国会報告 その49(2001.6.18発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(6/11〜6/16)

■6月10日(日) 県議補選、個人相談

9時から地元地区の運動会に山田みやこさんと共に参加
10時から午前中いっぱい個人相談
午後は原稿執筆など



■6月11日(月) ハンセン病、池田小学校事件、有害情報

7時45分から恒例のマンデーリポート
JR西口と県庁前のみで再び宇 都宮駅へ
8時37分の新幹線で東京へ

10時から厚生労働委員長主催の会議
ハンセン病国賠訴訟全国原告団の 方たち、そして全国ハンセン病療養所入所者協議会の方たちから意見聴取
正式な委員会ではないが、ここで聴取した意見は午後の委員会で報告され 議事録に記載される

11時に議員会館を出て病院へ
産婦人科受診

13時半から、大阪教育大学附属池田小学校児童殺傷事件緊急対策本部会 議(民主党)
文部科学省・警察庁・厚生労働省・法務省より聴き取り
今回の事件を機に、小泉首相が「刑法の改正」と言い始めている
今回の 事件の加害者の責任能力の有無はこれから問われる話なのに、一国の首相 がよくも軽々にそんなことを口にするものだ
多くの罪のない精神障害者 の方たちが、これでまた更なる偏見にさらされることは間違いないだろう
首相の軽率な言動は批判していかなければならないが、世論が必ずしも批 判的でない背景には、障害者への偏見もあるのだろうが、触法精神障害者 (精神障害のために罪を犯した人)に対する法制度の矛盾が繰り返し指摘 されてきているということもあるのだろう
私自身も現場で大きな疑問を 感じてきた一人である

現在、責任能力の有無を決めるまでは刑法の世界であり、司法の現場であ る
でも、ひとたび「責任能力なし」とされた人たちのその後は、全て現 場の精神科医に任される
精神科医は、精神保健福祉法の縛りを受けてい る
精神保健福祉法は、患者さんの人権を守るための法律であり、治療に よって精神症状が軽くなった人をいつまでも拘束しておくことはできない
退院した人がそのまま通院治療を継続してくれれば良いが、治療を中断し てしまう人も多い
その場合に、患者さんを治療現場に戻すことが、現行 法上では極めて難しいのだ
何か事件を起こすまでは警察も動かない
家族は患者さんに強制治療を受 けさせる権利を持っているが、患者が屈強で家族は年老いた親のみ、とい うようなケースだと、治療を受けさせるのも至難の業だ

こうして中途半端な治療しかできないため、再び罪を犯してしまう患者さ ん本人も不幸だし、被害者はなおさらだ
そして、「精神科患者が罪を犯 した」というニュースが流れる度に、さらなる偏見に苦しめられる「普通 の精神科患者」の方たちも大変な不幸だ
患者さんの人権をさらに守るた めに、法体系を検討する必要があると私は思っている
もちろん、かつて 法務省が考えたような(そして今回小泉首相が考えているような)「保安 処分制度」のように、全ての人を拘束するというような硬直した考え方で はなく、とにかく治療が(入院・通院を問わず)継続されるようなシステ ムを考えるべきだと思う

小泉人気に乗じて保安処分制度などが採用されることのないように、この 際、民主党としてもプロジェクトチームを作って冷静に法制度を検討すべ きだという意見を述べた
もちろん、池田小学校の事件とは切り離して位 置づけるべきだという意見も述べた

会議終了後に法制局の方と打ち合わせ
子ども有害情報の法案の練り直し
この法案は表現の自由に抵触するものではないということをいくら説明し てもわかってくれない(わかりたくない)人たちのために、よりわかりや すい書き方に改めるという作業をしている

15時から厚生労働委員会
ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の 支給等に関する法律案起草の件
その後、政府に対する質疑
18時半近くに採決が行われ、委員会終了

18時48分の新幹線で宇都宮へ

19時から始まっていた県連幹事会に駆けつけたが、20時頃に到着して みると、珍しくもすでに終了していた



■6月12日(火) 臓器移植、女性候補、障害者、「ザ・コンテンダー」

7時57分の新幹線で東京へ
駅で福田知事に会う
東京出張とのこと

9時半から法務委員会
商法改正案(与党議員立法
金庫株)について、 午前中は参考人質疑

11時から日本移植支援協会の取材
子どもたちへの移植に道を開くため に、臓器移植を臨床試験としてきちんと位置づけるべきだという私の持論 を述べる
取材の一員として来られた有村英明さんから「届かなかった贈 り物」(経済界)という著書をいただく
有村さんのご子息・勇貴君は、 先天性の心疾患のため「移植以外には生き延びられない」と言われ、訪米 して臓器提供を待ったが、間に合わずに3歳にして亡くなった
5人家族 が力を合わせて頑張る様子、そして、アメリカの心のこもった医療体制な どがよくわかる感動的な一冊

