厚生労働委員会
(2001年5月18日)


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精神医療、無認可保育所について



■水島委員
 民主党の水島広子でございます。
 先ほど同僚の山井議員から、精神科医療のどちらかというとハード面に関しての質問がございました。
私は、それ以外のソフト面について、ちょっときょうはお伺いしたいと思います。
 まず、精神療法についてお伺いします。
 精神療法というのは、一般に心理療法、カウンセリングなどと言われているものでございますけれども、精神科臨床においては薬物療法と並んで非常に重要な治療法でございます。
特に、後ほど取り上げさせていただきます摂食障害などにおいては、精神療法なくして有効な治療は成立しません。
 ところが、今までの日本の厚生行政を振り返ってみますと、薬物療法と比べると、精神療法については恐ろしい野放し状態であったと言わざるを得ません。
有効性も安全性もほとんど検討されてこなかったため、効果のない精神療法を何年もだらだらと続けて貴重な人生をむだにしている人もいますし、有害な精神療法のために深く傷つき、自殺にまで追い込まれる人もいます。
 精神療法についても、人を対象とした治療法である以上、有効性と安全性をきちんと検討すべきだというのが国際的な流れでもあるわけですが、まずこの点について大臣がどうお考えになるかを教えていただきたいと思います。

■坂口国務大臣
 水島議員が御指摘になりました精神療法ということについて、私、そんなに深く知っているわけではございません。
もう初めに白状をいたしておきますが。
 ただ、現在までの精神医療というものが、薬物療法オンリーとは申しませんけれども、そこに非常に偏り過ぎてきたことだけは間違いがないというふうに思っています。
 この精神療法、その中にいろいろのものが含まれるんだろうというふうに思いますが、そうした療法を順序よく、そして論理的に踏まえることによって、この治療ということに随分大きな貢献をするのであろうというふうに思いますし、また、それは多分そういう治療も行われているのだろうというふうに思いますが、少なくとも、それに対する評価が十分でなかったという御指摘は、私もそれはそのとおりではないかと反省をする一人でございます。
もう少し、専門家からの意見を言わせていただきたいというふうに思います。

■水島委員
 ありがとうございます。
 大臣も、もし御家族が心の病になられて、精神科を受診したけれども、医者は全く口をきいてくれないで薬だけをぽんと出された、どうも、この子の心の悩みをもっとよく聞いて、いろいろなアドバイスをしてほしいと思われると思います。
 そういったときの精神療法でございますけれども、薬と違って、飲んだらすぐに副作用が出るとか、そういうことが客観的にわからないために、効いているんだか効いていないんだかわからない。
効かない場合にも、今までは、本人が悪いというふうに言われていたような流れが日本にはございまして、諸外国ではそうではなくて、きちんとしたやり方に基づいて行えばこういう効果がこのくらいの期間で出るというようなことも、きちんとデータがとられているわけでございますので、ぜひその辺、大臣もこれから積極的にお勉強いただきたいと思います。
 さて、精神療法の有効性についてのエビデンスは、特に認知療法あるいは認知行動療法や対人関係療法については、欧米で広くデータが得られ、アメリカ精神医学会のうつ病や摂食障害のガイドラインでも、実証的研究を踏まえながら採用されております。
 昨年十月の厚生委員会で、私が認知療法と対人関係療法について質問しましたところ、厚生省の方の答弁は、「人間関係療法というふうなものはまだ確立された療法ではないというふうに私どもお聞きしているわけでございます。
」というようなもので、私は大変驚いたわけでございますが、その後、精神療法の効果についての検討状況を国際的な視野でお勉強していただけましたでしょうか。
アメリカ精神医学会のうつ病や摂食障害のガイドラインなどを御承知かということも含めて、お伺いいたします。

