国会報告 その211(2004.12.18発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回、発行しております



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国会報告



■訪韓報告(その2)




(12月6〜8日の訪韓についての報告第2号です。第1号は、前号をご参 照ください)

○女性部長官 池銀姫(チ・ウンヒ)氏訪問(続き)

 池長官は、大使館の用意したプロフィールによると「韓国女性団体連合 常任議長や市民社会団体連帯会議共同代表を歴任した代表的な改革性向の 女性。社会問題運動家出身。労使改革委員などで活動した履歴もあり、労 働部長官候補としても名が上がった。カリスマ溢れる女傑スタイルである との評がある」と書いてありますが、実際のご本人は本当に優しく、笑顔 を絶やさない方でした。
 それにしても、女性部の初長官となった韓明淑(ハン・ミョンスク)氏 (後述)にしても、現在の池長官にしても、「筋金入り」の女性運動出身 者が国の要職につくのですから、素晴らしいことです。

 女性部の主要業務は、女性政策の統合・企画、政策の性別影響の分析・ 評価、女性マンパワーの開発・活用、女性の社会参加拡大、乳幼児保育業 務、性売買防止及び被害者保護、男女差別の禁止及び救済、女性団体及び 国際機構との協力。女性部はこうした政策を通じ、相対的に遅れている女 性の権益と地位を向上させることにより、両性が平等な社会を実現し、よ って韓国の国家競争力向上に寄与しようとするもの、とされています。

 現在、女性部として最も力を入れているのは性売買の問題だそうです。 2004年3月に制定され、9月から施行されている法律が2つあり、性 売買の業者への刑罰と被害女性(売春側を被害女性として位置づけている) の自立支援を規定しています。
 韓国においては、性売買の問題を解決することなくしては、真の男女平 等は実現しないと池長官は話しておられました。

○韓明淑(ハン・ミョンスク)議員と懇談

 韓明淑議員は、ウリ党の代表的女性リーダー。2000年より国会議員 (比例区)。2001年には初の女性部長官となり、2003年には環境 部長官となりました。
 2004年総選挙では、ウリ党から地域区で強敵を破って当選していま す。
 大変な人格者で、誰に聞いても「韓議員を尊敬している」と言われるよ うなタイプの方です。
 今回の訪韓団に顧問として同行していただいた岡崎トミ子参議院議員と 親しいため、終盤国会で大変厳しいスケジュールの中を夕食に招待してく ださいました。
 でも、やはり、というべきか、国家保安法廃止法案の上程をめぐって国 会が紛糾したため、すぐに呼び出しがかかって国会に戻られました。後半 は、趙培淑(チョ・ベスク)議員が駆けつけて私たちと懇談してください ました。大使館作成のプロフィールによると「検事、判事、弁護士を歴任 した、屈強の女性政治家。1985年、最初の女性検事に赴任。決心すれ ば、最後まで完遂する「猪突性」があるとの評価を受ける」とありますが、 力強いと同時に、サッカー好きなさわやかな女性でもありました。女性国 会議員で地域区(選挙区)選出の人はわずか10名ですが、趙議員もその 希少な一人です。
 今回、それでも地域区で女性議員が倍増したのは、女性の政治能力に対 する国民の信頼が増したという社会背景に加え、「法定費用内での選挙」 を徹底したため、女性にとっては戦いやすい選挙になったからだそうです。

 夜遅かったのですが、この後、毎日新聞の堀山明子特派員と懇談。韓国 に詳しい堀山さんから、日本ジャーナリストの目で見た韓国を教えていた だき、大変参考になりました。
 ちなみに、韓国では、盧武鉉政権を作った鍵が386と呼ばれる世代。 「386」とは、30代で、80年代に大学に行っており、60年代生ま れの層。堀山さんも私もまさに「386」なのですが、日本の感覚でいう と、全共闘世代が「386」に当たるのだと思います。政権を作るという 成功体験をした「386」と、それがない「全共闘」との違いなど、いろ いろと興味深く考えました。

