青少年問題特別委員会
(2003年5月15日)


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「出会い系サイト規制法案」質問、採決、附帯決議




○青山委員長
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
水島広子さん。


○水島委員
 民主党の水島広子でございます。
 本日も、谷垣大臣に質問をさせていただきます。
きょうは二十五分間という限られた時間でございます。
聞きたいことはまだまだたくさんございますので、ぜひ大臣も、多くのことを聞けますように御協力をいただければ幸いでございます。
 さて、この法案では、もちろんここは青少年問題特別委員会ということでございますし、やはり子供たちが、実際にこの法案が成立していったときにどのように扱われるかということをきちんと検証しておかなければいけないと思います。
 この法案の六条に違反した子供たちは、実際に、具体的にどういう経路をたどっていくことになりますでしょうか。
簡単にお答えいただければと思います。

○谷垣国務大臣
 まず、この六条の規定に違反しますと、少年警察活動規則というのをつくっていまして、「少年の健全な育成を期する精神をもって当たるとともに、その規範意識の向上及び立直りに資するよう配意すること。
」これがまず捜査の基本でありますね。
そして、身柄の拘束につきましては、犯罪捜査規範において、少年についてはなるべくこれを避けることと規定されておりまして、やむを得ない場合を除いて、任意捜査の方法によるというふうにしております。
 それから、この法案第六条違反は罰金以下の刑に当たりますので、少年法でも、それ以上重くなりますと検察官のところに送致するということになるわけですが、家庭裁判所に直接送致されるということであります。
 そこで、事件を受理した家庭裁判所では、調査、審判が行われまして、保護処分あるいは児童福祉法の措置などが行われるということになります。
それで、保護処分の中には、保護観察とか、児童自立支援施設または児童養護施設へ送致する、それから少年院送致というのも含まれております。
なお、家庭裁判所において、審判不開始とか不処分ということもあるわけでありますが、こういう場合でも、訓戒とか保護者との面接、進路指導といった保護的措置が適宜行われることになるわけです。
 いずれにせよ、少年の処遇について専門的な知見を有します家庭裁判所が、当該児童の状況に応じた適切な保護処遇のための措置をとる、こういうことになっております。

○水島委員
 子供が問題行動を起こしますときには、生育環境の問題だけではなく、精神障害などの可能性も当然考えなければならないわけでございますし、精神障害のときのその発現の方法、表現方法というのが大人の場合と随分違っていることもございますので、特に専門的な知識を持って注意をしていなければいけないと思いますけれども、子供の問題行動の裏に精神障害などの可能性が考えられますときには、どういう対応がなされますでしょうか。

○谷垣国務大臣
 先ほども申しましたように、まず、少年法の規定で家庭裁判所に送致されるわけですが、精神障害等がある場合には、これを受けた家庭裁判所の調査、審判の過程においてこのことが勘案される。
例えば医療措置を行うことが適当であるとして審判不開始とするというようなことも含めまして、裁判所で適切な措置、処遇を判断していただくということになります。

○水島委員
 本当はそれが家庭裁判所で実際どういうふうに行われているか、本当に今の人員でできるのか、また、このたび人事訴訟法も成立するでありましょうし、家庭裁判所の仕事も本当にふえてくるわけでございますけれども、そんな中、家庭裁判所でちゃんとこの法案に対応できるのかということをいろいろ質問したいと思っていたところではございますが、裁判所、司法の独立ということで、この委員会には答弁に来ていただけないということでございました。
 本来、私も理事会で当初求めておりましたように、法務委員会との連合審査を行いまして、きちんと裁判所の現状を伺うべきだったなと思っているところではございます。
 本来、家庭裁判所におきまして、本当にこれだけのことをきちんとやっていただかなければならないけれども、実際のところは、かなり人員の大変さですとかいろいろな問題がございまして、どうも現場では必ずしも理想的に対応できていないというような情報も得ておりますので、そんな中、このような法案を提案される以上は、きちんとそのあたりまでぜひ話し合っていただきまして、連携をとっていただきたいと思っております。
 さて、先日の委員会で、大臣は、書き込んではいけないという規範を示すことは間違っていないと答弁をされております。
私も、規範を示すことは結構だと思いますし、だからこそ、この法案の第六条で、誘引行為をしてはいけないということが法律上明確に禁止されているわけでございます。
これについては、内容、細かな点はございますけれども、こういった規範を示すということは、私は結構なことだと思います。
 それであれば、第十六条の罰則規定について、児童を適用除外としてもよいのではないかと思います。
個別のケースによっては、第六条の違反行為を繰り返すなどによって、少年法第三条の虞犯少年として家庭裁判所の審判に付されて保護処分の対象となることもあり得るわけでございます。
 ストックホルム宣言の精神を生かすのであれば、個々のケースによって現状に合った多様な対応をすることができるように、むしろ第十六条を児童に対して適用除外として、第六条の違反行為をした児童については、関係行政機関の連携のもとでの適切な指導等を行うとした方がよいのではないでしょうか。
そのように法案を修正することはできませんか。

