厚生労働委員会
(2002年7月17日)



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母子家庭の個人情報保護、十代の性の問題に関して




○森委員長
 次に、水島広子君。

○水島委員
 民主党の水島広子でございます。
 まず初めに、児童扶養手当についてお伺いいたします。
 八月一日から児童扶養手当法に基づく政令が改正されまして、それに伴いまして、養育費等に関する申告書などの記載が新たに必要になるということになりまして、自治体では既にそれぞれ書面などをつくっておりますけれども、いろいろな混乱状況や不安の声が寄せられております。
 そこで、そもそも厚生労働省からどのような指導通知を出されているのか見せてほしいと昨日お尋ねをいたしましたところ、いまだに出していないというお答えをいただきました。大変驚きました。来年の八月一日ではなくことしの八月一日から施行されるのに、厚生労働省からはまだ指導通知も出していないということなんですけれども、こんなことがあってよいのでしょうか。わざとおくらせているのでしょうか。

○岩田政府参考人
 今般、児童扶養手当法施行令を改正いたしまして、八月から実施になるということで、その準備につきましては、私どもも万全を期したいということで、努力してきております。全国会議あるいはブロック会議でいろいろ御説明をいたしましたり、また、具体的な取り扱いについて、正式の通知は残念ながらちょっとおくれておりますけれども、事実上、第一線で混乱することがないように、事実上の考え方を自治体に文書で示したりはいたしております。

○水島委員
 なぜおくれているのかということにお答えいただけますでしょうか。

○岩田政府参考人
 一つは、これまでは都道府県が支給の主体であったことが、これが八月から福祉事務所が設置されております市等に事務が移管されるということがございます。また、従来の所得制限のあり方と今回からは変わりまして、所得がふえるに従いまして手当が逓減する方法ですとか、所得をカウントするに当たって父親から支払われる養育費を算入するといったような、そういう形で従来から取り扱いが変わりますので、それに備えて部内の検討にも時間を要しましたし、また自治体とさまざまな場でいろいろ意見交換をしながら準備をしておりますので、先ほど申し上げましたような準備の状況でございます。
 一日も早く正式の通達は出すことにいたしたいと思います。

○水島委員
 一日も早くといってもあと二週間でございますので、本当にこんなことなのかと改めて驚く思いです。
 そして、万全を期しているとおっしゃったんですけれども、現場はかなり混乱しているようでございます。
 そもそも、養育費の取り決め書を交わしていない人が実際には多いわけですけれども、例えば、自治体によっては、改めて書面を交わせと指導しているようなところもあったりとか、あるいは、通帳を見せろということを一律に要求している自治体もあるというふうに聞いておりますけれども、取り決め書というのは必要条件となっているんでしょうか。あるいは、一律に通帳を見せろと要求するようなことを事前の自治体とのやりとりの中で厚生労働省として指導されてきたんでしょうか。

○岩田政府参考人
 今般、母子家庭の総合的な対策のあり方を見直しいたしまして、政府といたしまして、大綱を策定いたしましたり、また今国会に福祉法の改正などを提案させていただいておりますけれども、その中でも、父親からの養育費の支払いをいかに確保するかといったようなことについて、また新たにその対策を強化したいというふうに思っているわけでございます。
 先生のお尋ねの点でございますけれども、養育費が支払われているかいないか、具体的に幾ら支払われているかということについては、文書で取り決めをしていただいてその金額がはっきりしている場合は私どもの方も所得の算定のときに判断ができるわけですけれども、残念ながら、多くの場合は、取り決められていないとか、あるいは取り決めがあっても口頭でなされているということがございますので、そういう場合には書面にかわって申告書、一定の様式の申告書を出していただいてそれで判断をすることといたしております。
 自治体の窓口では、冒頭申し上げましたような、これからいかに父親からの養育費の確保を図っていくかということで、自治体もさまざまな広報活動や相談活動をやっていくというふうに思われますので、そういう思いから、そういう対策の一環として、養育費の取り決めを文書でしたらどうですかといったようなことを指導しているところがあるかもしれませんが、それはそれといたしまして、その取り決めの文書がないからということで児童扶養手当の支給の手続に何か支障がある、そういうようなことについては、私どもが地方自治体にそういう指導をしているということは一切ございません。(水島委員「通帳の」と呼ぶ)
 そして、答えが漏れて申しわけございません、通帳についてなんですけれども、養育費を幾らもらっているかということは、基本的には本人に申告していただくという申告主義にいたしておりますので、一律に通帳を拝見するということにはならないというふうに思いますけれども、申告内容に疑義があるとかということで事実関係がなかなかほかの手段では確認できないというような場合については通帳で確認させていただくということもあろうかと思います。

