国会報告 その225(2005.04.02発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回、発行しております



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国会報告



■学童保育とBCG接種について、 厚生労働大臣に方針変更してもらいました




3月30日、厚生労働委員会で質問し、大きな収穫を得ることができま した。

●学童保育

 少子化社会にあって、ますますその役割が大きくなってきている学童保 育です。私の娘も学童のお世話になり本当に感謝していますが、年度末に なって大変なことが起ころうとしていました。

 厚生労働省は、2月28日の全国児童福祉主管課長会議で、突如として、4 月からの予算の組み方を大きく変えることを発表しました。
 つまり、1施設への補助金として、これまで合った「障害児受け入れ化 参」(障害児2名以上で年間69万円)、「時間延長加算」(年間31万円)、 「土日開設加算」(すべての土曜日開設で年間22万円)を、すべてなくし て、一律に約32万円だけを上乗せする、というやり方です。
 1月20日の厚生労働部局長会議でも全く知らせないで、2月28日に突如と して知らせる、というのは、周知期間として明らかに短すぎます。すでに、 各市町村では、今までの制度に基づいて予算編成も済ませてしまっている のです。ここにきて突然新しい方針を出されて、本当に混乱していると聞 いています。
 そもそも、学童保育の補助単価はあまりにも低いわけですから、32万円 の上乗せそのものが悪いわけではありませんが、例えば、障害児の受け入 れなどは、「がんばっているところには補助をする」という方針でやって きて、ようやく浸透し始めたところなのに、「がんばってもがんばらなく ても同じ」という仕組みにしてしまうと、完全に逆行してしまうことにな りかねないと思います。

 障害児の受け入れは、2001年から試行事業としてスタートし、2003年か らは、当初4人以上受け入れることが条件だったものを、2人以上という条 件に変えて、運用しやすくした、まだまだ新しい制度です。
 この間の補助金制度が功を奏して、障害児を受け入れている学童保育の ある市町村は、1998年には全体の34.5%だったのもが、2003年には47.4% となっていますが、未だに全体の半分の市町村では、障害児の受け入れを していません。
 障害児の受け入れが義務づけられているわけでもなく、市町村の財政も 厳しい現状で、制度を安易に変えてしまうと、障害児の受け入れが進まな くなるという懸念があります。

 地方分権の流れは重要ですが、子どもの虐待や、障害児関連などについ ては、地域間格差をなくすことが、政府の大きな役割であるはずです。

 私の指摘を受けて、厚生労働大臣は、「方針を見直したい」と答弁して くださいました。別途確認したところでは、障害児の枠はきちんと残す方 向で考えてくださるようです。
 年度末ギリギリに間に合って本当に良かったです。

●BCG

 結核予防法改正に伴い、4月からBCGの直接接種が導入されますが、 今までは4歳まで認められていた定期接種(公費負担対象、事故があった ときには予防接種法により行政の責任になる)が、生後6ヶ月までしか認 められなくなる、という大変な変更が政令によって行われようとしていま した。
 この件については、2004年11月21日づけで日本小児科学会から 厚生労働大臣に出された「見解」の中でも問題にされています。

 まず、本人の健康問題(低体重で生まれた、免疫不全症の疑いがある、 など)で生後6ヶ月までBCG接種ができないというようなケースであっ ても、定期接種の対象外となる、ということです。
 公費負担とならず、事故があったときには小児科医個人の責任が問われ る、ということになると、接種が抑制されるのではないか、ということが 懸念されます。

 もう一つは、今まで基本的に3ヶ月以降とされてきたBCG接種の時期 が前倒しになるのではないか、という懸念です。
 免疫不全の子どもにBCGを接種してしまうと、時に致死的な副作用を 起こすことがありますが、そのような免疫不全の子どもの約半分が3ヶ月 以内に診断されます。ですから、集団接種は3ヶ月以降に行われてきまし た。
 今回、「とにかく6ヶ月以内に」ということにしてしまうと、接種時期 が前倒し(例えば産休中など)になってしまい、結果として致死的な副作 用を増やすのではないか、ということが心配されます。
 免疫不全が疑われる子どもの場合には、やはり6ヶ月要件をはずしても らう必要があります。