12月7日

○国会女性委員会の委員長訪問


 委員長の他、女性委員会所属の女性議員4名、男性議員1名が同席。
 女性委員会は16名の委員からなる常任委員会で、他の常任委員会との 重複所属が可能。16名のうち男性委員は4名だそうです。女性部の所管 する事項を扱う委員会として、2002年3月に新設されました。

 通常国会での大きなテーマは、主に、育児・保育、性売買、戸主制撤廃 だそうです。
 戸主制は、日本の民法に基づいて作られた制度ですが、現在、廃止に向 けての最終段階に来ているそうです。前日女性部長官とお会いしたときも、 儒教の影響を質問すると、「戸主制がなくなれば、法律上儒教の影響はな くなる」と言っておられましたが、最後の砦といったところのようです。

 ちなみに、韓国には戸主制がありますが、夫婦は別姓です。これは、歴 史的には「女は婚家に入れない」という女性蔑視に基づくものであること は事実です。でも、日本で選択的夫婦別姓を議論するときに必ず「韓国の ような別姓はかえって女性差別」ということを言う人がいるので、韓国で 政治と関係のない女性も含めて何人かの人に聞いてみましたが、「歴史的 経緯がどうであれ、結婚改姓をしたいという女性の話は聞いたことがない」 という返事でした。
 現在、韓国では、子どもは父方の姓しか名乗れませんが、離再婚のとき に不都合だという現実的な理由もあり、法改正の検討が進んでいるそうで す。子どもが両親どちらの姓も名乗れるようになれば、姓については法律 上男女平等が完成するのでしょう。

 法改正はまだですが、通称として、「父方姓・母方姓」の結合姓を名乗 る人がいたり、20代くらいの進歩的な考え方をする人たちの間では、「 母方の姓も、しょせんは母方祖父の姓だから」と、姓を名乗るのをやめて 名だけを名乗る人もいるそうです。

 女性委員長の金愛実(キム・エシル)議員は、ハンナラ党の比例1位と して注目を浴びつつ当選した女性。韓国女性経済博士1号という象徴性及 び経済分野の専門性が高く評価された結果、1番を与えられたとされてい ます。

 1985年には、専業主婦の家事労働をお金に換算して分析した「家事 労働の経済学的な価値」という論文を発表して注目を浴びたそうです。

 この懇談で、何と言っても注目を集めたのは同席していた唯一の男性議 員李啓安(イ・ゲェアン)氏。
 国会議員になる前は「あの」現代自動車の社長をしていたという李議員 は、もともと韓国の国の力を高めるためには女性の活用が重要だという考 えで、政治に参加したのはそれを国家レベルで実現したいというのも一つ の動機だったそうです。
 「李議員は特別な男性なのですか」と質問すると、「同じ思いの人は多 いと思うが、実際に行動する人は多くない。私の場合は、大学1年のとき のガールフレンドと結婚したが、彼女の影響ですっかりフェミニストにな ってしまった」と語っていました。
 李議員は本当に男女共同参画に熱心な方ですが、それ以外の男性議員に も、女性委員会は非常に人気があり、競争率は高いそうです。なぜかと言 うと、女性委員会に所属していると、次の選挙で女性票が多く見込めるか らだそうです。女性のために働いた議員に女性が投票する、という活動本 位の構造があるようです。

 女性委員会の活動の他、ここで初めて普通の女性国会議員(?)複数に 会うことができたため、女性運動や選挙についていろいろな話をすること ができました。

○ウリ党訪問

 盧武鉉政権の与党「開かれたウリ党」を訪問。全国女性委員長の金希宣 (キム・ヒソン)議員と4名の女性国会議員と懇談。
 大使館作成のプロフィールによると「小柄な体格にもかかわらず雰囲気 を主導する等の男性に劣らないカリスマがあり、民主化運動によって数回 拘束されたこともある市民運動家出身議員である。特に女性運動に尽力し てきており、85年には韓国日報の「85年を光らせた女性5人」第1位 に選出、87年には東亜日報の「女性東亜大賞」等、数多くの賞を受けて いる」とありますが、大変さわやかで腰の低い女性でした。
 やはり岡崎トミ子参議院議員とは以前から親しく、「オカザキー」と何 度も握手。私にも、「ミズシマー」と何度も握手して励ましてくださいま した。
(以下、次号へ)





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