国会報告 その62(2001.9.24発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(9/12〜9/22)


★9月11日に第二子を出産したため、恒例のマンデーリポートを6週間程 度お休みさせていただくことは前回お知らせいたしました。
また、産休中は この「国会報告」の発行もお休みさせていただくと申し上げたのですが、こ ちらは産休中も毎週発行し、ボランティアの方たちのお力で街頭での配布も 続けていくことになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
(電子メール版も毎週発行いたします)



●民主党ネクストキャビネットの総括副大臣(男女共同参画担当)に任命 されました

 民主党では、この度の参院選の総括を踏まえて、党内人事が刷新されま した。
 私は、ネクストキャビネット(次の内閣:民主党が政権をとった暁には そのまま内閣に移行する、という意味)の男女共同参画担当総括副大臣に なりました。
男女共同参画・人権・消費者部門のネクスト大臣は岡崎トミ 子参議院議員ですが、そのもとで実務の責任を負うのが総括副大臣です。

私が男女共同参画担当の総括副大臣、そして、人権・消費者担当の総括副 大臣に石毛えい子衆議院議員が任命されました。
石毛さんは、今まで、男 女共同参画・人権・消費者部門のネクスト大臣を務めてこられた方であり、 岡崎さんは言わずと知れたベテラン議員。
そんな中、一年生議員である私 が総括副大臣に任命されるとは、私本人にも大きな驚きです。
昨年、代表 質問の機会を与えられたときと同じような大胆な人事に、民主党の懐の深 さ、そして今度こそは本気で党改革に取り組もうという姿勢を改めて感じ ています。

 「なぜ私が?」と一瞬思ったのですが、考えてみれば、党内の会議など でうるさいくらいに「もっと女性政策を」「女性の目に見える活動を」と 訴え続けてきたのですから、今回の参院選でやはり女性の支持率が低かっ たという反省の上に立って、「それだけ主張するのならやってみろ」とい うことでチャンスを与えられたのだと思います。

 さて、総括副大臣への就任に伴い、男女共同参画調査会の会長に就任し ました。
男女共同参画調査会というのは、民主党の男女共同参画政策を長 中期的に検討する政策立案の母体です(私が副委員長を務めている「男女 共同参画委員会」の方は、政治的な運動体です)。

今まで、私は男女共同参画調査会の事務局次長を務めてきたのですが、こ ちらも突然会長に昇任という大胆な人事となりました。
これから事務局長 などの人事を決めていかなければなりません。
周囲がほとんど全て先輩という立場の私にとって大変難しい側面も持って いますが、有権者の方に一議席を与えていただいた議員として、そして、 何と言っても、日本を変えるために国政に参加したのですから、有効な活 動をしていきたいと思っています。

 男女共同参画調査会は、今まで、細かい作業チームに分かれて活動して きましたが、「雇用」「税制」「年金」など個別のテーマで作業していて も、結局は重なり合うことになります。
これらの経過を踏まえ、作業チー ムを整理統合し、民主党の男女共同参画政策を総合的に検討する土俵を作 っていきたいというのが会長としての私の抱負です。

 現在産休中ではありますが、この期間を利用して役員人事の検討、そし て、今後の活動計画を練って臨時国会に臨みたいと思っています。
大任で はありますが、最も取り組みたかった領域です。
大変嬉しい機会を与えら れたことに感謝しつつ、男性も女性も自分らしく豊かに暮らせる社会を目 指して頑張ってまいりたいと思っております。




●児童福祉法の一部改正案……民主党案が「呼び水」になって与党が提出 することになりそうです

 すでにこの「国会報告」でもご報告しましたように、先の通常国会に私 が立案し提出者となった4つの法案のひとつに児童福祉法改正案がありま す。
認可外(無認可)の保育所において乳幼児の死亡事故が発生している 現状にかんがみ、行政が責任を持って指導監督を行うためにも、認可外保 育所を開設する時の「届け出」を義務付ける必要があると考え、緊急の措 置として民主党案を提出しました。
これは、質の高い保育を実施している 認可外保育所の名誉のためにも必要なことです。
与党の賛成がなかなか得 られず心配しましたが、何とか廃案にならず継続審議となりましたので、 臨時国会ではその実現を強く迫ってまいります。

 ところで最近になって、自民・公明・保守の与党3党は次期臨時国会に 児童福祉法改正案を提出する方針を固めたと報道されました。
主な内容は、

@認可外保育所を届け出制とする
A悪質な施設には現行の停止命令等に「勧告・公表」を加える
B保育士の資格を国家資格とする

などです。
細かいところで多少違いがありますが肝心な点は民主案と同じ です。
すでに国会に提出済みの民主案に加えて与党案が提出されれば、問 題を抱えている保育所問題について審議することができますし、「届け出」 の義務づけが実現する可能性が高くなってきました。
国会の審議が楽しみ です。

