国会報告 その85(2002.3.11発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(02.3.3〜3.9)



■3月5日(火) 三田会

先日インフルエンザになったときに休みが十分にとれないままに多忙な日 程をこなしてきたためか、先週半ばからまた熱が出てきた。今年は授乳中 で体力も落ちているのだろう。日程に余裕のあった3日から身体を休め、 熱を下げる。

18時半から宇都宮三田会(慶応の同窓会)に出席。21時すぎに車で東 京へ出発。




■3月6日(水) ひとり親、精神、移植、津島委員長、予算案

9時半から「ひとり親家庭等自立支援ワーキングチーム」。養育費の履行 確保制度について法務省と最高裁より聴き取り。住宅支援について国土交 通省より聴き取り。奨学金制度について文部科学省より聴き取り。

国土交通省は、「母子家庭だからという理由で入居差別を受けているケー スは少ない」と言っていたが、現実とは違う。どこからそのようなデータ が出てきたのかと聞いてみると、貸し主側が「母子家庭お断り」という条 件をつけているケースを調べたとのこと。そんな条件を明示しているとこ ろは少ないということは誰でもわかっている。差別を受けている側の声を 聞いたわけでもなく「母子家庭だからということで差別を受けている人は 少ない」などと結論づける姿勢にはさすがに呆れた。離婚経験者の話から も、たとえ十分な年収があっても、「男の保証人がいないと貸さない」と いうのがまだまだ不動産業界の常識のようだ。

11時から、司法と精神医療の連携に関するプロジェクトチーム役員会。
政府案が、本来解決すべき問題を放置したまま、いびつな新法を作るとい う形になっている(政府案が成立しても新規立法に期待されているような 効果はない)ため、民主党としての対案づくりに着手することになる。

13時に日本移植者協議会の方たちが見える。子どもの脳死臓器移植を可 能にするように臓器移植法を改正してほしいというのが趣旨。臓器移植法 については「3年後の見直し」作業が全く行われていない。「脳死は人の 死か否か」論争にはまりこむことなく、臨床試験としての位置づけをきち んとした上で、子どもの移植にも道を開くべきだというのが以前からの私 の考え方だが、党内で議論を喚起すると同時に、厚生労働委員会でも機会 を見つけて質問したいと思っている。

13時40分から代議士会。

14時から本会議。津島雄二予算委員長の解任決議案を野党共同で提出し たことを受けての審議。
1月28日深夜の「だまし討ち」採決に始まり、この約1カ月の間、あま りにも目に余る委員会運営が繰り返された。また、野党の質問者に対して 「責任を持って発言しなさい」と説教をしたり(誰だって責任を持って発 言している)、外務省が真摯に答弁をしないことを放置したり、と、その 運営に公正さを欠いたことも問題だ。
挙げ句の果てには、「我々与党は」という言い方をしたらしい。委員長は、 与党から選ばれていても、決して「与党の味方」であってはならず、常に 公正・公平に委員会を運営しなければならない。その旨は、津島氏自身も 委員長就任時に宣誓している。

津島さんは、私の当選直後の厚生大臣で、厚生委員会でもやりとりがあっ た。その後も、廊下やエレベーターでお会いする度に温かい言葉をかけて くださる。温厚な方としても知られているという。そんな人があんなに滅 茶苦茶な委員会運営を強いられるとは、国会も末期的だ。

解任決議案に関しては、枝野幸男さんが趣旨弁明をし、公明党から反対討 論、自由・共産・社民それぞれから賛成討論があった。
採決で否決されて後、人事の同意案件4つの採決。

15時から税制調査会役員会。
レーガン税制とサッチャー税制について財務省主税局調査課長より聴き取 り。

その後、広中和歌子さんから、女性政策についてのコメントをうかがう。

19時前に子どもたちを保育園に迎えに行き、食事をさせてから議員会館 に戻り、20時すぎに来客。

21時20分より代議士会。
21時40分から本会議。
2002年度予算案について、予算委員長から報告。その後、野党四党の 組み替え動議の趣旨弁明の後、保守党から動議に反対、原案に賛成の立場 で討論、民主・自由・共産・社民の各党から、動議に賛成、原案に反対の 立場で討論が行われた。

民主党の岩國哲人副代表の討論は「さすが役者が違う」と好評だった。今 年は鈴木宗男氏、昨年はKSDをめぐって村上正邦氏と小山孝男氏、その前は 額賀氏、中村喜志郎氏・・・と、年中行事のように政官業の癒着構造が暴 かれる。自分は、国政に参加して以来、予算委員会の審議に加わってきた が、税金がどこに消えてしまうのかがわかってきた。ハチマキをして働い ている国民の税金は、バラマキと政治家のハラマキの中に消えてしまうの だ・・・。というような演説をされていて、ついつい熱中して聞く。

組み替え動議が起立採決で否決されてから、原案の記名採決が行われた。

その後、地方税法の改正案、地方交付税法等の改正案の採決、および、公 債発行の特例等に関する法律案、租税特措法の改正案の採決。

23時半前には終わった。




■3月7日(木) 事態法、ワークシェア、女性政策、鳩山代表、禁煙

8時から緊急事態法制に関する外務・安全保障・内閣・国土交通部門合同 会議。
緊急事態法制について地方自治体との関係を大東文化大学国際関係学部助 教授の富井幸雄氏より聴き取り。
「いろいろな現場を見てこられて、法のどういう不備を感じられました か?」という質問に対して、「私は6年前まで防衛研究所にいたので現場 は見たことがありません」というお答え。安全保障問題こそ現場感覚が必 要だと思っている私としては、こういう回答はとても気になる。