○谷垣国務大臣
 できるだけ簡潔にお答えいたしますが、要するに、今まで出会い系サイトの危険性等につきましては、警察でも広報啓発、あるいは事業者もいろいろ自主規制をやってきたんですけれども、にもかかわらず、いわゆるここで言う不正誘引がはんらんしまして、結果としていろいろな児童が危害、犯罪に巻き込まれる、被害者になるというケースが多くて、また児童の健全な育成にも重大な障害となっている。
 それで、先ほど申し上げたような規範を定立したわけですが、委員の御批判のポイントですが、これまでの広報啓発あるいは自主規制というようなものの経緯からしまして、どうも、単に罰則なしで禁止するだけで実効が上がるとは考えられない。
やはり実効性を考えますと、こういう手段が必要なのではないか。
 それから、もう一つ、今おっしゃった家庭裁判所の機能が十分かどうかという御議論は別途あるのかもしれませんが、これでほっておきますと、では、いわば法的な仕組みとして、あるいは行政として、書き込みをしてこういう場に巻き込まれていく子供たちに何をし得るかという手段がなかなかないということが現実にございます。

やはりこういう手段を講じますと、家庭裁判所は、陣容が十分かどうかはまた別の議論でございますが、心理学を専攻した調査官などのシステムをあそこは持っておりますので、やはりそういう仕組みで立ち直りの機会を与えることができるのじゃないか。
 それから、虞犯とかそういうものを使えるのではないかというお考えをおっしゃいましたけれども、実はこれも、実務的に申しますとなかなか簡単ではございません。
 と申しますのは、名古屋高裁の判例がありまして、一般的、抽象的に刑罰法令に触れるおそれがあるというだけでは実は虞犯少年の扱いができませんで、ある程度具体性を持った犯罪の蓋然性があることが必要だとされております。
ということは、つまり、児童の不正誘引をするということが犯罪化されていて初めて、その犯罪を犯すおそれがあるから虞犯ということが出てくるわけでありまして、そういう刑罰なしに、不正誘引行為のみをとらえて虞犯少年として扱うことは、実は、実際上できない仕組みになっているというふうに理解しております。


○水島委員
 ちょっと、私、法律が専門でないので、一つだけ確認させていただきたいんですが、罰則があって、大人の場合には適用となる、ただし児童は除くというような構成になっていても、その蓋然性が高いという場合に虞犯という扱いはできないんでしょうか。
これは局長でも結構ですけれども。

○瀬川政府参考人
 現実に少年の当該行為についてそれが犯罪になっていないということであれば、今大臣の答弁のとおり、これが犯罪を起こすおそれがあるということにはならないだろうというふうに考えられます。

○水島委員
 今の御答弁につきましては、私はまた研究させていただきたいと思いますけれども、質問を続けさせていただきます。
 確かに、大臣がおっしゃるように、現状で子供が問題を抱えているというときに、本当にそれをトータルに受け入れるような、ある程度専門的な知見を持ったところで、人員がきちんと豊富にある、そんなところがないというのは、私もかねてから問題に思ってまいりまして、もちろん、先ほど私が提案を申しました関係行政機関の連携のもとでと、そのようなとき頭にございますのは、児童相談所とかそういったところがあるわけですけれども、では、現状、児童相談所が人員が十分にいるかというと、とてもそんな状態ではないということです。
 継続したケアが必要な子供たちの場合、むしろ、その本人に非があるか否かを問わずに、確かに、本人が悪いことをしていない、虐待の被害者であってケアを受けに通わなければいけないのに親がなかなかそれをさせないとか、子供の場合、かなり親子の力関係の中で、子供には意思があってもなかなか行けなかったりということもございますから、むしろその受け入れ体制をどこかにきちんとつくっていく。
今大臣の頭にあります家裁をむしろそういう子供の権利を守るセンターとして、それは罪を犯した犯していないにかかわらず、子供をきちんと支えていくような場所として活用していくというように根本的に政策転換をしてもよいのではないかと、今大臣の御答弁を伺っていて思ったわけでございますけれども、そういったことに関してはいかがですか。

