厚生労働委員会
(2002年6月7日)



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ジェンダー・スペシフィック・メディスン、タバコの問題など




○水島委員
 民主党の水島広子でございます。
 まだまだ医療制度に関してはお伺いしたいことがたくさんございますので、前回聞き残したことも含めまして、本日もまた大臣に質問をさせていただきたいと思います。
 先日、五日の本委員会で、私は最後に、ジェンダー・スペシフィック・メディスンについて伺いました。時間が足りなくなってしまったのでここで改めて伺いたいのですが、そのときに、なぜ雇用均等・児童家庭局がこのジェンダー・スペシフィック・メディスンの担当なのかということを問題点として指摘させていただきました。その後、担当局の変更について検討していただけましたでしょうか。
 先日もお話ししましたように、血中のコレステロールの値と心疾患のリスクは男女でそのパターンが大きく異なっており、女性については、適正なコレステロール値の範囲は今の臨床で設定されている適正値よりも高いところにございます。抗コレステロール薬の市場は年間三千億円と言われておりまして、この三千億円のうち二千億円が女性に投与されていると言われております。ここにも医療費のむだがあるのではないかと私は思っております。つまり、コレステロール値を下げる必要のない女性がそれを下げるようにと言われて、抗コレステロール薬を投与されているというような例が実際に多いのではないかと考えているわけでございます。アメリカのFDAでは、一九九八年のニュー・ドラッグ・アプリケーションズにおいて、薬剤治験における性別、年齢、人種による検討を義務づけております。
 このように考えてまいりますと、これはまさに医療全般の根幹にかかわる問題であって、決して女性だけの問題ではございません。雇用均等・児童家庭局の担当としてしまいますと、そもそも日本の厚生労働省がこの問題を誤ってとらえているということを国際社会に見事にさらけ出してしまうことになるのではないかと思いますけれども、大臣はこの担当局の変更についてどのようにお考えになりますでしょうか。

○坂口国務大臣
 日本の医療はさまざまな今まで平均値を出してまいりましたが、今までは年齢も考慮に入れずに、一つの検査なら検査の平均値はこういうことですということを言ってまいりました。最近になりましてようやく年齢差というものを考慮に入れて、お若い人たちと中年と高齢者の皆さん方の間ではそれぞれ値も違うというので、それぞれにやはり分けて考えるようになってまいりました。
 私が医学部を卒業しますころには、例えば血圧の値一つとりましても平均値で物を言っておりまして、それよりも高い人は全部高血圧というふうに言っていたわけでございますが、六十歳、七十歳になってまいりました人間と二十や三十歳の人とは違うわけでありまして、これは別途に考えなければならないというのでだんだんとその考え方は取り入れられてまいりました。しかし、今御指摘をいただきました性差というものにつきましては、これはまだ緒についたばかりと申しますか、日本におきましてはまだ十分に取り入れられていないというふうに私も思っております。
 御指摘をいただきまして、なるほど、私もそれはそうだなというふうに思いながら先日聞かせていただいたわけですが、省内におきます問題は、これはそれぞれの局にまたがる話だと私は思います。どれどれの一つの局に限定をして取り扱うべき問題ではなくて、医政局なら医政局におきましても、健康局なら健康局におきましてもそれぞれ存在する問題でございますから、なかなか一つの局に限定しにくい、これは広がりのある問題だというふうに思っておりますが、全体としてどこが担当するかということをもし決めなきゃならないとするならばどうするかという問題になるわけでございます。しかし、事の性格上は、各局にまたがる内容を持ったものであるというふうに私は思っております。