■今田政府参考人
 まず、御指摘の精神療法一般に係りますいわゆるEBM、根拠に基づいた評価が必ずしも行われていないのではないかという御指摘ございました。
現在、学会の方でガイドラインをつくろうという動きがございまして、これにはぜひ我が省としても応援をしていきたいと思っております。
 御指摘の、精神療法の一つであります認知療法あるいは対人関係療法でございますが、御指摘のように、アメリカの精神医学会の診療ガイドラインの中で位置づけられておりまして、今おっしゃっていただいたように、一定の有効性というものは認められております。
 ただ、こういったいわゆる精神療法、あるいは行動療法も若干加味されているのかと思いますが、こういったものにつきましては、我が国において、我が国の文化あるいは社会、言語、そういった背景の中で認知療法を、先ほどのEBM、つまり、どういう根拠で、どういう方法で、どういうやり方をすればいいかといった検討については、必ずしも十分な検討が行われていなかったものというふうに承知をいたしております。
 これらにつきましては、ぜひ関係学会の取り組みに期待をするとともに、私どもといたしましても、どのような支援をすればいいかという点については、今後、積極的に検討していきたいと考えております。

■水島委員
 何か質問していないことまでお答えいただいてしまったのですけれども、私が聞きましたのは、対人関係療法について、きちんとそのガイドラインの中で、また今までの実証的なデータに基づいて、有効性が確立されている治療法であるということをきちんとお認めいただけますかということです。
 十月の御答弁の時点では、対人関係療法について知識がゼロの状態であったと私は判断しておりますけれども、その後、その点についてお勉強いただけましたかということにお答えいただければいいのです。

■今田政府参考人
 失礼いたしました。
 対人関係療法につきましては、米国におきまして、精神医学会のガイドラインによって、うつ病、摂食障害の治療方法の一つとして一定の評価を得ているということで承知いたしております。
 アメリカでこのガイドラインに載るということは、当然、その根拠、評価、こういったものを明確にするからこそガイドラインに載せられるんだというふうに理解しておりますから、米国において、そういう手続、そういう評価がきちっと行われている療法であるということについては、私ども、今はそういう認識で理解をいたしております。

■水島委員
 それでは、昨年十月の御答弁を訂正していただけたということで、次に進ませていただきます。
 今現在、通院個人精神療法については、病院三百四十点、診療所三百九十二点ということになっており、このほかには標準型精神分析療法というのが三百九十点というふうにございます。
前者の場合、初診以外は特に時間の決まりがないため、三分間診療であろうと、定型的な認知療法を四十分かけて行おうと、診療報酬が全く同じということになっております。
うつ病や摂食障害に対しての効果が実証されている治療法とそうでない治療法が全く同じ扱いというのは、余りにもおかしいのではないでしょうか。
 三分間診療であれば、四十分間に十人以上の患者さん分の通院精神療法を算定することができますので、医療側の事情からいっても、わざわざ四十分かけて認知療法を行おうとはしないのではないでしょうか。
こんなことでは認知療法が普及するわけがないと思います。
その結果として、国際的に見て質の低い治療法に甘んじなければならない患者さんが最大の被害者であると思います。
 既に有効であるというエビデンスが得られている認知療法あるいは認知行動療法、対人関係療法についてきちんと診療報酬を与えるべきであるという質問を十月の厚生委員会でさせていただいたわけでございますけれども、その後、その検討状況はいかがでございましょうか。

■大塚政府参考人
 今先生お話がございましたように、精神療法に関する診療報酬の大きな枠組みは今おっしゃったような内容になっておるわけでございます。
 精神療法に関する治療法、その内容、方法は、恐らく相当多岐にわたる、ケースによっても幅が広いというような状況でございましょうから、精神療法に関する診療報酬としては、今おっしゃいましたように、通院精神療法あるいは入院精神療法といったような大きな枠組み、そういう枠組みで評価を行っているわけでございます。
そういう設定の仕方で、むしろ臨床上のさまざまな、多岐にわたる療法に対応できるという形になっておるのだろうと思います。
 その上で、個別診療技術の評価についてどう考えるかということになりますと、そういう全体のいわば診療報酬体系の中で、個別に診療技術を評価するかどうか、これは、その必要があるかどうかも含めまして、その実態に応じて検討するわけでございますけれども、やはり関係学会を中心とした専門家の御意見あるいは御要望を伺いながら、個別具体的には、いずれ中医協という場で御議論いただく、そういう性格のものであろうと考えておるわけでございます。