12時から女性選対会議(民主党)
比例区(非拘束)の候補者に加わっ た4名の女性も参加
小宮山洋子さんなど、女性候補者を増やそうという 気持ちのある議員の努力によって、現在、比例区候補者26名のうち女性 が11名

12時40分から代議士会
13時から本会議
「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等 に関する法律案」を含む上がり法案4本の採決
その後、地方自治法等の 改正案について、総務大臣から趣旨説明の後、民主党と自由党から質疑

14時半頃に本会議が終了し、本日15時からのネクストキャビネットに 向けて、昨日提案したプロジェクトチーム(精神医療と司法の連携を考え るためのプロジェクトチーム)の設立趣意書を急いで作成する
が、後で 聞いた話によると、私が作成して届けた文書が間に合わなかったようで、 別のものが配られ、「障害者の人権上問題あり」として設立が見送られた とのこと
ネクストキャビネットの健全な人権感覚にやや安心

15時から法務委員会再開
商法改正案(金庫株)について、提出者と政 府への質疑
採決をして(民主・社民・共産は反対)17時半すぎに終了

その後、事務連絡を慌ただしく行い、憲政記念館に駆けつけて18時半か ら映画議員連盟主催の映画試写会
私はこの議員連盟に入っていないが、 今日は鳩山由紀夫事務所からの依頼によって代理出席(?)
「ザ・コンテンダー」という映画
米国で初めて女性副大統領が指名され たが、彼女のセックススキャンダルを暴いたり、とあらゆる手を使って彼 女を追い落とそうとする男性たち
その中で政治家としての信念を貫いて いく女性・・・
という感動的な映画なのだが、ニュースステーションで 女性議員の感想のコメントがほしいということで私に声がかかったのだ
日本ではもうじき公開されることになると思うが、とにかくお勧めの映画
私も大変勇気づけられた
映画の新聞広告に載せるために感想文を、と依 頼されたので「政治とは『生きざま』である、ということを見事に描いた 秀作
この映画が力強く語ろうとしている内容を、一人でも多くの人が理 解すれば、日本の政治も変わると思う」と書いた

すっかり遅くなり、東京泊



■6月13日(水) 障害者等・・、政策勉強会、女性税理士、

8時から厚生労働部門会議(民主党)
各種事務連絡
雇用失業情勢につ いて厚生労働省より聴き取り
「障害者等に係る欠格事由の適正化を図る ための医師法等の改正案」の見直しについて
医療事故対策に関するワー キングチーム報告

その後、事務連絡や原稿書き

12時半から党本部にて全議員政策勉強会
政府が出した経済政策につい て、内閣府より説明を受ける
竹中大臣が作ったせいか、責任主体の政府 が書いたものというよりは、評論家か学者が書いたものという印象

13時から厚生労働委員会が始まるが、党首討論などのために14時15分 でいったん休憩
今日は厚生年金と農林年金の統合を図るための農林年金 制度廃止案の審議

14時半から、幹事長補佐として幹事長に提出する書類を急いで作る

15時から、女性税理士連盟との懇談
選択的別姓の実現、配偶者特別控 除の廃止に向けての請願を受ける

15時45分から厚生労働委員会再開
採決をし、18時前に終了

今日も東京泊



■6月14日(木) 精神医療、池田小学校事件、本会議

8時半から法務部門会議
各種事務連絡の中で、「精神医療と司法の連携 を考えるプロジェクトチーム(仮称)」の人事も話し合われる
私は事務 局長になる予定

9時から池田小学校児童殺傷事件緊急対策本部会議
総理大臣に提出する 要請書の作成
事件発生直後から、小泉総理も含めて「精神障害者による 犯行」という世論が作られてきたことに対しても、精神障害を持つ方たち への偏見を助長しないよう要請

