国会報告 その80(2002.2.4発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(02.1.27〜2.2)



■1月27日(日)

今日は第四日曜日なので恒例のびっくり市だが、雨天のため中止となる。 新年の挨拶回り。

夜は鬼怒川に移動して労組の新年会。鬼怒川は雪かと思ったが、夜には天 気も回復した。




■1月28日(月)

7時45分から恒例のマンデーリポート。

10時41分の新幹線で東京へ。

12時40分から代議士会。
本日、2001年度二次補正予算の審議が衆議院予算委員会で行われてい るが、与党としては本日中に衆議院を通過させたい意向があるため、「視 界波静かなら」21時に本会議が召集される見通しとのこと。

この後、後日放映されるテレビ番組の収録。
田中外相のことを問われて、「田中さんは、国民の支持を信じて、大きな 賭に出ようとしているような気がする」と話していたら、本当にその通り になっていた。
収録から帰ってみたら、予算委員会がもめにもめていたのだ。
アフガニスタン復興支援国際会議へのNGO出席拒否問題について、鈴木宗男 議員の圧力があったかどうかについて、田中外相が具体的に認めたのに対 し、認めなかった外務省局長の答弁が途中でころりと翻った。
その後、野上事務次官が委員会に出席し、再び鈴木氏の圧力を否認し始め た。
大臣か事務次官かどちらかが国会で偽証をしている。これは大変な問題で ある。当然、予算委員会はストップした。

政府の統一見解を出すことを条件に予算委員会が再開し、一般質疑が21 時半に終了した。
そして、23時に政府見解が出された。その内容は、
「アフガン支援国会議へのNGOの参加決定にあたり、特定の議員の主張に従 ったことはない」
「本件に関して、1月24日の予算委員会における田中外務大臣の答弁と 外務省事務当局の答弁との間に相違があるが、政府としては、引き続き関 係者の申述等を聴取し、事実関係の確認に努める」
という内容であり、すでに矛盾のあるもので、とても納得できるものでは なかった。

野党各党の予算委理事は、時間切れにならないよう結論を出したいと伝え て持ち帰ったところ、23時33分に、理事会も開かずに委員会が再開さ れた。
このため、委員長控え室にて野党理事が与党筆頭理事に理事会の再開を求 めたが、理事会再開を呼びかける電話も一方的に切られ、23時51分に 予算委員会で野党不在のもと強行採決が行われた。

その後、財務金融委員会が再開され、こちらも野党不在のもと強行採決。
野党側に欠席の意思がないのにだまし討ちのように強行採決されたのは戦 後例がないのではないかとのこと。

日付が変わる直前に、本日の本会議が開かれない旨アナウンスがあった。
今日中に本会議を召集して「延会手続き」をすれば本日の日付で二次補正 予算を通すことができたのだが、結局、強行採決までしても本会議が召集 されなかったというのは政府与党の対応としても極めて中途半端だ。政府 与党内もかなり混乱しているのではないか。




1月29日(火)

0時10分から代議士会。
今日の経緯についての説明があり、今後、真相解明に向けて断固として取 り組むという方針が確認された。

議員会館事務所で眠っていた息子を連れて1時過ぎに議員宿舎に戻る。

朝のニュースを見て驚く。「野党が審議を拒否したため与党は強行採決を して予算案を通した」と報道されている。そして、「今の日本の経済情勢 を考えると、一刻も早く景気回復するために、二次補正を通す必要がある と判断した」と与党側の意見が語られている。これでは、全く事実と違う。
野党側には審議拒否をする意思は全くなく、理事会をすっぽかしてだまし 討ちのように強行採決をしたのは与党の側だったということが全く報道さ れていない。
また、二次補正が通ったからといって景気が回復するわけでもない。

8時から内閣部門会議。
今国会提出法案について内閣官房・内閣府・警察庁より聴き取り。今後の 部門会議の進め方。内閣委員会の動きについて。道路交通法施行令の一部 を改正する政令試案等(運転免許に関する障害者の欠格事由についての見 直し)に対する要請書について。

その後、内閣部門役員会。私は内閣委員ではないが、男女共同参画担当総 括副大臣であるため、内閣部門の役員会にも出席しなければならない。

10時から取材。うつ病について。

12時半から代議士会。
今日の午前中に、議院運営委員会の野党理事が衆議院議長に議会の正常化 に向けての要請をしている。議長からは与野党でよく話し合うように指示 があったとのこと。
野党の要求は、予算委員会を強行採決前の状態に戻してやり直すこと。採 決前に総理出席のもとで行われる締めくくり総括質疑がまるまる行われて いない。「審議拒否」をしている与党に、実質的な審議を要求している。

13時から男女共同参画委員会役員会。「女性候補者発掘・支援のあり方」 について。
私が昨年提案した以下のアファーマティブ・アクション(積極的是正措置) 1.小選挙区候補者の最低2割を女性にするよう、候補者擁立に努める こと。
2.次期衆議院選挙において、比例定数15以上、前回民主党比例当選者 5名以上の各ブロック(北関東・南関東・東京・東海・近畿)で、比例名 簿第一位を新人女性候補とすること。ただし、この特例は新人女子候補者 一名につき一期に限るものとする。

については、鎌田さゆり委員長預かりとなっていたが、正式に、「男女共 同参画委員会として決議すべき性質のものではない」という委員長見解が 出された。こういった提案は、男女共同参画委員会を通してしか常任幹事 会に上げることができないので、残念。

15時に、超党派の女性議員で官房長官への申し入れ。先日の小泉首相の 「女の涙は最大の武器」という発言について、撤回と説明の要求。

この直後に、大橋巨泉さんの議員辞職という情報が入る。16時から記者 会見。当選後わずか半年での辞職であり、巨泉さんに民意を付託した有権 者のことを考えても、また、民主党に与えるダメージを考えても、残念と しか言いようがない。議員をやめて自由に発言したいとのことだが、議員 でいながら自由に発言していただきたかった。

