国会報告 その99(2002.6.17発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(02.6.9〜6.15)



■6月9日(日)

午前中は会合。
昼は会食。
14時から、13日の地方公聴会について打ち合わせ。
夕方は街頭演説。




■6月10日(月) MR

7時45分から恒例のマンデーリポート。
9時半から定例の事務所内打ち合わせ。
その後、支持者宅訪問。
12時半から会食。
15時からお見舞いなど。
夜、東京へ。




■6月11日(火) 税制、厚労、税調、本会議、青少年、SIDS、憲法調査会、小宮山さん

8時から税調勉強会。
「経済財政諮問会議の税制改正論議の評価について」というテーマで東大 の神野直彦教授より聴き取り。

9時半から厚生労働委員会。午前中は健康保険法改正案についての参考人 質疑。日本医師会や連合など。

12時から、財務金融部門役員会・税調事務局合同会議。

12時40分から代議士会。
13時から本会議。採決7本。

13時20分から青少年問題特別委員会。参考人招致の決定のみ。

13時半から厚生労働委員会。午後は健康増進法案についての参考人質疑。

委員会終了後、15時半から、明日の委員会質問に向けて、SIDS(乳 幼児突然死症候群)についての情報を高見沢弁護士と寺町東子弁護士より いただく。

16時20分に厚生労働省の方たちが来室して明日の質問のための質問取 り。

17時から憲法調査会第5作業部会。集団安全保障への日本の取り組み。

18時半から赤坂プリンスホテルで開かれている小宮山洋子さんの出版記 念パーティーに、乾杯にギリギリ間に合って参加。最近「私の政治の歩き 方」という本を出版された。お勧めです。




■6月12日(水) 厚労、質問、財界、防衛庁

8時から厚生労働部門会議。
各種事務連絡および法案対応協議。

8時20分から、厚生労働部門と司法制度改革ワーキングチームの合同会 議。社会保険労務士法改正について、全国社会保険労務士会連合会と日弁 連より聴き取り。

9時から厚生労働委員会。今日も健康保険法改正案などの審議。

私は11時半から30分間質問を行った。
SIDS(乳幼児突然死症候群)が医療施設や保育施設における外因死の 隠れ蓑になっている問題について。
市民による初期救急(心肺蘇生措置など)について、予防医学の一つとし てしっかりと位置づけて取り組む必要があるのではないか。
代替医療を医療制度の中に積極的に位置づけるべき。
というような点について質問した。与党席からも「重要な質問だ」「質問 の内容は間違いない」などとヤジが飛んでいた。

15時から15時40分までの党首討論をはさんで、17時前まで厚生労 働委員会が続く。

夜は築地に移動して、なぜかお招きいただいた財界の「大物」たちとの会 食。いろいろな意味で勉強になった。

明日からまた国会審議が止まることになった。明日の地方公聴会など、す でにセットされていた日程だけは消化するが、それ以外の日程協議には一 切応じないことになった。防衛庁のリスト問題をめぐって、あまりにも国 会軽視・野党軽視の対応が続いたためだ。報告書の隠蔽だけではなく、改 竄までしたのだから、相当悪質な問題だ。




■6月13日(木) 司法、養育費、薬物、地方公聴会、躍進パーティー

8時から司法と精神医療の連携に関するプロジェクトチーム拡大役員会 (勉強会)。刑事法の立場から政府案を検証する」というテーマで、関東 学院大学の足立昌勝教授より聴き取り。

9時から法務部門会議。養育費支払いの確保制度に関する議員立法につい て。その他、各種事務連絡。

9時半から青少年問題特別委員会。
薬物乱用問題についての参考人質疑。
財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター理事長の上村一氏、多摩少年院 教育調査官の名執雅子氏、日本ダルク本部代表の近藤恒夫氏、家族機能研 究所代表の斎藤学氏が参考人。近藤氏については、「薬物依存を越えて  回復と再生のプログラム」という著書を通して知っていたが、ご本人のお 顔を見るのは初めて。薬物の問題を考えてみたい人にとって、近藤氏の著 書はお勧めである。
斎藤学氏は、私の大学の精神科の先輩でもあり、わが国におけるアルコー ル依存など嗜癖の第一人者。久しぶりにお顔を拝見できて嬉しかったのだ が、地方公聴会に向けて出発しなければならないため、残念ながら斎藤氏 のお話の途中で退席。
ちなみに、薬物については、性教育などと同じで、自尊心の向上と知識の 提供の両輪で取り組む必要がある。「ダメ、絶対」という運動が展開され ているが、それは専ら知識の提供として位置づけられる。薬物の恐ろしさ を知れば手を出さない人はたくさんいる。でも、恐ろしいと知っていても 手を出してしまう人も少なくない。これは自尊心の問題だ。また、近藤氏 が「薬物をやっていない人はやっていないのだから、やるなと言っても意 味がない。一度やった人に再発させないための予防こそ大切なのだ」と訴 えておられたが、本当にその通りだと思った。薬物の害についての知識を 提供すると同時に自尊心を高められるような取り組みが大切だ。

