国会報告 |
■次世代育成支援プロジェクトチーム 2月4日(金)、次世代育成支援プロジェクトチーム(少子化対策)を 開き、昨年12月にまとめられた政府の「子ども・子育て応援プラン」( 新・新エンゼルプランにあたるもの)について、内閣府、厚生労働省、文 部科学省、国土交通省から話を聞きました。 いわゆる「少子化対策」、つまり次世代育成支援については、今までも 委員会での質疑を繰り返してきましたが、今までの「エンゼルプラン」「 新エンゼルプラン」「少子化対策プラスワン」などを作ってきても効果が 乏しいという指摘については、「だからこそ今度は実効性のあるプランを 作る」というような答弁を得てまいりました。 ではどれほどのプランなのだろう、と話を聞いたのですが、確かに多岐 にわたっていろいろなことが目標値と共に書いてはありますが、肝心のと ころ、つまり、「なぜ今回のプランは今までと違うのか」ということにつ いては、「地方自治体の行動とリンクした」ということだけで、他には何 もないそうです。 次世代育成支援の実効性を左右するのは、事業主であると言っても過言 ではありません。仕事と家庭の両立施策は、実は事業主側の理解がなけれ ば進まないものが多く、常にそこがネックとなります。 特に最近は、中小零細企業の方たちを中心に、「この不況の時期に何を 贅沢なことを言っているのだ」「つぶれずにやっていくだけで精一杯だ」 という反発が強く、どれほどの制度を作っても実際のところは全く実効性 を伴わない、ということは誰でも知っていることです。 また、非正規雇用の方たちが増えていますが、それが多様なライフスタ イルを反映しているというよりも、「事業主にとって都合の良い労働者」 を増やしているに過ぎない、ということも指摘されています。 こんな時代の次世代育成支援ですから、その実効性をどれだけ担保でき るか、というところに集中する必要があります。 例えば、今回のプランでは、育児休業取得率を10年後には男性10%、 女性80%にする、という目標が掲げられていますが、現在女性の取得率 が60%であるといっても、実際のところは、出産を機に仕事をやめる人 が7割で、残りの人の60%が育児休業を取得しているに過ぎないのです。 その「60%」を「80%」に上げることを目標にしても仕方がないの ではないでしょうか。 私たちのプロジェクトチームでは、「実効性」に注目した政策作りを進 めると共に、実際に事業主の方たちのご意見も聞いていこうと計画してい ます。 ■FTA・外国人労働者受け入れ 2月2日、FTA推進に伴う「人の移動」、労働者受け入れ問題について、 厚生労働省、日本看護協会、全国老人保健施設協会、日本介護福祉士会か らヒアリングをしました。現在、看護師を受け入れるようにと要求してき ているフィリピンとの間では、厚生労働省は5つの原則を決めて進めてい るということです。 その5つの原則とは、「専門家の移動に限定」「国家資格の取得を求め る」「労働市場への悪影響を避ける。受け入れ枠を設定」「送り出し及び 受け入れの組織・枠組みを構築」「ステップバイステップのアプローチ」 となっています。 現在、外国での労働を奨励して外貨の獲得を国策としているフィリピン からは、看護師が不足している国などに労働力が移動しています。 今回は看護師についてフィリピンと交渉しているのですが、他に、マッ サージ師についてタイからの受け入れ要求もあり、そちらの交渉もしてい くことになります。 日本看護協会からは、日本人の看護師が働きたがらないような職場で外 国人看護師が働くようになると、看護の労働条件そのものの水準が下がる のではないか、という懸念が表明されていました。 日本は、難民の問題もそうですし、外国人を受け入れるということにつ いて今まで徹底して議論を避けてきた国だと言えると思います。でも、国 際社会の中で適切に生き残っていくためには、もはや避けては通れない議 論だと思います。 会議の最後に、首藤信彦衆議院議員から「目先のことを議論しているだ けでなく、もっと大きな目で見て50年後に日本をどういう国にするのか、 ということを考えた議論をしなければならない」という問題提起がありま したが、私も全く同感です。 もちろん、現実的な問題は詰めていく必要がありますが、「要求された から条件をつける」という対応を繰り返すだけではなく、国際社会の中で の日本をどう位置づけていくのか、という大きな議論が政治には要求され ていると思います。 ■ノロウイルス 2月3日(木)、厚生労働省からノロウイルス問題についてヒアリング をしました。 全国の高齢者施設で相次ぎ発生しているノロウイルスによる感染性胃腸 炎について、ヒアリングをしました。 