国会報告 その188(2004.05.10発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております



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国会報告(4/26〜5/09)



■年金審議




★破られた約束

 前回ご報告した通り、4月23日の夜の委員会で坂口厚生労働大臣が全 閣僚の年金保険料納付実績を26日中に公表するということを約束したわ けですが、26日になると福田官房長官が「それは坂口大臣の約束で、内 閣としての約束ではない」と言い出して約束を破りました。その後、厚生 労働委員会の理事会で、民主党の「次の内閣」も公表するという条件つき で、28日の昼までに全閣僚の納付実績を明らかにするということが改め て約束されました。
 4月28日の午前中には私も質問に立ちました。そして、政府案が「現 役時代の50%の年金額を保障」と宣伝していることのウソを明らかにし ました。実際に、50%が保障されるのはごく一部の世帯だけであること、 そして、受給開始時には50%であっても、時の経過とともにそれが下が ってくる、という事実は、政府も認めざるを得ない状態です。また、保険 料が上がることが雇用に深刻な打撃を与えることも改めて指摘しました (詳しくは後日議事録をご参照ください)。
 そして、約束の昼になったのですが、なんと、与党側は「夜の6時過ぎ まで待ってくれ」とのこと。こんなにあからさまな約束破りが許されるの だろうか、とさすがに憤りを抑えられませんでした(結局、後になって福 田官房長官が認めたように、与党側は、強行採決まで公表を控えていたの です)。比較的冷静に年金法案についての本質的な審議が行われた午前中 の委員会とは打って変わって、午後になると、いっせいに「約束は守れ」 のコールとなりました。

★小泉総理は見て見ぬふり

 実は、午後の審議には小泉総理も出席していました。でも、約束破りに ついて指摘されると、「それについては与野党で協議してください」と言 ったきり、後は答弁席で眠っている(寝たふり?)始末。自分自身が自民 党の総裁であるということを忘れてしまったのでしょうか。自民党出身の 委員長も、自民党の理事たちも、総理の指示に従って協議する姿勢を全く 示さないというのに、完全に無言で「見て見ぬふり」でした。かつてはリ ーダーシップを期待された人とはまったく思えないありさまでした。

★採決強行!

 そして16時半すぎに、与党が年金法案の採決を強行しました。こんな に短い審議時間で、それも次々と厚生労働省や社会保険庁の不祥事が露見 したため、法案そのものの審議はほとんどできませんでした。年金分割や パート労働者の問題などは全く触れることもできず、とても「審議を尽く した」という与党側の言い分を理解できるものではありませんでした。早 速、採決無効の申し立てを衆議院議長にいたしました。そして、与野党で よく協議するように、という裁定をいただきました。

★三党合意

 そんな与野党協議の結果、5月6日に三党(自民・公明・民主)合意が 行われました。一元化に向けての協議を与野党ですること、保険料率につ いては経済や雇用の動向を見ながら検討を加える、という内容を含むもの で、民主党が対案を示して審議の中で主張してきた内容(年金の抜本改革 に向けての与野党協議の場を作る、年金の一元化を実現する、政府案のよ うな保険料引き上げには反対)が大きく反映されたものです。
 報道や議員のコメントなどを見ますと、「与野党協議の場」を作ったこ とが後ろ暗い談合であるかのように言われていますが、与野党協議の場を 作る、というのは、民主党が提出していた年金法案の中にも明記されてい た、我々の「政策」です。私たちは年金改革の多くを、スウェーデンにな らっています。このゴールデンウィークにも菅代表がスウェーデンの首相 と会談し、年金改革についてさらに詳しく聞いてきました。年金制度とい う、長い目で見なければならない政策は、政権交代によってコロコロと約 束が変わってしまってはいけない。だから、与野党で協議して、政権交代 によって変わらないような制度を作らなければいけない、というのがスウ ェーデンで考えられ、実際に実行されたことです。ですから、党利党略で はなく「与野党協議の場」を作った、ということには大きな意味があると 私も思います。

 ただ、私たちが野党である以上、三党合意は必ずしもバラ色のものでは ありません。前提条件として、政府案の内容は成立してしまいます。でも、 このまま単に反対すれば自動的に14年間保険料が上がり続けるだけで、 抜本改革に向けての取り組みもできません。三党合意ができれば、政府案 が実際に運用される期間を3年程度にとどめることができるでしょう。
「わかりやすさ」をとるか、「実」をとるか、という野党第一党としての いつもの悩みになりますが、本来、政権交代しても変わらない制度でなけ ればならない、という年金の特殊な事情を考えれば、「実」をとるという 執行部の選択は十分理解できるものです。ただ、「わかりやすさ」を引き 換えにしたことは事実ですから、心して説明に努めていかなければなりま せん。

