国会報告 |
■男女共同参画委員会記者懇談会 3月22日、男女共同参画委員会として初めての記者懇談会を開きまし た。 やはり、疑問の中心は、「なぜ民主党にはこれだけ良い男女共同参画政 策・子育て支援政策があるのに、選挙になると表に出てこなくなってしま うのか」ということでした。 それが民主党にとってプラスになる、政権交代への早道になる、という ことを、男性幹部に理解してもらうことが重要です。男女共同参画委員長 としての仕事を通して、少しでも前進させたいと思っています。 また、民主党のイメージをわかりやすくするためにも、もっと男性議員 が子育てしている姿をパフォーマンスすべきではないか、というご意見も いただきました。まずは、子育て中の男性議員に「子育て日記」を書いて もらうなどのプロジェクトを始めてみようということになりました。 ■ベンジャミン・フルフォードさんをお招きして 3月24日、「国のかたち研究会」にベンジャミン・フルフォードさん をお招きしてお話をうかがいました。 ベストセラーとなった「日本がアルゼンチンタンゴを踊る日」や、「ヤ クザ・リセッション」「泥棒国家の完成」(いずれも光文社。お勧めです) などで知られるカナダ人ジャーナリストです。 私はかねてからフルフォードさんの愛読者でしたので、お願いして来ていただきました。 また、フルフォードさんは、「国のかたち研究会」のメンバーだった故・ 石井紘基衆議院議員についても、「あんなに単純な事件ではないはず」と 真相を追ってくださっています。 ここのところ「書くべきことを書かない」日本メディアに失望してきま したので、フルフォードさんをお招きしたのですが、日本メディアが「書 けない」話をいろいろとうかがうことができました。 フルフォードさんは、この2月で米経済誌「フォーブズ」のアジア太平 洋支局長を辞任し、日本の闇を暴き再生させるための仕事にますます力を 注ぐことを決意されたそうです。 上智大学比較文学科で学ばれ、日本に住み、日本語が堪能なフルフォー ドさんですが、「最初は外国人特派員として、日本がどうなろうと関係な いと思っていた。でも日本の現状がひどくて黙って見ていられなくなった」 「日本には可能性があるのにもったいない」とおっしゃっていました。 私は日本にもマイケル・ムーアが必要だと思ってきましたが、フルフォ ードさんは、日本人の活字離れを受けて、今年は映画で日本版「華氏91 1」を作ってみたいということで、まさに日本のマイケル・ムーアのよう な方です。 日本が100年ぶりに海外で国債を売り始めた(つまり国内では売り切 れなくなった。100年ぶりというのは明治以来だが、明治の時は海外で 日本の可能性を感じて買う動きがあったものの、今はない)のを見て、い よいよ「おしまい」は近い、とフルフォードさんは実感しているそうです。 今まで、日本の闇を追ってきたフルフォードさんですが、「このままだ めになるのはもったいない。日本はやる気になればできる国だ」と私たち を励ましてくださいました。 日本は、表面的には西洋型民主主義国家だが、裏は従来型の「しがらみ」 社会(闇の世界も含めた)だといいます。天下り、政官業の癒着など、す べてが「裏側」の世界を作っています。 本当の民主主義を取り戻すためには、東欧社会主義国と同じように市民 革命を起こさなければならない、ということです。 でも、社会の混乱を最小限にするために、そして、日本の可能性を最大 限引き出すために、明治維新と同じように、ゼロからやり直して、各分野 の世界のトップから教えてもらって日本流にアレンジする、という手法を とるのが良いというのがフルフォードさんの考えです。 例えば、福祉の分野では、スウェーデンやカナダの元首相に教えてもら えば良いし、日産のカルロス・ゴーン社長にならって、ビル・クリントン 前米大統領を政治顧問に迎えても良いではないか、というユニークなアイ ディアを出されていました。 そして、そのような「維新」を起こそうという勢いが民主党にも必要な のだ、と励まされました。 また、一票の格差は選挙泥棒であり、一票の格差をなくすまで署名運動 や国債不買運動をする、真実委員会を設けて、免罪を条件に関係者から日 本の財政状況について真実を聞き出す、など、大変示唆に富むアイディア をいろいろといただきました。 