○水島委員
 今の岩田局長の御答弁ですと道理があるように聞こえますけれども、実際の窓口の対応では、取り決めていないんだったら今から改めて文書にしていらっしゃいとか、あるいは、一律通帳を見せてもらうことにしますよとか、そのように、かなり母子家庭の方たちに対してそのハードルを高くするようなおかしな対応がされているところもあるという情報が入っておりますので、その点につきましては、本来の趣旨、そしてどこまでプライバシーに立ち入って、そのときのルールはどうなのかというようなことを改めて徹底していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 そして、なぜこんなに現場が混乱するのかといいますと、もちろんそれは厚生労働省が指導通知を速やかに出すのを怠っているというのもその一つの理由なのかなとも思いますけれども、やはり、養育費についての法的な環境整備もできていないのに、政令改正などで申告を義務づけたりしたからなのではないかと思います。
 養育費支払い命令制度をつくったり、養育費立てかえ払い制度をつくったり、あるいは養育費についての税制上の優遇措置を設けたりというふうに全面的に考えようとすれば、これは厚生労働省だけが取り組んでできる話ではないと思います。
 また、児童扶養手当の財源が不足してきたから、自分の省庁でできることだけをやろうというような姿勢が、そもそも間違っているのではないかと思います。
 母子寡婦福祉法の精神は、養育費をもらえていない人に無料法律相談を紹介したりとか、あるいは収入の低い人に就労を支援したりという、その支援というのが本来の目的なのではないかと思いますけれども、養育費の申告義務づけをやめて、本来やるべき支援を進めるべきではないかと思いますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。

○狩野副大臣
 新しい時代の要請に的確に対応した施策を展開するために、母子家庭対策を総合的に見直そうということで、母子家庭等自立支援大綱を本年三月に取りまとめをいたしました。この大綱を策定する際には、法務省や国土交通省など関係省庁とも十分連携を図ったものでありまして、今後、この大綱に沿った施策を実施する際には、関係省庁と十分に連携を図っていきたいと考えております。
 また、この大綱を踏まえて、現在、国会に母子及び寡婦福祉法等の改正案を提出いたしておりますけれども、この法案の附則において、法律の施行の状況を勘案して、扶養義務の履行を確保するための施策のあり方について検討することとしております。
 また、委員御指摘の養育費を払った場合の税制上の取り扱いにいたしましても、これは大事な課題の一つとして、今後関係省庁と相談してまいりたいと考えております。

○水島委員
 ぜひ全面的な取り組みをしていただきたいですし、その中で一部だけを先行して変な形で無理に進めていくことで、どれだけ現場で苦しい生活をしていらっしゃる母子家庭の方たちが精神的あるいは物理的な被害に遭っていくかということを十分に御認識をいただきたいと思っております。
 また、この母子家庭のお母さんというのは、そもそも就労において不利な条件にあるわけですけれども、現況届や養育費等に関する申告書をわざわざ持っていって、また何かが足りないといってもう一度足を運ばされる、そんなことで仕事を休んだりするとますます就労において不利なことになりますし、また、パート労働をされている方の場合は、半休をとって役所に出向いただけでその分収入が減っていきますので、これは生活に直接かかわってくる問題にもなります。ぜひ、郵送で受け付けるとか、あるいは細かい点は電話でさらに確認するとか、そのような柔軟な対応ができますように、御検討をくれぐれもお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 このように、支援策であるはずのものが、実際には母子家庭の就労の足を引っ張るというようなことがないような、生活にきちんと根づいた配慮をいただきたいと思いますけれども、この点について、今現在このように進んでいる取り組みがあるとか、このような前向きの検討を何かされているというのであれば御答弁いただきたいんですが、これからの御検討であれば結構ですけれども。

○岩田政府参考人
 確かに、母子家庭のお母さんたちは一生懸命働いておられますので、そのことと、こういった自治体の窓口での届け出の事務的な負担と、よく考えていかないといけないというふうには思っております。
 ただ、毎年一回現況届というのを出していただいておりますけれども、それは、所得の状況ですとか、そして生活の状況を確認させていただくという、児童扶養手当を支給するかどうか、幾ら支給するかという判断をする基礎になるものでございまして、なかなか、これまでの経験でいきますと、書類だけの審査では事実関係が難しいということがございます。
 また、この機会は考えようによっては非常に大事な機会で、一年に一回、自治体の母子、寡婦の担当者が生活相談、そして自立支援の相談、そういうことをさらに強化をしてやっていきたいというふうに思っておりますが、そういった機会としても大変大事でございますので、やはり面談をしてお話を聞くという機会を設けるということは避けられないというふうに思います。簡単なことは電話のやりとりでもちろん十分なことも多いと思います。
 また、窓口の時間帯はそれぞれの自治体が住民サービスとしていろいろ工夫をされていると思いますが、中には、夜間の時間帯で受け取っているとか、休日でも窓口を開いているというような自治体があるというふうにも聞いておりますので、こういう事例は大変よい事例で、こういう形でそれぞれの自治体で配慮がなされることを期待したいというふうに思っております。

