国会報告 その240(2005.07.30発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回、発行しております



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国会報告



■ 厚生労働委員会で質問しました



 7月27日(水)、厚生労働委員会で労働安全衛生法等改正案について質問し ました。今回の法改正の一つのポイントは、過重労働を時間外労働ごとに区切っ て対応を明確にしたことと、産業衛生の中にメンタルヘルスが明確に含まれたと いうことです。
 労働安全衛生法において初めて職場のメンタルヘルスが規定されたということ は、一歩前進と評価できます。それでも、規定されただけで実効性がない、とい うことになると困りますので、質問の中でいろいろな点を明確にしました。かな り前向きな答弁も得ることができました。

 ☆メンタルヘルスについてのプライバシー配慮について
 健康情報の中でも特にメンタルヘルスについての情報は機微な個人情報であり、 本来は厳格に守られるべきものですが、労働安全衛生法の枠組みの中で、事業者 が職場環境に配慮するためには、適切な範囲で情報を得ることが必要です。今後、 指針で配慮を明らかにしていくわけですが、どんな病気の人かというレッテルを 貼ることは産業衛生上必要なことではなく、どんな配慮をすべきかということだ けが産業衛生上必要となるわけですから、「診断名そのものを事業者に伝えるの ではなく、職場環境を考える上で必要な配慮のみを伝える」ことを約束していた だきました。

 ☆本人の「申し出」や「同意」という要件について
   メンタルヘルスについての健康情報を事業者に伝える上で本人の同意を必要と するという考え方は正しいと思いますが、一方で、「本人が同意しなかったから」 「本人が申し出なかったから」ということが事業者の免罪符となってしまう「自己 責任論」も心配です。この点も確認し、本人の同意や申し出がなかったことをも って事業者の配慮の欠如が免罪されるわけではないという答弁を得ました。  

 ☆100時間以上の時間外労働の面接義務について
 今回の改正により、100時間以上の時間外労働をしている人は、医師による面 接を受けさせる義務が事業者に生じるのですが、そのときに「本人の申し出」とい う要件がついています。100時間という時間外労働時間は、脳・心臓疾患を発症 する危険性が極端に高まるという疫学研究調査報告から導かれた数字であって、す でに過労死しうる労働時間なのですから、「本人の申し出」などと悠長なことを言 っている場合ではありません。また、私自身が過労自殺の意見書を精神科医として 書いた経験からも、過労自殺寸前の人は、本人は仕事に圧倒されてしまい、それ以 外のことが全く考えられない状態になりますし、すでにうつ病を発症していると、 自己否定感や罪悪感などもあり、とても、当然の権利である面接を希望する、など という前向きな行動が取れるものではないのです。「本人の申し出」要件をはずし てもらうよう、大臣に強く求めました。

 ☆地域産業保健センターの活用について
 地域産業保健センターの活性化とともに、メンタルヘルス相談を自分の企業の産 業医にすることを躊躇する労働者が、まずは地域産業保健センターに相談する、と いう仕組みを作れないか、と提案しました。これについては、「おっしゃるとおり だと思う」と、実現の約束をいただきました。

 ☆メンタルヘルスについての家族の申し出について
 メンタルヘルスの不調については、本人は申し出られるような精神状態にないこ とが多く、むしろ、家族の方が心配して申し出るという仕組みの方が現実的です。 メンタルヘルスに限っては、家族の申し出が本人の申し出と同等に扱われるよう、強 く求めました。これも、実現に向けての約束をいただきました。

 このほか、異常な日本の長時間労働を改善するためにも、パート労働者の均等待 遇確保法案の審議に応じるよう与党に呼びかけると共に、自殺予防への総合的な取 り組み(うつ病だけではなく、アルコール依存や失業などのハイリスク因子への働 きかけをすること)をするよう、大臣に強く要請しました。また、案外知られてい ないことですが、日本は女性の自殺率が世界的にトップクラスの国です。自殺対策 の中で女性が取り残されないよう、求めました。



