国会報告 その221(2005.03.05発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回、発行しております



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国会報告



■韓国の大物ジャーナリストと懇談




 外務省が実施しているオピニオン招聘プログラム(諸外国の世論形成に 大きな影響力のある有力者を日本に招待し、日本を知ってもらうことが目 的のプログラム。
 日本の各分野の要人や専門家等との会見や、様々な施設・機関・文化的 遺産などを視察してもらう)により来日された、張容誠(チャン・ヨンソ ン)韓国毎日経済新聞(韓国の代表的経済紙)常務兼編集理事が、3月1 日の来日直後に私を訪ねてきてくださいました。

 「日本は先進国なのになぜ女性の政治家が少ないのか」とまず驚かれ、 さらにいろいろと話していく中で、日本の家族政策の貧困さに話が及ぶと、 「これだけ豊かな日本で、貧困という言葉が出てくるとは意外だ」と驚か れていました。
 国会や官庁(文部科学省を除く)に託児所がないことについても、「法 律で義務づけるべきではないか」などと述べておられました。
日本は経済成長のために、それ以外のことを犠牲にしてきてしまったと いう見方を私はしており、その一つが家族政策なのだということを説明し ました。




■山本譲司さん講演




   3月3日、元衆議院議員の山本譲司さんを民主党法務部門会議にお招き して、「行刑施設の処遇に関する問題点について」と題したお話をうかが いました。

 実は山本さんは、私が初当選した直後に逮捕されてしまったため、議員 としてはお話したことがありませんでした。ですから、以前と比較するこ とは私にはできませんが、今回山本さんから受けた印象は大変素晴らしく、 多くの先輩議員が「山本さんは議員だったときよりもずっと大きくなった」 と評価しておられました。

 今国会では監獄法の改正があります。監獄法は明治41年に施行された 古い法律で、改善すべき点が多々あります。
 また、先日、出所直後者に幼いお子さんが刺殺されたという悲惨な事件 が起こったばかりで、出所後の社会復帰に世間の注目も集まっています。
 そんな中、実体験に基づく山本さんのお話は、大変参考になりました。
 日本型の行刑システムでは、所長以下の刑務官に多大な裁量権が与えら れており、法律や規則を逸脱した恣意的運用の恐れがある、などというこ とも、実例をもってご紹介いただきました。
 また、刑務所内の人員配置も、スウェーデンでは受刑者:刑務官の比率 が逆転しており、福祉の手厚さと行刑施設の手厚さが比例するのだという ことも知りました。

 なお、刑務所内の処遇の改善については、受刑者たちは、刑期の間に自 由が奪われることは覚悟しているのであって、何よりも、社会復帰をしっ かりしたいということを希望しているので、自由な処遇よりも充実した処 遇を望んでいる、ということでした。
 ですから、刑務所の中だけを改善しても仕方がないのであって、保護観 察所の機能強化などが重要ではないかというご意見は私も全く同感です。

 山本さんのお話の中で、最も印象的だったのは、受刑者の障害問題です。 山本さんご自身、刑務所の中で一番驚いたのは、知的障害者が多いという ことだったそうです。
 入所時に知能テストを受けたときに、コミュニケーションが全くできな い、徘徊する、字が読めないという人が多いことにまず驚いたそうです。
 年度別新受刑者の知能指数を見ると、IQ69以下(療育手帳をもらえるレ ベル)がデータ上でも4人に1人います。山本さんの実感としてはもっと 多かったそうです。
 また、IQがそれ以上でも、アスペルガーの方などがいて、障害を持つ方 が犯罪に関わらなくてすむ仕組みづくりは重要だということです。

 「前科」「触法」がつくと、福祉の現場は受け入れたがらないのが現実 で、触法障害者は現実的に行き場がありません。また、刑務所に入った時 点で障害年金が切れてしまいますが、出所後に手続きをしてくれる家族な どがいないと、結局お金に困って再犯へ、ということになってしまいます。
 福祉との連携ができていない現状は、まさに行政不作為とも言える状況 なのではないでしょうか。
 本来は障害に対する特別な配慮を必要とする人たちが、単に刑期を終え て放り出される、ということを繰り返していても、本人にとってはもちろ ん、社会にとっても、何も良いことはありません。

