国会報告 |
■ノルウェー子ども家庭省局長講演 4月24日投開票の補欠選挙も始まり、私も、男女共同参画委員長として、 宮城に、福岡に、と応援に出かけています。 その公示日ですが、4月12日には、ノルウェーの子ども家庭省男女共 同参画・家族政策局長のアルニ・ホーレ氏を民主党にお迎えして、講演を していただきました。 男女共同参画委員会が主催、私が座長を務める子ども家庭省設置準備 ワーキングチームが共催、という形をとらせていただき、自治体議員や NPOの方など、可能な範囲で声をかけさせていただきました。栃木からは 山田みやこ県議が参加してくださいました。 会社の取締役へのクオータ制(男女数の割り当て)や、保育など従来女 性が多かった職域における男女共同参画など、今後の参考になる新しい 取り組みをたくさんうかがうことができました。 現在、公的企業では、取締役の43%が女性だそうです。大手民間会社 の600社も、自主的に達成しなければ早晩法律が適用されるということで す。 ■介護保険について質問しました 4月15日、厚生労働委員会で介護保険法改正案について質問しました。 まず、今回の審議に当たっての厚生労働省の情報の提供の仕方や解釈 の仕方が不誠実であるということを指摘し、今までの審議の中での答弁を やり直してもらいました。 「エビデンス(根拠)がある」と言っても、自分たちにとって都合の良いもの ばかり集めて、都合の良い解釈ばかりしているのでは、エビデンスとは呼 べません。 さらに、「老い」の捉え方が間違っているのではないか、ということも認 めてもらいました。 ここまでの審議で、大臣は、「要介護度が軽い方はもっと期待される改 善度が高いはず」というような答弁をされてきましたが、人は年々としを とっていくわけです。 「維持」という結果も、むしろすばらしいことなのではないか。「悪化」とい うのは、単に年をとっているということだというケースもあるのではない か。「軽度者では改善度が低いので、現在の家事援助サービスは不適切」と、 単純に結論づける問題ではないのです。 団塊の世代がいよいよ高齢期に入り本格的な高齢社会を迎えるのを目前 にして、介護保険を持続可能なものにしていくために、浪費すべき時間は ないはずです。 それなのに、厚生労働省が、自分たちに都合の良い(と思いこんでいる) 資料ばかり出してきたり、データを恣意的に解釈したり、一度言ってしま ったことを撤回できずにメンツにこだわり続けたり、ということをやってい るために、有意義な審議が阻害されています。 私の訴えを、大臣も労健局長も、聞き入れてくださり、答弁の軌道修正 をしていただくことができました。 宇都宮の生きがい対応型デイサービスについて 宇都宮市の生きがい対応型デイサービスについて、以前、この国会報告 でも触れさせていただきましたが、委員会でも「介護の今後を考える上で 象徴的で不吉な事件」として取り上げさせていただきました。 私も今回の質問の準備で初めて知ったのですが、地域保健研究会が発行 している「平成15年度老人保健事業推進費等補助金 介護予防優良事例集」 (2004年3月に出されたもの)では、宇都宮市の生きがい対応型デイサー ビスを優良事例の一つとして載せています。 そこに、宇都宮市としての「今後の課題と抱負」として、 「2007年度までに、規模を現在の2.5倍にまで高めようと考えています。 そのため専用施設も増やしていきますから、それにともなって対象者の登 録人数やサービスの利用回数なども増えていくことになる、というように、 高齢者が通いやすい身近なところに拠点を増やしていくことが重要です。 今後は、通所介護の余力を利用するような通所介護施設での事業は減ら していく方針を立てています。 その反面、生きがいデイサービス専用施設を、 中学校区に1カ所整備し、現状の心身機能の維持という予防的観点から、 介護保険の該当者以外で、虚弱や閉じこもりがちな高齢者を対象とする事業を 展開していこうと考えています。」 というかなり前向きな内容が書かれています。 ところが、そのわずか1年後の今年4月から大幅縮小がされるわけです から、びっくりしました。 この4月からの「激変」については、私から依頼して厚生労働省からも宇都 宮市に問い合わせていただき、少し柔軟な姿勢が示されてきたようです。 