■ 高齢者虐待防止法案提出



 7月29日(金)、民主党の高齢者虐待防止法案を衆議院に提出しました。高齢 者虐待を定義づけるとともに、虐待を防止するための「養護者支援」を強く打ち出 したところがポイントです。今後、与党と協議をして、折り合うことができれば成 立に向かう、ということになります。ご支援をよろしくお願いいたします。



■ アスベスト問題



 アスベスト(石綿)の問題は、その深刻さや規模、時間的経過から言っても、日本 にとって未曾有の大問題になりそうです。また、行政の責任という観点からは、第 二の薬害エイズと言えると思います。また、1992年、現在民主党の厚生労働委 員会筆頭理事の五島正規さんを中心として、「代替物のあるものについては石綿の 使用を禁止する」という現実的な内容の議員立法「石綿製品の規制等に関する法律 案」が提出されたときに、業界と行政が「管理して使えば大丈夫」論をふりかざし て巻き返しを図り、自民党が法案を廃案に追い込んだことは責任を問われると思い ます。
 アスベストについての行政のあり方に「決定的な失敗」があったと厚生労働副大 臣が認めると、翌日、事務次官がそれを否定し、大臣も事務次官を擁護するという、 あるまじき事態も発生しました。
 この点について、「官僚は間違いを犯さない」という神話にしがみついて責任を 認めないことが被害の拡大を生んできた水俣病や薬害エイズと同じことを繰り返さ ないでほしい、と、7月27日の委員会質問の中でも大臣に強く要求しました。

 民主党では、労働安全衛生法改正案への修正案として、アスベストに起因する疾 病が過去に発症している場合であっても、業務との関連を知らなかったため労災申 請していなかったケースが多々あることから、労災保険法で定める「消滅時効」が 完成した後であっても、労災保健給付の請求ができるようにする、という法案を提 出しました。  

 

■ 青少年問題特別委員会で質問しました



 7月26日、衆議院青少年問題特別委員会で参考人招致が行われ、私も参考人に 質問をさせていただきました。

 参考人には、チャイルドライン支援センター代表理事の牟田悌三さん、カリヨン 子どもセンター理事長の坪井節子弁護士、東京都立工業高等専門学校校長の藤田安 彦さん、横浜市立大学教授の中西新太郎さんをお招きしました。牟田さんと坪井さ んは私が推薦して理事会で認められたもので、聞きたかったお話をしっかりうかが うことができました。今回、参考人をお招きするに当たっては、「分野は問わない が、現場で実際に青少年を支援する活動をされている方」という条件をお願いしま した。この分野については、「誰でも一日評論家」のようなところがあって、有識 者と称する人たちが好き勝手な持論を展開しています。でも、自分自身も精神科医 として現場で多くを学ばせていただいておりますが、やはり現場で地道な活動をし ている人の声にこそ真実があると私は信じています。

 坪井節子さんは、以前から日弁連で子どもの権利を守って活躍されていましたの で尊敬しておりましたが、2004年6月から、NPO法人カリヨン子どもセンターを スタートされました。これは、困難を抱えた、行き場のない子どもたちのためのシ ェルター(緊急避難場所)です。弁護士による法的支援と、児童福祉関係者や市民 による福祉的支援の両方を兼ね備えています。

 カリヨン子どもセンターの相談窓口は、東京弁護士会子どもの人権救済センター の「子どもの人権110番」(03−3503−0110)です。カリヨンが必要 な場合には、相談を受けた弁護士が、「子ども担当弁護士」となって、継続的なサ ポートをします。「カリヨン子どもの家」で、子どもたちはシェルタースタッフと 生活します。そして、衣食住が保障された安全な生活の中で、落ち着いて自分と向 き合い、これからの人生について考えます。弁護士とスタッフは、本人の希望を尊 重し、家庭の状態や、心と体の健康状態を考慮に入れながらそのサポートをします。 家庭復帰、児童養護施設、自立援助ホーム、生活保護受給など、行き先は様々です。 運営費は、全て会費と寄付でまかなわれています。ぜひご協力ください。
(ホームページは http//www.h7.dion.ne.jp/~carillon/index.htm )




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