国会報告 その185(2004.04.12発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております



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国会報告(4/5〜4/11)



■日本人拘束事件




ついに恐れていたことが起こった、というのが事件を知った最初の気持 ちでした。米軍がモスクを攻撃したときから、時代の歯車がさらに間違っ た方向に進んでしまったという危機感を抱いていた矢先に、この事件が起 こりました。イスラム教徒の方たちにとってモスクを攻撃されるというの がどういう意味を持つのか、ということもわからないようでは、やはりこ の人たちにはイラクの復興を論じる権利はないと思っています。
法律の議論としても、ここのところのイラクの状況を見ると、イラク特 措法を成立させた(私たちは反対しましたが)前提であった「非戦闘地域」 (そんなものはもともとないと思っていましたが)の存在が幻であったこ とが明らかになったわけです。法案審議のときの政府答弁から考えても、 自衛隊を撤退させる条件は十分に整っていると思います。米国のイラク政 策の失敗は明らかになってきていますが、そこに盲従するのではなく、こ こは一度自衛隊を撤退させた上で、再び派遣するのであれば国連の枠組み 内とすべきです。そのような趣旨の緊急アピールに、私も4月10日に参 加しました。

「戦争は一国でもできるが復興は一国ではできない」ということは米国 支持の方にもわかってきたようです。でも、そういう方たちが言うように 「そろそろ国連も引っ張り込んで」とあっさり済む問題でないことも事実 です。イラクにおける大規模な世論調査の結果を見ましたが、国連への信 頼が決して高いわけではないのです。湾岸戦争後に経済制裁で苦しめられ てきたことへの反感もあるのです。また、今の治安の悪さでは、すんなり 国連が入れるという状態でもありません。ここまでの事態を招いたアメリ カは、きちんと責任をとるべきです。 

12日未明現在、予告に反して3名はまだ解放されていません。今はた だ無事の解放を祈るのみです。やはり政治は一人一人の命の重みを最優先 に考えられる感性が必要だと私は信じています。また、正しい知識と現場 感覚あふれる「専門性」も必要です。
今回の報道などを見ていて、NGOの現状や国際情勢の現実を知らない人が 大きな声で語りすぎているな、と改めて感じました。「専門家」の定義を きちんとしなければならないと改めて思います。



■この緊急事態に年金審議入り




このような非常事態なので、国会に首相を拘束しなくても良い、審議日 程については、全体の国会の運びを妨げないように配慮する、ということ も伝えた上で、改めて4月9日の審議について与党の意向を聞きました。
ところが、与党側は「外務大臣の質問は免除してもらいたいが、総理はか まわない」とのことで、そのまま年金審議をするようにとの姿勢でした。
そんな中、民主党はどうするべきか、ということですが、私も久しぶり に代議士会で発言しました。政府の責任は責任として明らかに存在してい るのですが、この緊急事態における立法府としての国会の責任も明らかに 問われてきます。与党側が平時の体制で良いと言っているからといってそ のままで良いのか。立法府としての責任をどう果たすのか。3日後という 期限は日曜日の夜になるが、今日、予定された審議だけして後は地元に帰 っておしまい、で良いのか。といったことを発言しました。
他にも国対方針に対して同趣旨の発言をしてくれる人たちもいて、結局、 厚生労働委員会の冒頭の枝野政調会長の時間の一部を菅代表に譲り、この 問題について直接やりとりしてもらうことが実現しました。ここで、菅さ んが人質の家族の方たちと直接会って伺った声を首相に直接伝えることが できました。
その後、年金審議が始まりました。4月1日の本会議における小泉首相 の答弁拒否・答弁もれについては、この日の委員会を小泉首相出席・テレ ビ入りで行うこと、この日の本会議で民主党の対案の趣旨説明を行うこと、 4月14日に党首討論を行うこと、という条件で何とか決着することにな りました。どうしても本会議をやり直すわけにはいかないという小泉首相 側の強硬な姿勢と、実質的に質疑のやり直しをしたい民主党の姿勢が、こ のような形で妥協に至ったということです。
年金審議そのものについては、スペースがございませんので、次号でお 伝えします。

 なお、4月7日に民主党・社民党不在のもと、委員会が強行されました。
自民党の安部晋三幹事長などが質問に立ったわけですが、まだ提出されて もいない民主党案(つまり、与党の人にはその内容がわかるわけもない) について、勝手に悪意に基づいた質問をし、厚生労働省の役人がそれに勝 手なことを答える、などというめちゃくちゃなことをしていました。さす がに与党筆頭理事の長勢甚遠さんは、「まだ民主党案は提出されていない わけですから、今日のところは政府案について質問します」と見識のある ところを示され、安部幹事長との「格」の違いを見せつけてくれました。
党派が違ってもフェアであることは重要です。



