国会報告 その198(2004.08.14発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回、発行しております



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国会報告



■臨時国会開会




  本会議で小泉首相のサミット報告

8月2日、衆議院で本会議が開かれ、小泉首相からサミット報告があり ました。これは、2カ月近くも報告が遅れたということ以上に、サミット からの帰国当時、通常国会がまだ開会中であったということを考えれば、 異常事態です。
もちろん民主党では通常国会における小泉首相のサミット報告を求めて いましたが、それをやってしまうと、多国籍軍問題に触れずにはいられま せん。だから、政府・与党側は「逃げ切る」ことにしたのでしょう。
小泉首相に対しては岡田克也代表自らが質問に立ち、岡田さんらしい、 良い質問をしていました。またしても小泉首相が答弁しないため、岡田代 表は再質問をしました。それでも答えないため、再々質問をしようとしま したが、もはや小泉首相は席を立って答弁しようとはしませんでした。

04年改正年金法廃止法案の審議

8月4日には衆議院で厚生労働委員会が開かれ、民主党が提出した「0 4年改正年金法廃止法案」が審議されました。
午前中は3時間かけて自民党からの質問が行われました。これだけ注目 されているときですし、質問者もベテランの大物ぞろいでしたから、政府 ・与党の力を総動員して鋭い質問をするかと心して臨んだわけですが、結 果は完全な期待はずれでした。委員会室では、失笑と言うよりも爆笑がし ばしば出る状態でした。それほど自民党の質問は単なる言いがかりにすぎ ず、そんな質問をさせられている自民党質問者がかわいそうなくらいでし た。
例えば、「改正年金法を廃止、と言いながら、その一部は復活させてい る。中途半端ではないか」「民主党が衆議院で年金改正案の採決のときに 本会議に出席していたということは、法成立を容認していたということだ (法案に反対のときは常に審議拒否しなければならないのでしょうか)」、 「三党合意の中に与党が入っていたということは、三党合意は政府案の成 立を前提にしたもの(民主党も入っていたのだから、民主党案の成立を前 提にしたものという議論も当然成り立ちます)」、「参院選での民意、民 意、と言うが、民意にばかり従っていては責任が果たせない(責任を果たす 上で民意が逆を向いてしまっているのであれば、説得する努力が必要です )」、という具合です。

唯一、聞くに値した批判は、今国会に廃止法案だけ出して、前国会で廃 案になってしまった民主党の抜本改革案を再提出していないということ。 それは正論です。でも、そのためには、1日だけの委員会審議では全く話 になりません。つまり、会期をこちらの要求通り1カ月以上確保してくれ れば、もちろん民主党の年金本体案も提出したということなのです。この ように民主党議員から答弁されて、結局自民党はそれ以上反論できなくな ってしまいました。

厚生労働大臣不信任案提出で閉会中審査が取りやめに

 8月5日は、厚生労働大臣の不信任案が提出され、衆議院本会議で討論 と採決が行われました。不信任の理由は、年金についての一連の責任問題 と、社会保険庁や厚生労働省の不祥事(監修料や不正アクセス問題、年金 の過払いや未払い問題など)についての責任、日本歯科医師連盟をめぐる 疑惑に対して積極的に取り組もうとしないこと、などです。
 不信任案は多数決で否決されましたが、なんと、この不信任案提出への 与党の反発によって、8月10日に開催を予定していた厚生労働委員会( 閉会中審査)が突如つぶれてしまいました。10日には、一般質疑が行わ れることになっており、日本歯科医師連盟の問題や社会保険庁の無駄づか いなどを審議する予定でした。ところが、日歯問題がこれ以上騒がれるこ とを警戒したためか、与党は与野党間の約束を反故にしてしまいました。




