国会報告 その216(2005.01.29発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回、発行しております



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国会報告



■国会冒頭から危機的状況




☆再質問権を封殺

 1月24日、衆議院で代表質問が始まりました。トップバッターは民主党 の岡田克也代表でした。岡田代表は、被災者生活再建支援法(民主党は前 国会から改正案を提出していますが、大した審議もなく廃案となってしま いました。住宅本体にかかる再建費用を、支援金の支給対象範囲に含める 改正案です。被災者が真に望むのは住宅本体の再建なのですが、現行法で は補助対象になっていません)、年金、地方分権、郵政改革、アジア外交、 日米関係、イラクへの自衛隊派遣、政治倫理などについて質問をしました。

 これらの質問に対する小泉首相の答弁には、あまりにも内容がありませ んでした。

 そこで、岡田代表はそのことを指摘した上で、9項目の再質問をしまし た。例えば、被災者生活再建支援法について「個人の資産に補助をすると いうことについては議論がある」と官僚答弁にとどまった小泉首相に対し て、「今、まさしく被災地で苦しんでいる方々のために、まさしく政治的 な決断が求められている」と厳しく指摘し、「政治家としての、総理とし ての、明確な答弁を」求めました。また、郵政民営化についても、郵政公 社が現在保有している150兆円を超える国債を民営化法人が売却したとき に、国際市場に与える影響はどうなるのか、といった問題を重ねて質問し ました。これらは最初の質問の中に含まれていたもので、小泉首相が直接 の答弁を避けたものでした。

 岡田代表の再質問に対して、小泉首相は「全てに明確に答弁している」 と述べるのみで「答弁」を終えました。当然のことながら、本会議場は騒 然となり紛糾し、審議はストップしました。各党の議場整理係が事態の収 拾に努めましたが、「答弁を補足したい」と再び壇上に上がった首相は、 「各再質問項目の中で、岡田代表や民主党の意見があったことは理解して いる。それに対する答えは先ほど私が申し上げた通り」と、議論をかたく なに拒否しました。

 さらに「補足」するとした首相は、「私の答弁に不満があるということ は理解できる。しかし私は岡田代表の質問にもれなく答弁したと思ってい る」としたため、これでは審議などできるわけがない、と民主党議員は本 会議場から退席しました。

 なぜ、小泉首相と民主党の対応がこれほどズレてしまっているか、とい うことですが、「再質問」と「答弁漏れ」の混同があります。「再質問」 とは、最初の答弁に対してさらに具体性や明確さを求めるものですが、「 答弁漏れ」は、質問項目そのものが答弁から抜け落ちてしまっていること を言います。確かに小泉首相は「被災者生活再建支援法」「郵政民営化」 という項目についての答弁は不十分ながらしており、それを主張していた のです。小泉首相は、故意に「再質問」を「答弁漏れ」にすり替えてしま ったということだと思います。

 でも、これは「小泉さんは相変わらずすり替えがうまい」などと喜んで いるべき問題ではなく、民主主義の根幹にも関わる問題だと言えます。
 再質問というのは、規則によってきちんと認められた権利です。それな のに、何を尋ねても「もう答えた」というのでは、明らかな答弁拒否です し、再質問権を封殺するものです。国会の形骸化にも直結し、国民が行政 について「知る」場を失うことになります。

 また、国会における政府の立場は、提案して説明をし、審議をお願いす るというものです。ところが、その説明を自ら拒否するのですから、本末 転倒です。「国権の最高機関たる」国会が行政府によって愚弄された、と いうことです。

 結局、17時45分から本会議が再開し、冒頭で、河野洋平議長が小泉首相 に「答弁に当たっては誠意をもってきちんと対応するように」との注意を し、その上で、岡田代表に再度の質問を許しました。これに対する答弁も またひどいものでしたし、議長の注意に対して反省や謝罪をするどころか 開き直るという始末でした。

☆メディアの扱い方

 いやな予感が当たって、と言うべきか、翌日の新聞は「再質問権の封殺 」ではなく「野党の審議拒否」が主題になっていました。私が見た範囲の 新聞では、唯一、英字新聞である「ジャパンタイムズ」だけが、「小泉の 責任逃れが衆議院を混乱させる」というタイトルで、起こった通りのこと を冷静に書いていました。国会の現場と新聞記事の温度差を大きく感じ、 これでは政治の質は悪くなる一方だと痛感しました。折しもNHKの政治圧 力問題がテーマになっていることもあり、メディアには真に「社会の木鐸 」として、せめて正確な情報開示のために、がんばってもらいたいと思っ ています。

 本会議場から退席したことには賛否両論があるでしょう。新聞によると、 田中真紀子さんは、「退席すると小泉首相は役人から答弁を入手できてし まうので、退席せずに立ち往生させるべきだった」というご意見のようで したし、戦略としても諸説あると思います。私自身は国対からの指示に従 って退席したわけですが、退席するか否かというのは、あくまでも国会運 営上の戦略に過ぎないと思います。もちろん、退席などは入念な戦略に基 づいて限られた場合のみに行うべきものだと思いますが、「退席=未熟な 政党」という図式も、そろそろ見直すべきだと思います。

