水島代議士「三度の離婚」?


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 「水島さんって3回の婚経験があるらしい」というウワサが、一部の人々の間でささやかれているそうです。中には、「水島さん自身に離婚の経験があるから、選挙で相手候補の批判をしなかったんだね」などというまことしやかな説まで流れ飛んでいるとか。
 選挙前までは、知名度が全くなく、「水島広子って誰?」という感じだったのが、当選後は、マスコミなどにも頻繁に登場したおかげで、町を歩けばたくさんの方々に声をかけていただけるようにまでなりました。これは本当にありがたいことです。いろいろなウワサが出るのも、有名になったというバロメータなのかも知れません。
 その3度の離婚のウワサですが、「前のダンナさんって、どんな人?」などという質問まで支持者の方々に寄せられているというので、この機会に少し説明したいと思います。
 事の発端は、7月始めに発売された「週刊文春」です。タイトルが「水島代議士『三度離婚』でも政界失楽園の船田元に勝った理由」という、なにやら扇情的なものでした。実際に本文を読めば事情は分かるのですが、新聞紙面の広告でタイトルだけが一人歩きしてしまい、「いったいどういうこと?」ということになってしまったようです。

 その「事情」とは次の通りです。
 私と夫は、結婚後もそれぞれ別の姓を名乗っています。私は医師として、そして研究者としてずっと水島広子で活動してきたために、姓が変わると、これまでの研究実績や知名度などが途絶えてしまいます。夫も、自分の名前で映像ディレクターの仕事を行ってきたために、姓が変わると非常に不便ですし、商売にも影響します。また、お互いこれまで慣れ親しんだ自分の姓がなくなってしまう喪失感や、相手にだけその喪失感を味わわせなければならないという不公平感も私たち夫婦にとっては大きな抵抗でした。そこで、結婚後も姓を変えない「別姓夫婦」として生きていこうということになりました。

 もちろん今の日本の法律では、結婚届けを出すときに、どちらか一方の姓に統一しなければなりません。結婚届を出さない「事実婚」という選択もあったのですが、双方の親の強い要望もあったりして、届けだけは出すことにしました。そのとき、どちらの姓を書類に記入するかが問題になるわけですが、私たちは、平等を期するため、名前の優先使用権と法律姓のどちらを選ぶか話し合いました。名前の優先使用権とは、玄関の表札に二人の姓名を並べて書くときどちらが上になるのか、連名の差出人で手紙を出すときどちらの姓名を上にするか、などです。結局、夫が名前の優先使用権を取り、私が法律姓を取りました。

 結婚後、法律上は「水島聡」となった夫は、実生活上ではこれまで通り長谷川聡を名乗って生活しています。普段は何の支障もないのですが、パスポートの更新や契約などで「長谷川」姓の住民票や実印などが必要な時には、一度「離婚」をして、姓を水島から長谷川に戻さなければなりません。そして、無事手続きが済むと再び「結婚」して、水島姓に戻るというわけです。これが、文春で報道された「3度の離婚経験」というわけです。実際は3度だったか5度だったかあまり記憶にないのですが、「離婚(結婚)」の相手は当然のことながらすべて今の夫です。

 ちなみに、必要な時に「離婚・再婚」を行うこの方法を私たちは「ペーパー離再婚」と名付け、インターネットなどを通して全国の別姓夫婦に向けて広くアピールしてきました。2年ほど前にはテレビ朝日のニュース番組でも紹介されました。「法律が変わるのをずっと待ってきたけれど、これでやっと結婚できる」「ペーパー離婚したら夫婦仲が良くなった」などという声も多く寄せられました。今年は米国の新聞でも紹介されました。

 この方法の一番のネックは、市役所に何度も足を運ばなければならないことと、戸籍に「傷」がつくことです(私の戸籍票には、「○年○月長谷川聡と結婚。○年○月水島聡と離婚。○年○月長谷川聡と結婚…」という表記が続いています)。ふつうに幸せな家庭生活を送って税金も払い社会人としての責任も果たしているのに、なぜ何度も離婚しなければならないのだろうという精神的な不満もあります。

 では、わざわざペーパー離婚しなくても通称使用、つまり仕事上だけ旧姓を使えば良いではないかと思われるかもしれません。でも、通称使用を認めている会社は限られています。また、海外出張の時など、仕事の連絡は通称で来ても、パスポートに記載されているのは戸籍姓です。どちらの姓でホテルの予約を取るべきか、などという問題で悩んでいる女性もたくさんいます。

 こうした苦労をしなくても良いように、同姓・別姓、どちらでも選択できるように民法を改正するために活動しているわけですが、この民法改正案は、これまで何度も国会に提出されてきたのに、一度も陽の目を見たことがありません。今の国会では何としてでも成立させたいものだと思っています。

(2000.11月、タウン誌宇都宮に寄稿した記事より)


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