国会報告 その241(2005.08.06発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回、発行しております



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国会報告



■ 衆議院解散?



 政局が、今まで例を見ないほどに混乱しています。その結果として、衆議院 解散に至るだろうというのが大方の見通しです。
 政権交代を望む立場としてはもちろん解散総選挙は歓迎すべきなのですが、そ れにしても、違和感は拭いきれません。現在の国政には、少子高齢化、自殺者 を含む心の問題、雇用、治安など、喫緊の課題がたくさんあります。そんな中 で、郵政「民営化」で政局が混乱して解散、というのは、あまりにも国民不在 だと思います。

解散するのであれば、国民の手に政治を取り戻すための選挙と位置づけたい と思っております。



  ■ 民主党の小児医療政策



 長らく懸案であった小児医療について、この度、民主党の「未来世代応援政策 」の中にきちんと書かせていただきました。8月3日の民主党厚生労働部門会議で もご了解をいただきましたので、後は「次の内閣」へと最終報告をするのみです。

なお、この小児医療政策は、日本小児科学会の提言を主として参考にさせてい ただきました。現場の小児科医の方たちからの提言ということで、その現実性か らも、実現性からも、尊重させていただきました。

以下に、簡単に説明させていただきます。

☆医療提供体制の構造改革☆

 高度な救急医療を行う小児科医の集約化をはかり、最前線で働く小児科医の過 労を改善しつつ地域の小児医療を確保するために、小児医療提供体制の構造改革 を進めます。

1.一次救急については、地域の診療所と病院の一般小児科で当番制を組み「地 域小児科センター」や三次医療圏の中核小児科(後述)の中で診療します。なお 、初期対応としての電話相談を充実させます。

2.過疎地については、病院の小児科に軽症用入院病床を設置すると共に、「地 域小児科センター」(後述)との連携を確保します。

3.全国240ヵ所に、「地域小児科センター」を設置し、一次・二次救急及び 新生児集中治療を担当します。

4.中心総合病院または子ども病院を全国50ヵ所に設置し、中核小児科と位置 づけ、高度な専門医療や救急医療を提供するとともに、教育・研究を担うように します。

5.夜間救急医療を担う現場では、シフト勤務制をとり、長時間勤務にならない よう、医師の配置をします。

※解説 

地域の小児救急の整備については、利用者側から見れば「どこに行けば安心な のかを明らかにしてほしい」というニーズがあり、一方、医療提供側から見れば 、 小児科の不採算性から、数少ない小児科医で24時間365日救急を回さなけれ ばならず、過労死のリスクにすらさらされている、という問題がありました。

 自治体の努力で一次救急(入院を必要としない程度の救急)のネットワークを 開業医の方たちで整備していただいても、そもそも子どもの場合、一次救急なの か二次救急(入院を必要とする救急)なのかの判断も難しいですし、一次だと思 っていると瞬く間に二次・三次(救命救急)へと病状が進んでしまうということ もあります。大人の救急とは違った発想が必要となります。

 そこで、二次救急と三次救急を担う中核病院を地域にきちんと配置し、救急医 療に従事できる医師の集約を図ると共に、一次救急については地域の開業医と救 急を担わない病院の小児科医の皆さんで当番制を組んでもらい、診療は二次救急 ・ 三次救急病院の施設内で行っていただく、というのがこの案です。そうすれば、 患 者側が病院を選ぶ必要がなくなり、病院側でも、高次救急を担うべき人が一次救 急に忙殺されるということがなくなります。病状が悪化すれば、患者を移送する ことなく高次の治療につなげられます。 

☆経済基盤の整備☆

1.15歳未満の小児医療については、将来的には自己負担がないような制度を 検討します。当面は医療保険の本人負担分を1割とします。

2.大人に比べて診療や検査の手間がかかることから、小児医療については、診 療報酬体系の見直しの中で小児科加算の増額を図るなど、優遇処置を講じさらに 改善します。

 ※解説

 先日ようやく小児医療の本人負担分が3割から2割になりましたが、それまで 、 小児医療は成人の医療と全く同じ条件に置かれてきました。高齢者の医療が特別 枠で歩んできたことを考えると、アンバランスなことだと思います。
 そのギャップを埋めるために、だと思いますが、各自治体で「乳幼児医療費無 料化」などの取り組みが進められてきました。

   私は、これは国と地方の役割分担として間違っているのではないかと思ってい ます。本来、経済基盤の整備をすべきなのは国の方であって、地方はむしろ地元 の事情に合った医療提供体制の整備をするのが仕事なのではないでしょうか。今 まで、地方自治体の選挙で、医療の公約として掲げられるのが常に「〜歳までの 医療費無料化」だったのは、あまりにも貧困だったと思います。

 その結果として、例えば栃木県では、現在の知事が一生懸命乳幼児医療費の自 治体負担分の現物給付化を進めようとしているようですが、その一方で、中核病 院から医者がいなくなる、という深刻な問題を抱えています。無料にはなったけ れどもかかるべき医者がいない、というのでは、あまりにも本末転倒です。

☆小児科医のワーク・ライフ・バランス☆

   小児科医を確保するためにも、子育て中の医師が働きやすい環境づくりが必要 です。仕事と家庭の両立ができるように、保育所の整備・充実を図るとともに、 多 様な労働形態を保障できるようにします。

 ※解説

 小児科医には女性が多いということもあるのでしょうが、仕事と家庭の両立が できずに最前線を退いてしまう人がいます。せっかくの人材を活用できないのは 社会の損失です。小児科医の燃えつきを防ぐためにも、重要な視点だと思います 。

☆「小児保健法」の制定☆

 新生児から思春期まで一貫して扱える、小児を中心とした保健・医療・福祉の法 律として「小児保健法」の制定を目指します。小児保健法の制定によって、母子 保健法、児童福祉法、学校保健法などの不連続性を是正し、虐待などによる心理 的問題や発達障害などにも包括的な対応ができるようにします。

☆「母子手帳を子ども手帳に」☆

 現在の母子手帳を「子ども手帳」とし、子どもの総合的な健康保障に有効に役 立つようにします。



■ 議員会館の託児所



 議員会館が建て替えになることに伴い、託児所が設置される予定ですが、その 計画内容がどうなっているのかを知るために、8月4日、民主党の男女共同参画 委員会の会議に衆議院の庶務部と管理部の方をお招きしてお話をうかがいました 。

 議員会館内の事業は、何と、売店や託児所など全てをPFI方式で一括で一つの事業 主に委託するということです。そしてPFI事業者の選定などは、国土交通省が所管 することになります。つまり、保育を専門としている事業者でもない人たちを、 保育を専門にしているわけでもない省庁が選ぶという仕組みなのです。ハード面の 建設は国土交通省が担当してくれても良いのですが、やはり運営主体は保育に精 通している人たちであるべきです。また、国会内託児所という公的な目的と、PFI 方式で営利ベースで運営するという方式が、本当にふさわしいものなのか、とい うことも疑問です。

   8月4日の会議でのやりとりの中でも、常に保育行政に取り組んでいる私たち と、 衆議院の庶務部と管理部の方たちの基本知識や問題意識があまりにも違い、この ま ま放置するのは良くないということを痛感しました。

 今後、民主党として、国会内託児所に求められる条件を議院運営委員長宛に申 し 入れる予定です。今後、地方議会に託児所が設置されるときの見本にもなる国会 内 託児所ですので、ぜひ皆さまもご支援をお願いいたします。  

 




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