具体的には、 ●利用回数は週1回程度、としていたものを、必要に応じて2回まで認め る、ということにした。 ●同居者のいる高齢者は対象から除外する、としていたものを、必要に応 じて同居者がいる場合も認める、ということになった。 ということです。 また、宇都宮市は利用者調査をすることになったそうです。 宇都宮の問題について、大臣には、「直感的に」という条件をつけた上で、 「そりゃあ、週1回のデイよりも週3回の方がずっと良いでしょう」と答え てくださいました。 介護保険対象となる末期がんについて 介護保険の対象に末期がんを加えるということについて、与党と政府の 折衝の中では、「加齢を原因とするがんに限る」とされている(らしい)ことに ついても、質問しました。がんの原因が明らかにわかるわけでもない現状で、 「加齢を原因とする」という表現も不適切ですが、小児がんを除くすべての がんが、広い意味では、生活習慣の繰り返しの中で作られていくわけですから、 「加齢による」がんと言えます。 小児がん以外は、全て末期状態で介護保険の対象とするよう、求めました。 老健局長は了解したような様子でした。 ■筋トレのモデル事業にビックリ なお、介護保険の審議はますます難航しそうです。 筋トレについて、各自治体が行っていたモデル事業(制度の見直しに資す るため、という目的で厚生労働省が69市町村に委託していたもの。本来は、 法案審議に入る前に結果がそろっているべきだったが、ずっと未提出だった) の結果が未提出だったものを、民主党の小林ちよみ議員の要求に対して、よ うやく4月14日の夜に出てきました。 山井和則議員と本多平直議員が徹夜で解析してくださいましたが、筋トレ のモデル事業に参加した結果、状態が「悪化」した人が「改善」した人と同じか、 時には多い、というようなデータです。 また、筋トレ以外にも、「閉じこもり予防」というモデル事業もありますが、 これを行った結果、外出頻度が減った人の方が増えた人よりも圧倒的に多い、 というような結果もあるのです。 さすがに委員会室が騒然としました。こんな内容では、提出期限を過ぎ たにもかかわらず未だに未提出の21市町村についても、まずは結果を示 してくれないと、審議そのものができないのは誰が考えても当たり前のこ とです。 厚生労働大臣は、「それは政省令事項だから、それに間に合うように出す」 と苦しい答弁をしましたが、政省令は国会で審議されるものではありません。 だからこそ、その政省令の根拠となる法案審議の時に、政省令の枠組みを縛る ための答弁をとるのです。 政省令は法律成立後に作るものだから、そこで決めることに関わる資料 は、法律成立後にそろえればよい、というのは、おかしな理屈だというこ とになります。 私が今回厚生労働省が「筋トレの効果のエビデンス」として出してきた外国 の論文をよく読んでみると、筋トレよりも有酸素運動(つまり、ウォーキング など)の方が効果が上がっている、というような内容もあります。 筋トレも、適した人が持続すれば確かに効果があるのでしょうが、モデル 事業においても希望者があまりに少なく、脱落者もいる、途中で体調悪化す る人もいる、という状況を見れば、筋トレ、筋トレと騒いでいる裏にはまた もや利権があるのではないかと勘ぐりたくもなります。 民主党の中根議員の調査では、厚生労働省の天下り先の会社の定款に、 筋トレマシンのリースが入っているようなのです。 ごく一部の人しかやりたがらない、効果が上がらない、というものに、 最初から鳴り物入りで大枚をはたく、というのは明らかに非常識なことだ と思います。 介護予防のあり方について、現在利用できる資源を利用しながら、検証 を積み重ねていくことが必要なのではないでしょうか。 ■子宮内膜症についても質問 子宮内膜症に対する低用量ピルの保険適用についても質問しました。 世界の中で日本だけが、子宮内膜症に対しての第一選択薬である低用量 ピルを使えないのです。その代わりに、GnRHアゴニストという、6ヶ月以上 の使用は認められていない、作用の強い薬の使用量が諸外国に比べて群を 抜いています。 このため、様々な副作用に苦しんだり、早期の閉経を迎えたりする女性 がいます。 質問について、詳しくは後日議事録をご参照ください。 |