No.3(2001.2.20)

私が日常感じていることや意見を書いていきます。

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議員の産休について(各国事情の考察)

 2月3日、私の妊娠についての記者発表をいたしました。1月中旬からつわりに苦しんできたのですが、1月29日に病院で検査を受け、子どもの心臓が動いていることが確認できたため、今回の発表となりました。二度の流産経験があるため、この時期まで待っていたのです。

 妊娠というのは極めて個人的な事情ですが、私が民主党の栃木一区総支部の代表であること、また、民主党としての姿勢を示したいという理由によって、このような発表となりました。

 若い女性が社会参加をする上で、妊娠・出産は避けては通れない問題です。これを政治の場で実践することは、必ず女性の社会参加にとってプラスになるものと信じている私は、選挙中から、「当選したら任期中に出産したい」と述べてきました。つまり半ば私の公約のようなものですので、後に続く女性のためにも、しっかりとやっていきたいと思っております。

 「妊娠報告」の会見では産休に関する質問が出ました。国会議員は労働基準法の適用外ですが、労働基準法で規定されている産休(原則、産前6週、産後8週)は、先輩たちが苦労して勝ち取ってきた貴重な権利ですので、国会議員ならなおさら、おろそかにはできません。
 「産休」期間については、街頭演説など身体的負担の大きい活動や、義務的な色彩の強い会合などは休み、自主的に取り組める立法活動などに活動を絞ることによって、産休をしっかりと取っていることを世間に表明していきたいと思っています。各々の職場で産休・育休を取るためにさまざまな苦労をされている女性たちのためにも、くれぐれも「休まないのが偉い」というような風潮だけは作らないようにしなければならないと思います。

 すでに橋本聖子議員のときに参議院で産休が認められましたが、衆議院でも、報道された翌日の2月5日には、議院運営委員会で衆議院の産休についても概ね了解が得られました。橋本議員の時には反対意見もあったと聞きますが、一年でこの進歩は大したものです。

 それでも、日本の国会は、諸外国に比べてまだまだ遅れています。北欧諸国などでは、産休・育休制度が父母ともにしっかりと認められているのはもちろん、代理議員、代理投票、ペアリングなどの制度があります。

 代理議員制度とは、選挙時に代理議員をあらかじめ決めておき、やむを得ない理由で議員活動が出来ない場合に、議員本人に代わって職務を遂行するなどの制度です。
 代理投票制度とは、表決権を党などに委任することが認められるものです。
 また、ペアリング制度とは、各議員が、反対の意見を持つ議員とあらかじめペアを組んで、片方が欠席する場合、他方も欠席するなどを取り決めることで、欠席が投票結果に影響を与えないための制度です。
 いずれも、選挙に託された民意を少しでも歪めないようにという配慮から作られている制度で、党利党略よりも民意を優先する、成熟した民主主義を表すものと言えるでしょう。

 これらの制度は、北欧諸国の他、アメリカ、イギリス、フランス、アイスランド、ブラジル、カメルーン、コモロ、ガボン、ルクセンブルク、マリ、セネガル、カナダ、オーストラリア、イスラエル、ベルギーなどで認められているそうです。

 内閣不信任案など、一票が国の進路を大きく左右する重要な局面もあります。産休を取っている議員がいるために国の進路が全く変わってしまう、というような事態に陥ってしまうのであれば、いつまでたっても子育て世代の女性が国政で活躍できる時代は来ないでしょう。子育て世代の声をしっかりと国政に反映させるためにも、代理投票などの制度が必要不可欠だと思っています。

 また、これを機に、子ども連れの方でも国会を傍聴できるように国会内で託児所を作り、国会職員や秘書・報道関係者、議員なども利用できるようなシステムを進めていきたいと思います。


各国国会議員の産休・育休制度について
  産休・育休制度の概要 託児所などの施設 根拠法他
日本 産休・育休制度なし
議員が出産等で国会を欠席しても、歳費・手当等は全額支給される
なし  



