国会報告 その226(2005.04.09発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回、発行しております



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国会報告



■竹中大臣の憲法違反問題




 4月5日、衆議院総務委員会では午前10時より「郵政事業に関する集 中審議」を行う予定になっており、郵政問題担当の竹中平蔵大臣は、所管 大臣である麻生大臣とともに委員会への出席が決まっていました。
 しかし、こともあろうか、竹中大臣は当日の朝になって一方的に出席を キャンセルしたのです。その理由について、竹中大臣は、「郵政民営化法 案を具体化するため調整に一刻の猶予もない状況にある」との旨の出席拒 否の通告を行いました。
 同日午後の本会議で、その点を追及された竹中大臣は、「与野党合意が なかったから出席しなかった」と答弁しました。竹中大臣の総務委員会出 席は、与野党理事間で、先週確認されているにも関わらず、です。

 実際に、自民党の議員である実川総務委員長は「誠に遺憾」と述べ、同 じく自民党の議員である川崎議院運営委員長が「はなはだ不適当だ」と官 房長官に電話で注意を促しています。
 そもそも憲法63条は、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、答弁また は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない」と定め ています。
 竹中大臣の今回の行動は、明白な憲法違反であり、政治的責任が問われ てしかるべきところです。

 実に、委員会から要求があったにも関わらず担当大臣が審議を欠席した 歴史は、1954年にさかのぼります。1954年12月4日、時の総理 大臣であった吉田茂氏が、当日の予算委員会を病欠し(本当は疑獄事件の 追及を逃れるための仮病だったようですが)、翌々日の決算委員会も同じ 理由で欠席したことがありました。
 吉田総理は診断書を院に送ったにも関わらず、総理の欠席が大問題とな り、問責決議と弾劾決議が衆参の委員会で可決され、同年12月7日、吉 田内閣は総辞職を余儀なくされたそうです。
 委員会の要求があったにも関わらず担当大臣が審議を欠席したのは、そ れ以来のことのようです。

 4月7日の本会議では、竹中大臣は「情報の伝達に問題があった」と答 弁。つまり、与野党合意があったということは認めざるを得ない状況に追 い込まれて、そう言うしかなくなったということなのでしょうが、あまり にもお粗末な言い訳です。
 竹中大臣の責任問題については、大臣辞任を求めて、今後も紛糾してい きそうです。

 なお、郵政問題をめぐる自民党の混乱は国会運営に相当の迷惑をかけて います。
 国会審議よりも党内の勉強会が優先されるようで、4月6日には、厚生 労働委員会、財務金融委員会、内閣委員会が度々定足数割れをして委員会 がとまりました。
 厚生労働委員会では、介護保険法改正案について政府側がメチャクチャ な答弁をして審議そのものも紛糾しているというのに、与党席はガラガラ で委員会が度々ストップするのですから、責任を持って法案を通そうとす る気持ちがあるのか、はなはだ疑問です。



■子ども家庭省の設置に向けて




   4月7日、子ども家庭省設置準備ワーキングチームにARC代表/子どもの 人権連代表委員の平野裕二さんをお招きしてお話をいただきました。

 子ども家庭省を設立すべきというアイディアの根拠は子どもの権利条約 にあります。子どもの権利条約第3条では、子どもの最善の利益の確保の ために、「すべての適当な立法上及び行政上の措置をとる」ことが規定さ れています。
 1999年の「子どもの権利条約10周年記念会議」の勧告では、「政 府は子どもの権利に関する調整機関を政府上層部内で課さなければならな い」ことが指摘されています。
 また、2003年に出された「実施に関する一般的措置」においては、 中央政府間省庁間、中央と地方の政府間、政府と市民社会との間の調整の 必要性が明記されています。
 そして、「子どもに相当の影響を及ぼす大規模な省庁(教育省、保健省、 福祉省など)だけではなく、たとえば財政、計画、雇用および防衛などを 担当する省庁を含む政府全体で」認識される必要性も記されています。

 また、国際家族年10周年(2004年)にあたっての国連事務総長報 告書には、「家族問題に関わる公私の機関の代表から構成される、国レベ ルの調整機関の設置が提案されるところである」と記されています。
 すでに、多くの国が家族省(庁)や委員会等の組織を設置しているそう です。やはり日本も一刻も早く子ども家庭省を設置する必要があるという ことを確認しました。
 なお、平野さんが日本の子ども政策の総括をしてくださったのですが、 その中で、本当にその通りだと思ったのは、日本の子ども政策が「規範意 識」を欠いているということ。
 子どもの規範意識についてとやかく言っている人たちが、実は子どもの 権利条約という国際規範を軽視している、という現実にもっと多くの人が 気づくべきです。



■党派超え育児で“連携”BCG接種など方針転換 
 (以下の文書は4月8日下野新聞掲載の記事を転記しています)




 「BCG接種の公的負担の対象を生後6ヶ月から、医学的に不適切な場 合は1歳まで考慮する」
「学童保育で障害児受け入れの補助金加算措置は今後も継続する」
 民主党の水島広子衆議院議員と、尾辻秀久厚生労働相の党派を超えた“ 連携”により、補助金加算措置の打ち切りなど二つの厚生労働省の方針が わずか二日間で、こうした形に修正された。

 極めて異例な措置となった発端は先月30日の衆院厚労委。二つの懸案 について水島氏が尾辻氏に質問した。
 日本小児科学会の懸念や正確なデータを示し、「正確な情報が上がって ないのでは。そうでなければ、尊敬する大臣がこんな判断をするはずがな い」と硬軟両面から詰め寄り、尾辻氏の「早急に調査する」との答弁を引 き出した。

 国会答弁にありがちなリップサービスではなく、尾辻氏が直後に動いた。 民主党幹部らに「(水島氏の)言っていることは正しいようだ」と打ち明 け、その二日後には既存の方針を撤回し、水島氏の主張を盛り込んだ。
 とりわけBCG接種は半年以上前から学会が要求していたにもかかわら ず、進展がなかった問題という。水島氏は、「与野党の利害が完全に対立 する場合を除いて、きちんと調査し正論で話せば、変わる。だからこそ質 問が大切」などと、正攻法の重要性を強調していた。





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