7人の死亡者を出した広島県福山市の事案について話を聞いたのですが、 厚生労働省は、福山市保健所の調査結果だけを話すだけで、どうもはっき りしません。 でも、12月31日から1月5日までの間には、毎日のように1人ずつ (1月2日は2人)亡くなっているというのに、誰も入院すらしていない のです。 そもそも、ノロウイルスは、通常は輸液をすれば簡単に死亡するような ものではなく、事件の重大さから見ても厚生労働省の対応が足りないとし か思えません。 今国会で介護保険法の改正がされる予定ですが、介護と医療の住み分け と連携にはまだまだ整理と改善が必要な状況です。ノロウイルスの問題を きちんと解明することが、その一助になると思っています。 厚生労働省には、もっときちんと調べるように、要請しました。 ■高齢者虐待防止法 今国会では、高齢者虐待防止法案が議員立法で提出され、審議される予 定です。与党も法案を作っているということですが、民主党でも議論をし ています。 今まで何の定義もなかった高齢者虐待という概念を明確化することは、 啓発効果があると期待します。でも、それと同時に、なぜ介護現場での虐 待が発生してしまうのか、という背景もしっかりと考える必要があります。 特別養護老人ホームの入所待ちが長く、ずっと待っている間に、心身と もに疲れ果ててしまって虐待に及んでしまう、というケースは少なくない はずです。 あるいは、在宅サービスを十分に受けられないために虐待に及んでしま うということもあります。 高齢者への虐待を人権問題として明確化すると共に、介護の基盤整備も 十分にしないまま、単に虐待を責めるような無責任な法案にしないことが 民主党の務めだと思っています。 スウェーデンでは家族内介護は「ない」と言える状況だそうですが、そ の結果、親子交流は以前よりも増しているそうです。 日本も、社会的介護をきちんと整えて、虐待などに巻き込まれずに家族 が愛情をもって交流できる社会を作ることが急がれています。 ■性犯罪者対策 2月4日(金)、内閣部門、法務部門、人権・消費者問題調査会の合同会 議が開かれ、国会図書館から「主な国の性犯罪者住所等の情報提供につい て」ヒアリングをすると共に、龍谷大学法学部教授、矯正・保護研究セン ター副センター長の石塚伸一教授から「性犯罪対策の2つのスキーム 〜 犯罪者隔離型と犯罪者処遇型」というタイトルでお話をうかがいました。 石塚教授のお話は、私が現在アメリカの研究者の方たちからいただいて いる情報と概ね共通するものでした。 今回、法務省は性犯罪者の出所情報を警察に知らせる、ということを計 画しているのですが、性犯罪者の情報を警察や地域住民に知らせる法律を 持っているアメリカなどでは、決して性犯罪が減っていません。 アメリカのある学者の方は「単に気分が良くなる法律」と呼んでいるよ うですが、「こういう法律ができたから大丈夫」と安心するだけで、実際 には期待した効果は得られないどころか時には有害ですらある、というこ とを言いたいようです。 石塚教授は、「民主党は科学的な根拠に基づいて立法できる政党だと思 っている」と言ってくださいましたが、そうなるように努力しなければな らないと私は思っています。 性犯罪者について、日本には専門家が少ないのですが、アメリカの専門 家へのアクセスを通して、その層の厚さや先進性に改めて驚いています。 石塚教授は、「日本の矯正現場は優秀なので、きちんとしたシステムと ノウハウさえ作れば大丈夫」と言っておられましたが、何とか地に足の着 いた、そして、国際的にすでに得られているデータを踏まえた議論ができ るように、引き続き努力してまいります。 ================================= 「水島広子と歩む会」からのお知らせ ================================= ■水島広子と歩む会第2回総会 日 時 2005年2月26日(土)午後4時30分から 場 所 ホテルニューイタヤ 桜の間 宇都宮市大通り2-4-6 TEL.028-635-5511 参加費 無料 ■水島広子と歩む会2005年躍進のつどい 日 時 2005年2月26日(土)午後6時00分から 場 所 ホテルニューイタヤ 天平の間 宇都宮市大通り2-4-6 TEL.028-635-5511 参加費 5000円(着席パーティー形式) (事前にお申し込みいただけますようお願いいたします。) お問い合わせ・お申し込みは水島広子と歩む会事務局(水島広子事務所内) TEL.028-649-6600 FAX.028-614-1134 までお願いいたします。 なお、躍進のつどい参加費は事前に集金に上がらせていただきます。 |