10時半からアエラの取材
美しい女性は損をする? というようなテー マ

12時から広報委員会

12時40分から代議士会
13時から本会議
上がり法案12本の採決

本会議終了後、事務連絡や打ち合わせ
16時16分の新幹線で宇都宮へ



■6月15日(金) 池田小学校事件、土地収用法、県議補選

7時32分の新幹線で東京へ

9時から厚生労働委員会
個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律案 について質疑

10時から法務委員会
民事訴訟法改正案について質疑
今日も二つの委 員会が同時開催

12時から、文部科学大臣に対して、大阪池田小学校事件への取り組みに ついての要請
参議院の本会議と委員会が長引いたため、大臣の到着が 12時半になってしまい、短い要請後、すぐに代議士会へ
子どもたち・ 保護者・教員に対する心のケアと、安心して授業が再開できる環境を作る こと、全国の学校の安全のための施策、などを要請

12時40分から代議士会
代議士会終了後、前原誠司代議士(社会資本 整備ネクスト大臣)から土地収用法についての説明を受ける
今回、民主 党が本法案に賛成(もちろん修正の上)の立場をとったことに多くの抗議 が寄せられている
私も事前に幹事長を通して見直しを要請した一人
そ んな事情があったため前原さんから直接説明を受けたのだが、今回の民主 党の姿勢を、一国会議員としては理解できるし、だからこそ本日の本会議 でも修正案に賛成した
でも、選挙を前にした政党の戦略としては成功と は言えない
ここが今の国会の難しいところだ

つまり、現在の国会のように、何でも多数決で決められてしまう状況では、 単に反対をするということは与党案をそのまま通すことを意味し、賛成を 前提にギリギリまで修正を迫ることは与党案を少しでも良いものにするこ とを意味する
結果として成立する法律をよりよいものとするために、 「一国会議員」として今回の民主党の姿勢が理解できるのはそのためだ
少なくとも、民主党が反対に回ったからといって法案を廃案にすることは 不可能である
毎日多くの法案が野党総反対のもとに成立しているのが現 実だ
そんな中、かなり踏み込んだ意味のある修正を勝ち取れた(「尊重」 などという言葉が法律に盛り込まれるのは極めてまれ)ことは評価すべき だと思う

ただし、このあたりの事情は、国会の現場にいないとなかなか理解できな いことだ
選挙を前にした政党としては、反対という姿勢を明確に打ち出 して選挙に臨むべきだとも思う
昨日の本会議で修正の上可決された教育 三法も同じだ
民主党の姿勢が批判されているが、今まで、文部省の提出 法案が修正されたことなどほとんどなかったそうだ
実際の法律の内容と いう「実」をとるのか
あくまでも姿勢を明確にして政権交代を狙って選 挙に臨むのか
難しいところである

13時から本会議
土地収用法改正案の採決の後、銀行法等の改正案につ いて金融大臣による趣旨説明の後、民主・自由・共産・社民の各党から質 疑
最重要法案ということで小泉首相も答弁に立つが、今日は大臣作成の 答弁書を早口で棒読みするのみで、パフォーマンスはなし
「小泉さんは 国会軽視だ
トップダウンだから国会なんていらないんだ」という文句が 議員の間から漏れていた

本会議終了後、厚生労働委員会再開

16時36分の新幹線で宇都宮へ

18時から山田みやこさんの定例会議

19時から講演
その後、21時から会食



■6月16日(土) 参院選、県議補選、樋口恵子さん、

8時半から、谷ひろゆきさんの企画戦略会議

10時半から山田みやこさんの選対結成式
私は正式に選対委員長に就任

12時から連合栃木女性委員会の方たちと会食

14時から、第12回「女性のための政治スクール」
今日は特別ゲスト として樋口恵子さんを招いての講演
民主党の参院選比例区候補者でもあ る樋口さんに「エンジョイ自立生活〜障害を最高の恵みとして」というタ イトルで話をしていただく
人間とか女性とかである前に「障害者」だっ たという生い立ちの樋口さんは、自分は人生の貧乏くじを引いてしまった のだ、と思って育ってきたそうだ
でも、アメリカで自立生活運動に出会 い、衝撃を受け、「自分を好きになって良いのだ」ということに気づいた という
自立とは自分で何でもできることではなく、自分で選択すること なのだ、ということを教えられてホッとしたそうだ
帰国後、全国自立生活センター協議会を立ち上げ、代表を務められた
身 長136cm、肺活量570cc(普通の大人の5分の1)の小さな身体 でにこやかに穏やかに話をされた樋口さんに、参加者一同感銘を受ける
こういう方にぜひ国政の場で活躍していただきたい


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