○水島委員
 そうしますと、当面の担当局のあり方をどういうふうにするかということを、またちょっとその構造の変化を検討していただけるという答弁と受け取ってよろしいのかなとちょっと思ったんですけれども。
 実は私も、問題意識を持ちましてから何人かの専門家に、これを雇・児局が担当するそうだけれどもどう思うかということを聞きましたら、皆さん笑っていらっしゃったわけです。これを、私、これから三年間なら三年間、人に説明するたびに、本当はおかしいんだけれども、なぜかこんなところが担当していてということを説明し続けなければならないとすると、これはちょっと、大変恥ずかしい話なのではないかとも思うわけです。
 今の大臣の御答弁、現状のようにこれは雇・児局の担当ですと言い切るものではなくて、もっと幅広いものであって、この問題に対する取り組みをどこかの局が担当するというのではなくて、全部の局にそのような視野を設けていただくというふうに受け取らせていただいてよろしいんでしょうか。つまり、これから私がこのジェンダー・スペシフィック・メディスンについて個別の質問をしていくときには、例えばそれが保険に関することだったら保険局にお答えいただいたりとか、あるいは医療の根本にかかわることであれば医政局にお答えいただいたりとか、そうなっていくというふうに理解してよろしいんでしょうか。

○坂口国務大臣
 それは旧厚生省の中だけではなくて、例えば健康診断の話などになってまいりますと旧労働省の中にもまたがってくるわけでございます。この健康診断一つをとりましても、それはそこに性差の問題というのは入ってくるというふうに思いますし、その内容によりましてそれぞれがやはり担当をしていくということは、当然のことながら起こってくることだというふうに思っております。

○水島委員
 ありがとうございました。
 つまり、先日の雇・児局の局長からいただいた答弁と比べまして、やはり大臣はこの問題をその後考え直してくださったんだなということが理解できまして、その点についてお礼を言わせていただきたいと思います。
 さて、男女という問題でもうしばらく質問を続けさせていただきたいんですけれども、男女共同参画社会基本法並びに基本計画では、諸制度が性に中立的であるべきという方向が打ち出されておりまして、年金については既に厚生労働省も検討に入っておられます。医療保険制度については現在どのような検討段階にあるのでしょうか。

○大塚政府参考人
 基本的には、医療保険では、性といいましょうか、男性か女性かという制度上の区別はもちろんないんでございますが、社会実態として被扶養者というような制度があるわけでございます。年金と同様に基本的な社会保障制度の一つでございますから、共通の問題という面が一つ、年金と共通の問題を幾つか抱えているという問題もございます。したがいまして、その点については、年金の議論をよくフォローしながら私どもも考えていくという面が一つの考え方。
 もう一つは、やはり医療保険、年金とは違う面もあるわけでございます。例えば、歴史的な経緯はとりあえずおくといたしましても、被扶養者の場合には、医療保険の場合は当然子供さん、つまり二十未満の方々も加入者でございますから、仮に被扶養者あるいは個人化ということで負担の問題が出てきます場合に、二十未満の方々をどうするか。これは年金とまた違う課題として生じてまいりますし、一方では、今度は給付を受ける場合には、これまた年金と異なる面としては、いわゆる患者の自己負担という問題もございます。
 したがいまして、年金と共通の側面と、また医療保険独自の側面と、両方ございますが、今後、医療保険制度の体系を考えていく場合に、やはりこの問題、整理しなければならない課題の一つだと思っております。全く年金と平仄が合えばいいというだけではない問題も抱えておりますから、その両面からよく議論をしていきたい、検討していきたいと考えております。

○水島委員
 私は、年金の制度と同じにするか違えるかということを質問したのではなくて、現在の検討状況を伺ったわけでございますので、当然、年金と医療保険と、制度が違うからそれぞれまた別の検討が必要になるということは百も承知なわけでございます。そして、これからの制度を考えていく上で検討しなければいけない課題であるという御答弁でございましたので、つまり、今までのところは検討していないというふうに受け取らせていただきました。
 ここに五月一日の朝日新聞の夕刊がございまして、電機連合が健康保険料についての独自の改革案を出したなどというような、そんな記事もございます。労働組合が厚生労働省よりもずっと先行してこのことを議論しているのかと思うと、厚生労働省はどういうことになっているんだろうと思いますけれども、この点について、今の私の、まだ何も検討されていないという理解が正しいのかどうかということも含めまして、坂口大臣の今後に向けての御見解をお伺いしたいと思いますが。