■ポラーノ広場の勉強会始まる




今の日本の政治の完全な機能不全を私もずっと憂えてきましたが、同じ 意識を持った同僚議員とともに、新しい勉強会を8月5日に立ち上げまし た。「言いだしっぺ」は首藤信彦衆議院議員で、平岡秀夫衆議院議員と私 を合わせた3人が呼びかけ人になって始めました。
ラディカル・デモクラシー(急進的民主主義と訳すのではなく、根源的 民主主義と訳します)を勉強しながら、日本の新しい政治システムや民主 社会を模索していきます。
現在のデモクラシーには、代議制の機能不全、大企業の影響を受けやす い、などのいくつかの限界が見えています。こんな中、どうすれば本当の 参加型民主社会を作ることができるのか、ということを考えるのがラディ カル・デモクラシーです。
8月5日には、国際基督教大学の千葉眞教授に大変示唆に富むお話をい ただきました。
なお、党内では、集団的自衛権に慎重な議員で作った「リベラルの会」 も8月2日に発足しました。私はこちらも呼びかけ人を務めておりますが、 「リベラルの会」が政策的な勉強会であるのに対し、「ポラーノ広場の勉 強会」は、政治の制度全体を根源的に考えるものです。




■県執行部と国会議員の懇談会




 8月4日の朝、恒例の県執行部と国会議員の懇談会が開かれました。こ れは、年2回程度東京で開かれているものですが、そのあり方について私 はずっと疑問を感じてきました。県の執行部や県議会の代表者たちが交通 費をかけて栃木からやってきて、前の晩から東京のホテルに泊まった上で 開くということの経済的問題、また、懇談会の進め方についてもいろいろ な疑問があります。現在の開会時間は7時半ですが、それでも、9時から は委員会が始まりますので、私は懇談会に最後まで参加できたことはあり ません。せいぜい1回発言するだけです。子ども病院について初めて発言 した場は、当選直後のこの懇談会でしたから、全く意味がないわけではあ りませんでしたが、もっと効率的な持ち方ができないだろうか、と考えて きました。
 幸い、今回は同じような問題意識をお持ちの方が問題提起をしてくださ り、今後の持ち方を検討していくことになりました。栃木で、もっと時間 をとれるときに開くのが良いのではないかと思います。
 なお、この日に私は子ども病院の進捗状況についての確認をし(子ども の親の宿泊滞在施設が子ども病院内に作られることも確認しました)、教 育の地方分権についての知事の考えなどを尋ねました。




■岡田代表の訪米




7月27日から31日まで、岡田克也代表が代表として初の訪米をしま した。当初は、ケリー政権が発足した場合に政権中枢につく人達とのディ スカッションが主目的でしたが、ベーカー駐日米国大使からのアドバイス により、現在の政府・共和党とも懇談することになったとのことです。
 自民党との関係もあり、当初、米政権内では岡田代表の訪問をどう扱う か、議論があったそうです。でも、最終的には、同じ同盟国である英国と 同じ扱いにするということになったそうです。つまり、二大政党制を尊重 し、野党の党首が訪米したときにも政権中枢の人物がきちんと応対すると いうことです。今回はたまたまライス大統領補佐官やパウエル国務長官が ワシントンを離れていたため、ナンバー2の対応ということになったよう です。
 米国の民主党大会が開かれていた時期でもあり、有意義な訪米だったそ うです。

 なお、臨時国会召集日である7月30日に岡田代表が不在であったとい うことについては、一部に批判があるようです。正式な党の手続きを経て の訪米ですから、藤井幹事長がきちんと説明はしているようですが、召集 日には議席の指定などの形式的な日程しかありませんので、代表としてし なければならない仕事をさぼったという批判は論理的には当たっていませ ん。「自民党と全面対決しなければならない国会の初日に・・・」という 精神論はあるかもしれませんが、それは仕事の重要度・優先度を考えて同 僚がカバーしていけばよい話だと思います。
 本来、日本の政治家は、もっと外国での存在感を増すべきであるのに、 「国会の日程」を言い訳に、国内にとどまりすぎているように私は思って います。そのことが、日本の政治をますます「世間知らず」な閉鎖的なも のにしてしまっていると思います。
 以前、産休中の議決権の行使のあり方を研究していたときに、外国では、 国際会議などに出席する議員の議決権の行使のあり方まで規定されている ということを知り驚きました。閣僚や党の幹部として対外的にこなさなけ ればならない仕事と、一人の国会議員としての議決権の行使という仕事は、 相容れないことがあります。そういうときのための規定を、日本もそろそ ろ考えるべきではないでしょうか。有権者に開かれた政治にすると同時に、 国際的にも開かれた政治にすべきです。





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ご関心のある方はご覧いただければと思います。良質なメディアを育てることが日本の生命線では?と私も思っておりますので、若い方の取り組みを頼もしく思います。







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