10時48分の新幹線で宇都宮へ。

13時から、厚生労働委員会の地方公聴会。本日は、名古屋でも行われて いる。

地方公聴会は初めての経験。初めての経験を自分の地元ですることができ て大変ありがたい。自民党から4名(うち1名は派遣団団長)、民主党2 名、公明・自由・共産・社民が各1名の委員を派遣し、各党1名ずつが質 問をした。民主党は私が質問。
足利赤十字病院名誉院長の奈良昌治氏、栃木県トラック協会会長の関谷忠 泉氏、宇都宮市長福田富一氏、耳鼻科医師の金子達氏、栃木県保健医療生 活協同組合専務理事の柴野智明氏、医療法人喜望会理事長おやま城北クリ ニック院長の太田秀樹氏(自治医大を辞めて地域で24時間在宅医療を実 践されている第一人者)が意見陳述者として参加された。

16時24分宇都宮発の新幹線で東京へ。

議員会館で事務作業をした後、東京プリンスホテルに移動して民主党の躍 進パーティー。




■6月14日(金) 医療、強行採決、羽田孜さん、連合、全建総連、摂食障害

8時から医療問題ワーキングチーム・医療現場における心理職の国家資格 化に関する作業部会。
全国保健医療福祉心理職能協会副会長の齋藤慶子氏より聴き取り。

金田誠一議員と共に会議を途中で抜け出し、9時15分には野党4党の厚 生労働委員が集合。今日、与党が単独で理事会・委員会を開き、健康保険 法改正案を強行採決することになったとのこと。自民党と公明党の総括質 疑の後、鴨下議員から採決の動議が出され、10時頃に採決が行われる見 通しだという。強行採決に直面するのはこれで3回目だが、筋書きが決ま っていることに改めて違和感を感じ、国会の形骸化を再認識。
野党4党の申し合わせ事項として、「採決の動議が出されたら、厚生労働 委員は委員長席に駆け寄って抗議をする」「口での抗議は行うがつかみか かったりマイクを奪い取るといった実力行使には出ない」という旨が合意 された。2000年秋に医療法改正案が強行採決されたときには実力行使 に出ている議員もいたが、日頃、与党の議員の「恫喝」などを問題にして いる立場としては、与党に暴力を振るったり恫喝したりしても良いという 理屈にはならないだろう。そもそも、今までに抗議行動をすることで採決 を阻止できたことがあるのか、ということを先輩議員に尋ねて歩いたが、 皆、あきらめたように「ないでしょう」と笑うのみ。つまり、抗議は、 「国民の怒りを代弁している議員がいる」ということを示すためのパフォ ーマンスだということだ。これも国会の形骸化の一つだろうか。
衆議院議長にあてて、「採決無効」の申し入れをするよう、国対委員長に 要請することも決められた。

9時50分からは委員会室に入り、壁際に立ったままで公明党の福島豊議 員の質問を聞く。「野党からは具体的な提案が一つも出されなかったこと は残念」と言っていたが、そんなことはない。この点には強く憤りを感じ た。
徐々に、委員会室に議員の数が増えてくる。9時45分に国対によって集 合をかけられていた1年生・2年生議員が集まってきたからだ。委員会室 の野党席は空席のまま、それを取り巻く野党議員の数のみ異様に増えてい る。
10時過ぎに採決の動議が出され、私たちは決められたとおりに委員長席 に駆け寄る。私も含めて、口々に抗議をしているため、委員長の声は全く 聞こえない。全く声が聞こえないまま、与党の議員が立ったり座ったりし た後、委員長が席を立った。与党の委員たちは、全く聞こえなかったこと に対して投票行動をしたのだから、これこそ「形骸化」の良い例だろう。 2000年秋に、野党の怒号が渦巻く中、少年法が委員会に付託されたと きも全く同じだった。決められたことに対して立ったり座ったりするだけ の国会、という姿がまた浮き彫りになった。