○坂口国務大臣
 医療の中におきます性差の問題は、今までから指摘はされてまいりましたけれども、しかし、取り扱いとしては、特別な取り扱いというのはなかなかされてこなかったというふうに思っております。例えば、データ一つをとるにいたしましても、男性と女性とで特別に性ホルモン等に関係のありますものは別でございますけれども、その他のものにつきましては大体同じように取り扱われてきたというのが現状でございますし、その辺のところは同じように取り扱われてきた。
 そうした問題を、どのようにこれから性差を意識して医療というものを行っていくかという方向にこれをどう持っていくかというのは、まだこれからの問題で、現在までのところ、そこは余り進んでいなかったというふうに解釈する方が正確ではないかというふうに私は思います。

○水島委員
 済みません、大臣大分お疲れかなと思うんですが、今お伺いしておりましたのは、医療保険制度の中の扶養者の方の問題でございまして、ちょっとさっきのデータの方はもう終わっておりまして、今は、扶養家族の負担問題ですとか、そういったことも含めての男女の性中立性の問題ということでお伺いいたしましたんですが、そちらについては、では、先ほどの保険局長のお答えでよろしいでしょうか。
 では、またこれも重要なテーマでございますので、これから折に触れて伺ってまいりたいと思っておりますけれども、やはり、この制度設計を考える上での性中立性というものは、男女共同参画社会基本法を制定しております日本において早急に検討していかなければいけない課題であると思っておりますので、またこれについては追って質問してまいりたいと思っております。
 ちなみに、年金についても一つだけお伺いしたいのですけれども、五月十五日に、年金の給付と負担についての将来推計がまとめられ、発表されたわけでございます。ところが、もう一方では、昨年の十二月に、女性と年金検討会の報告書の中で、第三号被保険者にかかわる保険料負担の考え方として六つのモデルが挙げられているわけですけれども、これらのモデルに基づいた給付と負担の将来推計はされていないのでしょうか。もしもまだされていないのだとすると、これはどのモデルを選んでいくかということを考える上で、将来像を知っておくというのは重要な問題だと思いますので、試算をする必要があると思いますけれども、いつまでに試算をしていただけるのか、お答えいただきたいと思います。

○辻政府参考人
 今御指摘の、女性と年金に関しましてのまず関係でございますけれども、昨年末に女性と年金検討会で御報告をいただきまして、御指摘のように、六つの課題につきまして今後の検討すべき方向性をお示しいただきました。
 中でも、特に一番重要な問題の一つとして、今、専業主婦、一生、一生といいますか、夫婦である期間ずっと専業主婦である方を念頭にしたモデル年金になっておりますものを、共働きモデルに変えるべきである、こういったこともそこで指摘されているわけですが、それが今回の新人口推計の試算に基づいてどのような前提に立っておるのかというお尋ねかと存じます。
 結論から申しますと、今回の、先月公表させていただきました新人口推計対応試算は、これはあくまでも新人口推計による年金制度への大きな影響、大まかな影響を見てとるためのものでございまして、平成十一年財政再計算の数字の人口部分だけを基本的に置きかえたものでございます。したがいまして、これはそういう今後の政策的な改正方向につきまして織り込んだものではございませんので、今のモデルというものにつきましても、共働きモデルにするべきという検討会の方向性に沿った中身の今後の政策方向というものは、その試算の中には含まれておりません。
 しかしながら、当然のこととしまして、女性と年金検討会でお示しいただきました六つの事項についての今後の検討の方向性は、今後、検討されるべきことでございまして、現在、社会保障審議会年金部会で十六年に予定されております次期制度改正に向けて検討いただいておりまして、現時点では、制度体系の骨格的な事項、例えば財政方式とか財源とか、そういったところからの議論をいただいておりますが、当然のこととして、今後、議論を深める中で、今御指摘の論点につきましてはこの年金部会で検討いただきますが、大きな形としましては、十六年の制度改正に向けて、これから個々に論点、来年に向けて御議論いただきますので、最終的な大きな論点整理というのは来年の夏前ぐらいまでかかるのかと存じますが、その間の適切な時点で、必ずこれにつきましてさらに議論が深められ、整理がなされるということで認識をいたしております。

