国会報告 |
■知事選・市長選を終えて 11月28日投開票の栃木県知事選挙・宇都宮市長選挙には、皆さまの 様々なお力をいただきありがとうございました。栃木県、そして宇都宮市 にとって本当に大切な選挙だと考え、私も全力で取り組みましたが、大変 残念な結果となりました。 かつては「福祉後進県」と呼ばれた栃木でしたが、この四年間、福田昭 夫知事が本当に一生懸命頑張ってくださったおかげで、最近の日経新聞の 調査では、行政サービスの水準(子育て環境、福祉、公共料金などで見る) が全国で第3位にまで向上しました。県民のために4年間全力投球してく ださった知事を再選させられなかったことが悔やまれてなりません。 今後の栃木県・宇都宮市が心配ですが、皆さまとともに、新知事・新市 長の選挙公約がどれほど守られるか、県・市の財政状況も含めてチェック していきたいと思っています。 ■知事選を振り返って 今回の知事選では、福田昭夫さんの1期4年間の実績をどれだけ皆さま にわかっていただくか、ということに集中して取り組んできました。 福田昭夫さんは、1期4年間で驚くほどの仕事を県民のためにしてくだ さいました。14年間続いた県の財政の赤字を、就任後わずか3年にして 黒字に転換しました。そして、無駄を省いた税金を、県民にとって現在の 安心につながる部分、そして県の将来に向けてプラスになる部分に、重点 的に配分してきました。医療では、県民の長年の夢であった子ども病院を 作り、福祉においても、今まで県政ではなかなか日の当たらなかった領域 に丁寧に取り組んでいただきました。教育も、少人数学級制に取り組んで くださいました(誤解している方がいらっしゃるようですが、少人数学級 制の権限は現在市長にはありませんので、宇都宮の少人数学級も知事の実 績です)。雇用についても、新たな助成制度を作り県内への企業の誘致に 積極的に取り組んできました。その結果、この半年で見ると、栃木への企 業の立地件数は全国一となっており、栃木の有効求人倍率は今年の9月に は全国で第3位と、雇用も大変元気な状況にあります。 これだけの実績を上げるためには、従来型の政治の悪習と闘わなければ なりませんでした。税金の無駄をなくす上では、それによって利益を得る 人たちと闘わなければならないからです。 その結果が、今回の熾烈な知事選でした。私は、「知事が四年間県民の ために足を踏ん張って頑張ってくれたのだから、今度は県民が再選という 形でお返しをする番だ」と連日訴えましたが、私の昨年の選挙と同じパタ ーンの物量作戦、誹謗中傷作戦、「知事が自民党でなければ国からお金が もらえなくなる」というお決まりのデマ作戦を徹底的に行われてしまいま した(私の衆院選の時にも調べましたが、過去の補助金のデータを見てい くと、全くそのような事実はありません)。ご丁寧に、安倍晋三さんとい う応援弁士まで昨年の総選挙と同じでした。地域においても、締め付け、 監視などが行われたと聞いています。 栃木で、本当の意味での草の根選挙が始まったのは、前回の知事選から だったと言えます。今回は、相手の組織力に比べて、草の根の力がまだ十 分に育っていなかったということかもしれません。私自身の選挙の時にも 感じたことですが、「知事は公約違反」などのデマが流されたときに、そ れを覆すだけの「草の根力」をどうやって作っていくかが問われているの だと思います。 青年会議所の主催で知事選の公開討論会が開かれましたが、そこに出席 した方たちは候補者の「雲泥の差」を感じたと言います。このような場が もっと広く県民に与えられるべきだと思います。 気になるのは、誹謗中傷をする側が当選をするという悪いパターンが続 いているということです。こうしたモラルの欠如が子どもたちに与える影 響、また、「選挙は汚いもの」という印象がさらなる政治離れを進めるこ とも心配です。 前回の知事選から振り返ってみると、四年をかけて、「福田昭夫知事は 市町村に冷たい」「議会との関係が悪い」などというイメージが着々と作 られてきたと感じています。その一方で、ご本人の宣伝下手もあるのでし ょうが、知事の実績はほとんど知られずに来ました(私も選挙の応援をす るようになって新たに発見した知事の実績がいくつかありました)。開票 の夜にも、とちぎテレビで、視聴者から新知事への要望のファックスで、 「何にでもノーとしか言えないあきおさんがダメにした栃木県を良くして 下さい」と書かれたものが紹介されていました。前述したように、栃木は ダメになっていないのです。今回の選挙は、相手側の情報操作が勝利した 選挙であったとも言えます。 ■市長選を振り返って 今回の市長選では、公募で候補者になっていただいた鈴木定浩さんを先 頭に、限られた条件の中で全力の取り組みを進めましたが、結果としては 当選まで届きませんでした。ご支援をいただいた皆さまには、総合選対委 員長として、心からお詫びを申し上げます。 市長選については、何といっても時間の短さが致命的でした。前市長が 知事選への出馬を表明したのが9月6日。投票日は11月28日。二カ月 半のうちに身辺整理をして立候補を決意し、選挙運動をする候補者の側に とっても時間がないのはもちろん、45万人の有権者にとっても、候補者 を知り、理解し、比較し、判断するには短すぎる時間です。さらに今回の 場合、11月11日からは知事選が告示となり、実質上政治活動ができな くなったわけですから、鈴木定浩候補にとっては、有権者に知っていただ くための期間はわずか20日程度しかなかったということになります。 相手候補との差は、知事選に由来するものだと考えられます。自民党は 知事選と市長選を完全にセットにして取り組んでいましたので、知事選に かけたエネルギーの効果が市長選にも及んだというだけのことだと言えま す。こちらは、それぞれ違う選挙として取り組んでいましたので、どうし てもエネルギーが分散してしまいました。 