国会報告 その180(2004.03.08発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております



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国会報告(3/1〜3/7)


■児童虐待防止法改正案与野党合意




3月1日の週は、ほとんど虐待防止法改正作業に明け暮れました。

3月2日から連日2〜3時間をかけて、与野党代表者会議での協議を続け てきました。大変な作業でしたが、3月5日、ようやく代表者会議での合 意に達しました。

今まで、法案修正協議をしたことはありましたが、委員長提案の法案を作 るために直接与野党協議をしたのは初めての体験でした。今回は、与党側 もこの問題に熱意のある方たちに恵まれ、こちらの言い分を大幅に聞き入 れていただき、最終的には満足のいく合意に達することができました。

最終決定のためには、3月9日の与党政策責任者会議、10日の民主党 「次の内閣」閣議という手続きが残っていますが、これで何とか今国会中 に改正案を成立させるめどが立ちました。

この作業を続けている間にも、連日のように悲惨な虐待の事件が報道され ています。改正案が現場の期待に応えることを、そして、この議論を通し て法律の運用がますます充実することを、何よりも社会の虐待に対する関 心と正しい知識が高まることを、心より祈るものです。

代表者会議合意案全文は私のホームページでも公表させていただいており ますが、主な改正ポイントは、

●「目的」に、児童虐待が児童の人権侵害であるということを明記し、虐 待の早期発見、虐待を受けた児童の自立支援、を法の目的として新たに 書き込んだ。

●虐待の定義として、保護者以外の同居人によるもの(保護者がこれを放 置することが虐待である、という書き方にしました)も加え、さらに、 家庭内でDV(配偶者への暴力)を見せられることなども加えた。
●国および地方自治体の責務として、関係省庁間の連携や、関係機関相互 の連携、民間団体との連携、さらに民間団体の支援などを加えた。「関 係機関相互」とは、学校と児童相談所の連携なども含むし、転居時の自 治体同士の連携も含む。

●国および地方自治体の責務として、関係機関の職員、学校の教職員、児 童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士などが虐待の早期発見や防止 をすることができるよう、また、虐待を受けた児童の保護および自立支 援を専門的知識に基づいて行えるよう、研修などの措置を講ずる、とい う規定を加えた。

●国および地方自治体の責務として、児童虐待の予防、早期発見、虐待を 受けた児童のケア、保護者の指導・支援などについて調査研究や検証を することを加えた。

●虐待の早期発見の努力義務が、今までは、教職員や児童福祉施設の職員 など、個人にしか課されていなかったが、学校や児童福祉施設など、団 体にも課した。

●学校及び児童福祉施設は、児童および保護者に対して、虐待防止のため の教育または啓発に努める義務があるとした。

●児童相談所長が虐待の通告を受けた児童の安全確認や一時保護をする際、 必要があれば警察官の援助を求めることができる、という規定が従来か らあったが、児童の安全の確認及び安全の確保に万全を尽くすために、 この規定を適切に運用しなければならない、と規定した。

●保護者の同意のもとに施設入所した場合でも、保護者が児童の引き取り あるいは面会や通信を無理に求める場合には、児童相談所長は、児童を 一時保護した上で、入所措置などにつなげることができる、という規定 を設けた。

●保育所の入所選考の際には、虐待防止という観点から特別な支援を必要 とする家庭に配慮しなければならない。

●国および地方自治体は、虐待を受けた児童の教育の確保のための施策を 講じなければならない。
また、虐待を受けた者(18歳を超えた場合も含む)の住居の確保、進 学あるいは就労支援のための施策を講じなければならない。


このほか、児童の安全確認または安全確保のための方策(福祉と司法の連 携など)、親権の喪失等の制度のあり方、などを3年以内に検討する旨を 附則に書きました。



■フランス外相と懇談しました




3月2日、フランス外務大臣であるドビルパン氏との昼食会に参加しまし た。与野党で9名の若手議員が招かれたものでした。イラク戦争開戦前に、 国際協調・査察継続を主張して精力的に活動されていたドビルパン外相の 姿はメディアでもおなじみだったと思います。


外相と意見交換をして、さすが国境線を各国と接しながら厳しい外交を続 けてきたフランス外相ならではの深みがあると改めて感心しました。
同席した自民党議員は、「一体国連の安保理は北朝鮮問題について何をや ってくれるんだ」というような論調でしたが、外相は、穏やかに、かつ毅 然とした態度で、

●北朝鮮問題の解決に向けて、障害となるのは恐れとイデオロギー。
イデオロギーの戦争に勝利する、などとは考えてはいけない。

●解決策というのは常に妥協である。そして、話し合いに加わる国の数が 多ければ多いほど、解決策は豊かになる。

●制裁は良くない。どんな人でも自分の国が制裁を受ければ侮辱されたと 感じ、解決策を探ろうという気持ちを持てなくなる。制裁が有効なのは、 発動前だけだ。

●今、誰よりも問題の解決を強く望んでいるのは、おそらく北朝鮮だろう。

 などと話されました。

現在、米国や中国などの環境変化のために転機を迎えている日本外交を後 ろ向きではなく前向きに進めるためにはどうしたら良いか、という私の質 問に対しては、

●現在、フランスはヨーロッパ統合という新たな挑戦をしているが、日本 はまだ冷戦時代にいるようだ。

●フランスがここまで進んできたのは、ある日、それまでの最大の敵が親 友になるという体験をしたことも大きい。それは、ドイツだ。そのため に、フランスは、自分たちの過去を見つめて責任を認めるということを しなければならなかった。大変つらい作業ではあったが、前に進むため には必要なことだ。

●日本がやるべきことは、国連安保理の常任理事国入りすること。21世 紀初頭に、アジアの平和を確立するためにも、それは重要なことだ。

●また、ヨーロッパが統合に向けて努力しているのと同じようなことを、 日本もアジアでできるはずだ。 というようなことを話されました。  


全体として、アメリカという一国に頼るよりも、多極主義の方が安全だし 解決策もある、という論調が貫かれていて、大変感銘を受けました。



■とちぎ子ども学会のシンポジウム




2月29日、宇都宮で、子ども虐待についてのシンポジウムが開かれ、私 もパネリストとして参加しました。折しも国会での議員立法作業の山場で したので、現場の状況を報告しつつ、今後何ができるかということを話し 合いました。



■やなせ進総合選対結成大会




2月29日、参議院議員やなせ進さんの総合選対結成大会が開かれました。 私は選挙副事務長、そして、選対副委員長となりました。

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テレビ出演のお知らせ

★ビートたけしのTVタックル(テレビ朝日系)

「医療改革について」

・2004年3月8日(月)21:00〜22:00








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