■水島委員
 ここからは大臣にお伺いしたいと思います。
 今の御答弁でも認められているわけですけれども、今、厚生労働省では、診療報酬体系を見ますと、すべての精神療法を対等に扱っているわけでございます。
 ところが、先ほども申しましたように、そのうちの幾つかの治療法については、ほかの治療法に比べて明らかに効果があるということが外国ではわかっているわけでございます。
欧米では、この病気にはこの精神療法というふうに、きちんと有効性のエビデンスを積み上げているわけです。
外国で既にエビデンスが得られている治療法が日本でも有効かどうかを検証することは極めて重要であると思われますけれども、それについての御同意はいただけますでしょうか。
 そして、後で述べる摂食障害もそうなのですが、日本では有効な治療法が確立していない、でも欧米では治療法のスタンダードがほぼでき上がっている、そういう場合に、厚生労働省として、その治療法を日本に取り入れることができるかどうかについて何らかのリーダーシップを発揮すべきだと思いますけれども、それについてはどうお考えになりますでしょうか。

■坂口国務大臣
 厚生労働省が、医療の中の医療保険、とりわけその中の医療点数等の配慮をいたしますときに、それは、厚生労働省が最初から全部そのことを知っていて、そのことをやるということにはなかなかいかないのだろうと思うのです。
 その場合には、それぞれの学会等でその治療方法が採用されて、やはりその中で確立をされていくといったようなことが先行してあって、そして、精神療法としてこういう治療方法がやはり望ましいといったようなことが一般化されてくる中で、よしそれではこれを取り上げていこうということに、手順としてはなっていくのだろうというふうに思います。
専門の先生に入っていただいて、そこから提案をしていただいてということになっていくのだろうというふうに思っています。
 ですから、今先生のお話をお伺いしておりますと、アメリカではもうかなり一般的な治療方法になりつつあるように思いますし、こういうグローバルな時代ですから、日本の中にも早急にそれはもう入ってきているのでしょうし、普及しつつあるのだろうというふうに私も思いますが、その辺のところを学会の先生方にもひとつよくお話しをいただいて、そうした中でその点数等は組み立てていくということになっていくというふうに思います。
 厚生労働省も一生懸命勉強いたしますけれども、厚生労働省の人間が勉強するのは限られておりますから、それだけではなくて、やはり積極的な先生方の御指導というものもあってそれは前進するというふうに思っております。
ですから、その辺のところも、ひとつまた御指導をいただければというふうに思います。

■水島委員
 今大臣がおっしゃったことは正論のように聞こえるわけでございますけれども、実際に今、日本の専門家と言われる人たちの中でも、たまたま運よく外国に留学することができた人は外国の流れをよく知っております。
でも、大多数の人は、日本の国内で日本の医学教育を受けて、日本の臨床現場でトレーニングを受けているわけですので、私は、精神科医療の一部を見ておりますと、ちょっと鎖国状態ではないかなと感じるようなところもございます。
 外国ではどんどん治療法が進んでいって、外国に行けば助かるのに、日本にいるからという理由で、それも日本の専門家のコンセンサスが得られないという理由だけで、外国にはこんなにいい治療法があるのに、日本ではそれを全く受けられないというのは、私は、これは、専門家の責任というよりも、やはり行政の責任ではないかと思っております。
 学者の意見を聞く場合にも、国内でずうっとそれこそ守旧派のように学問をされている方の意見だけではなくて、きちんと外国で学ばれた方であるとか、そういう方の意見を聞かれたり、外国人の学者の意見を聞いたり、また、私自身も、留学経験としてはございませんけれども、また当時国から何も税金で給料ももらっておりませんでしたけれども、個人の努力で幾らでも外国の論文を調べて訳したり、いろいろなことができるわけですので。
 それは、私一人なんかよりもよほど大きな組織力を持っている、そして、何といっても税金で賄われている厚生労働省ですので、ぜひその辺は、専門家の意見を待つというような姿勢ではなくて積極的に、外国にこんないい治療法があるのだったら、そして日本にもいい治療法があればいいですけれども、日本ではそういう人たちは助かっていないわけですから、そういうのは日本で使えるものかどうかというのをちょっと試してみようではないか、そういう姿勢をぜひ強く打ち出していただきたいものであると思います。