ただ、1月の党大会以来7キロも体重が減るほど悩んでおられたらしく、 精神科医としては、その精神的苦痛に思いをはせないわけにもいかない。
また、離党という選択肢もありながら、個人名の票の他に民主党名の票も 60万票もらったということで、辞職をして次点のツルネン・マルテイ氏 に道を譲ったという点では筋を通したと言える。

18時半から代議士会。経過報告。「申述聴取結果」なる発信者名のない 文書が自民党の国対委員長の手によって届けられたとのこと。「申述者は 野上事務次官以下8名である」とするその文書には、鈴木宗男議員の介入 問題について田中大臣の言い分が間違っているという内容の証言が「8名 中8名が記憶」などというふうに記されている。では、現職大臣が国会で 虚偽答弁をしたというのだろうか。何を意図してこんな文書が出てきたの か、全く持って不可解。

引き続き待機状態。

22時から代議士会。22時20分から開かれる議院運営委員会で本日の 本会議について決められることになるが、与野党は相変わらず折り合わな いとの由。

22時50分に代議士会の召集。与野党の話し合いが決裂して、与党が23 時から本会議を開くことを決めたとのこと。やむを得ず、野党は欠席する こととなる。

またしても息子とともに深夜に議員宿舎泊。




■1月30日(水)

朝のニュースで、田中外相、野上事務次官の更迭と、鈴木宗男議員の議運 委員長辞任を知る。結局、国会での偽証を大臣と事務次官のどちらが行っ たのかを明らかにせず、政官財の癒着という日本政治を腐敗させた構造も 暴かず、関係者全員の首を切っておしまいにする、という従来型の解決手 法だ。こんなことを続けているから日本政治は良くならないのだ。

小泉首相は、この日の参院予算委員会で、「3人をやめさせなければ野党 は今日の審議に出てこないところだった」などと発言していたが、野党は、 更迭劇の前に、「参議院は正常審議の中で問題点を追求していく」という 方針を固めていたのだから、言いがかりも甚だしい。

小泉首相は、この日の参院予算委員会で、大臣と事務次官のどちらが嘘を ついたのかと追求されて、「もはや言った言わないの問題ではない」など と答弁していたが、大臣か事務次官が国会で虚偽答弁をしたということの 問題は「言った言わない」という次元の問題にすり替えられるものではな い。

また、一貫して鈴木宗男議員の圧力を否定している事務次官だが、そうで あれば、日本の外務省のNGOに対する認識があの程度だということを国際社 会に認めてしまうことになる。これも大変な恥辱だ。

8時から厚生労働部門会議。各種事務連絡。特殊法人改革について、国立 病院の独立行政法人化について、厚生労働省より聴き取り。

9時からひとり親家庭等自立支援ワーキングチーム。諸外国のひとり親家 庭支援施策について。
印象的なのは、スウェーデンの例だ。「ひとり親家庭」向けの支援制度は ほとんどないが、男女共同参画、子育て支援の施策が充実している結果と して、ひとり親でも遜色のない生活レベルになっている。「二人親・片稼 ぎ」の家庭よりもひとり親家庭の方が貧困率が低いくらいだ。
今回、私たちは児童扶養手当の削減に断固反対していくが、ひとり親施策 については、段階を追って、労働施策の柔軟化と子育て支援の拡充によっ て最終的にはスウェーデンのような社会像が望ましいと思う。

参院予算委員会の様子を見つつ、夕方の新幹線でようやく宇都宮へ。
なお、予算委員会で民主党の斎藤つよし参議院議員から、総理の「女の涙」 発言についてどう思うかと問われた女性閣僚たちの答弁には軒並み失望し た。特に、「涙を流して女の武器と言われてみたい」と答弁して議場をわ かせた川口順子環境相のようなタイプは、完全に「名誉男性」だ。




■1月31日(木)

息子とともに、7時11分の新幹線で東京へ。

8時半から法務部門会議。各種事務連絡。今国会に提出予定の閣法(政府 提出法案)について担当議員の決定など。私は民法改正案と触法精神障害 者対処法案が担当となる。

9時から、司法と精神医療の連携に関するプロジェクトチーム。今国会に 政府案が提出される見通しとなったため、改めて聴き取りを集中的に行う こととなる。本日は日弁連。

10時半から、衆院選女性候補者について秘密の会議。

午後は事務作業をして、新幹線で宇都宮へ戻る。

この日の参院予算委員会では、小泉首相は、鈴木宗男議員が外務省に影響 力を行使していることを認め、「今後、鈴木議員の影響力は格段に少なく なる」と答弁した。抵抗勢力を挑発するパフォーマンスと言われているが、 ここまで言っておきながら、大臣と事務次官のどちらが偽証をしたかとい うことについては触れようとしないのだからあまりにも国会を馬鹿にして いる。




■2月1日(金)

9時11分の新幹線で、息子とともに東京へ。

緒方貞子さんが外相就任を断ったというニュースが入って安心する。田中 外相を更迭させた傷を、緒方さんでうやむやにしようという発想はあまり にも貧困。問題解決の回避をごまかすために威勢の良いパフォーマンスを ぶち上げるという「小泉流」も、今度ばかりは挫折したようだ。

10時半から男女共同参画委員会。先日の役員会の話し合いに基づく全体 会議。

12時から両院議員総会。外相更迭を受けて、参考人招致など今後の戦略。

14時に出版社の方が来室。3月に出版予定の本の件。

来客などの後、17時4分の新幹線で宇都宮へ。




■2月2日(土)

会合や挨拶回り。


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