「出会い系サイト規制法案」について○青山委員長 水島広子さん。 ○水島委員 民主党の水島広子でございます。 本日は、参考人の皆様、お忙しい中、ありがとうございます。 私は、子供の観点から質問をさせていただきたいと思いますので、今、島議員が質問をされなかった四名の参考人の皆様に質問をさせていただきたいと思います。 十分の持ち時間でできるだけ質問をさせていただきたいと思いますので、ぜひ御答弁は簡潔にいただけますよう御協力をお願い申し上げます。 まず、野口参考人にお聞きしたいと思います。 この出会い系に書き込みを繰り返すというのも、子供の一つの問題行動と私は考えていいと思いますけれども、このように問題行動を繰り返す子供たちと実務レベルで深くかかわられた御経験はございますでしょうか。 また、そういう御経験がおありであれば、実際にそういう子供たちがまた健康に育っていくためには、どういうかかわりが有効であったというような御経験がおありでしょうか。 ○野口参考人 私は、事後のカウンセリングでかかわりましたので、そのときのことからお答えしたいと思います。 まず、子供たちが言いますには、それほど悪いこととは知らなかった、そういうふうになるとは知らなかったということがございまして、そういうところから、まずは、では、情報として、例えば妊娠をしたということなんですが、それが避妊とか、どういうときに妊娠するという体の知識というものを与えていなかったことによって起こったということで、それはいけないんだとか、情報がわかれば防げることになると思います。 それは、カウンセリングの途中でかなりの痛みを伴っておりますが、回復します。 でも、それを回復する前に、予防の点、防止の点で、こういう規則があるということはやはり抑止力になると思って、この案に賛成しております。 ○水島委員 申しわけございません。 問題行動を知らないでやってしまったというのは、多分一回の問題行動にとどまると思うんですが、問題行動を繰り返す、悪いとわかっていても繰り返す子供たちとかかわられた御経験をお願いいたします。 ○野口参考人 悪いとわかっていても繰り返す。 いろいろな、たばこにおいてもお酒においても、悪いとわかっていても、一度目に悪いということを教えられてその後繰り返すということに、やはり、その子供たちの日常のほかの面での、つまり満足感とか、悪いと思っていてもそれをやってしまうその子供の背後の家庭環境とか、それから友人との中での自分の地位とか、そういうものが影響していると思います。 ○水島委員 それでは、同じ質問を坪井参考人にさせていただきたいと思います。 そういうふうに問題行動を繰り返した結果、いろいろなトラブルに巻き込まれてしまう子供たちと恐らくかかわられてこられていると思うんですけれども、そういう子供たちが、いろいろな背景の中でどういう支援を一番必要としていて、どういう支援が実際に効果があったか、その御経験を教えていただければと思います。 ○坪井参考人 お話しし出したら切りがないほどあります。 多くの場合、やはり、その生育過程において、極端な形でいくと虐待、あるいは親からの過保護、過干渉、そういった意味での、生育歴における子供が、人間として尊重されてこなかった歴史を抱えてきた子供たちというふうに、一言で言うと申し上げられると思います。 その子供たちとつき合っていく最大のものは、子供たちが持っている、人間、特に大人に対する絶大なる不信感と言うしかないんですが、そこの不信感を取り除くために、人間、そんなに捨てたものじゃない、君はそんなに自分を卑下することはないのよ、生きていていいんだよという、本当に基本的な信頼感、そこをどうやってその子供とパイプをもう一度持てるか、そこが本当に支援のかぎだというふうに思っております。 ○水島委員 ありがとうございます。 私も、かつて精神科医として子供たちにかかわっていた立場として全く同感でございまして、やはり、今の日本には、児童福祉の受け皿、そういう子供に対する受け皿が余りにも不足しているという実感を持っておりまして、恐らく野口参考人も坪井参考人も御同意いただけるのではないかと思っておりますけれども、それでは次の質問に移らせていただきたいんですが、次に、前田参考人にお聞きしたいと思います。 先ほど、買う側の罰を強化することで防げる段階を過ぎているというふうに御発言されたと思うんですけれども、本当に買う側の罰がきちんと強化されて、有効である、実効性があるにもかかわらずそれが無効であるというのなら過ぎているというのでいいと思うんですけれども、ちょっと、過ぎているというふうに発言された根拠というか、そのあたりを教えていただければと思います。 ○前田参考人 私の言葉が足りなくて申しわけなかったんですが、過ぎているというのは、出会い系サイトなんかで起こっている、具体的な数字がいろいろ出てきていると思うんですが、それをきっかけにして、児童買春が行われている数がふえてきて、それを何とかとめなきゃいけない段階で、大人の処罰を行う形でコントロールできるというのを悠長に待っていられないような段階にもう差し迫っているのではないかという意味で過ぎていると申し上げたので、大人の処罰をきちっとやっていくということ自体、否定するつもりは全くございません。 