■坂口国務大臣
 そこは、国際派の意見もしっかり聞くようにいたします。

■水島委員
 そして、鎖国状態でもあったような専門家集団ではございましたが、もちろん、最近では一生懸命勉強されている方もたくさんいらっしゃいます。
 そして、今私が聞いている情報によりますと、現在、主任教授の集まりである講座担当者会議というところで治療ガイドラインを作成しておりまして、その中で、うつ病の治療法として認知療法や対人関係療法が大きく取り上げられる見通しでございます。
また、精神神経学会でも治療ガイドラインをつくっておりまして、そこでも対人関係療法と認知療法は組み入れられそうだということでございます。
これは日本の専門家の意見ということになるわけですけれども、そういったものが上がってまいりましたら、これはかなり真剣に、厚生労働省としてきちんと診療報酬に算定するように検討いただけますでしょうか。
 と申しますのは、先ほど大臣は、アメリカでこれだけ一般化しているものだから日本にもさぞ普及しているに違いないとおっしゃったのですけれども、こればかりは、治療を行うために四十分ぐらいかかる治療法ですので、普及させるには、医者も道楽でやっているわけではありませんから、三分診ても同じ値段、四十分診ても同じ値段という場合に、わざわざ四十分かけた治療法をやるという人はごく限られてまいりまして、病院もつぶれてしまいますし、そんな状況で普及する方がむしろおかしいと思います。
 普及させるためには、きちんとそれ相応の報酬を与えていかなければいけないわけでございますので、これは私は、もう学会から意見が上がってまいりましたら速やかに御検討いただいて、来年度の診療報酬改定の中にぜひ取り入れていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

■大塚政府参考人
 現在の精神療法に関する診療報酬の体系につきましては、先ほど申し上げましたところでございます。
 私の方から事務的なことをまず申し上げますと、診療報酬上の新たな技術の評価をする場合に、当然のことながら、その技術の有効性、安全性あるいは効率性、それから技術的な成熟度、と同時に、その普及の度合いというのも、ただいまの先生のお話とは逆になるようなことになるわけでございますけれども、公的な保険としてカバーするというためには、限られた患者さんがいわば受益を受けるというのでしょうか、アクセスをできるということでは、なかなか公的保険の対象にならない、また、しにくい。
これはやはり公的保険制度運営上の基本的な考え方の一つであるということも、あわせて御理解を賜りたいわけでございます。
 したがいまして、関係学会の意見などを十分お聞きしながら診療報酬も検討いたしますが、一方ではそうした公的保険制度運営上の考え方というのもあることにつきましては、ぜひ御理解を賜りたいと思う次第でございます。

■水島委員
 私は、先ほど私が申しましたように、きちんとした診療報酬がつかなければ普及しないと思っております。
 今、その逆をおっしゃいましたけれども、診療報酬もつけないで自動的にどうやって普及していくのか、そのウルトラCがあるのでしたらぜひ教えていただきたいと思っておりますけれども、ちょっと時間がありませんので、次に進ませていただきます。
 今の点につきましては、恐らく大臣は十分その本質を御理解くださっていると思いますので、ぜひ前向きに、来年度、診療報酬の改定がございますので、それをタイムリミットとして、ぜひ取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、摂食障害についてに移らせていただきます。
 これも、今の精神療法と非常にかかわりの深い問題ではございますけれども、この摂食障害というのは、拒食症や過食症という名で一般にも知られるようになってきておりますけれども、臨床現場の実感からは明らかに患者数がふえているのに、日本が摂食障害の治療において国際社会から大きく立ちおくれているのはよく知られた事実です。
私自身、精神科臨床においては摂食障害を一番の専門としておりましたが、そのような治療者は日本ではごくまれであって、東京で臨床をしていた私は関西の患者さんまで診なければなりませんでした。
選挙に出ることになって、自分の患者さんをほかの治療者に紹介しようとしたわけですが、適切な紹介先を見つけることができずに、患者さんともども大変苦労をいたしました。
 また、最近でも、国際摂食障害学会の仲間である外国人治療者から、日本人の患者さんを帰国させたいが、専門機関を紹介してほしいと言われるのですが、日本の治療が極めておくれており、専門機関はないということを告白せざるを得ない状況です。
治療のために日本に帰国できなくなった方も、実際にいらっしゃいます。
国会議員や支持者の方たちからも、身近な症例についての相談をよく受けておりますけれども、自分が執筆した本を読んでいただくくらいで、大したお役に立てないのが現状でございます。
 まず、こうした摂食障害を取り巻く現状について御承知かどうか、大臣にお伺いしたいと思います。