○水島委員
 年金の財源をどうするかというのはかなり大きな問題ですので、議論に時間がかかるのはわかるんですけれども、六つのモデルが既に挙げられていて、そのモデルに基づいて、新人口推計に基づいてで結構ですけれども、将来の給付と負担の将来推計を試算するというのはそんなに時間がかかるものなんでしょうか。

○辻政府参考人
 ただいま仰せの六つのモデルの中で、試算にかかわります非常に大きな問題点というのは、モデル年金の水準、すなわち典型的な事例における、今現在は専業主婦を前提とした御夫婦で二十三万八千円というのがモデル年金の水準でございますが、これを共働きにしたときにどのような水準とするのかということについての検討が必要でございます。したがいまして、それにつきましては、もとより全体として給付と負担の水準をどうするのか、そういう全体の給付と負担の水準のレベルを議論する中で、その中の一つの問題として議論されることが必要と存じます。
 現時点におきましては、そもそも新人口推計のどの推計を用いるのか、全体として負担と給付の水準を求める上での議論をどのような前提で行うかという議論が行われておりまして、恐れ入りますけれども、やはりそのような議論の次に行われるべき、しかしながら、実は、この女性と年金の問題につきましては、非常に大きな議論でありますことから、わざわざ去年一年かけてあらかじめ詰めたということで、随分その点、中身は詰められておりますので、私ども、何とぞこの問題につきましても年金部会で円滑に議論がなされるものと期待をいたしております。

○水島委員
 円滑に議論していただくのは、ぜひしていただきたいんですけれども、さらに、今の御答弁を伺いましてもちょっと腑に落ちないんですけれども、モデル年金の水準を決めるということと、これからそのモデルを六つのそれぞれに関して、これは第三号被保険者の負担のあり方を変えていくものですので、そのときのモデル年金の水準をどこに置いたときに負担額がこうなって、そのときの給付がそのときのモデルではこうなるというようなことは、当然幾つか挙げていくことは試算としてはできるはずだと思うんですけれども、それもそんな来年の夏までかかるんでしょうか。

○辻政府参考人
 ちょっと私が間違っておりましたらお許しいただきたいと思うんですが、六つといいますときに、大きな女性と年金に関する課題が六つ掲げられたという六つの問題と、今私が申し上げましたモデル年金のあり方をどうするかという問題と、それから、六つというともう一つ、第三号被保険者のあり方を考える上で六つの案があるという六つとさまざまございます。
 もし第三号被保険者についての六つの案をどのようにするのかという御指摘でございますれば、この点につきまして、むしろ、負担と給付全体のあり方で、かたい話でございますけれども、細かい話でございますけれども、六つの案というのは負担をどのように持ち合うかという問題でございますので、六つの案のどれをとるかによりまして給付と負担全体の推計は異なりません。基本的には給付水準の問題でございます。
 そのような意味から、やはり、大きな形として、推計に一番大きく関係しますのは、モデル年金の水準をどのようにするのかということかと存じます。

