国会報告 |
■介護保険法改正案の審議で多くの成果を獲得しました 4月の厚生労働委員会は、介護保険法改正案の審議に集中しましたが、 4月27日の委員会で、法案の修正を実現し、大臣の確認答弁で多くの内 容を確認し、附帯決議で今後への足がかりを残すことに成功しました。 これだけの成果を得るためには、当然のことながら民主党が法案に賛成 することが条件になります。 あまり満足できない法案のときに、単に反対するか、それとも賛成を条 件にできるだけの実をとるか、というのは、野党第一党として常に悩まし いテーマです。 今回も、党内には最後まで「反対すべき」という立場の人がいたことも 事実ですし、特に、都議選や補欠選挙を控えている人たちからは、「争点 を明確にしなければ選挙に勝てない」という意見がありました。私自身も、 厚生労働省の不誠実な態度を目の当たりにして、迷いがあったことも事実 です。 でも、介護は日々の生活に関わる重要なテーマです。今回、民主党が単 に反対を貫くと、政府提出の通りに法律が成立してしまいます。そうする と、現実に困る人がすぐに出てくるでしょう。社会的・政治的に常に弱い 立場におかれている人たちが、困ることになるのです。 そういう人たちに対して、立法府に身を置くものとして最大限の努力を すべきだと考え、最終的には、賛成を条件に実をとることを選びました。 皆さまにもご理解いただけると信じています。 法案修正 1 見直し規定の導入――施行後3年で、予防給付・地域支援事業の効果 を検証し、見直しを行う。 今回の審議で懸念が表明された点について、歯止めや方向転換が必要 であれば、3年後に必ずできるようにしました。 2 高齢者の権利擁護――被保険者の権利擁護事業を、市町村が任意で行 うのではなく、「必ず」行うこととする。 たとえ認知症になっても、人権侵害を受けることなく、本人の意思が尊重 される生活を送れるようにしました。 確認答弁 ★全ての末期がんを介護保険の対象とすることに成功! 今回の法改正で、介護保険の対象に末期がんを加えるということになっ ていましたが、与党と政府の折衝の中では、「加齢に伴うがんに限る」と がんの種類が限定され、乳がんなどは対象外とされていました。 でも、どんながんでも、末期状態になれば同じように介護が必要な状態 になります。4月15日の質疑の中で、全てのがん(小児がん以外)は、 末期状態で介護保険の対象とするよう求めていましたが、これが認められ、 大臣の確認答弁の中で「専門家のご意見を踏まえつつ、ご指摘の方向で検 討して参りたい」と正式に述べられました。 ★必要な家事援助が守られることを確認 今回、「新予防給付」の導入に当たって、審議前から心配されていたの は、「本当に必要な家事援助までカットされるのではないか」ということ でした。委員会の審議のポイントの一つもここにありました。 これについて、 ●新予防給付においても、家事援助を一律にカットすることはない。適切 なケアマネジメントに基づいて提供される家事援助は認められる。具体的 には、「自力で困難な行為(掃除、買い物、調理等)があり」「それにつ いて、同居家族による支えや地域の支えあい、支援サービスや他の福祉施 策などの代替サービスが利用できない」ケースについては、ケアマネジメ ントによる個別の判断を経た上で、サービスが提供される。 ●新予防給付は、軽度者の既存サービスのうち、一部の不適正なケースの 適正化を目指すものであり、原則として、現在提供されている適正なサー ビス、すなわち適正なケアマネジメントに基づいて独居や要介護者同士の 夫婦の利用者が行うことができない家事をホームヘルパーが行う家事援助 は、今まで通り利用できるものとする。 ●新予防給付におけるケアマネジメントにおいては、当該サービスによる 心身の状況の変化等について、加齢に伴う機能の変化も含め、適切なアセ スメントを行うものとし、その中で必要とされるサービスについては新予 防給付導入後も引き続き相当するサービスを受けられることとする。 