国会報告 その220(2005.02.26発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回、発行しております



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国会報告



■医療現場で働く臨床心理士の国家資格化に向けて




 2月24日、ついに、医療現場で働く臨床心理士(いわゆるカウンセラ ー)の国家資格化に向けての本格的な超党派の議員連盟が「医療心理師( 仮称)国家資格法を実現する議員の会」(会長は自民党の堀内光雄議員)と してスタートしました。

 私も発起人の一人として、準備を続けてまいりました。現在、医療の分 野における心理職の需要はますます高まっています。
 精神科領域でももちろんですが、身体科であっても、手術前後や終末期 の患者さんなど、心理的なサポートを必要とする方は多くいらっしゃいま す。

 ところが、かねてから必要性が主張されてきたにも関わらず、日本では 臨床心理士が国家資格となっていないため、医療の診療報酬上の位置づけ ができず、それが臨床心理士の活動を妨げ、また、質のコントロールを妨 げてきました。
 先行して国家資格化されたPSW(精神保健福祉士)の方が診療報酬上の位 置づけがあるたり、直接利益につながるため、臨床心理士を疎む医療現場 すら出てきました。これからますます医療における心理職の役割が大きくなるという中で、全 く時代に逆行してしまうことになります。

 臨床心理士は、医療現場だけではなく、教育現場や児童相談所など、い ろいろな場面で働いています。単一の資格を、ということになると、それ ぞれの業界の特徴もあり、長い間議論が前に進まずに来ました。
 そこでこの度、良質な医療を確保することを目的として、医療分野で働 く臨床心理士を「医療心理士」として国家資格化しようということで議連 が設立されたわけです。




■高齢者虐待防止法案記者発表




   2月23日、「高齢者虐待防止・介護者支援法案要綱骨子」が「次の内 閣」で了承されたため、記者発表を行いました。
 与党案とは異なり、介護者への支援を法案のタイトルにも含め、2本柱 の1つにうたっているのが民主党案の特徴です。全文は民主党ホームペー ジ(http://www.dpj.or.jp/news/200502/20050224_01pc.html)に掲 載してあります。
 これからパブリックコメントをいただき、3月中に成案を作成していく 予定です。
 皆さまもぜひご意見をお寄せください。




■尊厳死の法制化に向けて




 2月23日、「尊厳死法制化を考える会」の世話人会が開かれ、私も世 話人の一人として出席しました。
 そして、尊厳死の法制化に向けて議員連盟(会長は自民党の中山太郎衆 議院議員)を改めて発足させることが決まりました。
 終末期医療において、単に延命を目的とする措置を拒否し、人間として の尊厳ある死を迎えようとする「尊厳死」については、一般にも賛同され る方が多いと思います。

 日本では1976年に日本尊厳死協会が発足し、現在は会員が10万5 千人を超えています。
 協会の皆さんの働きかけも実り、このたび、立法に向けての議員連盟が 改めて発足することになったわけです。

 最後まで、自分らしい、尊厳ある人生を全うすることができるように、 日本でも、自己決定権を基本に置いた法律がきちんと作られるよう、私も 引き続き努力してまいります。




■SOS子どもの村




 2月22日、「NPO法人子どもの村を設立する会」の代表・金子龍太郎 さんがお見えになりました。
 オーストリアに本部がある国際児童支援組織「SOS子どもの村」は、世 界で最も大きなNGOで、家庭を失った子どもたちを保護し、家庭環境のも とで養育する事業を世界131カ国で展開しています。
 普通の家屋に3−6人の子どもたちが親代わりの職員と生活を送り、 10数軒の家々が村(地域共同体)を形成します。敷地内の治療センター は、自閉症研究の先駆者アスペルガーが中心となって設立したそうです。
 なお、原型は共通の敷地に作られた共同体ですが、その他にも、点在す る一般住宅を活用する形、アパートを利用する形などの応用パターンがあ るそうです。