○水島委員
 それでは次に、十代の性の問題についてお伺いしたいと思います。
 近年の十代の人工妊娠中絶の増加は目に余るものがございまして、特に、一九九五年以降は極めて顕著でございます。
 私の選挙区は栃木県でございますけれども、栃木においてもかなり重要な問題でございまして、二〇〇〇年の統計によれば、栃木県における十五歳から十九歳の女子人口千人に対する十代の中絶率は十八・〇となっております。
 これはどういうことかというと、性交経験の有無にかかわらず、約五十六人に一人が一年の間に中絶を経験していることを意味し、さらに、十五歳から十九歳の女子の性交経験率を大体四割とした場合に、性交経験のある二十三人に一人が一年の間に中絶を経験していることになるという、これは極めてゆゆしき事態であると思っております。
 県内の産婦人科医の話によれば、妊娠は決して十五歳以上の出来事ではなく、最近では十四歳、十三歳のデータもふえていると言います。
 また、最近、群馬県の思春期グループが現在二十歳になっている男女を対象に行った大規模調査によりますと、中学三年の時点で男子一七・七%、女子八・八%が既に性交を経験していたという結果が出ております。
 選挙区並びに近隣県でのこのような現実があり、また、現場で子供たちにかかわっている人たちからは、性教育は中学からでも遅過ぎるとも言われているにもかかわらず、国会では、先日、文部科学大臣が、中学生に避妊を教えることはいかがなものかとの答弁をされていることに対しまして、有権者からも、一体何を考えているのかという批判が上げられております。
 文部科学省としましては、このような事態を踏まえても、中学生への積極的な避妊教育は早過ぎるとお考えになっての答弁だったのでしょうか。もしそのような答弁であるとしたら、一体どのようなデータに基づいてそのようなことをおっしゃったのでしょうか。

○上原政府参考人
 お答え申し上げます。
 学校教育による性教育につきましては、児童生徒の発達段階に応じてしかるべき教育がなされることが重要と考えてございまして、本年度の学習指導要領におきまして、小学校、中学校、高校と、段階に応じて性に関する教育をいたしているところでございます。
 それで、例えば小学校のケースでございますれば、体育科の中で体の発達とかそういう形で扱う。それから、心の問題その他。
 それから、中学校になりますと、異性への尊重とか、性情報に対する適切な対応とか、それから感染症予防の問題。
 高校に入りまして初めて、思春期と健康、それから結婚生活と健康という一環といたしまして、妊娠とか避妊法を含みます家族計画その他についての教育をいたしているところでございまして、御指摘のありました点につきましては、今後とも、学校教育の性教育の一環といたしまして、十分厚生労働省等とも連携しながらやっていきたいと考えてございます。

○水島委員
 質問にお答えいただけないのですけれども、先日の御答弁は、つまり、中学生への積極的な避妊教育は早過ぎるという何らかのデータに基づいてのものだったのでしょうか。そのような趣旨の御答弁と理解してよろしいのでしょうか。

○上原政府参考人
 いろいろ御意見があることは承知いたしてございまして、そういう問題につきましては、一義的には、各学校、各地域の実情に応じて適切な対処が必要だと考えてございます。
 しかしながら、中学校における避妊教育というよりは、先ほど来申し上げましたとおり、生殖機能の成熟とか、やはりそういうものに対する正しい理解だとか、異性への尊重という問題の中で指導していくことが必要なのではないかというふうに考えてございます。