■鈴木委員長
 障害保健福祉部長。

■水島委員
 時間がないので、大臣に答えていただきたいと思います。

■今田政府参考人
 現状だけを、ではちょっと申し上げます。
 御指摘のように、摂食障害は非常に増加をいたしております。
と同時に、そういったいわば思春期にもよく見られます疾患に対しまして、それにかかわる精神保健医療を適切に提供できる医師あるいは医療機関が少ないということも事実であります。
そういった観点から、現在、思春期精神保健対策研修事業をことしから実施することにしておりまして、そういった場を通して、こういったことに造詣の深い医師の養成あるいは相互理解に努めていきたい、このように考えております。

■水島委員
 大臣にお伺いしたときは、ぜひ大臣にお答えいただきたいと思います。
 今、恐らく大臣の心の中を代弁してくださったと思いまして次に進ませていただきますけれども、摂食障害の治療が日本ではきちんと受けられないということの理由の第一は、摂食障害の治療には高度の専門性が要求されるということです。
通常の精神科臨床のトレーニングを受けた程度では、摂食障害を正しく治療することはできません。
日本にも専門的な治療機関をつくって治療を受けやすくすると同時に、専門家を養成することの必要性がしばしば指摘されてきましたが、専門機関をつくろうというようなお考えはございますでしょうか。
以降、大臣にお願いいたします。

■坂口国務大臣
 私が習いました医学はかなり古い医学でございまして、先生のような新進医学のことにつきましては、まことに私も疎いわけでございます。
申しわけありませんが、きょうも先生からの御質問が出まして、これはどういうことといって私が担当官に聞いたぐらいでございますので、私の知識はまことに微々たるものでございますが、いずれにいたしましても、しかしなるほど、そういう療法、そういう分野があるかと。
それは、最近、拒食症でありますとか、あるいはその逆の場合の皆さん方が非常にふえているわけでございますから、なるほどなというふうに今思いながら、先生の御質問の要旨を拝見した次第でございます。
 さて、そういうことになれば、この分野を何とか育てていかなければなりませんし、そして一つの大きな医療分野として成長させていかなければならないわけですが、さて、私もそれだけの知識が十分にありませんから、今ここでこういうふうにいたしますというところまでは申し上げることはできませんが、よく検討させていただきます。
それで、そういう方面をどう育成していったらいいかということを、その周辺も含めて検討させていただきたいと思います。

■水島委員
 前向きに御検討いただけるということですので、こちらで問題点をもう一つ挙げさせていただきます。
 今は専門機関ということで述べさせていただきましたが、もう一つ、やはり診療報酬の問題もございます。
摂食障害の患者さんの場合、治療に手間がかかるという現実がございます。
認知行動療法ないし対人関係療法を行う必要性がありますし、家族にも十分なケアをする必要があります。
身体的にも、特に低体重の場合には常に死と隣り合わせという状況で、大変難しい治療を余儀なくされます。
精神療法にきちんと診療報酬を与えるということである程度は解決される問題ではありますが、摂食障害の治療に特別の診療報酬を与えるということも必要であると思っております。
 今、大臣は古い医学の教育を受けられたというふうにおっしゃいましたけれども、こういう摂食障害の患者さんというのは今むしろふえておりまして、本当に、こちらにいらっしゃる方のどの御親戚、御家族に突然それが発生するかわからないというくらいふえてきておりまして、いざ当事者になられて病院に行ってみますと、何でこんな医療しか受けられないのかということで必ず憤慨されると思います。
ぜひ、身近にそういう方がいらっしゃいましたら、よくその意見をお聞きいただきたいと思いますし、後ほどこれについて私が書きました本を大臣にお届けいたしますので、ぜひしっかりと現状を勉強いただきたいと思っております。
 実はイギリスでは、昨年の六月にロンドンでボディーイメージサミットというものを政府が開きまして、摂食障害とやせたモデルをもてはやすメディアとの関係について検討し、多様な体型のモデルや女優を起用するよう、自主的な基準をつくるようにメディアに要求しております。
このような取り組みは日本のはるか先を行っていると思いますけれども、ほかの国の政府はそこまでやっているのだということを、ぜひこの際御認識いただきたいと思います。
 また、摂食障害は、日本では医療者の間でも不治の病などと言われることもしばしばでございますけれども、欧米では実証的なデータに基づいて治療法のガイドラインもできておりますし、決して治る率が悪いという病気ではございません。
先ほどの繰り返しになりますけれども、外国で有効であるというエビデンスがある治療法を日本で検討することの必要性は、摂食障害の場合には特に高いと思います。
そのためには大規模な臨床研究が必要になると思いますけれども、そのような研究にこそ厚生労働省は研究費をつけていくべきだと思いますが、この点について、大臣のお考えはいかがでしょうか。

