は、婚姻制度や家族のあり方にかかわる重要な問題 でございまして、国民各層あるいは関係方面でさまざまな議論がある件で もございまして、この問題につきましては、国会における議論、関係する 裁判における最高裁判決、あるいは児童の権利委員会からの勧告、そして 国際的動向を通じまして、各界各層における議論が深められ、大方の国民 の理解を得ることができるような状況で見直しが行われることが適当であ る、そのように考えているわけでございます。 ○水島委員 やはり今のような御答弁では、とても子供の権利の代弁者としてはふさ わしくないというふうに思います。 どちらかというと、何か法務省よりも ちょっと後ろなんじゃないかなと思うくらいでございますけれども。 例えば、この非嫡出子の問題、もちろん大臣は、政府の見解といたしま して、家族の何やら、いろいろな事情を見て考えなければいけないとおっ しゃるわけですけれども、これは、突然大臣がその立場の子供として生ま れてきたことを想像していただければ簡単なことなんです。 自分がある日この世の中に生まれ落ちてみたら、自分には何の責任もな いことで差別を受けているというような構造になっている。 これを差別じ ゃないと言うのは、差別している側からすれば、あなたが受けているのは 差別じゃありませんよと言うのは簡単なんですけれども、受けている側か らすれば、今の日本の社会の諸状況を考えましても、これはやはり差別な んです。 自分がほかの子供に比べると半分しか価値がないというふうにその子が とったとしても、それは全く言いわけできないような状況であるわけでご ざいます。 これは、完全に自分には何の責任もないことで自分がその責任 をとらされている、親の方はとらされておりませんので、子供だけがとら されているという構造でございます。 あるいは、無国籍児の問題なんかを 見ましてもそうでございます。 子供は何も責任がないところにただ生まれ てきてみた、そうしたら、きちんと国籍も与えられていないというような 状況に巻き込まれている。 そのように、大人社会のツケが子供に回されているという構造が今の日 本の社会には歴然と存在をしていて、そのことに対して、全体のバランス が云々というような大人側の理屈ではなく、子供の立場に立ってこれはお かしいじゃないかと声を上げていくべきだというのが子どもの権利条約の 精神でもあり、また、それをきちんとチェックしていく立場の人には、そ のような代弁者として機能してもらわなければいけないわけでございます。 そもそも、このような問題を政府の一省庁がやっていくということはや はり無理があるんじゃないかと私は思いますし、本来、そういう役割を担 わされているのが子どもオンブードということだと思います。 先日、日本にもノルウェーの子どもオンブードの方がいらっしゃいまし て、私もお会いしましたし、また昨年、私自身もノルウェーに行きまして、 子どもオンブードについていろいろと学ばせていただきました。 この当委 員会の派遣でございますので、報告書をごらんいただければと思っており ます。 そのノルウェーの子どもオンブードなどの場合には、子供の権利が守ら れることを監視するだけではなく、例えば子ども家族大臣をつくるような ことも提案して実現をしてきた。 つまり、一つの省庁をもつくってしまう ほどの力を持っていたということであるわけでございます。 私は、この日本にも子どもオンブードをつくらなければならないと思っ てまいりましたし、今の大臣の御答弁を伺うと、とてもこれでは日本に子 供の権利を最優先に考えてくれるところが全国規模でないということもわ かりましたし、政府に一定程度の影響力を持つ独立した機関である子ども オンブードというものをきちんとつくっていかなければいけないと、きょ うまた改めて強く思いました。 また、これは国連の委員会からも勧告されているということを二月二十 七日のこの委員会でも大臣に申し上げたわけでございますけれども、その 後、大臣は、まずこの子どもオンブードについて御研究いただけましたで しょうか。 いかに多くの国にあって、いかに重要な役割を果たしているか ということを御研究いただければ、その必要性ということを御認識いただ けると思いますけれども、その御認識はいかがでしょうか。 ○小野国務大臣 議員御指摘の子どもオンブードにつきましては、例えばノルウェーでは、 国の機関として設置をされまして、児童の権利にかかわる事項につきまし て、おっしゃいましたように、国会に対して議員が提出する法案について の意見具申や新たな法案の必要性の提案、それから、政府に対して子供の 権利擁護の観点から必要な意見を述べること、さらには、児童及びその親 権者等からの情報に対して返答することなどの機能を持っているものと承 知をいたしているところでございます。 我が国におきましては、そのような意味での子どもオンブードというも のはございませんけれども、子供の人権にかかわる問題を専門に扱う行政 上の措置の一つといたしまして、子どもの人権専門委員会というものが現 在全国に七百名実は配置されておりまして、子供の人権侵犯事件の調査、 処理及び人権相談などの活動を行っており、子供の人権が侵害されるおそ れがある場合には、法務局と連携をいたしまして適切な処理をしていると 承知をいたしております。 形は違いますけれども、いわゆる子どもの人権専門委員会というものが 日本にあって、七百名という配置がなされ、そういう方々が活動している という、またオンブードとは違った形が存在しているということが一つご ざいます。 我が国におきましては、児童の人権を守るためにどのような仕組みがよ りふさわしいかにつきましては、議員の御指摘も踏まえまして、今後とも 研究をさせていただきたいと考えております。 ○水島委員 そのような地域レベルの活動ですとか、そういったことについては、国 連の委員会でもきちんと知っているわけでございます。 それでもやはり、 この条約の監視する独立したシステムが全国規模で存在しないということ を問題にしているわけです。 また、私が今子どもオンブードを日本でもつくる必要があると言ったの は、例えば、今どういう文脈でその話が出てきたのかといいますと、先ほ どの非嫡出子の問題、これは民法の問題でございますけれども、今ある日 本の法律について、その法律議論として、つまり立法の議論として、政府 と同等の立場でそうやって子供の権利をきちんと主張できるようなものが 必要じゃないかということを申し上げているわけです。 きょう、最初の方の御答弁では、小野大臣がそれをやってくださるのか なと思ってちょっと期待をしていたわけでございますけれども、例えば一 つ例を挙げてみたところの非嫡出子の問題にいたしましても、特にあの中 で青少年の担当の大臣だからというような姿勢が全くない御答弁だったわ けでございますけれども、もしもいただけるのであれば、もう一度その点 について答弁し直していただけますでしょうか。 ○小野国務大臣 それぞれの国のよって立つ歴史というものとその時代の流れの背景とい うものがございますし、法律上の婚姻関係から生ずる家族というものを保 護するということもやはり一つあろうかと思いますし、この民法改正の問 題というのは、いわゆる婚姻制度とか家族のあり方にかかわる重要な問題 でありますので、私個人が突然この問題に関しまして大なたを振りおろす ということは、やはり国民全体の認識の醸成というものが何よりも必要で あろう、そのように考えているわけでございます。 ○水島委員 まず、小野大臣は、子どもの権利条約の趣旨には、当然その批准国の大 臣として賛同されておりますでしょうか。 ○小野国務大臣 それは了解しているつもりでございます。 ○水島委員 そして、その子どもの権利条約の遂行状況を監視する責任が小野大臣に あるという御答弁も先ほどいただいたわけですけれども、この非嫡出子の 問題、本当に子供の立場に立って考えてみていただければ、これは明らか に子どもの権利条約の精神に反しているわけでございますし、だからこそ、 この委員会からもそのような意見が出されているわけだと思いますけれど も、この点については、大臣はどういう御見解なんでしょうか。 ○小野国務大臣 子どもの権利条約ということで、嫡出、そうである者、ない者、両方の 立場があるわけでございますので、そういった面におきまして、いつ双方 が同じ気持ちの場に立つのか、そして、法律上その家族構成や家族のあり ようというものがどういう形に進んでいくのかというのは、私が先ほどか ら申し上げておりますように、それぞれのよって立つ歴史的な流れという ものもあるということを申し上げているわけでございます。 ○水島委員 その歴史的な流れとか、社会的な状況とか、いろいろな大人の立場とか、 いろいろな大人の身勝手とか、そういう中で子供たちが犠牲になってきた のを何とかしようということで、こうやって子どもの権利条約もできたわ けですし、今、世界各地でいろいろな人たちが努力をしているわけでござ います。 今の御答弁は、やはり青少年担当というふうに名乗られるのであれば、 余りにもその責任を自覚していらっしゃらないと言われても仕方がないこ とだと思いますし、少なくとも、それが認められる、認められないは別と しても、大臣はちゃんと子供の立場に立って、こういうことを直していか なければいけないんだということを訴えるべき立場にあると思っておりま す。 そのようなお気持ちをもう一度きちんと持っていただきたいと思ってお りますけれども、本日は、それを詰めておりますと時間がなくなりますの で、もう少し、今本当に大臣がどのようなお仕事をされているのかという ことをちょっと伺いたいと思うわけです。 例えば、このリヤド・ガイドラインもコミュニティーに重きを置いてい るものと私も認識をしております。 また、日本もまさにコミュニティーを 基盤にした努力が必要な状態にございます。 以前から少子化が進んでおり まして、子供にとって親戚や地域の大人たちという身近な大人が減ってお りますし、昔の地域社会では、いろいろな大人がいろいろな形で子供たち とかかわってバランスをとっていたわけでございます。 その機能を今は別 の形で補完しなければならないわけでございまして、そこに政治の役割が あるわけです。 私が見てきた国々では、そうした努力を本当に地道に続け て、成果を上げてきていたわけです。 本当に、先ほど申しましたように、日本の政治は、こうした一貫した努 力を怠って、何か事が起こると少年法改正、教育基本法改正という単発の テーマに気まぐれに飛びついて、大騒ぎをして終わってしまう。 そういう ことを繰り返した罪というのは極めて重いと思っております。 子供たちのための地道で一貫性のある省庁横断的な取り組みの必要性は、 大臣、きちんと感じられていらっしゃるでしょうか。 例えば一貫性という ことで言えば、すべての子供が同じように価値があるんですよということ を片方で言いながら、もう片方では、ちょっといろいろ歴史の事情もある し社会の状況もあるから、非嫡出子の人は我慢してねというようなことを 言ってみたり、これは私は一貫性を欠くことだと思います。 また、この非嫡出子の問題については、大人がその責任を負わされるの ではなくて、子供が負わされる形になっているというのがおかしいという のは、たしか昔、高村法務大臣の時代にも、きちんと法務大臣として答弁 していただいていることがございまして、そのようないろいろな議論を見 てまいりましても、本当に一貫性というのは非常に重要なことだと思って おります。 そのような省庁横断的な取り組みをきちんと力を持って進めていくため には、これは本当に大きな仕事だと思っておりますけれども、大臣が今そ のお仕事が果たして物理的にできているのか。 そもそも小野大臣は、全執 務時間のどの程度を青少年のことに費やしていらっしゃるのか、大臣にな ってから子供たちのために具体的にどういう仕事をされてきたのか、失礼 な質問かもしれませんけれども、実態を知るために御答弁をお願いいたし ます。 ○小野国務大臣 長い時間をかけたから物事が解決するとも思っておりませんし、一人の 強力な意見でもって物事を強引に進めていくということもいかがかと思い ますし、子供の立場も、それぞれの子供の立場があるということも認識を しながら醸成していかなければならない。 そこは、ある意味での慎重さを 私は持っているものと思っております。 特命担当大臣といたしましては、青少年の育成と、それから少子化対策、 これはもう少しで大綱ができますけれども、それから食品安全を担当とい うことで、国家公安委員会委員長としての四つの仕事をしておりますので、 執務時間につきましては、それぞれの課題に応じて、私もそのときの状況 に最もふさわしい使い方を心がけてさせていただいているものと思ってお ります。 青少年育成につきましては、とりわけ大変広い、広範囲な部分に当たり ますので、我が国のあり方にかかわります、未来の日本の方向づけを担う 大事な宝でございますから、重要な課題と認識をいたしておりますし、青 少年担当大臣として与えられた職務というものは、心して精いっぱい遂行 しているところでございます。 ○水島委員 何か小泉首相のような答弁を最初いただいたような気がしましたけれど も、慎重であるということと何もしないということは全然違うことである と思いますし、どれだけ時間をかけたかということではなくて、私は、こ の青少年問題というのは、本当に一人の大臣が専念してもやり切れないく らいの仕事があると思っているわけですけれども、ほかの責任まで持たれ ている小野大臣として、本当に今、御自身のやらなければいけない仕事の 中、この青少年問題について十分だと感じていらっしゃいますでしょうか。 それとも、やはりこれは一人の大臣が独立してやった方がいいと感じてお られますか。 ○小野国務大臣 それにお答えするというよりは、誠心誠意、上がってきている問題につ いて朝から晩まで孤軍奮闘しております。 ○水島委員 その孤軍奮闘もちょっと気になるところでして、実は、例えばこの質問 の事前通告をしましたときにも、子どもオンブードの話なんかを内閣府の 方にしても、何か余りよくわかっていらっしゃらないような、それは何で すかというようなところもあって、青少年担当、大臣はいるけれども、ど ういうふうに機能しているんだろうというのは、きのう、大変心配になり ました。 本当に孤軍奮闘されているのかもしれないなとそのとき思ったわ けでございます。 ただ、これは大臣、やはり一人の大臣がきちんとした仕組みを持ってや っていかなければいけないんだということを今認めていただければ、それ は子供たちにとってもとてもいいことになるんじゃないかと思いますけれ ども、もしも、それでも小野大臣が孤軍奮闘してでも頑張っていくという ことであれば、今後も、実際にどれだけの省庁と連絡をとって、そしてど れだけの縦割りを打破して、どれだけの実績を上げられたのかということ をきちんと明確に示していっていただかないと。 そもそも、内閣府というものを省庁再編のときに特別な立場でつくって、 そしてそこに省庁横断的にこの問題をやっていくための青少年担当の特命 大臣を置いたということの意味がもう今危うくなっているんじゃないかと 思いますので、その点について、きちんとこれから、何をやったかという ことを、実績をきちんと示していかれるおつもりがあるか、それとも、こ れは独立した一人の大臣にゆだねていくほど大きな仕事だと感じているか、 どちらか、御答弁を最後にいただけますでしょうか。 ○小野国務大臣 青少年の問題というのは、今は嫡出子の問題を先生とお話ししているわ けでございますけれども、少子化の問題も根はそこから始まっていきます し、そしてまた、健康な子供たちというと食の安全もかかわりますし、そ して国家公安委員長といたしましては、まさに刑法犯認知件数の四割が青 少年だということになりますと、この犯罪の抑止をどうしていったらいい のかということで、これから夏に向かいまして、子供たちにそのような犯 罪を起こさせないこと、起こした者を逮捕するのではなくて、起こさせな いようにするためにはどうしたらいいかなどなど、今、全国展開に向けて やっておりますので、どの分野がどのようにということも含めますけれど も、概して、私が担当させていただいている問題は非常に多岐にわたって 絡んでおります。 そういった意味におきましては、常に、青少年たちが本当に健全育成し ていくために、それぞれの担当させていただいている分野の中で何をどう していくべきかということを日夜私なりに検討させていただき、具体的な 効果を上げていきたい、そのような気持ちで取り組んでいるところでござ います。 ○水島委員 孤軍奮闘されている大臣には本当に大変なお仕事だとは思いますけれど も、ぜひ、これは本当に一日もサボっていられない領域でございますし、 ほかのことの後回しにしてはいけない領域だと思いますので、これからな さるお仕事に関して、例えば数値目標を立てられるものであればきちんと 立てて、どこの部分がどれだけ進んだか、どれだけの縦割りが打破された か、それがきちんとわかるような形でお示しいただけますようにお願いを 申し上げまして、また、その点について後日御質問させていただく機会が あればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ありがとうございました。 |