 なお、今回、与党案が提出される運びとなったのは、明らかに私たちが 提出した民主党案が「呼び水」になっているようです。
野党として議員立 法を提出しても次々と廃案になっていく現実に元気をなくしたこともあり ましたが、必要な法案を出し続けていけば、今回のように与党がそれに便 乗するということもあり得るのだということがわかりました。
一般に、同 趣旨の法案が与野党双方から出された場合、「委員長提案」という形で全 会一致で可決されるというパターンをとることもありますし、少々の違い でも与野党の法案が対決するという形で、与党案が可決されるというパタ ーンをとることもあります。
委員会の理事同士の話し合い次第ということ にもなりますが、委員会審議の全体の様子を見渡して、より良い形に落ち 着けていければと思います。

 蛇足ですが、私が昨年まで身を置いてきた医学会では、論文を提出する 場合、「早く出した人の業績」という絶対的な原則があります。
誰かが出 した論文にちょっと手を加えて後から出す、などということをしても、先 に出した人の業績になるのです。
その感覚に慣れている私としては、民主 党案の方がずっと前に出されているのに、それにちょっと手を加えて与党 案を提出してしまうという国会の「常識」にはずいぶんと驚いてしまいま す。
野党案を審議してより良いものに修正していく、というのが正論のよ うにも思います。
まあ、結果として、少しでも国民のために良い法律がで きればそれで良いわけですが……。




●米国の同時多発テロ

 次号以降でより詳しくお伝えしていきたいと思いますが、テロリズムに 毅然とした態度を取っていくということと、安易な軍事報復とは全く別の 次元の問題として考える必要があると思います。
特に、ブッシュ政権が 「誰を対象に」「何の根拠に基づいて」「どのような手段で」報復を行う のかが明らかにならないうちに早々と「報復支持」を打ち出した小泉首相 には大きな不安を感じます。
このあたりは、先日閉会中審査が行われた衆 議院外務委員会で民主党議員が田中外務大臣に答弁を迫りましたが、あや ふやな答弁や「仮定の質問には答えられない」などという逃避が繰り返さ れました。

 くれぐれも、今回ニューヨークで起こった悲劇が繰り返されることのな いよう、慎重の上にも慎重である必要があります。
あくまでも「一般市民 対 テロリズム」という構図で捉えるのを忘れてはなりません。
これを 「西洋社会 対 イスラム教」などという捉え方にしてはならないのです。

 私自身も、あちこちを旅行した経験上、イスラム教徒の友人がいろいろ な国にたくさんいます。
家族や友人を大切にし、節度を持って暮らす良い 人たちが大部分です。
残念ながらアフガニスタンには行ったことがありま せんが、現地で働いている人によると、タリバーンに実効支配されている からタリバーンの思想に共鳴しているというわけではなく、タリバーンに 多少不満があっても20年来の戦争に比べれば平和だと思って特に反対も しないという中間派が多いと聞いています。
そのような人たちの平和な生 活を踏みにじることだけは許されません。

 先日の新聞に、アフガニスタン人のコメントが載っていました。
「今回 のテロリストはオウム真理教のアサハラのようなもの。
全ての日本人がサ リン事件を起こしますか?」という趣旨でした。
「今回のテロ=イスラム教徒の危険性」などと短絡的に結びつけてしまう ことが、どれほど危険で愚かしいことであるかがよくわかる例えだと思い ました。

 また、ミサイルなどで報復を行う場合、情報網の発達した組織のメンバ ーはいち早く逃れてしまうため、実際に被害に遭うのは一般市民、特に女 性や子どもであることが多いということも指摘されています。
一般社会に 突如として攻撃が加えられることの恐ろしい現実は、今回のニューヨーク で嫌というほどわかったはずです。
大義が何であれ、そこで被害に遭う一 人一人の人には家族や友人がいて、貴重な命なのです。
 私のもとにも、「安易な報復に反対すべし」というご意見が多数寄せら れています。
その中から、ご参考までに、ニューヨーク在住の私の友人の コメントを紹介させていただきます。

「報復行為は、イスラム原理主義者およびテロリストたちに”彼らなりの 正義”を確信させ、さらなる憎しみを彼らに植え付けるだけです。
報復は テロリズムの根元を絶やすのではなく、それに栄養を与え、より多くのテ ロリストを育てるだけにすぎません。
(安易な報復行為に反対する署名を集めているサイト
「CALL FOR PEACE & JUSTICE!」

に書き込まれたもの)」


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