○水島委員
 まだちょっと話がかみ合わないんですけれども、ただ、きょうは医療制度についての質問で、質問の残り時間が大分少なくなってまいりましたので、ちょっとこの続きはまた後日、別の委員会のときにさせていただきたいと思います。(発言する者あり)また来週、質問をさせていただきたいと思います。
 きょうはちょっと先に行かせていただきたいんですけれども、もう一つ、医療そのもののことではないんですけれども、今後、健康増進法案などを考えていく上で、伺ってまいりたいことが一つございます。
 これはちょっと基本的なことだと思いますので、伺いますが、五月二十一日の朝日新聞によりますと、富山市の中学校の給食では、男子の食パンが女子よりも一センチ厚いということが報道されております。この受けとめ方として、一年男子のコメント「男はたくましくってことだよ」というのが載っていますが、見事に教育過程でジェンダーが刷り込まれているということがよくわかると思います。
 富山市の教育委員会では、当面見直す予定はないということでございますけれども、男性であるか、女性であるかというだけでパンの厚みを一センチ変えるというようなこのやり方について、厚生労働大臣としては、これについてはどのようにお考えになりますでしょうか。

○坂口国務大臣
 成長期におきます男性と女性とのそれぞれの格差、例えばエネルギー値でありますとかいろいろなものがあるというふうに思いますが、そうしたものにのっとっておやりになっているのかなというふうに思いながら今聞いたわけでございますけれども、それは、それぞれの地域のいろいろの、御父兄のお声もございましょうし、学校の意見もあるんだろうというふうに思いますが、しかし、男の子の中にも余り食べない子もおれば、女性の中にも体格の非常にいい子もいるわけでありますから、一律にそう、男の子だから、女の子だからといって分けるというのもどうかなと私は思いますけれども。
 しかし、そこはそれぞれの地域で、こういう風土でやろうというふうに、お父さんやお母さんの会と、そして学校等でお決めになったことでございましょうから、そこは皆さん方のお声も尊重しなきゃならないと思っております。

○水島委員
 ちょっと今の御答弁、驚いてしまいました。坂口大臣からは、もうちょっと違う答弁が出てくるかなと思っていたんですけれども。
 では、地域で決めるんだったら、それが栄養学的に、あるいは健康的な観点からおかしなことであっても、厚生労働省は、それは地域で決めるんだからいいというようなお考えに立っているんでしょうか。例えば、地域によって塩分摂取の多い県、私の地元の栃木県なんかも、味が濃いということで、脳卒中になる方が多いわけですけれども、そういう地域があっても、それはそこの地域で味の濃いものが好きなんだからほうっておけというような考え方をされているんでしょうか。
 
〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕

○坂口国務大臣
 いや、それはそういう意味ではございません。そういう指導は指導でしていかなければならないというふうに思いますが。
 だから、男女の間にもさまざまな差があるということを私も申し上げているわけで、男の子だから、女の子だからというので分けるというのもいかがなものかということを指摘しながら、しかし、そういうことをその地域のPTAやあるいはまた学校当局がよく理解した上でおやりになっているというのならば、それ相応の理由があるんだろう。それもよく聞いてからこれはやらないと、一方的に厚生労働省として、男の子だって小さい子もあるし、女の子だって大きい子もあるし、栄養上、それはとらなきゃならないカロリーもそう違わないんだからとか、そうしたことだけで言うわけにもいくまい。だから、地域の御意見も尊重しなきゃいけないということを私は申し上げているんです。

○水島委員
 今の御答弁でもまだ納得できないんですけれども、本当にいよいよ残りの時間が少なくなってしまいましたので、このようなことについては、もう少しこちらも問題意識として持ちまして、また改めて質問をさせていただくかもしれませんが、本日は最後にたばこについてまたお伺いをしたいと思います。
 今回の健康増進法案にも関することでございますけれども、たばこについては、未成年が買える場所に自動販売機を設置するべきではないという意見が以前よりございます。健康増進法案を機にきちんとするべきではないかという声が高まっておりますけれども、これについてはそうしていただけるんでしょうか。