 これらの質問に対して、厚生労働大臣は「少し考える時間をほしい」と いう答弁でしたが、翌日の3月31日に、厚生労働省の結核感染症課長が 見えて、大臣から「水島議員の期待にこたえるように」という指示が出た ため、医師による医学的判断がなされた場合には公費負担とし、医師の責 任も重大な過失があった場合のみに限定する、という通知を出していただ けることが決まりました。
 こちらも年度末ギリギリ間に合って良かったです。

 その他、エイズ、性感染症、緊急避妊薬、性教育、心神喪失者医療観察 法について質問しました。
 日本のHIV/エイズ感染は現在過去最悪の状況にあり、G7の中でここの ところエイズが増えているのは日本だけです。
 今こそ厚生労働省と文部科学省が連携して、性についての情報提供に努 めなければならないときであるのに、最近、性教育批判が少数派によって 繰り返されているだけでなく、それに怯えた学校が尻込みして、国民の基 本的権利としての学習機会を奪ってしまっているのは許し難いことだと思 っています。詳しくは後日議事録をご参照ください。




■子どもの事故について




   3月30日、私が座長を務める「次世代育成支援プロジェクトチーム( 少子化対策)」に、子どもの事故予防情報センター代表で小児科医の山中 龍宏先生をお招きしてお話をうかがいました。

 「少子化対策」として、生まれてきた子どもの命を守っていくことは重 要です。そのような観点から、虐待防止や小児医療と共に重要なのが、実 は、事故対策なのです。
 以前より、子どもの不慮の事故は多発しており、1960年以降、1〜 19歳の死因の第一位を占めています。
 最近話題になった子どもの事故死の例は氷山の一角であり、わが国にお いて子どもの自己に対する予防対策が全く行われていない現状を憂え、山 中先生が中心となって、日本外来小児科学会が厚生労働大臣に六本木ヒル ズの事故直後の2004年6月9日に「医療機関を定点とした事故サーベ イランス事業の展開と、事故予防の研究部門の設置」について要望書を提 出されています。
 豪州、欧米では、約20年前から「事故は人々の健康を障害するたいへ ん重要な健康問題」として取り組みが始まり、ばく大な費用を投じて事故 の研究が行われています。医療機関の救急室を定点とした事故サーベイラ ンスシステムが稼働しており、年間に数万件の事故を収集し、分析を行っ て科学的な事故予防活動を展開しています。
 が、わが国には、継続的な子どもの事故情報収集システムも解析するシ ステムも存在しません。また、事故情報を踏まえて事業者に勧告する仕組 みもありません。

 せっかく生まれた貴重な命を失わないように、民主党の少子化対策を作 る際には、子どもの事故防止もきちんと踏まえたいと思っています。




■北京+10会議




 北京の第4回国連世界女性会議から10年になりますが、北京で採択され た行動綱領の成果を検証するため、ニューヨークの国連本部で3月11日ま で「第49回国連女性の地位委員会閣僚級会合(北京+10会議)」が開か れました。  

 3月31日、民主党の男女共同参画委員会に、北京+10会議に出席して いた竹信三恵子さん(朝日新聞)と、このテーマの専門家である大沢真理 さん(東大教授)をお招きして、北京+10会議の位置づけなどを話し合 いました。

 保守化するブッシュ政権の影響で、会議は逆風にさらされましたが、EU 諸国をはじめとする各国の連携で現状維持は確保されたそうです。
 ブッシュ政権にとって、女性の権利問題は格好の攻撃の的になっていま す。
 なぜかと言うと、政策が富裕層重視であるため、低所得層をひきつける には「中絶反対」などモラル重視であるかのようなイメージを打ち出す必 要があること、また、福祉予算が削減される中で負担が増える女性の反発 を、原理主義的な道徳観を押し付けることで抑え込む必要があること、な どが背景にあります。
 国際会議頼みではなく、地道な活動が求められる、という総括でした。





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