■坂口国務大臣
 そうしたお話が出ますと、私たちのときでありますと、それはもうホルモン異常だということで、ホルモン異常で一言ですべて片づいていたわけでございますが、今お話を聞いておりますと、そんな単純なものではなさそうでありますから、よくこれは検討していかなければならないし、多方面からの、やはりいろいろのファクターの入りまじったものだというふうに思いますから、そうした研究も、それは当然やっていかなければならないだろうというふうに思います。
 さて、その場合に、それはどこでどういうふうに研究をやっていったらいいのか。
厚生省が担当いたしますその分野の中にそうしたものも入っていけるのか、そこまで私、ちょっと今正式にお答えするだけの自信がありませんから、一遍調べまして、後で先生にお答えをいたします。

■水島委員
 今日本がこれだけ立ちおくれている現状を何とか回復して、日本に生まれた方たちもまともな治療を受けられるようにしていくには、私は、恐らく、専門機関をつくって、そこに患者さんと質のよい治療者を集めた上で、どういった治療法が、例えば認知行動療法を日本人に行う場合にはどういう修正をすべきか、そういったことをかなり大規模にその機関の中で研究していく必要性があると思っております。
そこには、私はかなり行政側のリーダーシップが必要になると思っておりますので、ぜひそういった観点も含めて御検討いただけますようにお願い申し上げます。
 もうすぐ時間ですけれども、最後に保育の問題について、一点だけ質問させていただきます。
 昨年六月に園長が逮捕された神奈川県大和市の無認可保育所、スマイルマムでの子供の虐待死事件では、虐待の通報がたびたびあったにもかかわらず、行政が責任を持って対応しなかったために、幼い貴重な命が失われました。
この一件を調査していて感じたのは、無認可保育所については都道府県に監督指導する権限があり、悪質な場合には営業停止まで命じることができるというのに、肝心の無認可保育所の存在については、届け出が義務づけられていないため、電話帳やチラシなどを通してその存在をつかんでいるという実態のために、都道府県が十分な責任を自覚できてはいないのではないかということでございました。
 既に先日、予算委員会で我が党の岡田克也代議士が取り上げておりますけれども、私たちは、無認可保育所の開設時届け出を義務づけるよう、児童福祉法一部改正案を提出する予定でおります。
無認可保育所と一言で言いましても、本当に質のよい無認可保育所もございます。
そういった保育所が汚名を着せられないためにも、届け出を義務づけることによって最低限の質を確保していくという、このような措置は必要だと思いますけれども、この届け出の義務化ということについて大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

■坂口国務大臣
 先日も、岡田議員に対しまして、それを一遍ちょっと私も検討しますというふうに申し上げたわけですが、とりあえず、現在のところ、この立ち入り権限を都道府県が有しておりますので、都道府県が市町村や関係機関と連携をして認可外保育施設を的確に把握をして対応してもらうように、まず当面は、都道府県に対しまして指導監督のあり方みたいなところをよくお話をして、至急、体制を、ひとつ各都道府県の状況を把握してもらう。
 それで、今後の問題につきましては、この無認可保育所の問題もあわせて今検討しておりますので、その結論をちょっとお待ちいただきたいというふうに思っております。

■水島委員
 私たちも、保育に関してはいろいろな点から検討しておりますけれども、その中でも、とりあえずの緊急措置として、無認可保育所の届け出を義務づけることが必要ではないかという点から検討させていただいております。
今都道府県が責任を持っているとおっしゃいましたけれども、どこにあるのかわからないようでは監督指導もできるわけがないわけでございまして、なぜそのような権限が与えられていながら実際に届け出というものがないのかということについては、私はちょっと法体系上の矛盾があるのではないかとも思っております。
 いずれにしましても、この法案を提出させていただく予定でございますので、大臣も、必要な法案だとぜひ評価をしていただきまして、御協力をいただけますようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。



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