○谷垣国務大臣
 裁判所の仕組みのあり方まで行政府にいる私が今御答弁をするのはちょっと出過ぎたことで、むしろ国会等で仕組みのあり方として御議論をいただくべきことかと思いますが、もともと、家庭裁判所ができましたのは、私も深く承知してはおりませんが、子供の人格というのはまだ固まったものではありませんので、可塑的なものでございますから、大人と同じように、犯罪を犯したからすぐ刑罰にかけるというようなことではよくない。
もう少し総合的に、子供を保護し、育成していくためにどうあるべきかという観点からつくられた組織でございますので、そのあたりはまたいろいろ国会の方で御議論をいただければと思います。


○水島委員
 今、また改めて思っておりますけれども、結局、今のままでは、罪を犯す、十分に悪いことをした子供であれば家裁でトータルなケアが専門家のもとで受けられるけれども、自分が虐待の被害者になった程度の子供であれば、いつまで通い続けられるかわからない、専門家がどれだけいるかわからないような、そんなきちんとした法的仕組みを伴わないところにゆだねられてしまう。
それは子供の権利から考えると非常におかしいのではないかと、今大臣の御答弁を伺っておりまして、また新たに私は認識を持ちました。

 子供が結果的に何をするか、どういう被害に遭うかというのは、もちろん、子供それぞれの環境によるわけですけれども、どの子供も何らかの援助を必要としているということでは同じなわけですから、罪を犯せば、悪いことをすれば家庭裁判所ですばらしいケアが受けられます、まあそれが今回のこの法案の言いたいことだと思うんですけれども、罪を犯さない子供はそういうケアは受けられません、そういうことはちょっとおかしいのではないかなと今伺っていて思いました。
 そのことを突き詰めてまいりますとまた時間がなくなってしまいますので、意見として述べさせていただきます。
 先ほど、大臣は、今まで広報啓発に努めてきたけれどもだめだ、だから罰則をつけないと実効性がないんじゃないかとおっしゃいました。
ところが、私は、この広報啓発が十分だとはとても思えません。
 例えば、学校分野で出会い系サイトについてちゃんと教育されているかというと、全然足りないというような意見がたくさん寄せられているわけです。
教育しているところがあるとしても、それは、出会い系サイトには行かないようにしましょうと先生がどこかで述べた、子供たちは、一体出会い系サイトってどういうものなんだろう、行かないって何だろう、それにぶつかっちゃったとき、どうしたらいいかも教えてくれない。
そんなことで、一体、子供に対する教育として十分なんだろうかと。
 これは、実は、親たちのいろいろなメーリングリスト、それこそ、このインターネットという手段を使ったメーリングリストの中などで、かなり学校現場におけるこういった教育の貧困さというのは既に話題になっているところでございます。
 私は、教育というのは非常に重要だと思っておりますし、このインターネットリテラシーを初めとする教育問題というものは、この法案を構成する上で非常に重要なポイントだと思います。
悪いと知らされていないで突然罰せられるなんということは、あっていいわけはないわけでありまして、悪いということを繰り返し繰り返し教えられて、そしてその意味を知っていくということが子育ての基本にあると思いますけれども、今回この法案を提出されるに当たって、文部科学省との連携はいかがだったんでしょうか。

○谷垣国務大臣
 この法案の検討段階そのものでは、委員のおっしゃったインターネットリテラシーということの関係で文部科学省から特段の御意見をいただいたわけではありません。
 ただ、警察と文部科学省の間で、今おっしゃったインターネットリテラシーというんでしょうか、その重要性がありますので、インターネット上の少年に有害なコンテンツ対策研究会というのを設けまして、そこで議論をしているところでありますので、今後とも、そこで積極的な御議論をお願いしたいと思っております。