という答弁を得ました。 ★筋トレが高齢者や介護財政を圧迫しないように確認 機械を使った筋力トレーニング(いわゆる筋トレ)は、今回の政府提案 の中で最も不自然な部分でした。懸念されるような最悪の事態に至らない ように、 ●新予防給付のサービスにおいても、利用者の選択が基本であり、強制さ れることはない。マシンの利用や有酸素運動等を含む筋力向上を中心とす るプランを本人が望まない場合は、それらのプログラムを含まないプラン が適切なケアマネジメントに基づいて提供されるものとする。 ●筋力向上トレーニングを受けられない、受けたくない利用者が介護予防 通所介護を利用できるように、介護予防通所介護で提供されるサービスと して、現行の通所介護と同様に筋力向上プログラムが含まれないサービス も提供されるものとする。 ●マシンの費用については個別に介護報酬の対象とすることはしない。ま た、新たな資格制度を創設することはしない。 ●筋力向上のためのメニューを導入する前に、マシンを用いた筋力向上ト レーニングの実施方法や効果を持続させるための方策等について、市町村 におけるモデル事業や試行の結果を踏まえ、慎重に検討する。 なお、他のサービスと同様、筋力向上トレーニングの利用者に対しても 事前に十分な説明を行い、同意に基づくサービス提供を行っていく。 ●筋力向上トレーニングマシンの設置を介護予防通所介護の指定要件とす ることは考えていない。 という答弁を得ました。 ★新たな自己負担が過重なものにならないように工夫 ●低所得者(第1〜3段階)については、入所者の負担が過重とならない よう、負担上限額を設定して補足給付を行うこととしている。 こうした仕組みに併せて、 (1)新3段階のうち所得の低い層や、18年度から税制改正により利用料が 急増する層については、現行の社会福祉法人による入所者負担軽減措置の 運用を拡充することにより、きめ細かな対応を行う。 (2)利用料のみならず、保険料についても、税制改正の趣旨を踏まえ、 激変緩和措置を講じていく (3)保険外負担については、改正後の実態を把握しつつ、必要があれば 適切な是正を行っていく。 なお、社会福祉法人による減免措置の拡充については、収入要件を150 万円に引き上げる方向で検討する。 ★うつや認知症への取り組みを重点政策に 私が今回最も力を入れて質問を行った領域です。なかなか政治や行政で目 が向きにくかったところですが、私の主張の趣旨を踏まえて、以下の確認答 弁をとることができました。 ●心身の状態の把握は、介護予防を行う上での前提となる。ケアマネジメン トやケアカンファレンスに携わる者がうつや認知症の知識を持つことは当然 のことながら、介護サービスに従事する者にも、うつや認知症の知識を得る ための研修を行い、早急に体制の整備を行いたい。 また、認知症やうつに関する介護予防の手法についても研究を行い、エビ デンスを備えた介護予防策を取りまとめたい。 政省令を定めるときは、これらの答弁の内容を踏まえること、という担保 もしっかり取りました。 大臣の確認答弁というのは、重いものです。与党、政府、民主党で文書で 確認しあった上で、大臣が読み上げるものですから、この内容が破られるこ とがあれば(例えば参議院の審議でこの内容から逸脱するような答弁があっ たりすれば)、法律違反と同じことになり、大臣の辞任につながるほど、重 いものです。 以上は、確認答弁のごく一部です。他にも非常に多くの点で確認答弁を取 っています。必要な方には、確認答弁の全文をお送りしますので、ご一報く ださい。 ================================================================= テレビ出演のお知らせ ☆朝のニュース番組に、水島広子がコメンテーターとして生出演いたします。 今後も、2週間〜1ヶ月毎に出演させていただく予定です。 ぜひご覧ください。 『みのもんたの朝ズバッ!』 2005年5月17日(火) AM5:30〜8:30 TBS系(全国ネット) |