9時半から法務部門会議。各種事務連絡。

10時から雇用対策プロジェクトチーム役員会。ワークシェアリングの必 要性と政労使の役割について、慶応大学商学部の樋口美雄教授より聴き取 り。

11時半から、女性政策草案作成会議のメンバーで、女性政策についての 打ち合わせ。党内の議論を一応終えた状態だが、対外的に公表する前に、 年金など、党内のプロジェクトともすりあわせておかなければならない箇 所がある。今後の進め方について政調会長と意見交換。

12時半に打ち合わせが終了したため、大急ぎで衆議院本館内の代表室へ。 法務委員の一期生と鳩山代表との懇談。各委員会ごとに一期生議員と代表 との懇談が行われることになったとのこと。12時からすでに始まってい るところに、私だけ遅れて到着し、残されていたカレーライスをいただき ながら、子育て環境や選挙制度などについて四方山話。

13時半に、来週行う講演についての打ち合わせで、担当の方が来室。

14時すぎから、参院予算委員会の進行具合をモニターで確認しつつ、 14時半前に参議院の予算委員会へ。江田五月さんと打ち合わせをする ためだ。 場所がなかったため、通り道で発見した副議長応接室なるものを使わせ ていただく。まるで昔のフランス王朝でも思わせるような優雅な部屋に 驚く。

慌ただしく、15時からの禁煙推進議員連盟設立総会へ。小宮山洋子さん が中心となって今日の設立にこぎつけた。
設立趣旨、規約・役員の承認。綿貫民輔衆院議長が議連会長に就任した。 小宮山さんは事務局長。
30年間ヘビースモーカーで30年前に自らの意思で禁煙したという綿貫 議員による就任挨拶の後、国立がんセンターの津金昌一郎部長より、「た ばこによる健康被害ーその科学的証拠」と題して講演。

急いで党本部に移動し、16時から選対小委員会。この度行うことになっ た衆議院候補者公募の広告の最終チェック。加藤公一さんが中心となって 作られた新聞用の全面広告は、なかなかユニークでおもしろい。この広告 が多くの人の目を引いて、質の良い方がたくさん応募してくださると良い のだが。

17時半前に事務所に戻り、タバコ問題について英語での電話取材。禁煙 推進議連のことは知らずに偶然取材のタイミングがあったようだが、議連 のことも宣伝しておく。

18時過ぎに子どもを保育園に迎えにいき、車中で授乳をしてから、19 時からの内閣部門役員の懇親会へ。




■3月8日(金) 民法、障害者、

8時から医療問題ワーキングチーム。
健康保険法97年改正からの背景と経緯について、衆議院厚生労働調査室 より聴き取り。
伊藤脳神経外科病院のセラチア菌院内感染について、厚生労働省より聴き 取り。

10時から、法務・内閣合同部門会議。
選択的別姓について、政府の動き(と党内に突如として発生した「慎重派」 の動き)を受けての党内会議2回目。今日は、推進の立場からの聴き取り。

「慎重派」の女性議員が、「人間は未熟なもの。集団の呼称であるファミ リーネームがないとバラバラになる」などという意見を述べたのに対し、 講師の吉岡睦子弁護士は、「最高裁の判決からも、姓は家の呼称ではなく 個人の呼称であるとされている。ファミリーネームという概念は時代錯誤 では」と反論されたが、これに対して「慎重派」の男性議員が「時代錯誤 とは失礼な」と大声を発する場面もあった。お招きした講師に対して大声 を出すのも失礼だし、男性議員が女性に対して突如として大声を出すのも まるで「恫喝」だ。

また、夫婦同姓は日本の伝統とは何ら関係がないということを説明するた めに、明治以前は別姓だったという例として「北条政子」や「日野富子」 の例が挙げられたが、それに対して「慎重派」の議員が「ああ、どちらも 子殺し孫殺しをした女性ですね。女性の代表としてはふさわしくない」な どと姓とは直接関係のないことまで言い始めてしまい、民法改正を選挙公 約にしてきた党に所属する一人として、顔から火が出る思いだった。

11時から障害者政策ワーキングチーム。
障害者の雇用の促進等に関する法律一部改正について、日経連の労務法制 部の輪島課長より聴き取り。
続いて、ジョブコーチ(職場適応援助者)の実践状況を紹介するドキュメ ンタリー映画(「カリフォルニアからの波にのせて」製作・企画 障害当 事者中心の支援システム研究会 社会法人ぷくぷく福祉会)のビデオ鑑賞。 アメリカでも、つい最近まで、障害者は施設や作業所に閉じこめられてき たが、今ではジョブコーチの活躍により、地域の職場で普通に働けるよう になった。ジョブコーチは、障害者本人に仕事のやり方をアドバイスする のみではなく、周囲の人間が障害者を受け入れられるように環境を作るこ とも仕事。
最初は障害者を職場に入れることに不安があったという登場人物も、「税 金で施設を運営していくよりも、地域で一緒に働いていった方が、社会と しても良いに決まっている」とコメントしていた。障害者との共生につい ては、「慣れ」が特に重要な要素なのだと思う。その根本を作るのが、混 合保育であり、統合教育なのだと考えている。

12時から、女性候補者擁立をめぐっての極秘の打ち合わせ。

事務作業をして、午後、車で宇都宮に戻る。




■3月9日(土) 講演

午前中は子どもの保育園のお遊戯会。

昼から佐野に移動して、労組でメンタルヘルスについての講演。


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