産休・育休制度なし
議員が出産等で国会を欠席しても、歳費は減額されない
上院、下院にそれぞれ託児所があり、議員と職員が共に利用可能(有料)。必要に応じて議員会館等の部屋が授乳室等に割り当てられる。  



産休・育休制度なし
議員が出産等で国会を欠席しても、歳費・手当等は全額支給される
なし  


産休・育休制度なし
議員が妊娠による母性保護の期間内や14歳未満の子供の世話のため議会の有効な会議日に欠席した場合、歳費は全額支給されるが、職務経費は各会議日につき30マルク(約1700円)減額される。(通常の欠席の場合は90マルク減額)
連邦議会内幼稚園が事務局職員等のために設置されているが、過去に議員の利用が認められた例はない。 ・ドイツ議員法第4章



産休・育休制度なし
議員が出産等により結欠席しても歳費は減額されない。
不明  





出産・育児休暇として子供の出世前4週間、出生後14週間は、母親のみ取得可能。父親には2週間の休暇がある。その後10週間は両親いずれも取得可能。さらに13−52週間の休暇の取得が可能。各子供に対して失業給付の60%が育児休暇手当として至急される。 不明 ・雇用及び出産休暇等について男性と女性の平等な扱いに関する法律
・憲法
・議員についても、一般の労働者と同じ規定が適用されている。
・代理投票制度がある





出産・育児休暇には両親手当制度に基づく休暇と育児休暇法に基づく休暇がある。
原則として450日間休暇取得可能で、最初の360日間は給与の約80%が両親手当として支給され、残りの90日間は日額60クローナ(約800円)が両親手当として支給される。男女ともに取得可能であるが、母親のみ産前60日前から受給可能である。このほか議会からも両親手当が支給されるため、合計で約90%が支給される。
議員専用の託児所があり、合計で10人までの幼児、小学生、中学生を受け入れている。議会内にあり、議会の開催される日の午前8時から午後6時まで(午後9時まで延長の場合あり)利用可能。利用料金は1時間約400円で、利用には事前に予約が必要。経費は議会予算による。 ・1978年育児休暇法
1974年国民保険法第4章両親手当給付(議員についても、一般の労働者と同じ規定が適用されている。)
・議会法
・憲法
・代議員制度があり、1ヵ月以上の育児休暇の期間中は代理議員が職務を代行する。
・1998からの1年間で育児休暇を取得した議員は、女性11名、男性4名である。





出産・育児休暇として子供の出世前4週間、出生後14週間は、母親のみ取得可能。父親には2週間の休暇がある。その後10週間は両親いずれも取得可能。さらに13−52週間の休暇の取得が可能。各子供に対して失業給付の60%が育児休暇手当として至急される。 不明 ・雇用及び出産休暇等について男性と女性の平等な扱いに関する法律
・憲法
・議員についても、一般の労働者と同じ規定が適用されている。
・代理投票制度がある




母親のみが取得できる産前3週間、産後6週間を含め、子供が1歳になるまでの出産・育児休暇の制度あり(育児休暇は男女いずれも取得可能)
父親には母親の出産前後各2週間のうち、2週間取得できる父親休暇あり(無給)
原則として42週間取得すると従前の給与の全額、または52週間取得すると従前の給与の80%が手当として国民保険から支給される。
議会から徒歩数分のところに託児所あり。 ・国民保険法
・議会内規
・憲法
・議員についても、一般の労働者と同じ国民保険法の規定が適用されている。
・代議員制度があり、出産・育児休暇の期間中は代理議員が職務を代行する。
・1990年からの10年間に育児休暇を取得した議員は、女性9名、男性11名で、女性の平均は18週となっている。



諸外国の代理議員、代理投票、ペアリング制度について


 産休・育休の規定のない国でも、多くが、代理議員、代理投票、ペアリングなどの制度を認めています。


 産休規定のないアメリカ、イギリス、フランスでも、代理投票・ペアリングなどの制度が整備されています。
(詳しくい情報は整理中です)


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