 今回について言えば、議長の「注意」(極めて異例なことです)と再度 の質問を獲得したわけですから、あの事態の中ではよくやった方ではない でしょうか。

 余談ですが、本会議場では様々な野次が飛びます。そのとおり、と思う ものもあれば、呆れてしまうものもあります。岡田代表が、「イラク戦争 とその後の死者は、最低5万人、推計によっては10万人を超えると言われ ている。今後もイラクの混乱が続くことは確実。いったい何万人の人命が 失われるのか。亡くなられた人々の家族に対して言葉もない」と指摘した ところ、自民党席からは「フセインは何人殺した」という野次が飛びまし た。イラクの人たちの立場に立ってみれば、こんな乱暴な発想はできない はずです。これがイラク戦争の正当性を主張する論理かと思うと悲しくな ります。

☆1月28日、補正予算には賛成

 冒頭から荒れた国会でしたが、2004年度補正予算案については、困難に 直面している被災者の皆さんが一刻も早く安心して生活を送れる環境を整 備するため、不十分ながら政府案に賛成しました。極めて異例のことです。

 

■国際チャイルドライン代表と懇談




 1月25日、チャイルドライン支援議員連盟総会を開き、チャイルドヘル プライン・インターナショナル(CHI)代表のジェルー・ビルモリアさん とCHIアジア・パシフィック大会実行委員長の神仁さんからお話をうかが いました。  

 ジェルー・ビルモリアさんは、CHIは、現在世界の72カ国で活動しており、 そのうちの62カ国(日本を含む)では、すでに子どものためのヘルプライ ンがあります。11カ国では、ヘルプラインの設置準備中ということです。 2003年には、世界で1千30万件の電話がヘルプラインで受信されています。

 CHIでは、ITU(国際電気通信連合)とも連携し、情報通信を子どもの権 利擁護に活用できるよう活動しており、情報についての世界サミットの宣 言文の中にそれを盛り込むこともできたそうです。

 子どものためのヘルプラインの設置状況は国によって様々だそうですが、 やはり、政府の財政支援があり、24時間体制のフリーダイヤルシステムが できているところでは、電話の受信件数も多くなっています。一方、ボラ ンティアだけの体制で、時間も限られていると、かかってくる電話の数も それだけ減ってしまうそうです。

 どこの省庁が主にヘルプラインを支援しているのか? という質問に対 しては、子ども省がある国では子ども省、女性のためのエンパワーメント のための省庁がある国では、そこが女性と子どものエンパワーメントの予 算を出していることが多いとのこと。日本の場合は、チャイルドラインに 寄せられる相談の中で学校に関することの比率が高いのが特徴なので、文 部科学省が支援するのが妥当ではないか、との意見でした。

 情報通信産業が発展している日本は、ヘルプラインでももっとリーダー シップを発揮することが期待されているそうです。調査によると、日本で 24時間体制のヘルプラインができれば、年間120万件の電話を受けられる ようになり、世界最大規模となるはず、ということが指摘されているそう です。

 ジェルー・ビルモリアさんは、インド生まれの女性ですが、1993年ごろ からチャイルドラインの必要性を痛感し、インド国内のチャイルドライン 設立と運営に尽力し、2002年にオランダでCHIを設立し代表となった方で す。とてもエネルギッシュで魅力的な方でした。



■スマトラ沖大地震・インド洋津波災害



 1月15日、民主党栃木県連で一斉街頭募金活動を行いました。私も、14時からの定例街頭演説で募金への呼びかけをさせていただきました。ご協力をいただいた皆さまには心より感謝申し上げます。
 全国的に見ても、まだまだ募金額が不足しています。これからいよいよ本格的な復興支援を進めなければなりませんので、ぜひ、引き続きのご支援をお願い申し上げます。

 民主党の募金口座へのお振込み
《支援募金のお振込先》
○郵便振替 郵便局 00110−6−65328「民主党」
○銀行振込 りそな銀行 衆議院支店 普通:7815354「民主党募金口座」

 あるいは、栃木一区在住の方は、水島事務所(028−649−6600)までご連絡いただければ集金に上がらせていただきます。よろしくお願いいたします。

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「水島広子と歩む会」からのお知らせ
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■水島広子と歩む会第2回総会

日 時 2005年2月26日(土)午後4時30分から
場 所 ホテルニューイタヤ 桜の間
    宇都宮市大通り2-4-6 TEL.028-635-5511
参加費 無料


■水島広子と歩む会2005年躍進のつどい
日 時 2005年2月26日(土)午後6時00分から
場 所 ホテルニューイタヤ 天平の間
    宇都宮市大通り2-4-6 TEL.028-635-5511
参加費 5000円(着席パーティー形式)
    (事前にお申し込みいただけますようお願いいたします。)

 お問い合わせ・お申し込みは水島広子と歩む会事務局(水島広子事務所内)
TEL.028-649-6600 FAX.028-614-1134 までお願いいたします。
 なお、躍進のつどい参加費は事前に集金に上がらせていただきます。





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