 また、山本さんは、黒羽刑務所の寮内工場(障害を持つ人たちの工場) の世話役をなさっていたそうですが、そこでは、一般社会ではついぞ耳に することのなくなった差別語が刑務官の間で飛び交っていたそうです。
 刑務官に対する人権教育の問題も深刻ですが、そもそも、行刑施設とし て障害をどのように捉えるのかを見直す必要があるでしょう。




■宮本太郎先生「ワークライフバランス転換と新しい福祉制度」




 3月3日、私が座長を務める「次世代育成支援プロジェクトチーム(少 子化対策)」に北海道大学大学院法学研究科の宮本太郎教授をお招きして、 「ワークライフバランス転換と新しい福祉制度」と題したお話をいただき ました。

 少子化の抑制に成功している国は、有償労働(ワーク)支援と無償労働 (ライフ)支援をバランスさせているという事実があります。
 ただ、この場合の無償労働支援はジェンダー中立的あるいは是正的であ ることがポイントで、ドイツのように無償労働支援がジェンダー拘束的で ある場合(つまり、女性が家で育児をするという場合にしか支援されない) は、少子化の抑制効果は見られません。

 宮本先生は、労働市場参加率の長期傾向を見ると、男女ともにフルに労 働市場に参加した上での完全雇用を実現するのは困難ではないかという観 点に立ち、フル雇用社会(full employment society)からフル活動社会 (full engagement society)への転換を唱えていらっしゃいます。
 日本では今まで教育から労働市場、そこから退職(福祉の世界)へ、と いう一方通行しかなく、いったん働き始めると教育現場に戻ることも難し く、また、家庭責任を引き受けたり失業したりすると、労働市場に良い条 件で戻ることも難しくなっていました。
 フル活動社会というのは、労働市場以外の場(教育、家庭、職業訓練な ど)にいる期間をもう少し増やし、相互乗り入れを可能とすることによっ て、すべての人がどこかしらで生き生きと活動していいる、というイメー ジだと思います。

 現在は、ワークライフインバランス(仕事と生活の非調和)は、男女間 だけでなく、いわゆる正規雇用者と非正規雇用者の間にも生まれており、 この二重のインバランス(非調和)を解決しなければならない、そのため には、複数の支援策を提示する必要がある、という宮本先生のご意見は、 大変示唆に富んでいました。




■国連における日本の軍事志向



 3月3日、愛知大学助教授の河辺一郎助教授から「国連における日本の 軍事志向と日本の果たすべき役割」というテーマで講演をいただきました。

 1990年代以降の日本は、米国と共に、国連における軍事志向を強め てきていること、また、経済制裁は武力行使と同様に国連憲章第7章に基 づく強制行動であり、非軍事的行動とは峻別されるもので、安保理の決定 に基づいてのみ行われるべき、という懸念をカナダなどが示してきている というのに日本が単独で経済制裁に踏み切ろうとしていることなど、日本 が覇権主義的行動を強めているということを、案外日本人は知らないので はないでしょうか。
 日本人は歴史を忘れやすいと言われるが、本当のところは、今を見てい ないのではないか、という河辺先生のご指摘は的を射ていると思いました。  




■東京拘置所視察




 3月4日、民主党の法務部門で、東京拘置所の視察をしました。これは、 性犯罪者の処遇を知るための取り組みです。

 東京拘置所には、既決囚の人も服役しており、その人たちに対する「処 遇類型別指導」の一つとして、「異性問題教育指導」が行われています。
 その内容を見せてもらったのですが、グループカウンセリングは行われ ておらず、「作文」を基盤とする個人指導のみでした(川越少年刑務所で はグループカウンセリングも行われているそうです)。
 そのやり方も、まさに手探りという感じで、専門的裏づけもありません。 個別の現場で手探りで進めるのではなく、専門的知見に裏打ちされた標準 的な処遇を定める必要があると痛感しました。




■水島広子と歩む会総会・躍進のつどい




   2月26日、水島広子と歩む会の2005年の総会と躍進のつどいを宇 都宮で開いていただきました。
 躍進のつどいには、400名を超える皆さまと、菅直人前民主党代表、 家西悟参議院議員、連合栃木会長をはじめとするご来賓の皆さまにご出席 いただくことができ、大変盛会のうちに終えることができました。

 ご参加・ご協力いただきました皆さま、ありがとうございました。





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