★閣僚年金未払い問題が示すもの 

 強行採決後、官房長官まで含めて7名もの閣僚の年金未払いが明らかに されました。そして、それを26日には把握していたのに、法案の採決に 支障をきたさないよう、この時点まで隠していたということも明らかにさ れました。今回の最大の問題はここにあると私は思っています。年金制度 というのは人に年金の支払いを「約束」するものです。閣僚の納付実績を 明らかにするという程度の約束を守れない内閣に、年金審議をする資格は ないと思います。党利党略と、「約束」という信義と、どちらを優先させ るべきかという当たり前のことが問われているのです。もう一つの問題は、 今回の件で、「抜本改革」と称する政府案に大きな欠陥があるということ が明らかになったことです。
 その後も、多くの議員に未納・未加入の期間があったことが明らかにな ってきています。皆一様に「制度の複雑さが・・・」と言っていますが、 その問題を放置したままの政府案では、やはりだめなのです。勘違いで年 金の保険料が払えなければ、それだけ受給できる金額も減るので、年金権 の侵害にもなります。



■菅代表の年金未加入問題




 さてそこで民主党の菅直人代表の問題ですが、「民主党もか!」と多く の方に失望を与えたことは大変残念なことだったと思います。でも、その 事情は、聞けばよく理解できるものです。
 厚生大臣になったときに、「保険証は国家公務員共済になりますので、 国民健康保険の保険証を返しておいてください」と人事担当者から言われ、 妻の伸子さんが武蔵野市役所に保険証を持っていったそうです。すると、 国家公務員共済であれば年金も脱退手続きをしてほしいと言われ、隣の窓 口で年金の脱退手続きをしたそうです。今回の騒動まで私も知りませんで したが、国家公務員共済は、医療保険のような短期のものであれば大臣も 対象となるけれども年金は対象にならないそうです。そして、結果的に、 菅さんは大臣であった期間、何の年金にも加入していないという状態にな ってしまったのです。 
 栃木5区選出の茂木大臣も、全く同じ構造で未加入期間が生じています。 そのことについて、足利市役所はすでに謝罪の文書を出しています(どこ の自治体にとっても、大臣が出るなどというのはめったにあることではあ りませんから、役所の担当者が「大臣は国家公務員共済の年金には加入で きない」ということを知らないのも無理はないことでしょうが)。 

 福田官房長官の辞任を受けて「菅さんもやめるべきだ」という声が高ま っていると聞きますが、福田さんの場合は、約束を破って党利党略を優先 させた、自らの未払い期間を偽って公表した、制度の不備を知りながら放 置して政府案を強行採決した、など、菅さんとは本質的に違った問題があ ります。今回の菅さんの問題は、同じ立場に立たされれば、たぶんほとん どの人が同じ状況に巻き込まれたであろう問題だと私は理解しています。 菅さんには圧倒的な批判を責任をもって受け止めつつ説明責任を果たして もらいたいと思っていますし、私も執行部を支える一人として同じように していきたいと思っています。ご理解をいただければ幸いです。



★ホームページに「お勧めの本」のコーナーを新設しましたぜひご覧くだ さい。



★定例街頭演説の時間・場所変更のお知らせ★

   5月15日からは毎週土曜日の街頭演説(14時〜二荒山神社前。第一 土曜日のみ、上三川・南河内)とさせていただきます。引き続きよろしく お願い申し上げます。



★民主党大躍進パ−ティー開催のご案内★

 民主党は、結党6周年を記念して、下記のとおり「大躍進パーティー」を 開催します。
 水島広子は、これまで利権に関係しないみな様に支えていただきながら活 動して参りました。これからもこの姿勢を貫いて参りますが、そのためにも、 多くの皆様のご協力とご参加をお願い申し上げます。
 ご協力いただける方は、電話又はFAX、電子メールで水島広子事務所まで ご連絡ください。よろしくお願いいたします。

〇日時 2004年5月18日(火)
      午後6時開宴(午後5時30分開場)
〇会場 ホテルニューオータニ東京「鶴の間」
     東京都千代田区紀尾井町4−1 電話03−3265−1111
〇会費 2万円
〇ご連絡先・お問合せ先
      水島広子事務所(東京) 03−3508−7511
             (宇都宮)028−649−6600







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