それにしても、市長選全体を振り返って、やはり異常な選挙だったと思 います。4年間の市政を託す市長を決める重要な選挙でありながら、あま りに短い期間であったため、最後まで有権者の多くが候補者について知る こともできないまま投票しなければならなかったわけです。出ないと約束 していた知事選に突如として出馬し、このような異常な事態を作り出した 全面的な責任者である前市長(新知事)には、責任を痛感してほしいと思 っています。 ■臨時国会 法案担当者として、2本の法案の修正に成功しました。 ○児童福祉法改正案 今年は春に児童虐待防止法の改正という大きな仕事をしたばかりですが、 虐待についての審議の第2ラウンドがこの「児童福祉法改正案」でした。 今回の政府案では、虐待を含む児童福祉の相談の一次的な窓口が市町村 になります。「窓口は市町村、そして虐待など難しい問題は児童相談所へ」 という機能分担は一見合理的ですが、これをきちんと機能させるためには 窓口にこそ専門家が必要です。修正の第1ポイントとして、「市町村は、 この法律による事務を適切に行うために必要な体制の整備に努めるととも に、当該事務に従事する職員の人材の確保及び資質の向上のために必要な 措置を講じなければならないものとすること」という条文を新たに追加し てもらいました。さらに、質疑の中では、児童相談所と市町村の押し付け 合いで谷間に落ち込むケースが出ないよう、あくまでも虐待については全 面的に児童相談所が責任を持つ、ということも確認しました。 また、今回の改正案では、親から引き離されて施設入所措置がとられた 子どもたちの入所期限を2年間とし、その時点で措置の継続を検討すると いう仕組みになりました。漫然と施設に入所させられる子どもを減らすと いう観点は大賛成なのですが、何もしなくても2年待てば子どもが帰って くると親が誤解するのは大問題です。また、2年後にチェックすべき点は、 当然、虐待の初発時とは異なるはずです。重きが置かれるのは、「親がど れほど変わったか」ということでしょう。 修正ポイントの第2として、「児童福祉施設への入所措置の更新につい ては、当該措置に係る保護者に対する指導措置の効果等に照らし判断をす る」旨を明記してもらいました。 また、今回初めて、虐待をした親への指導措置について家庭裁判所が勧 告できるという仕組みが作られたのですが、その勧告先が親そのものでは なく児童相談所であるということに私たちは疑問を持ってきました。この 点は修正できませんでしたが、その代わりに、「親が指導措置を拒んだ場 合には、まず子どもは親元には返さない」という答弁をとり、実質上、勧 告が機能するように確認しました。 このほか、附帯決議も私が書かせていただき、以下のような盛りだくさ んの内容を書き込むことに成功しました。 (1)児童福祉司等専門職員の資質の向上と配置基準の見直し等を行うな ど児童相談所及び市町村の体制の拡充を図ること。 (2)子どもたちに良好な家庭的環境を与えるために、職員の拡充、施設 のホーム化等児童養護施設の改善に取り組むこと。 (3)児童福祉に関する家庭裁判所の機能の強化に向けての取り組みを進 めること。 (4)保護者に指導措置を受けさせるための勧告が、実際にどのように機 能したのかを検証すること。また、指導措置の内容について専門的・学術 的観点からの研究をさらに進めること。 (5)国及び地方自治体における関係機関の連携強化を図るとともに、民 間団体、NPOとの一層の連携を図ること。 (6)里親制度を発展させるための支援を強化すること。また、虐待を受 けた者に対して適切かつ多様な支援を行うために、自立援助ホームの充実 強化に取り組むこと。 (7)保護者への指導・支援のあり方、虐待事件の検証結果などが地方自 治体にきちんと周知徹底されるよう連携・指導に努めること。 (8)小児慢性特定疾患については、子どもに治療を受けさせながら生計 を立てているという保護者の立場を理解しつつ、子どもに対して最適な医 療を提供するという制度の趣旨を踏まえ、制度のあり方等について検討を 続けるとともに、手続きなどの負担をできる限り軽減すること。 ○育児休業・介護休業法改正案 今回も、政府案への対案として「仕事と家庭の両立支援法案」を提出し ておりましたが、最終的に修正協議が成立しましたので、私たちの法案は 撤回し、修正案に賛成しました。 今回、修正できた点はたった一点、「見直し規定」を設けたことです。 こんな修正に意味があるのか、と思われる方もあるかもしれませんが、見 直し規定を設けることで、次の改正の担保が取れますので、内容に満足し ていないときには重要な修正となります。 このほか、政府案では子どものための看護休暇が「子どもが何人いても 年間5日間」(これでは一人っ子誘導策だ、と私は審議の中で指摘しまし た)という仕組みになっているのを「子ども1人当たり何日」という仕組 みに修正する、という修正希望を出していましたが、こちらは経営者側の 反発が予想されるとの理由で実現せず、その代わりに附帯決議に盛り込む ことに成功しました。 見直し規定については、参議院の委員会で質問が出たため、私が答弁し ました。そして、「いつまでに見直しをするのか」という質問に「遅くと も改正法施行後5年まで」と答弁して明確化しました。また、見直しをす るに当たって踏まえるべき観点として、期間雇用者(契約社員)の方たち の育児休業取得状況(希望者がもっと取れるようにしていく)、男性の育 児休業取得促進、子どもの看護休暇を子ども一人当たりの制度にする、と いう点を挙げました。 この法案も附帯決議は私が担当し、しっかりと書き込ませていただきま した。 これらの法案の質疑の議事録をご希望の方は、水島広子事務所までご連 絡ください。後日、ホームページにも掲載されます。 |