なお、小泉首相のことを「無神論者のローマ法王」と言っていました。 日本の利益と自民党の利益は相反するから、ということですが、なるほど と笑ってしまいました。 ■企業にとって子育て支援はマイナスか 3月24日、次世代育成支援プロジェクトチーム(少子化対策)に武石 恵美子さん(ニッセイ基礎研究所社会研究部門上席主任研究員)をお招き して、「少子化と子育て支援‐―企業にとって子育て支援はマイナスか」 というタイトルでお話をいただきました。 日本は、2001年のOECDのデータを見ても、6歳未満の子どものいる 母親の雇用率がOECD諸国中で最低です。 また、1990年から、労働力率を追ってみると、3歳未満の子どもを 抱えて働く女性の割合は、3割前後で、ほとんど変わっていません。 3歳未満の子どもを持つ母親のうち26.2%が「就業を希望している けれども働いていない」という状態です。 1990年代以降の少子化対策はなぜ効果が上がらなかったのか、とい うことについての武石さんの考察は、以下の3点に集約されます。 ●両立支援策=「働く女性のための施策」と位置づけられた。 (本来は男女に共通する「ユニバーサル施策」としての位置づけが重要) ●企業にとって両立支援策の導入はコストが高いと考えられた。 (本来は、 従業員の確保・定着効果をもたらし、やる気が向上し、スト レスの低減などによって仕事に集中できるため、企業にとってもメリッ トがある。データを見ても、女性社員の能力活用を進めることと経営パ フォーマンスを上げることの間には関連性が見られる) ●少子化対策として子育て支援策のみに集中し、働き方全般の見直しが行 われなかった。 (子育て中の人に対する不公平感が全体の雰囲気にマイナスに働く。子育 て支援策にとどまらない「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の 調和)の視点が必要) 米英では、企業の利益という観点からワーク・ライフ・バランス策が進 められてきています。福祉策として進めてきた国も、企業の利益という観 点から進めてきた国も、同じ結論に達するのですから、日本も学ばない手 はありません。 大雑把に言うと、日本には、拘束度が高く(自由が少なく)処遇も良い 「男性正社員」と、拘束度が低く(自由が多く)処遇も悪い「非正社員」 の両極端しかありません。 でも、一人ひとりのワーク・ライフ・バランスは異なり、多様な働き方が 必要です。ライフステージによっても、子育てだけではなく、介護や学習 などのために仕事の比率を減らしたいという時期もあります。 これからは、一人ひとりのニーズに合った働き方が必要です。一人の人 に気持ちよく長く働いてもらうことが企業にとってもプラスになるという 考えは、一人ひとりの人材を大切にするということにもつながります。日 本はそうやっていかないと、産業を育てていくこともできないでしょう。 もちろん、個別交渉は厄介です。今後は、労働組合が、個別交渉をやり やすい環境づくりに大きな役割を果たしていくことが期待される、と武石 さんはおっしゃっていました。 ■子ども家庭省の設置に向けて 3月24日、私が座長を務める「子ども家庭省設置準備ワーキングチー ム」に、ノルウェー大使館の岡本健宏さんをお招きして、ノルウェーの子 ども家庭省と子どもオンブードについて、その構造と設置された経緯など についてお話をうかがいました。 私たちの子ども家庭省設置に向けて大いに参考にさせていただきます。 ちなみに、子ども家庭省は今でもまだ進化を続けており、私が2003 年にノルウェーを訪ねたときには、保育園は「家族・男女平等局」が両立 支援策として担当していたのですが、今年の1月からは「子ども・青年局」 に担当が移ったそうです。 やはり保育園は子どもそのものを扱うので、「子ども・青年局」が担当 する方が望ましいということになったようです。経済的支援については、 変わらずに「家族・男女平等局」が担当しているそうです。 ノルウェーの子ども家庭政策については、4月12日に民主党本部に「 家族・男女平等局長」のアルニ・ホーレさん(女性)をお招きして講演を していただく予定です。 参加ご自由・無料ですので、どうぞご参加ください。 (お問い合わせは民主党本部男女共同参画委員会 03-3595-9988) |