○宮路副大臣
 私の方からお答えさせていただきます。
 私どもの研究班で調査をやったところによりましても、高校三年の男子生徒について行った調査でありますが、たばこを吸ったことのある高校生、高校三年生の男子でありますけれども、その四分の三ぐらいが自動販売機でたばこを入手しておられる、そういう調査結果も出ておるわけであります。したがって、自動販売機の取り扱いが未成年者の喫煙に大きな影響力を持っているということは、その点からも否定できないんじゃないかな、こう思っております。
 そこで、先般、財務省それから警察庁と共同で、たばこ販売業界に対しまして、店舗に併設されていない場所など、たばこ販売者において十分な管理監督が期しがたい、そういった自動販売機の設置場所の変更につきまして、ことしの二月でありますが、たばこ販売業者等に要請をさせていただいておるところでありまして、今後とも、健康づくりを進めていく上でこの問題は大切な課題であると受けとめておりますので、一層意を用いて取り組んでまいりたいと思っております。

○水島委員
 また、現在、二〇〇三年のたばこ枠組み条約の採択に向けた取り組みが行われているわけですけれども、二〇〇〇年十一月の青少年問題特別委員会で私が質問しましたときには、議論している最中とのことでほとんどお答えいただけませんでした。
 条約の具体的な内容としては、たばこ税の引き上げ、若年者に対する販売禁止、受動喫煙からの保護、たばこの広告規制及び警告表示等が政府間交渉で検討されるということになっておりますけれども、これらのそれぞれの点について日本政府はどのような意見表明をしてきたのか、また、どのような姿勢で臨んできているのかということを簡単にお答えいただきたいと思います。

○下田政府参考人
 ただいまお尋ねのたばこ対策枠組み条約の進捗状況でございます。来年の五月の採択に向けまして、現在、政府間交渉を行っておりまして、第四回開催をいたしております。
 たばこ対策枠組み条約の内容につきましては非常に多岐にわたっておりまして、各省にまたがるという観点から、厚生労働省が政府全体を代表してお答えする立場にはございませんけれども、これまで交渉会合において述べてきた主な意見を今御紹介申し上げますと、まず第一に、租税措置につきましては、租税政策に関する各国の裁量権は確保すべきであろう。第二点としまして、自動販売機につきましては、未成年者の喫煙を防止するためにどのような措置を講ずるべきか。第三点といたしまして、受動喫煙の防止については、簡潔明瞭で理解しやすいものとするべきではないか。第四点といたしまして、表示規制につきましては、喫煙と健康リスクについて情報提供することは極めて重要であるけれども、そのやり方は各国が判断すべきではないか。第五点は、広告規制でございますけれども、未成年者へのアピールをいかに防止すべきか。そういった観点から、日本政府として意見を述べておるところでございます。

○水島委員
 まだ伺いたいことがあったんですけれども、時間になりましたので終わらせていただきますけれども、たばこを吸うことによって喫煙者本人にかかる余分な医療費は、九九年度で年間約一兆二千九百三十六億円に上るという試算が、国立保健医療科学院と医療経済研究機構によってまとめられたということが五月二十四日に報道されております。そのうち、がんが三千九百五十九億円と三割を占めているということですけれども、この金額には受動喫煙による超過医療費は含まれていないので、実際にはもっと多いことになります。本人にかかる超過医療費だけでも医療費全体の約三十分の一であり、医療財政の厳しさだけから考えても、やはりたばこの問題は避けてはいけないと思います。
 このデータを踏まえまして、最後に一言だけ、大臣の決意表明をまたお聞かせいただいて、終わらせていただきたいと思います。

○坂口国務大臣
 たばこの問題につきましては、特に若い世代の皆さん方の喫煙が非常にふえているということで、大変心配をいたしております。これは、やはり数値目標を立てまして、そして早くたばこからすべての人が解放されるようにしていかないといけないと思っている次第でございます。

○水島委員
 ありがとうございました。



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