○水島委員
 つまり、中学からの避妊教育は早過ぎるというような、データにも基づかずに答弁されていたということだと思いますが、いつも文部科学省が何かを論じるときに、データにも基づかずに、また現場でどれほど切実な状況に陥っているかも理解せずに、どうも情緒的、あるいは今のように中学生とはこういうものだというような、そういう感覚に基づいていろいろなことを発言し過ぎているのではないかといつも私は思っております。
 例えば、先ほど群馬県のデータをお示ししましたけれども、つまり、男子では中学校三年生、クラスの五分の一弱、女子でもクラスの十分の一弱が性交を経験しているという環境でありまして、これは一部の子供たちの話だからほかの子供たちは関係ないということではなくて、そのような環境では、その子たちが周囲に及ぼす影響、ピアプレッシャーと言われておりますけれども、これは非常に大きいわけでございまして、一部の特殊な子たちが経験しているからほかの子は関係ない、ほかの子というのはこれらのことを学べばいいんだというような姿勢では、とても現実はそのようなものではないということをしっかりと現場主義に徹して、またデータに基づいていろいろな施策を決めていただきたいと、本当にこれは、私はいつも文部科学省に対して思っていることであるわけでございます。
 そして、性と生殖に関する健康問題を主管するのは厚生労働省ということになっておりまして、健やか親子21ですとかいろいろと取り組みをされているのは存じ上げておりますけれども、十代の子供たちというのはやはり学校現場にいることが多いわけでございますし、文部科学省と厚生労働省との有機的な連携を持った性教育の推進が実質的な効果を上げるためには何よりも必要なのではないかと思いますけれども、どうも現在の両省の取り組みからは、私が知っている範囲では、危機感が全く伝わってこないわけでございます。厚生労働大臣としまして、この文部科学省との連携の中で実質的な効果を上げていくという点についてはどのようにされていくおつもりでしょうか。

○坂口国務大臣
 中学生、あるいは小学生も含めてかもしれませんが、この性の問題につきまして、やはり現実というものをしっかり見ていかなければならないというふうに思っております。
 私たちの世代ですと、自分の過去の時代を振り返ってそれとあわせて考えますと、それは間違ってしまう、現実は非常に変化をしている、大変変わってきているということをよく自覚しなければいけないというふうに思っております。そういう趣旨からいたしまして、厚生労働省として今まで以上に十代の性の問題を積極的に取り組んでいかなければならないわけであります。
 そういたしますと、当然のことながら、これはもう文部科学省と連携を密にしなければならないわけでございますので、今までもやってはまいりましたけれども、しかし、これから先、さらに文部科学省と連携を密にいたしまして、十代の性の問題、真剣に取り組んでいきたいと思っております。

○水島委員
 ぜひこれは優先的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、先ほどの文部科学省のお話でもございますけれども、学習指導要領上で高校生になってから初めて結婚と性というような観点が入ってくるということなんですが、中学生で性感染症のことを教えておきながらそこに性交という概念がないために現場では非常に教えにくいという声も上がっておりまして、その辺もぜひ理屈の通ったあり方を厚生労働省、文部科学省、連携して、本当に実質的な効果が上がるような連携をとっていただけますように強くお願いを申し上げます。
 また、最近、フランスやイギリスなどでは、十代の妊娠中絶対策としまして、緊急避妊薬の積極的な導入を考えた施策を提言していると伺っております。緊急避妊とは、レイプされた、コンドームが破損した、避妊できなかったなど非常事態の七十二時間以内にホルモン剤を服用することによって妊娠を回避するものであって、決して中絶薬ではございませんけれども、心身のトラウマをつくりかねない中絶を回避する最後の避妊手段としては極めて重要な避妊法だと考えております。
 ことしの四月十一日に、日本家族計画協会と当時の日本助産婦会が坂口厚生労働大臣あてに緊急避妊薬を早期に導入するようにという要望書を提出したと聞いておりますけれども、その後その要望書はどのように対応されているでしょうか。

○篠崎政府参考人
 ただいま御質問ございました緊急避妊薬のことにつきましてでございますが、成分名はレボノルゲストレルのことだと思いますが、現在我が国では承認をされておりません。その早期承認に関しまして、四月の十一日に日本家族計画協会などから御要望があったわけでございます。
 こうした御要望を踏まえまして、私ども関連する製薬企業などに我が国での開発の状況や意向などについて照会をしてまいりましたけれども、現在開発に取り組んでいる企業が一社ございます。
 このようなことで、私どもといたしましては、この企業の開発状況を見ながら適切に対応してまいりたいと考えております。