私が今回の強行採決に憤りを感じるのは、与野党の対決のためのみではな い。昨日地方公聴会をしたばかりなのだ。私は名古屋でどんな意見が出さ れたのかを知らない。そもそも、速記録すらできていないのだから、大臣 も、公聴会での意見を十分には知っていないはずだ。つまり、「地方の声 を聞くための地方公聴会」など名ばかりだということだ。今日、強行採決 が行われるということは、先週から噂としては聞いていた。強行採決の日 程が決まっていて、その前日に地方公聴会をいれ、形ばかり「地方の声も 聞いた」というふうにするなど、地方軽視、国民軽視も良いところだ。今 回は特に、自分の地元での公聴会だったため、憤りは強い。
なぜ今日の日程になったのかというと、W杯の日本・チュニジア戦が行わ れるため、サッカーのニュースにうまく隠れるだろうという見通しに基づ くらしい(事実、その通りになった)。

ところで、抗議行動の間、ハプニングが起こった。実力行使には出ない、 という申し合わせを破って、社民党の中川智子議員が委員長につかみかか ったのだ。スーツが破れそうな勢いだったため、後ろに立っていた社民党 の阿部知子議員と私が、中川議員をなだめて制止しようとした。この部分 がテレビに映ったため、下野新聞に「薄笑いを浮かべて立ちつくすばかり」 と報道され、また、「危機感がなさすぎる」と、連合栃木のお叱りを受け る結果となったらしい。日頃、どれほど法案成立阻止のために奔走してい ても、一瞬テレビに映る表情で全てを判断されてしまうのだから難しいも のだ。改めて、良い勉強になった。

それと同時に、法案成立阻止のための運動を考えさせられた一件だった。 強行採決の日程が決められ、そこに詰めかけて抗議のパフォーマンスをす る、ということの繰り返し以外に、もっと実効的な手法を考えなければな らないと思う。もちろん、有権者の政治への関心を高め、選挙を通して変 えていくことが一番の方法だが。

強行採決終了後、議員会館前の道に出て、座り込みを続けている連合の皆 さんと全建総連の皆さんの前で、それぞれ、経過報告と、これからも頑張 る決意表明。健康保健法改正案については、どちらの皆さんも、本当によ く力を合わせて戦ってくださった。緊張感の高い長丁場で、どれほど励ま されたか知れない。

12時40分から代議士会。
今日の健康保険法改正案強行採決の経過報告と、衆議院議長あてに「採決 無効」の申し入れをする旨が話し合われた。

代議士会の散会後、同僚議員に「地方公聴会の翌日に強行採決するなんて」 と怒りを訴えながら歩いていたところ、羽田孜特別代表が聞きつけて「そ れが大問題なんだ」と話に加わってこられた。参考人質疑、地方公聴会が、 実際に審議に何の影響も与えていないということは、かねてからの問題意 識だという。アメリカでは、参考人を呼んでから、法案が作られたり審議 が行われたりするそうだ。日本でもせめて審議の初めのうちに参考人質疑 や地方公聴会をすることができれば、その内容について、審議の中で政府 の見解を質していくこともできるはずだ。しばらく羽田孜さんと立ち話を し、どうにかして制度改善に結びつけたいと確認し合った。

13時半に出版社の方が来室。
私の専門である対人関係療法のグループ療法版が作られ、そのマニュアル がアメリカで出版されたため、版権をとって翻訳をしようと思っている。 摂食障害の治療においては本当に朗報だ。

午後は、日頃なかなかできなかった作業をする。サッカーの試合のため、 在室の議員が多かったので、いろいろな連絡ができた。
憲法調査会で計画しようとしているコスタリカ視察について、作業部会の 役員の方たちの根回しをしたり、日程を決めるための見通しを調べたりし た。

夜、車で宇都宮へ。




■6月15日(土) 個人相談、スクール、医療制度研究会

午前中は事務作業。

13時から個人相談。

14時から「女性のための政治スクール」。今回のテーマは「通常国会の 重要法案を振り返って」。
参加してくださった皆さまとまた有意義な意見交換をした。

16時半から取材。

18時半から第2回「医療制度改革研究会」。医療制度について、意見交 換をさせていただき、厚生労働委員会での審議に反映させようとする試み。
本日も示唆に富むご意見を多数いただいた。

終了後、21時から懇親会。


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