■若年雇用




4月9日の総合雇用対策特別政策会議に玄田有史先生(東京大学社会科 学研究所助教授)をお招きして、若年者の就業問題についてご講演をいた だきました。
私は今年の2月の予算委員会で若年雇用についての質問をしていますが、 その時に「ニート」という言葉を学ぶもとになったのが、玄田先生の論文 でした。玄田先生の考え方には大変共感しておりましたので、今回講師と してお招きできるのを楽しみにしていたところです。

玄田先生からは、日本におけるニート(NEET; not in education, empl oyment or training 教育も就労も職業訓練もしていない若者)の実態や 対策についてうかがいました。本当のニート(教育も受けていない、就職 もしていない、浪人もしていない、職業訓練も受けていない、さらに、就 職希望もない)は、25歳未満で40万人はいる、と推計されます。就職 希望もないという点では深刻な数字です。玄田先生は、ニートの人たちに 必要なのは職業についての情報ではなく、自信なのだとおっしゃいます。
そして、玄田先生が強調しておられたのは、「14歳の職場体験」でし た。14歳、中学2年というのは、最も動揺しやすい年頃でもあります。 14歳の夏休みが補導も最も多いそうです。また、中学3年になると受験 など他のことで忙しくなってしまいます。中学2年の夏に、職場体験をす ることによって、子どもたちは明らかに変わるそうです。玄田先生の言葉 を借りれば、「ありがとうございました! と挨拶できれば食べていける ことがわかる」ということなのですが、今は子どもの頃から高度で独自の 技能を身につけることがあまりにも強調されてしまっていて、子どもたち は仕事というものを難しく考えすぎてしまう。でも、「ありがとうござい ました!」と頭を下げられれば自分にもできることなのだ、という現実を 知ることが大切だ、ということです。
現在、公立中学校における職場体験の実施率は86.9%になっていま すが、その内訳を見ると、「1日」というのが多く、玄田先生が推奨され る5日以上というところは1割もないのです(私の選挙区、栃木県は54 .5%とかなり高いのでホッとしました)。
  県の予算(保険料がかかる)、教員の人手、地域の協力が重要なポイン トだそうです。地方における教育委員会と労働局の関係というのも重要で す。まさに縦割り行政の枠内では絶対にできないことですから、政治主導 で、地域の協力を得て推進していく基盤を作るべきでしょう。
また、現在、教育行政と労働行政の間のエアポケットに落ち込んでしま っているような中卒者・中退者などについては、大人がエラそうに構えて いるのではなく、やはり「若者が若者のために何かをする」という手法を 取らなければだめだ、というのが玄田先生の意見。イギリスにはパーソナ ル・アドバイザーと呼ばれる人が、1対1で面倒を見る仕組みになってい るそうです。性教育のように「ピア・カウンセリング」(同世代同士の話 し合い)の手法が必要なようです。
自信の喪失は、地域に戻ることで回復する、という玄田先生のお話は、 私が日頃考えていることと見事に一致したので勇気を得ました。



■フォーラム「うたおう子どもの権利」




4月8日、朝日新聞社主催のフォーラム「うたおう子どもの権利」にパ ネリストとして出席しました。他のパネリストには、イブ・デユティユさ ん(フランス・プレシー村長、有名なシャンソンのシンガーソングライタ ー)、筑紫哲也さん、直木賞作家猪重松清さん、コーディネーターは朝日 新聞論説副主幹の川名紀美さんでした。
子どもの問題を幅広く話し合うことができ、大変有意義なフォーラムで した。デュティユさんがフランス政府の依頼で作曲した「子どもの権利」 などの歌も披露していただきました。当日の内容は4月26日の朝日新聞 朝刊、フォーラムの全文はインターネットのアサヒ・コムに掲載される予 定です。ぜひご覧ください。



■自然エネルギー活用促進議員懇談会




 4月9日、民主党の自然エネルギー活用促進議員懇談会で、ドイツのヘ ルマン・シェア氏(ドイツ連邦議会議員、ヨーロッパ太陽エネルギー協会 会長)をお招きして「自然エネルギー普及とソーラー地球経済〜ドイツ政 府の新しい挑戦〜」というテーマで講演をいただきました。
ドイツでは、30年以内に、国内エネルギーの40%以上を自然エネル ギーでまかなえるようになるそうです。自然エネルギーについては従来か らコストの問題が言われてきましたが、ドイツでは5年後には風力発電の コストは従来型エネルギーと同等になるそうです。太陽発電は風力発電よ りも10年ほど遅れているようですが、こちらもコストダウンの過程にあ るそうです。ドイツの連邦議会では、バイオマスも含めた自然エネルギー で暖房などの電力の100%をまかなっているそうです。素晴らしいこと です。







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