○水島委員
 今回はその開発に取り組んでいる企業がどうにか一社あるということでございますけれども、いつも、これでもしも開発をしている企業がなかったとすると、企業からの申請がないからというようなことでまたずっと寝かされるのではないかと思います。やはり、緊急事態においてきちんと対応できるような薬事行政を日本もとっていかなければいけないということを、私も過去にも指摘させていただいておりますけれども、今回もその様子を見守るというようなそういう悠長な構えではなく、今本当に何が必要とされているのかということを考えて、優先的に、とにかくスピードアップすることが必要だと判断して、きちんとそのように取り組んでいただくというようなことが必要なのではないかと思っております。
 性感染症もそうですけれども、十代に中絶をしてしまったことを、それを理由としまして、その後ずっと不妊になってしまうというようなケースもあるわけでございますので、本当に十代の子供たちがきちんとした自尊心を持って自分自身の性をちゃんと自分を守るためにコントロールしていけるようにする、そのための環境整備は私はやはり大人の責任ではないかと思いますし、その一つがこの緊急避妊薬の早期導入なのではないかとも考えておりますので、ぜひこれについてはスピードアップをしていただけますようにお願い申し上げます。
 この十代の中絶防止策は欧米に限らず深刻でございまして、近隣諸国でも積極的に緊急避妊薬の導入を図っております。インド、韓国、スリランカでは二〇〇二年一月に、台湾でも二〇〇二年五月に発売されたと聞いております。しかも、韓国では、非常事態に適切に対処する意味からも薬局で手に入れられるようにという、いわゆるOTC薬として一部指定したというふうにも聞いておりまして、諸外国では、机上の空論というよりも、現実に何が必要とされているのか、どうすれば子供たちを守れるのかというような視点からきちんと考えられているのではないかと思っております。
 本日の御答弁を伺っておりましても、日本の政府としましてこの問題について科学的、具体的、実際的な対応が異常におくれているのではないかと思いますけれども、何といってもこの十代の妊娠、人工妊娠中絶、この危機的な状況を大臣といたしましてどのようにとらえて、これからどれほど力を入れて対応されるつもりか、最後にその決意表明をいただきたいと思います。
 これはだれが聞いても深刻な事態でございますし、子供とはこうあるべきだなどというあるべき論以前に、どうすれば効果が上がるのかというデータは諸外国でいろいろと蓄積されております。今の緊急避妊薬もそうでございますし、また、性教育の有効な手段としての同世代同士の話し合いであるピアカウンセリングが一番有効であるというようなこともいろいろと研究されておりますので、事ここに至っては、有効であったものをきちんとデータを拾いながら日本で早急に導入するということが求められている、一つのこれは危機管理の問題ではないかとも思いますけれども、最後に、大臣がどれほどこの問題について、どのような方向で頑張っていかれるかということを御答弁いただきたいと思います。

○坂口国務大臣
 諸外国、諸外国と申しますか、欧米諸国におきましては既にこういう事態が早くから起こっていたわけでありますし、日本も遠からずそういう時代が来るんだろうというふうに思っておりましたけれども、思っておりましたよりも早く現実は進んでいるというふうに思わなければならないというふうに思います。
 今御指摘のありましたように、やはり若い、若いと申しますか、中学生時代あるいは高校生時代の男女の体を健康に保っていきますためには、やはり何が今必要で、何を手順よくやるかということだろうというふうに思います。
 その辺の整理を急がなければいけないというふうに思いますし、先ほど文部科学省との連携のお話も申し上げましたけれども、十分なやはり連携が必要でございますので、連携しながら、まず手順を考えて、そして何を優先して行っていくべきかといったことを行い、そしてまた、必要なのは一体何と何なのか、その必要な項目も、やはり列挙をして、そして手落ちのないようにしていかなければならない。そうしたことを双方あわせてこれはやっていかないといけないというふうに思っている次第でございます。

○水島委員
 その際の姿勢だけ最後に確認させていただきたいんですが、この問題は、諸外国のデータから、また日本の中のデータを見ましても、寝た子を起こすから余り早く教えてはいけないというような、そんな世界の話ではなく、やはり十代の性というものは、いかにして高い自尊心を育ててあげるか、そして、それと同時に、どのような状況に陥ってもきちんとその状況を自分なりにコントロールできるだけのスキルをいかに与えるかという、自尊心とスキルという二本立ての問題だと思います。さらに、その背景として、先ほど言いました緊急避妊薬の導入のように、何かがあったときにきちんと守られるような体制を社会として提供するというような構造が必要なのではないかと思っております。
 まさか、坂口大臣のことでございますので、これを罰するとかそのような方向でさらに自尊心を低下させるような施策をとられるのではなく、きちんと自尊心を高めながら、自分の権利と健康を守っていくための性教育というような考えに立って進めていただけると信じておりますけれども、その点だけ、最後に一言御確認をいただきたいと思います。

○坂口国務大臣
 御趣旨、十分尊重をしたいと思っております。

○水島委員
 どうもありがとうございました。
 ぜひ全力で進めていただけますようにお願いいたします。



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