○水島委員
 これはインターネットに限らず、メディアリテラシーというのは日本の教育に決定的に欠けているポイントであるということを前から私も主張しておりますけれども、ぜひ、適宜その御議論の経緯をまた御説明いただけますように、警察庁の皆様にはお願いを申し上げたいと思います。
 また、他省庁との連携という意味では、実は、厚生労働省などとの連携も、この問題を考えるに当たって極めて重要でございます。
いろいろと子供がその後どういうところに行くかという中で、例えば自立援助ホームなどというところは非常に重要な役割を担っているところでございます。
 大臣は、いろいろ子供の問題にお詳しい大臣でございますので、十分な知識をお持ちだとは思いますけれども、実際、自立援助ホームというのは、本当に善意の人間が、例えば自分の自宅などで本当に行き場のない子供たちを引き取って、そこで生活の場を与えている。
 それまで、一度も大人を信頼したこともない、一度も家族で一緒に食事をとったことがない、あるいは虐待をされ続けてきた子供、行ってらっしゃいと言ってうちを送り出された記憶もない子供、そういった子供を最初引き取りまして、さまざまな問題行動を繰り返し、殴られたりけられたりすることもありながら、そんな中で、それこそ規範を教え、愛情を与え、人を信頼するという気持ちをきちんと植えつけていくという、それが自立援助ホームの役割であるわけです。
 私の身近にも、大変よい自立援助ホームがございます。
一生懸命やっていらっしゃいます。
でも、子供たちは大きくなりますし、人数もふえてきますので、建物が手狭になって、もうちょっとちゃんとした建物に移りたいと思っても、寄附金が思うように集まらなくて、大変な苦労をして運営をされているわけでございます。
 これから新たに子供たちに新しい罪を科していくということでございますから、法律をつくるのは簡単ですけれども、実際にそこを通ってくる子供たちを支えていく場所を充実させていかないと、先ほど家庭裁判所のことは申しましたけれども、こういう自立援助ホームのようなところに関しましても抜本的に拡充していくという覚悟がなければ、私はこんな法律はつくってはいけないと思います。
そのような議論は厚生労働省とはなさいましたでしょうか。

○谷垣国務大臣
 厚生労働省とは、事前に、この法案を準備しますときに、自立支援施設の収容能力とか今の環境等については必ずしも議論があったわけではありません。
また、私も、今の職責から児童自立支援施設の収容能力等についてお答えする立場でもないわけですが、今問題としているネットを利用したものではなく、いわゆる非行少年が保護処分になった後どこで面倒を見てもらっているかという場合には、今委員がおっしゃった児童自立支援施設等は必ずしも十分でないのかもしれません。
多くは、保護観察というのが非常にウエートが多くなっている、私の手元の資料ではそうなっております。

○水島委員
 虐待を受けた子供ですとか、いろいろと家に問題があって問題行動を繰り返してしまう子供ですとか、一度引き離してその後もう一度ちゃんと親子関係をきちんとして家に戻すんだとか、保護観察しながらであればそこの家で暮らせるんだとか、いろいろ考えがちなんですけれども、実際にはそんなふうにも機能できない親がかなりたくさんいますので、そういった受け皿は本当にきちんと充実させていかなければいけないということを、ぜひ、この法案の審議を機に谷垣大臣にも御関心を持っていただきまして、その実態がどうなっているかということを厚生労働省、また法務省などとも力を合わせて御検討をいただければとお願い申し上げます。

 さて、時間もなくなってまいりましたけれども、この法案の中で、ちょっと根本的な質問になりますけれども、ここで、そもそもなぜ書き込みを罰するのか、書き込みがいけないとされるのかということを改めて御答弁いただけますでしょうか。

○谷垣国務大臣
 法案では不正誘引と言っておりますけれども、これは大体三通りぐらいあると思うんですね。
 一つは、不正誘引を行う、書き込む、またはその書き込みに応じた子供たちが児童買春とかそのほかの犯罪の被害者となる直接のきっかけとなっている。
その中には、随分悲惨な事件に巻き込まれてしまう危険性があるということですね。
二番目は、不正な誘引が出会い系サイトで公然と行われているということで、児童の性の商品化を助長する非常に大きな要素になっているということが言えると思います。
それから三番目に、子供の側から、書き込みを見た子供が出ますと、何だ、みんなやっているんだというような、ちょっと言葉は悪いかもしれないけれども、ほかの子供たちを巻き込む、助長するといいますか、そういうおそれがある。

