国会報告 その200(2004.09.11発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回、発行しております



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国会報告



■チャイルドライン議連で財務省に予算要望



 9月6日、財務省主計局に児童虐待防止対策の充実に関する予算等要望に行きました。自民党から共産党まで、超党派の議員で要望書をまとめました。
 以下が要望書です。



 虐待を受けた児童が大人への信頼を取り戻して、安心して生活し、社会に巣立っていけるようにし、さらには家族の再統合を目指すには、児童や家庭に関する相談体制の一層の強化を図るとともに、児童福祉施設等における十分な職員体制や生活環境の改善を講じることが社会が果たすべき最低限の責任である。  先の通常国会では、予防から自立までの切れ目のない支援体制を確保していくため、児童虐待の防止等に関する法律の一部改正が行われたところであり、今後、政府においてはこの改正の趣旨を踏まえ、着実な施策の推進を求める。
 平成16年度予算編成において一定の進展が見られたものの、現状を見ると虐待を受けた児童及びその養育上問題を抱える家庭に対する支援体制はまだまだ十分とは言い難いことから、以下の事項について万全の予算措置及び地方財政措置(交付税措置)を講ずるよう特に要求するものである。

1.地域における児童と家庭に関する相談体制の強化

(1)身近な市町村における相談体制の強化

◎ 児童虐待の発生予防、早期対応等を図るためには地域全体の支援力を高めていくことが不可欠である。児童相談所、市町村、学校、警察等、児童や家庭に関わる関係機関のネットワークを全市町村で設置するよう、その立ち上げを支援するとともに、一義的な児童相談の担い手として市町村の役割を強化し、これに対応できるような人員の確保と援助技術等の習得の機会を保障すべきである。

◎ 児童虐待の未然防止の観点から、地域からの孤立や育児不安など虐待リスクの高い家庭を積極的に訪問し、具体的な育児支援の技術的指導を行う事業を全市町村で実施すべきであり、そのための事業費を確保する必要がある。

(2)専門性の高い、より困難な事例に対応する児童相談所の相談体制の強化

◎ 専門性の高い、より困難な事例への対応と市町村の後方支援を重点的に行うことが求められている児童相談所において、困難事例に対応できるケースワーカーや心理療法担当職員などの専門職員の量的・質的確保及び関係機関からの通告にいつ何時でも対応できる24時間365日相談体制の整備等、その体制強化を図る必要がある。

2.児童福祉施設等の抜本的改善

(1)児童福祉施設(児童養護施設・乳児院・児童自立支援施設・情緒障害児短期治療施設・母子生活支援施設)職員の人員体制の強化及び専門性の強化

◎ 心に深い傷を持つ児童を癒すには、専門的知見に基づく養育が必要である。また、被虐待児童は特にきめ細やかな手厚い対応が必要なことから、それに対応できるよう、全施設へ心理療法担当職員を配置すべきである。

◎ 関係職員等の資質の向上を図るため、被虐待児に対する専門的援助・ケア技術等の習得の機会の保障をすべきである。

◎ 心理療法担当職員はとりわけ高度の専門性を要することから、心理療法担当職員をサポートするスーパーバイザー担当職員を確保すべきである。

◎ 虐待等により心理的外傷が強度である児童等に対応する情緒障害児短期治療施設を全都道府県に設置すべきである。

(2)自立を支える施設の環境づくり

◎ 施設入所児童をより家庭的な環境の中で養護するため、小規模児童養護施設(グループホーム)の設置をさらに促進すべきである。

◎ 児童家庭支援センターの整備を進め、地域に開かれた施設としての機能を強化することにより、虐待の未然防止や、在宅生活の継続を促すべきである。また、それに対応した人員の確保をすべきである。

◎ 居住定員、居住面積を見直し、個室の確保や少人数部屋への転換を図るべきである。

(3)里親制度の推進拡充・多様化

◎ 日常的に里親が相談できるよう、児童相談所によるフォローアップ体制を強化するとともに、施設に里親に対する支援を担当する職員を配置すべきである。

◎ 里親が一時的に休息がとれる体制など、個別の里親支援体制の充実を図るべきである。

3.年長児童の自立支援策の充実 

 児童養護施設等に入所している虐待を受けた児童は家族の支援を受けにくいこともあり、施設退所後、直ちに自立を求めることは困難である。

   このため、児童養護施設等を退所し、就職する児童等に対し、これらの者が共同生活を営みながら、生活設計や就労等に関する相談や日常生活上の援助及び生活指導を受ける自立援助ホームの全都道府県での設置や、例えば、自動車免許取得のための支援制度など、就労支援の充実を図るべきである。

4.その他

(1)家族再統合に向けた子ども・親に対するプログラム開発の研究の促進

(2)学校等においても、きめ細やかな支援のできるよう人員体制を強化



 要望書の内容に加えて私が申し上げたのは、限られた予算とは言っても、ここで先行投資しなければ将来どれほどのコストを払わなければならないのかをきちんと試算してほしい、ということです。
 財務省の主計局でも、社会保障費が高齢者に偏っているという認識はありました。「最終的には国の全体像をどう描くかということだ」と言っておられましたが、まさにその通りで、こうした要請はもちろんやっていきますが、政権交代しなければ十分な予算の確保は難しいでしょう。
 また、三位一体関連で、児童福祉に関する予算がもっとも削られやすい中、後日総務省にも要請行動を行う旨を確認しました。




■沖縄基地問題プロジェクトチーム



 8月13日の米軍ヘリ墜落事故への対応として党内に作られた沖縄基地問題プロジェクトチームの副座長になりました。役員会で度々議論を続けています。
 なお、今回のヘリ墜落事件については、現場検証や現場における警察権の問題があり、これについては、日本当局による現場検証を米軍が受け入れること、米軍が事故現場において専行的な警察権を行使せずに日米両当局で行うこと、などを規定する必要があります。また、公務執行中の犯罪については米軍が第一次的裁判権を有するとされていますが、米軍施設外の場合には日本側に裁判権を移譲する必要があると思います。
 なお、米国は、凶悪犯罪の場合に起訴前の被疑者引き渡しや刑事裁判権の日本への移譲に対する反対理由として、わが国の取り調べ過程の不透明性を挙げていますが、民主党では、取り調べ段階での弁護人立会権を確立し、取り調べ過程の録画・録音を義務づける「刑事訴訟法等改正案(取り調べ可視化法案)」を提出し、刑事手続きの適正化に向けて取り組んでいますが、先の通常国会でも否決されて廃案になっています。
 取り調べの可視化は、日本におけるえん罪防止や適正捜査のためにも重要です。ご支援いただけますようお願いいたします。





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