それをきちっとやっていくことは非常に大事なんですが、それだけにとどまらず、女子高校生たちがiモードを、iモードは特定のあれになってしまいますけれども、携帯で簡単に売買春ができるというような意識が非常に広がってしまっている状況、これを何とか歯どめをかけなきゃいけない段階に来ている。 そのための有効な手段として、どれか一つが有効だと申し上げているんじゃないんですが、かなり強制的なものを含めた効果の強いものを打たなければいけない段階に来るだけの数値が挙がってきているということを申し上げたつもりで、説明が足りなくて申しわけございません。 ○水島委員 そうしますと、確認させていただきますと、やはり、まずは大人を罰するのが正論であって、それがまだ今の日本では十分に行われていないという認識は共有してくださっているということ。 そして、それが十分に行われていない中、被害がどんどんふえてきてしまっているので、とにかく何でもいいからできることはやろうというような御発言だったということでよろしいんでしょうか。 ○前田参考人 基本的に、そのとおりでございます。 何でもいいからというとちょっとあれなんですが、ただ、被害者の側というか、少女のとらえ方、現場の警察、少年警察の現場なんかを見てみますと、単純な被害者というとらえ方だけでもいかない。 少年事件は全部そうなるわけですが、必ず少年は被害者です、非行化をするのは。 家庭がうまくいっていないから犯罪を犯す、みんなそうなんです。 しかし、では、少年には、犯罪として少年院に送ったりとか処罰は一切やめた方がいい、全部カウンセリングだけで済ませればいいという議論が成り立つかということなんですね。 そこのところで、一定の罰みたいなものとのバランス、その中でどう動かしていくか、そのバランスの強弱をどうしていくかというのは、やはり私は、現実の日本の状況とか社会のニーズとか国民の意識で決まってくる。 ちょっと長くなって申しわけありません。 ○水島委員 そうしますと、これは確かに、今回のこの法案と、例えばストックホルム宣言との整合性ということ、先ほど参考人からも御意見があったわけですけれども、そういう中で、今一つの議論として、子供の買春、子供が被害者として位置づけになっている問題と書き込むという誘引行為とを別のものとして切り分けることで初めて整合性を説明できるんだという立場が政府部内にもあるようでございますし、議員の間でもあるようですけれども、法律の専門家として、買春の誘引行為となるものを買春と切り離して考えるということは、私は法律の専門家ではないんですが、法律家がずらっと並んでいらっしゃるところに行って私がそういうことを話しても恥ずかしくないことなんでしょうか。 ○前田参考人 これは、切り分けるということは十分論理的に可能であるからそういう御発言があるんだと思います。 ただ、法律の議論というのは形式的に理念として分けますが、実態としては、やはり少女の書き込み行為というのは、それによって一般の少女たちに危険なものをつくり出すという誘引自体の害悪性みたいなものをとらえることもできますし、ただ、それは裏返してしまえば、自分自身が売春に一歩入っていく側面も持っているわけですね。 それをどちらから説明して整合性のあるものにしていくか、今までの条約とのつながりからいって矛盾しないように説明するというための説明は、私は十分成り立っていると思います。 ですから、法律の議論として荒唐無稽なものでも何でもない、それは立派な議論だと思っております。 ○水島委員 では、同じ質問を、同じく法律の専門家でいらっしゃる坪井参考人にお伺いしたいんですけれども、切り離すというその考えはどうなんでしょうか。 ○坪井参考人 それはもちろん、成り立たないという意味で不可能とは申し上げませんけれども、しかし、今回、児童買春禁止法の見直しが行われるときに、その誘引行為だけをどうして切り離して論じるんだろう。 まさに立法府としては、その中できちっと児童買春禁止の趣旨を貫くための誘引行為の禁止なのであれば、その法律案と整合性を持った形で、一体の法律として論じるべきだと思っております。 ○水島委員 最後に、宮本参考人にお伺いしたいんですけれども、子供の最善の利益というものを優先させるという考え方、私も全く同じ考えでございます。 子供の最善の利益を考えます際に、今回の法案では、書き込みをした子供が加罰対象となりまして、どうせ子供なんだから実際の刑罰はないというふうによく言われるんですけれども、結局のところ、一定期間拘束はされますし、それは前歴として一生つきまとうということになるわけで、公務員試験を受けたりするとき、いろいろなときにつきまとっていくことになるのですが、こういうことは子供の最善の利益に反するのではないかと私は思うんですけれども、宮本参考人はいかが考えられますでしょうか。 ○宮本参考人 議員のおっしゃるとおりだと思っております。 ○水島委員 ありがとうございました。 何か慌ただしい十分間で申しわけございませんでしたが、参考人の皆様、本当にありがとうございました。 |