要するに、不正誘引が公然と行われることに問題があるというふうに考えております。

○水島委員
 今の、性の商品化を助長するとか、ほかの子供を巻き込む可能性があるとか、そういったことは理解できます。
ただ、最初におっしゃった、それが被害者となる直接のきっかけになるということ、これは前から私もどういう理屈だろう、おっしゃっていることはわかるんですけれども、法的にどうなんだろうかということをずっと頭をひねってきたところなんです。
 前回の審議で確かに大臣がそのようなことをおっしゃっておりまして、それに関して、先日来ていただきました法務省の刑事局長が、この委員会におきまして、「大臣がそこまでおっしゃっているかどうか、ちょっとよく、そういうことではないのではないかという気もいたしますが、本法案におきましては、インターネット異性紹介事業を利用して児童を性交等の相手方となるように誘引する行為等を罪としておりますのは、当該児童についての犯罪被害を防止することを一義的に考えているのではなく、児童一般を性的行為の対象とする社会的風潮を助長し、ひいては児童一般が児童買春等の犯罪に巻き込まれることを防止するためであると承知しておりまして、」と答弁をされております。
 恐らく、今大臣がおっしゃった三点のうち後の二点の方だけを刑事局長が答弁されているようでございますけれども、今回の、この書き込むことを罰するということ、その根拠に関しまして、警察庁と法務省との間でもしかしたらずれがあるのではないかと私、前から感じてきたんですけれども、確かに、警察庁は事前に私たちのところに来て説明してくださったときにも、保護法益はと聞きますと、子供が殺人事件など凶悪犯罪に巻き込まれないようにと説明してこられました。
 実は、今大臣がおっしゃった二点目と三点目に関しましては、御説明がありましたのは、私は、この審議が始まってからにわかに出てきたように記憶しておりますが、最初から、とにかく子供がこういう事件に巻き込まれないようにということを一貫して説明されてきました。
より大きな被害を防ぐために事前の段階で罰則をかけるのだ、そういうことも説明してこられていました。
 本当に法務省との間に立法の根拠といいますか、こういった保護法益に関しての見解の相違はないんでしょうか。

○谷垣国務大臣
 この間は樋渡刑事局長が答弁されたと思いますが、直接私自身が法務省と議論をしたわけではありませんので、議論の経過は事務当局の方がよくわかると思いますが、私は、法務大臣とは本会議場の議席が隣でございますので、よくこの問題はかなり議論をいたしておりまして、そごがあるというふうには考えておりません。
 要は、多分樋渡刑事局長のおっしゃったことも、個々の児童の生命とか性的な自由とかいうものが保護法益というのではなくて、要するに、インターネットを利用する子供たちが先ほど申し上げたような危険に引きずり込まれていく一般的なおそれといいますか、そういうものを今回の法律によって守ろうとしているところだろうと思います。
 樋渡さんは、そのことを少し私よりも強調されたのか、あるいは、もっとよく言えば私よりもはっきりおっしゃったのかなというふうに思います。

○水島委員
 この点については、本当はもっと審議時間を確保していただいて、もう少しきちんと大臣と検討させていただきたいところではございましたけれども、質問時間が終わってしまいましたので、とりあえず、きょうは以上とさせていただきますが、実は、先日、この委員会の中で指摘をさせていただきました警察庁の事前説明とこの委員会での答弁の食い違いということに関しまして、政府見解を求めましたところ、警察庁の方から、確かにその説明を事前に行っていなかったということは事実であって、二度とこのようなことが生ずることのないよう、十分に言葉を尽くした事前説明に努めてまいりたい、そのような文書での回答をいただいております。
 こうやって非を認められたというのは、私は警察庁の態度として大変御立派であったと思いますけれども、ちょっと予想外のことでございました。
 ただ、やはりこういう重要な法案を審議するに当たっての準備状況としては、余りにもそれは足りなかったのではないかと私は思いますし、今後、この法案がそんなふうに、きのうときょうと運用状況が全然違うとか、担当者によって全然違って恣意的になるとか、そんなことがあるのではないかと、この一件でもかなり不安を感じたということを最後に申し添えまして、質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。







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