 金子さんは、2004年、日本にSOS子どもの村方式による福祉の場を作 ることを目指して、NPO法人「子どもの村を設立する会」を設立しました。
 日本では、里親制度を活用したグループホーム形式であれば現行制度の 中にも位置づけられるようですが、何といっても立ち上げのための費用が 必要です。

 お話をうかがって素晴らしいと思ったのは、SOS子どもの村では、職員 に対して2年間の養成期間があるということ。
 人物本位で選ばれた職員に対して、1年間は独自の養成学校で、一般教 養・音楽・家政と共に、医学・法学・発達心理学・教育心理学・治療教育 学などの専門教科の講義を受け、筆記試験もあります。
 そして、家事全般の習得やレクリエーション技術も磨いていきます。さ らに、子どもの村での1年間の実習があります。

 入ってくる子どものほとんどは、親に見捨てられ生活場所を転々として、 人間不信に陥っている場合が多いのですから、職員には高度な専門能力が 求められるのは当然でしょう。
 この職員養成の質の高さが、SOS子どもの村が国際的に成功した理由の一 つだと金子さんはおっしゃっていました。ちなみに、アジアで子どもの村 がないのは、北朝鮮とミャンマーと日本、というような状況のようです。

 昨年の児童虐待防止法改正でも「良好な家庭的環境」を規定したわけで すが、いつまでも日本では虐待された子どもが人員配置の低い大規模施設 で暮らさなければならないという状況が続いています。
 里親制度への支援も進みつつありますが、とても絶対数が足りません。 そんな中、子どもの村が実践しているのは、私がかねてから考えているホ ームの形に最も近いと感じました。
 治療施設という拠点を作ることによって、現在、被虐待児特有の精神症 状に悩んでいらっしゃる里親の方たちをサポートする場としても活用でき るでしょう。

 私も国政の立場からできるだけ応援していきたいと思っています。皆さ まもどうぞご支援をお願いいたします。




■栃木県女性議員連盟




 2月21日、栃木県女性議員連盟に招かれて韓国のクオータ制などにつ いて報告をしました。
 自民党からは女性局長の上川陽子衆議院議員が見えました。党派を超え た女性議員の連帯が必要だということを確認し合い、有意義な会でした。

 ちなみに、国会内にも超党派の女性議員懇談会があります。私は今年か ら民主党の世話人になりました。

 かつては婦人議員懇談会と呼ばれていたものですが、歴史が古いもので、 今回世話人として申し送られた資料の中には、加藤シヅエさんや市川房枝 さんといった歴史的なお名前を見つけることができ、感激しました。
 2月25日から、今年の女性議員懇談会もスタートしました。  




■アンチスティグマ研究会




 2月24日、精神障害者の社会参加への理解を広げるための「アンチス ティグマ研究会」(反・偏見研究会)の皆さまとの超党派の懇談会に参加 しました。
 精神科医の大先輩たちが展開されている活動です。
 精神障害者の社会参加がなかなか進まない一つの大きな背景に、病気へ の理解不足と偏見があるとの考えに基づきます。

 この日は、元世界精神医学会会長でジュネーブ大学教授のノーマン・サ ルトリウス博士をお招きして、偏見解消のために政治が果たしうる役割に ついてお話をうかがうと共に、前長崎大学教授の中根允文先生から「精神 保健の知識と理解に関する日豪比較共同研究」について大変興味深いお話 をうかがいました。
 オーストラリアでは、精神疾患に対する理解を深めるための国家的キャ ンペーンが進められてきました。その結果、専門職と一般人との間に精神 疾患についての考え方のギャップがあったものが、8年間の間に縮められ てきました。
 疾患の認識度が改善し、原因論として「性格の弱さ」といった考え方が より薄弱になってきたそうです(ちなみに日本では未だにこの考え方が強 いようです)。

 この結果からは、社会的な取り組みによって、国民の精神疾患に対する 考え方が変更可能であることが示され、日本も大いに参考にすべきことだ と言えます。





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